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41.パウパウのキラキラとお友達 27
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まさかのパウパウの、うっきうき笑顔でムッキムキ~宣言に一瞬、固まりかけたミッちゃんに
『着いたぞ、ここだ』
何故か若干、笑いを含んだ毒蛇さんの念話が響いた。
ハイエルフの腕の中にいたパウパウが見上げて息を呑む。
ミッちゃんも、目に入った物に言葉が出てこなかった。
100mを遥かに超える巨木群だ。
「クプレサシーかな……これは、大きいなぁ。良い匂いがする樹なんだよ」
「ギンちゃんって、小ちゃかったんだねぇ」
ミっちゃんに言われて、良い匂いがするのかと、大きく息を吸ってみたら湿気をおびた緑の匂いと共に喉がザラザラして、かすかに酸っぱいような異臭がしてきて、思わずパウパウは顔を顰めた。
『あれは若木だ、まだ幼い。それに種類が違う』
互いに場所を奪い合い、根を張り巡らせながら陽光を求めて上へ上へと進もうと伸びていく姿。
横枝を広げて、光を求めるも上の林冠が邪魔をして、育つことなく枯れ落ち、結局は真っすぐに伸びるしかない巨木もあれば、何かで真っ二つに裂かれ、そこから斜めに生え直して、無理やり捩れながらも上に伸びようとする木もある。
そのどれもが、威風堂々たる巨木だった。
そして、その樹々の木肌に張り付くコケや、花、植物。陰になったところに生えた菌糸類。
横枝が落ちて開いたウロから小さな花瓶の様に可憐な花が顔を覗かせていたりと様々だ。
『友達とは、あれではないか』
毒蛇さんが、クネクネと空を泳いで示したのは太い木に巻き付いた蔓植物だった。
『うむ。私と同じくグルグルだ』
かなり上の方まで行った毒蛇が言う。
(まだ、拘っていたのか!)
さすがは蛇だ、執念深いと、毒蛇さんは知らぬ間に謎の風評被害を受けた。
「ヘビさん、花咲いてる?」
『あぁ、咲いている。見に来るがいい』
言われてハイエルフは、フワリと浮き上がる。
パウパウは、ミっちゃんの首に両手を廻してしがみ付いた。
「凄いねぇ、ミっちゃん飛べるの、ヘビさんとお揃い!」
(それは飛べるのが凄いの?毒蛇殿とお揃いが凄いの?)
どうでも良いことに引っ掛かりながらも、毒蛇が浮いている場所まで上がる。
『うむ。ハイエルフは飛べて凄い。だが、妖精の子がムッキムキ~になったら、今の様に一緒には飛べなくなるぞ』
「え~?」
パウパウは考え込むように黙った。
この瞬間、ハイエルフは毒蛇に対しての認識を改めた。
一緒に帝都に行く気になったほどだ。
要するに、”え?こいつ、いい奴じゃん。毒蛇だけど”である。
チョロい。
毒蛇が器用に空中停止をして待っていた場所には、大輪の花が咲いていた。
白くて10枚の花弁が放射状に開き、その中にも等間隔で糸のような青紫色の副花冠が広がり、そして中心の雄蕊と雌蕊が複雑な形で立ち上がっている。
(……トケイソウ?)
パウパウは首を傾げながら花を見る。
大人の手の平を一杯に広げた程の大きさだ。
ミっちゃんは、花を手に取って
「うん。カルペディエムの仲間みたいだね、鎮静剤に鎮痛剤、殺菌なんかに使われているよ」
「へぇ~、凄い草なんだね~」
「この植物、根っこから実まで、全部が薬になるよ、ありがたいね」
『ほう、それは良い、何かの役に立つのは良いことだ』
空中で身を翻して別の木へ向かい
『こちらのは、違う色だ』
言われて見れば、赤紫のグラデーションの花、中の糸状の部分は長く淡い黄色のフリルの様にカールしている。
ミッちゃんは、毒蛇さんに断ってサンプルに花を一輪、摘み取って収納した。植物や薬学に詳しい人に見せるつもりだ。
『色々とあるが、どれを向こうに連れて行く?』
「ふむ、かなり大きいが、どうやって持って行こうか」
『こやつらは、強い。途中をぶちっとして、ぐさっと挿せば根付く』
毒蛇さんの説明が雑。
そして可憐な見た目のわりに逞しい花だ。
「ねぇヘビさん。お花の引越しして、だいじょぶ?」
『ここが有る限り大丈夫だ。この辺りの魔素は強い、普通の人間には辛いほどだから、荒らされることはない』
パウパウは首を振って問う
「あのね、お引越しして、お花さん寂しくない?」
『なに、あちらには木が居るのだろう?ならば、寂しくない』
「そっか~、なら良かったね」
うんうんと頷いて幼子が、ホッとしたように笑った。
とりあえず、ぶちっとする前に、若い芽が出ているかもしれないので、地上のそれを探すことにした。
一本の巨木の根の上に降りて、パウパウを座らせてから、ふとミっちゃんは思いついた。
(わざわざ、私が探すより専門家に任せた方が早い……それに、そろそろパウパウを休ませたい)
「なぁ、毒蛇殿。こことギンちゃんの温室を一時的に繋いでもいいか?」
『ほう、ハイエルフは、それ程のことが出来るのか』
「正直なところ、転移で荷物の運搬するよりも、楽だと思うんだよ」
毒蛇が構わないと言うのでお遣い鳥を呼ぶ。
出てきた瞬間、魔素の濃さにビクビクしたアマツは、毒蛇殿を見て、慌ててミっちゃんの頭上に避難した。
「はいはい、アマツ。帝都のマール叔父上にお遣いしてくれ。ほら、大丈夫、毒蛇殿は怖くないよ」
アマツはブルブル震えている。
ミっちゃんは空中に指で文字を綴り始める。
鳥が頭で震えるため、少し綴りにくそうだ。
【これから、温室との間に門を開きたい。そちらに門を設置して座標をくれ。
植物学、薬学の研究者、出来れば農学や森林に詳しい者を呼んでおいてくれ。
花を運ぶ人手が欲しい。
あと、絶対に学長どもは大人しくさせておいてほしい。】
空中の文字は古代シシュム語のエルフ文字で、古すぎて他の人族では絶対に読むことが出来ない。
というよりも、この文字でなければ空中に書くことが出来ないので使っているだけだが。
ミっちゃんは、書いた文字をカードを束ねるように上から順に重ねて、
「ウルジェド=ミ・チコ・カーン」
と呟いて文字束に息を吹きかけ、頭に乗るアマツの嘴に差し出す。
それをアマツは、マグっと飲み込むと、パっと飛び上がり、あっという間に消えた。
(それ程に、ここが、いや毒蛇が怖かったか……両方か)
「さて、マールから返事が来るまで、ちょっと一休みしようかパウパウ」
『だが、急いだほうが良さそうだ、あと少ししたら、豪雨が降る』
「雨が降るの?」
『そうだ、前が見えないほどの雨が降る、地面もグジャグジャになる』
「間に合うかなぁ、雨降るまでに、お花の引っ越しお手伝いの人」
「マールが転移のマーカーを設置してくれたら、とりあえず温室に逃げ込め……えっと、パウパウ?」
「ん?なあに」
「さっき、私が書いた手紙、読んだのかい?」
パウパウは、ハッとして
「ミッちゃん、ごめんなさい。お手紙、見えちゃった」
「いや、いいんだよ、大丈夫。どこまで読めた?」
「うーんと、学長どもはおとなしくまで?知らない言葉もあったから、分かんなかった」
「凄いよ、パウパウにはウィカリアス帝国公用語しか教えてないのに、誰かに習った?」
「え?なんかね~読めた!」
「は?」
(今、なんだか、軽~く、とんでもない事を言われた気がするのだが)
ミっちゃんが悩んでいる所に、アマツが戻ってきた。
「ピュイ」と鳴いて、ミっちゃんの頭に止まる。
「ありがとう、アマツ。じゃあ、返事をお願いするね。”返:マールジェド=ミ・チコ・リーバ”」
「ピュイ」
アマツの開いた嘴から、光の紐がゆらゆらと出てきて、空中で文字を形作った。
「パウパウ、読めるかい?」
「んっとね、……
【りょーかい。こっちのほしゅうは ほとんどおわり。
がるでんもわたしも おなかすいたから はやくもどって
もんは せっちょしたよ ざひょうは×××ー××××……】
……せっちょ?」
「うん、ごめん。叔父上の書き間違いだね。設置だよ」
(なんで、読めてるのパウパウ。これシシュムのエルフ文字だよ?)
『とりあえず、今は急いだほうがいいぞハイエルフ、雨が来る』
毒蛇が念話をした瞬間にアマツは逃げるように飛び上がると空に消えた。
余程、怖かったらしい。
毒蛇さんに急かされて、ミっちゃんが森林側に門を設置し、温室の門と座標を合わせる。
門と言っているが、実際は、ただ空間を一部分、繋いでいるだけなので、一見すると景色は何も変わらない。
扉の有無だけで、やっていることはグーリシェダの行った空間を繋げた魔法の簡易版だ。
他人の魔力に干渉しないだけ、こちらの方が簡単である。
魔法的にはアンカーを置いてあるが、設置者か許可された者でなければ開けられない仕様だ。
「じゃあ、温室への門を開けるよ、毒蛇殿も準備はいいですか?」
『うむ、ハイエルフよ、ガラガラしていた方がよいだろうか』
「毒蛇殿の楽な方で、よいと思いますが」
『しかし、様式美がだな……』
「ミッちゃん、雨降るから、早く開けて~」
秘境側がモタモタやっているうちに、温室側の門が開き、
「おっそ~い!お腹が減ってるから、いったん、お昼休憩!パウちゃんはお昼食べたらお昼寝!」
マールジェドが勢いよく秘境側に飛び込んできた。
そして、スルリと浮かんでいる毒蛇さんを目の当たりにする。
群青色の三角の如何にも毒蛇を主張する頭をまじまじと見て、
「ちょっとウルジェド!私、ヘビの美丈夫って初めて見たわ」
褒められて大いに毒蛇殿がテレテレになったところで、言っていたとおりに大雨が降ってきて、慌てて皆で温室に逃げ込んだ。
『着いたぞ、ここだ』
何故か若干、笑いを含んだ毒蛇さんの念話が響いた。
ハイエルフの腕の中にいたパウパウが見上げて息を呑む。
ミッちゃんも、目に入った物に言葉が出てこなかった。
100mを遥かに超える巨木群だ。
「クプレサシーかな……これは、大きいなぁ。良い匂いがする樹なんだよ」
「ギンちゃんって、小ちゃかったんだねぇ」
ミっちゃんに言われて、良い匂いがするのかと、大きく息を吸ってみたら湿気をおびた緑の匂いと共に喉がザラザラして、かすかに酸っぱいような異臭がしてきて、思わずパウパウは顔を顰めた。
『あれは若木だ、まだ幼い。それに種類が違う』
互いに場所を奪い合い、根を張り巡らせながら陽光を求めて上へ上へと進もうと伸びていく姿。
横枝を広げて、光を求めるも上の林冠が邪魔をして、育つことなく枯れ落ち、結局は真っすぐに伸びるしかない巨木もあれば、何かで真っ二つに裂かれ、そこから斜めに生え直して、無理やり捩れながらも上に伸びようとする木もある。
そのどれもが、威風堂々たる巨木だった。
そして、その樹々の木肌に張り付くコケや、花、植物。陰になったところに生えた菌糸類。
横枝が落ちて開いたウロから小さな花瓶の様に可憐な花が顔を覗かせていたりと様々だ。
『友達とは、あれではないか』
毒蛇さんが、クネクネと空を泳いで示したのは太い木に巻き付いた蔓植物だった。
『うむ。私と同じくグルグルだ』
かなり上の方まで行った毒蛇が言う。
(まだ、拘っていたのか!)
さすがは蛇だ、執念深いと、毒蛇さんは知らぬ間に謎の風評被害を受けた。
「ヘビさん、花咲いてる?」
『あぁ、咲いている。見に来るがいい』
言われてハイエルフは、フワリと浮き上がる。
パウパウは、ミっちゃんの首に両手を廻してしがみ付いた。
「凄いねぇ、ミっちゃん飛べるの、ヘビさんとお揃い!」
(それは飛べるのが凄いの?毒蛇殿とお揃いが凄いの?)
どうでも良いことに引っ掛かりながらも、毒蛇が浮いている場所まで上がる。
『うむ。ハイエルフは飛べて凄い。だが、妖精の子がムッキムキ~になったら、今の様に一緒には飛べなくなるぞ』
「え~?」
パウパウは考え込むように黙った。
この瞬間、ハイエルフは毒蛇に対しての認識を改めた。
一緒に帝都に行く気になったほどだ。
要するに、”え?こいつ、いい奴じゃん。毒蛇だけど”である。
チョロい。
毒蛇が器用に空中停止をして待っていた場所には、大輪の花が咲いていた。
白くて10枚の花弁が放射状に開き、その中にも等間隔で糸のような青紫色の副花冠が広がり、そして中心の雄蕊と雌蕊が複雑な形で立ち上がっている。
(……トケイソウ?)
パウパウは首を傾げながら花を見る。
大人の手の平を一杯に広げた程の大きさだ。
ミっちゃんは、花を手に取って
「うん。カルペディエムの仲間みたいだね、鎮静剤に鎮痛剤、殺菌なんかに使われているよ」
「へぇ~、凄い草なんだね~」
「この植物、根っこから実まで、全部が薬になるよ、ありがたいね」
『ほう、それは良い、何かの役に立つのは良いことだ』
空中で身を翻して別の木へ向かい
『こちらのは、違う色だ』
言われて見れば、赤紫のグラデーションの花、中の糸状の部分は長く淡い黄色のフリルの様にカールしている。
ミッちゃんは、毒蛇さんに断ってサンプルに花を一輪、摘み取って収納した。植物や薬学に詳しい人に見せるつもりだ。
『色々とあるが、どれを向こうに連れて行く?』
「ふむ、かなり大きいが、どうやって持って行こうか」
『こやつらは、強い。途中をぶちっとして、ぐさっと挿せば根付く』
毒蛇さんの説明が雑。
そして可憐な見た目のわりに逞しい花だ。
「ねぇヘビさん。お花の引越しして、だいじょぶ?」
『ここが有る限り大丈夫だ。この辺りの魔素は強い、普通の人間には辛いほどだから、荒らされることはない』
パウパウは首を振って問う
「あのね、お引越しして、お花さん寂しくない?」
『なに、あちらには木が居るのだろう?ならば、寂しくない』
「そっか~、なら良かったね」
うんうんと頷いて幼子が、ホッとしたように笑った。
とりあえず、ぶちっとする前に、若い芽が出ているかもしれないので、地上のそれを探すことにした。
一本の巨木の根の上に降りて、パウパウを座らせてから、ふとミっちゃんは思いついた。
(わざわざ、私が探すより専門家に任せた方が早い……それに、そろそろパウパウを休ませたい)
「なぁ、毒蛇殿。こことギンちゃんの温室を一時的に繋いでもいいか?」
『ほう、ハイエルフは、それ程のことが出来るのか』
「正直なところ、転移で荷物の運搬するよりも、楽だと思うんだよ」
毒蛇が構わないと言うのでお遣い鳥を呼ぶ。
出てきた瞬間、魔素の濃さにビクビクしたアマツは、毒蛇殿を見て、慌ててミっちゃんの頭上に避難した。
「はいはい、アマツ。帝都のマール叔父上にお遣いしてくれ。ほら、大丈夫、毒蛇殿は怖くないよ」
アマツはブルブル震えている。
ミっちゃんは空中に指で文字を綴り始める。
鳥が頭で震えるため、少し綴りにくそうだ。
【これから、温室との間に門を開きたい。そちらに門を設置して座標をくれ。
植物学、薬学の研究者、出来れば農学や森林に詳しい者を呼んでおいてくれ。
花を運ぶ人手が欲しい。
あと、絶対に学長どもは大人しくさせておいてほしい。】
空中の文字は古代シシュム語のエルフ文字で、古すぎて他の人族では絶対に読むことが出来ない。
というよりも、この文字でなければ空中に書くことが出来ないので使っているだけだが。
ミっちゃんは、書いた文字をカードを束ねるように上から順に重ねて、
「ウルジェド=ミ・チコ・カーン」
と呟いて文字束に息を吹きかけ、頭に乗るアマツの嘴に差し出す。
それをアマツは、マグっと飲み込むと、パっと飛び上がり、あっという間に消えた。
(それ程に、ここが、いや毒蛇が怖かったか……両方か)
「さて、マールから返事が来るまで、ちょっと一休みしようかパウパウ」
『だが、急いだほうが良さそうだ、あと少ししたら、豪雨が降る』
「雨が降るの?」
『そうだ、前が見えないほどの雨が降る、地面もグジャグジャになる』
「間に合うかなぁ、雨降るまでに、お花の引っ越しお手伝いの人」
「マールが転移のマーカーを設置してくれたら、とりあえず温室に逃げ込め……えっと、パウパウ?」
「ん?なあに」
「さっき、私が書いた手紙、読んだのかい?」
パウパウは、ハッとして
「ミッちゃん、ごめんなさい。お手紙、見えちゃった」
「いや、いいんだよ、大丈夫。どこまで読めた?」
「うーんと、学長どもはおとなしくまで?知らない言葉もあったから、分かんなかった」
「凄いよ、パウパウにはウィカリアス帝国公用語しか教えてないのに、誰かに習った?」
「え?なんかね~読めた!」
「は?」
(今、なんだか、軽~く、とんでもない事を言われた気がするのだが)
ミっちゃんが悩んでいる所に、アマツが戻ってきた。
「ピュイ」と鳴いて、ミっちゃんの頭に止まる。
「ありがとう、アマツ。じゃあ、返事をお願いするね。”返:マールジェド=ミ・チコ・リーバ”」
「ピュイ」
アマツの開いた嘴から、光の紐がゆらゆらと出てきて、空中で文字を形作った。
「パウパウ、読めるかい?」
「んっとね、……
【りょーかい。こっちのほしゅうは ほとんどおわり。
がるでんもわたしも おなかすいたから はやくもどって
もんは せっちょしたよ ざひょうは×××ー××××……】
……せっちょ?」
「うん、ごめん。叔父上の書き間違いだね。設置だよ」
(なんで、読めてるのパウパウ。これシシュムのエルフ文字だよ?)
『とりあえず、今は急いだほうがいいぞハイエルフ、雨が来る』
毒蛇が念話をした瞬間にアマツは逃げるように飛び上がると空に消えた。
余程、怖かったらしい。
毒蛇さんに急かされて、ミっちゃんが森林側に門を設置し、温室の門と座標を合わせる。
門と言っているが、実際は、ただ空間を一部分、繋いでいるだけなので、一見すると景色は何も変わらない。
扉の有無だけで、やっていることはグーリシェダの行った空間を繋げた魔法の簡易版だ。
他人の魔力に干渉しないだけ、こちらの方が簡単である。
魔法的にはアンカーを置いてあるが、設置者か許可された者でなければ開けられない仕様だ。
「じゃあ、温室への門を開けるよ、毒蛇殿も準備はいいですか?」
『うむ、ハイエルフよ、ガラガラしていた方がよいだろうか』
「毒蛇殿の楽な方で、よいと思いますが」
『しかし、様式美がだな……』
「ミッちゃん、雨降るから、早く開けて~」
秘境側がモタモタやっているうちに、温室側の門が開き、
「おっそ~い!お腹が減ってるから、いったん、お昼休憩!パウちゃんはお昼食べたらお昼寝!」
マールジェドが勢いよく秘境側に飛び込んできた。
そして、スルリと浮かんでいる毒蛇さんを目の当たりにする。
群青色の三角の如何にも毒蛇を主張する頭をまじまじと見て、
「ちょっとウルジェド!私、ヘビの美丈夫って初めて見たわ」
褒められて大いに毒蛇殿がテレテレになったところで、言っていたとおりに大雨が降ってきて、慌てて皆で温室に逃げ込んだ。
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