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37.パウパウのキラキラとお友達 23
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ギンちゃんと学長が大人しいうちにマールジェドと合流しようと、先を急ぐ。
なにせ、ギンちゃんが何を切っ掛けにして動き出すのかが分からないのだ、さっさと学長を保護したい。
原因究明などは、その後のことになるだろう。
ようやく辿り着いたギンちゃんの根元では、予想したとおり、打ちひしがれた教授陣と学生、泣きながらギンちゃんに縋りつく学長の図があった。
「遅いよウルジェド」
あの、わずかの間に学長にマーカーを付け、転移の目印にしたマールジェドが口を尖らせて甥を迎えた。
見事な魔法の腕なのに、本当に碌な事に使わないなと、ウルジェドは思う。
「叔父上、ギンちゃんが動く前に学長を外へ連れて行きましょう、あと教授たちも…なんで連れてきたんです?」
冷静に考えたら、何故マール叔父上はこの人たちを連れてきたんだろうかと思う。
(役に立ちそうにないのに)
何気に考えていることが酷い。
「んふふ、な・い・しょ」
「はぁ……ちゃんと、この人たちも安全な所へ連れて行ってくださいね」
碌でもない事を考えていそうなマールに念を押す。
「ミッちゃん。ミッちゃん。降ろして、降ろして」
ミっちゃんは小さい手で肩をペチペチと叩かれる。
「ダメ、危ないから」
「じゃ、木のとこ連れてって」
「……でも」
「ササ耳、とりあえず連れて行ってやれよ、危なくなったら、お前が守りゃいいだろ」
早く、早くとパウパウに急かされて、渋々、ミッちゃんはギンちゃんへと近づいた。
パウパウが手を伸ばして、木肌に触れようとする。
「パウパウ危ないから」
「だいじょぶ、ミッちゃん、ぼく降りる」
渋々とパウパウを地面に抱き降ろした。
パウパウはギンちゃんの根の張った地面に足をつけ、小さな足で近づいていく。
当然、後ろにピッタリとミッちゃんは張り付いている。
ギンちゃんの樹皮は滑らかだ。
ゴツゴツしたところがなく、幹からまるでドレスの襞が流れるように根へ続いている。
そこに小さな手を精一杯のばして、躊躇もなくペタリと触った。
「おっきいねぇ、どうして泣いてたの?」
いつもヴィンテやニワトリに話す様に、パウパウが尋ねる。
ぶるり
木が震えた。
ギンちゃんの傍に居るため、今までよりも遥かに大きい振動を感じる。
ビリビリとガラスドームも共振を始めた。
「パウパウ!」
ミッちゃんが慌てて後ろから抱き上げようとするのを
「ダメ!まだ、お話しするの!」
「……じゃ、転ばないように支えてるのはいい?」
「うん、ありがと」
パウパウが何をしているのか全くミッちゃんには分からない。
(お話しって木と?)
だが、パウパウが真剣なのだから、彼なりの理由があるのだと思い、見守ることにする。
(なんだか、胃の腑がシクシクしてきた)
手を出せないのが辛い。
地面の振動は、続いている。
共振しているドームを構成している六角形のフレームも大きくビリビリと震えている。
だが、どうしたことか、ギンちゃんは動かない。
ここで叫び出しそうな学長はとミっちゃんが見ると、教授達が押さえつけて、こちらを見ている。
(あ、ちょびっと役に立った、でも鼻は止めてあげて)
それと、親指を立てて笑顔を向けるほどには、役に立ってないと思う。
ハイエルフの査定が厳しい。
「……そっかぁ、分かった!」
パウパウが顔を上げ、ギンちゃんを見上げた。
「ミッちゃん、ミッちゃん、ギンちゃんね、お友達さがしてたの」
「友達?」
「うん、どこ~って泣いていたでしょ、ずっと」
「え?」
「下まで、さがしてたの」
「この振動か、パウ坊」
パウパウを心配して近寄ってきたガルデンが聞いた。フレーケン教授も一緒だ。じっとパウパウを見ている。
「どんな友達なの?」
「んとねぇ、ここに居ないんだって、でも教えてもらったからミッちゃん、連れてこよ?」
大人達、ポカーンである。
「ギンちゃんに、ブルブル止めてってお願いするから、待っててね」
パウパウはギンちゃんの木肌に、また手をピトっと付けて後ろのミっちゃんに笑いかける。
『友達、連れてくるから、いい子で待っててね、他の子いじめたらダメだよ』
前からミッちゃんに教えてもらっている”お呪い”だ。
小さな手でギンちゃんの木肌をなでなでしながら、頭の中で声を掛けた。
(あ、そうだ!)と、思いついたパウパウは、ギンちゃんにお願いを一つする。
それが伝わったのか、偶々なのか、振動は徐々に小さくなり、やがて静かになった。
「……収まっ…た?」
フレーケン教授がぽつりと呟いた。
教授らも周りを見渡す。
振動も共振もない。
静かだ。
「いや……」
ガルデンが険しい顔で上を見た。
ギシリッ
「ササ耳!マール!ここら一帯に防御結界だ!天井が落ちるぞ」
ギシギシという音に負けぬほどの大声でガルデンが叫ぶ。
「叔父上!全部です!合わせて」
「えぇ~」
バキリッ
鈍い音とともに巨大な天井の厚いガラスが落ちてきた。
ミっちゃんは直ぐにパウパウを抱き上げながら、物理結界を始動する。
範囲は温室内部、全体だ。
「お前に合わせるって、大変なのよぉ」
口を尖らせてマールジェドが文句を言う。
「じゃ、私が合わせますから」
ドーンという音とともに、天井のガラスが何かにぶつかった。
「ひぃぃ」「ぎゃぁぁ!」「お、お、落ちた」
「うわっ……ほ、他も落ちそうかい?」
結界にぶつかり、一見、宙に浮いているように見えるヒビの入った六角形のガラスを見上げながら、フレーケン教授がガルデンに尋ねる。
「分からねぇ、どこのフレームが歪んでいるかまでは見えないからな、だが……」
「お~い、モジャーフ。全部が落ちたら、流石に結界では支えきれないぞ」
「お前が?支えきれねぇってか」
「いや、叔父上が」
聞き捨てならない事を言われたマールが、駆け寄って
「ちょっと、どういうことなの、私がって」
「え?だって私、これからパウパウと友達探しに行くんで、あとバナナ」
バカだ。馬鹿がいる。
一名を除いた、ここに居る残りの大人全員の意見が一致した瞬間だった。
「はぁ……お前、状況わかってんのか」
ガルデンが頭をガリガリした。
はい、心得た!とチュンスケは素早く空中停滞。環境負荷が進化を促進中である。
「あのね、ミっちゃん。お友達は後からで、だいじょぶ」
四才児の方が余程、冷静な判断をしている。
「そう?だいじょぶ、なんだね」
「ん、もぅ!まったく、パウちゃん最優先も、大概にして!」
マールジェドが文句を言いながら、手を振る。
「ガルデン、ここのガラスに軽量化をしても、枠が歪んだらダメなんでしょ?」
「おぅ、こういった構造は互いに支えあっているからな。一つが撓むと他に負担がかかっていく」
「何をして……」「こ、ここに結界張ったうえで?」
教授陣が何やら騒いでいるが無視をしたマールジェドが
「おいで、ア~ヤミン」
結界の外に、眷属を呼ぶ。
「ギャァァァ」「うわぁ」「げぇぇぇっ」
教授や学生達が絶叫し、野太い悲鳴が響き渡る。
結界の外に突然現れ、張り付いた5匹の巨大な何かを見たのだ。
落ち着いて見たならば、それが巨大なイモムシだと分かるだろう。
普通の人は落ち着けないだろうが。
「青い脚……アッタス属の幼体か⁈うわ、初めて実物を見た!」
一人だけ喜んでいるのは魔獣研究の教授だった。
(そういえば、あの時、止めろと言うのに秘境で歌ったヤツが居たが、違う人みたいだなぁ)
ミッちゃんは、どうでもいいことを思い出す。
そうしているうちに、”アヤミン”とマールに呼ばれたイモムシ達は、きゅこきゅこと鋭い爪の生えた丸くて青い脚を動かし、胸部を仰け反らせて温室のフレームに張り付いた。
トゲトゲのある、緑に白い粉を吹いたような全体が見えた。
「わぁ!マールちゃん、おっきいイモムシかわいいねぇ!」
「か、かわいいのかい、あれ」
ミっちゃんは少し怪訝そうな顔をした。
「流石、パウちゃん。分かってるね。ウルジェド、どうせ余裕あるんでしょ?全部のガラスを軽量化しておいて。その間に枠とガラスをアヤミンが繋ぐから」
マールジェドが言うそばから、イモムシ達はきゅこきゅこ、きゅこきゅこと動いて天井のガラスに張り付き、糸を吐く。
「ガルデン、抑える場所は、六角形のここと、この辺り、で宜しい?」
「おぉ、ウルジェドの軽量化があれば、十分だ、お釣りがくるな」
「……はいはい、分かりました」
ミっちゃんは右手を上にあげて、頭上で一回、手を廻す。
「え…それだけ?」「エルフすげぇ」「おぉ、健気にきゅこきゅこしてる」
教授達や学生が何か言っているが無視をしてマールは
「あぁ!学長を背負っていた……貴方、オンブさん」
「オ、オンブさんって私でしょうか」
「えぇ!ねぇ、この騒ぎ収束させて、この温室の崩壊を止めたら、私たちに何の利点があるのかしら?そこで放心している学長に確認してちょうだい。貴方、秘書とか補佐とか、そういう立場でしょ?」
確かに学長の秘書をしている男は、素直に頷いた。
本能が”このエルフに逆らったら絶対にマズイ”と警鐘を鳴らしていた。
マールは収納から上級ポーションを取り出してオンブさんに手渡す。
「はい、学長の気付けに使って」
微笑むマールに、思わず顔を赤らめたオンブさんに
「まさか、ここまでの騒ぎを一般見学者の私たちに納めさせておいて、無償なんてことは無いでしょうね」
今度は毒の花の微笑みで言ったマールジェドに、教授陣と学生たち皆が顔色を無くした。
なにせ、ギンちゃんが何を切っ掛けにして動き出すのかが分からないのだ、さっさと学長を保護したい。
原因究明などは、その後のことになるだろう。
ようやく辿り着いたギンちゃんの根元では、予想したとおり、打ちひしがれた教授陣と学生、泣きながらギンちゃんに縋りつく学長の図があった。
「遅いよウルジェド」
あの、わずかの間に学長にマーカーを付け、転移の目印にしたマールジェドが口を尖らせて甥を迎えた。
見事な魔法の腕なのに、本当に碌な事に使わないなと、ウルジェドは思う。
「叔父上、ギンちゃんが動く前に学長を外へ連れて行きましょう、あと教授たちも…なんで連れてきたんです?」
冷静に考えたら、何故マール叔父上はこの人たちを連れてきたんだろうかと思う。
(役に立ちそうにないのに)
何気に考えていることが酷い。
「んふふ、な・い・しょ」
「はぁ……ちゃんと、この人たちも安全な所へ連れて行ってくださいね」
碌でもない事を考えていそうなマールに念を押す。
「ミッちゃん。ミッちゃん。降ろして、降ろして」
ミっちゃんは小さい手で肩をペチペチと叩かれる。
「ダメ、危ないから」
「じゃ、木のとこ連れてって」
「……でも」
「ササ耳、とりあえず連れて行ってやれよ、危なくなったら、お前が守りゃいいだろ」
早く、早くとパウパウに急かされて、渋々、ミッちゃんはギンちゃんへと近づいた。
パウパウが手を伸ばして、木肌に触れようとする。
「パウパウ危ないから」
「だいじょぶ、ミッちゃん、ぼく降りる」
渋々とパウパウを地面に抱き降ろした。
パウパウはギンちゃんの根の張った地面に足をつけ、小さな足で近づいていく。
当然、後ろにピッタリとミッちゃんは張り付いている。
ギンちゃんの樹皮は滑らかだ。
ゴツゴツしたところがなく、幹からまるでドレスの襞が流れるように根へ続いている。
そこに小さな手を精一杯のばして、躊躇もなくペタリと触った。
「おっきいねぇ、どうして泣いてたの?」
いつもヴィンテやニワトリに話す様に、パウパウが尋ねる。
ぶるり
木が震えた。
ギンちゃんの傍に居るため、今までよりも遥かに大きい振動を感じる。
ビリビリとガラスドームも共振を始めた。
「パウパウ!」
ミッちゃんが慌てて後ろから抱き上げようとするのを
「ダメ!まだ、お話しするの!」
「……じゃ、転ばないように支えてるのはいい?」
「うん、ありがと」
パウパウが何をしているのか全くミッちゃんには分からない。
(お話しって木と?)
だが、パウパウが真剣なのだから、彼なりの理由があるのだと思い、見守ることにする。
(なんだか、胃の腑がシクシクしてきた)
手を出せないのが辛い。
地面の振動は、続いている。
共振しているドームを構成している六角形のフレームも大きくビリビリと震えている。
だが、どうしたことか、ギンちゃんは動かない。
ここで叫び出しそうな学長はとミっちゃんが見ると、教授達が押さえつけて、こちらを見ている。
(あ、ちょびっと役に立った、でも鼻は止めてあげて)
それと、親指を立てて笑顔を向けるほどには、役に立ってないと思う。
ハイエルフの査定が厳しい。
「……そっかぁ、分かった!」
パウパウが顔を上げ、ギンちゃんを見上げた。
「ミッちゃん、ミッちゃん、ギンちゃんね、お友達さがしてたの」
「友達?」
「うん、どこ~って泣いていたでしょ、ずっと」
「え?」
「下まで、さがしてたの」
「この振動か、パウ坊」
パウパウを心配して近寄ってきたガルデンが聞いた。フレーケン教授も一緒だ。じっとパウパウを見ている。
「どんな友達なの?」
「んとねぇ、ここに居ないんだって、でも教えてもらったからミッちゃん、連れてこよ?」
大人達、ポカーンである。
「ギンちゃんに、ブルブル止めてってお願いするから、待っててね」
パウパウはギンちゃんの木肌に、また手をピトっと付けて後ろのミっちゃんに笑いかける。
『友達、連れてくるから、いい子で待っててね、他の子いじめたらダメだよ』
前からミッちゃんに教えてもらっている”お呪い”だ。
小さな手でギンちゃんの木肌をなでなでしながら、頭の中で声を掛けた。
(あ、そうだ!)と、思いついたパウパウは、ギンちゃんにお願いを一つする。
それが伝わったのか、偶々なのか、振動は徐々に小さくなり、やがて静かになった。
「……収まっ…た?」
フレーケン教授がぽつりと呟いた。
教授らも周りを見渡す。
振動も共振もない。
静かだ。
「いや……」
ガルデンが険しい顔で上を見た。
ギシリッ
「ササ耳!マール!ここら一帯に防御結界だ!天井が落ちるぞ」
ギシギシという音に負けぬほどの大声でガルデンが叫ぶ。
「叔父上!全部です!合わせて」
「えぇ~」
バキリッ
鈍い音とともに巨大な天井の厚いガラスが落ちてきた。
ミっちゃんは直ぐにパウパウを抱き上げながら、物理結界を始動する。
範囲は温室内部、全体だ。
「お前に合わせるって、大変なのよぉ」
口を尖らせてマールジェドが文句を言う。
「じゃ、私が合わせますから」
ドーンという音とともに、天井のガラスが何かにぶつかった。
「ひぃぃ」「ぎゃぁぁ!」「お、お、落ちた」
「うわっ……ほ、他も落ちそうかい?」
結界にぶつかり、一見、宙に浮いているように見えるヒビの入った六角形のガラスを見上げながら、フレーケン教授がガルデンに尋ねる。
「分からねぇ、どこのフレームが歪んでいるかまでは見えないからな、だが……」
「お~い、モジャーフ。全部が落ちたら、流石に結界では支えきれないぞ」
「お前が?支えきれねぇってか」
「いや、叔父上が」
聞き捨てならない事を言われたマールが、駆け寄って
「ちょっと、どういうことなの、私がって」
「え?だって私、これからパウパウと友達探しに行くんで、あとバナナ」
バカだ。馬鹿がいる。
一名を除いた、ここに居る残りの大人全員の意見が一致した瞬間だった。
「はぁ……お前、状況わかってんのか」
ガルデンが頭をガリガリした。
はい、心得た!とチュンスケは素早く空中停滞。環境負荷が進化を促進中である。
「あのね、ミっちゃん。お友達は後からで、だいじょぶ」
四才児の方が余程、冷静な判断をしている。
「そう?だいじょぶ、なんだね」
「ん、もぅ!まったく、パウちゃん最優先も、大概にして!」
マールジェドが文句を言いながら、手を振る。
「ガルデン、ここのガラスに軽量化をしても、枠が歪んだらダメなんでしょ?」
「おぅ、こういった構造は互いに支えあっているからな。一つが撓むと他に負担がかかっていく」
「何をして……」「こ、ここに結界張ったうえで?」
教授陣が何やら騒いでいるが無視をしたマールジェドが
「おいで、ア~ヤミン」
結界の外に、眷属を呼ぶ。
「ギャァァァ」「うわぁ」「げぇぇぇっ」
教授や学生達が絶叫し、野太い悲鳴が響き渡る。
結界の外に突然現れ、張り付いた5匹の巨大な何かを見たのだ。
落ち着いて見たならば、それが巨大なイモムシだと分かるだろう。
普通の人は落ち着けないだろうが。
「青い脚……アッタス属の幼体か⁈うわ、初めて実物を見た!」
一人だけ喜んでいるのは魔獣研究の教授だった。
(そういえば、あの時、止めろと言うのに秘境で歌ったヤツが居たが、違う人みたいだなぁ)
ミッちゃんは、どうでもいいことを思い出す。
そうしているうちに、”アヤミン”とマールに呼ばれたイモムシ達は、きゅこきゅこと鋭い爪の生えた丸くて青い脚を動かし、胸部を仰け反らせて温室のフレームに張り付いた。
トゲトゲのある、緑に白い粉を吹いたような全体が見えた。
「わぁ!マールちゃん、おっきいイモムシかわいいねぇ!」
「か、かわいいのかい、あれ」
ミっちゃんは少し怪訝そうな顔をした。
「流石、パウちゃん。分かってるね。ウルジェド、どうせ余裕あるんでしょ?全部のガラスを軽量化しておいて。その間に枠とガラスをアヤミンが繋ぐから」
マールジェドが言うそばから、イモムシ達はきゅこきゅこ、きゅこきゅこと動いて天井のガラスに張り付き、糸を吐く。
「ガルデン、抑える場所は、六角形のここと、この辺り、で宜しい?」
「おぉ、ウルジェドの軽量化があれば、十分だ、お釣りがくるな」
「……はいはい、分かりました」
ミっちゃんは右手を上にあげて、頭上で一回、手を廻す。
「え…それだけ?」「エルフすげぇ」「おぉ、健気にきゅこきゅこしてる」
教授達や学生が何か言っているが無視をしてマールは
「あぁ!学長を背負っていた……貴方、オンブさん」
「オ、オンブさんって私でしょうか」
「えぇ!ねぇ、この騒ぎ収束させて、この温室の崩壊を止めたら、私たちに何の利点があるのかしら?そこで放心している学長に確認してちょうだい。貴方、秘書とか補佐とか、そういう立場でしょ?」
確かに学長の秘書をしている男は、素直に頷いた。
本能が”このエルフに逆らったら絶対にマズイ”と警鐘を鳴らしていた。
マールは収納から上級ポーションを取り出してオンブさんに手渡す。
「はい、学長の気付けに使って」
微笑むマールに、思わず顔を赤らめたオンブさんに
「まさか、ここまでの騒ぎを一般見学者の私たちに納めさせておいて、無償なんてことは無いでしょうね」
今度は毒の花の微笑みで言ったマールジェドに、教授陣と学生たち皆が顔色を無くした。
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