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64.パウパウの夏とタガメ探し 2
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お風呂上りにパウパウが裏庭へカナヘビを探しに行っている間に、ウルジェドはグーリシェダに、パウパウの今日の行いを話した。
脱衣所でパウパウに言った言葉が、自分では感情的になりそうだったウルジェドの精一杯だった。
だから、グーリシェダから諭してもらおうかと思ったのだ。
(私は何かに…こんなに気をもむ質では無かったのに……)
また、何かをヤラカされたら、本当に胃の腑が壊滅しそうな気がする。
ウルジェドは溜息を吐いた。
「なんと、あの崖を、魔蟻に乗って降りたと!はぁ……なんでまた」
「あのね、カナチョ…んと、カナヘビ?を見つけたかったの」
「うむ、それは聞いていたが、崖降りは危ないじゃろう?」
「……でもね、グー姉様、ぼく、行けると思ったの」
雑貨屋2階のソファーに座り、グーリシェダはパウパウの話を聞く。
我が子を育てた時と同じように隣に座って、今日の出来事を話す子供の顔を見ながらだ。
「パウ坊や、一族の子供でも、崖降り遊びをするのは、”飛翔”や”浮遊”が使えるようになってからじゃ」
(いや、ばぁちゃん言うのは、そこじゃない!)
お茶を出そうとしていたミッちゃんが声を上げようとしたのを、目で制したグーリシェダが続ける。
「それは、何故か分かるかの?」
「……落ちたら、あぶないから?」
「そうじゃな、それに崖降りは、何人かで行うのだよ。怪我を直せる魔法を使える者を必ず入れての」
若葉のような色の眼を見つめながら言うグーリシェダは、答えを待つように黙った。
「……ぼく、ムボーだった」
しょん…となったパウパウが項垂れた。
「ふむ。お呪いが効いたようだし、色々と加護も有るがな、過信してはいかん」
「……はい」
頷いたパウパウを見てグーリシェダは微笑んだ。
ちなみにハイエルフの言う”崖降り”は、騎獣の技術を競うレースで、参加者の殆どは、もしも滑落したときのために、飛ぶことが出来る天馬系の馬を使う。
補助のための大人が見守るなかで行われる、度胸試しの要素が大きい。
当然、見物の大人達のあいだでは賭けが行われる、ちょっとしたハイエルフたちのイベントである。
余談だが、この崖降りで昔、マールジェドは白天馬に横乗りで参加して、優勝と話題を搔っ攫ったことがある。
そして、死ぬかと言う程にグーリシェダと父のカウラジェドから説教をされた。
ふざけて、第二準礼装を着ていたからだ。
「今日はワシらも一緒に居られなかったので、寂しい思いをさせて悪かったなパウ坊」
「ううん、ぼく、心配させた?」
「そうじゃな。話を聞いて驚いたし、心配もした。それにな、パウ坊が無茶をしたらウルジェドが泣いてしまうからな」
「え?」
ガシャリと音を立てて茶器が置かれた。
パウパウが顔を向けると、ミッちゃんが慌ててお茶を拭いている。
「ミッちゃん、泣いちゃう?」
「な、泣かないよ。大丈夫」
ミッちゃんはパウパウに顔を合わせないようにしながら、すっかり奇麗になっているテーブルを拭いている。
「まぁ、こやつは子供の時に崖降りで失敗しおって、頭をカチ割ったからの」
まるで悪者のようにクックックと喉声でグーリシェダが笑った。
「ワシが探さねば死んでおったわ。結局、完治するのに4か月ほど、かかったのぅ」
「ばぁちゃん!」
言われたくない事らしく、珍しくミッちゃんが声を荒げた。
顔が赤い。
ウルジェドはパウパウくらいの大きさの時、まだ”飛翔”も”浮遊”も使えないのに、崖降りをしようとした事があるのだ。
そして、滑落ではなく落馬をした。
乗りこなせなかったのだ。
(あんな、格好の悪いこと誰が言うかっ!)
絶対にパウパウに知られたくない話なのだ。
「頭カチ……ミッちゃん、だいじょぶだったの?」
「ず、随分と昔のことだよ。ぜんぜん大丈夫だからね」
「まぁ、だから、こやつは崖降りの危なさを知っておる。ゆえに、なおさらパウ坊を心配したのだよ」
「……うん。心配させて、ごめんね。ミッちゃん」
「やってみたい事があるときは、話をしてくれたら嬉しいかな」
ミッちゃんはパウパウの頭を撫でながら、パウパウの隣に腰かけた。
「うん」
パウパウは、その手を両手で捕まえて笑いながら
「あのね、ミッちゃん。ぼく、タガメが見たいの」
「タガメ?なんだい、それは」
グーリシェダも首を傾げたので、パウパウはナイナイ袋から虫の図鑑を取り出して、タガメの所を開いた。
【レトケルス】のページだ。
「ぼくの記憶?の中のね、タガメってのとコレが同じなの。あと、ドロムスはカナヘビと同じだと思う」
「これかい?……どんな所に生息しているのかな」
ハイエルフ二人はパウパウを挟んで、虫の図鑑を覗き込む。
「水田?……奇麗な水の池や沼などか……なんだかマールジェドが喜びそうじゃな」
「カーカルデに似ているなぁ」
「カーカルデ?」
「ダンジョンの水辺に出る魔物だよ、擬態して浅いところの水草の陰に潜んでいてね、牙のような前足で獲物を捕まえて針を刺して体液を吸うんだ」
大きさは、これくらいとミッちゃんは両腕を広げた。
それは、怖い。
そんなタガメは嫌だとパウパウは思った。
「捕まったらチューチュー吸われて、ぼく、カッサカサになっちゃう」
パウパウは隣のグーリシェダの腕にすがりついた。
「ホホ…ダンジョンの魔物だから、地上には居ないゆえ大丈夫じゃ」
大きさはともかく、ミッちゃんが話してくれた魔物の行動は、パウパウの記憶にあるタガメとそっくりだった。
「それ、タガメとおんなじ」
「パウパウの前世の知識にある、虫と魔物が同じなのか。あと、この図鑑の【レトケルス】も同じなのかな?不思議なことも有るものだね」
ミッちゃんは話こんでいて、すっかり冷めてしまった薬草茶の代わりを、収納空間から出し直してグーリシェダと自分の前に置いた。
パウパウの前にはライリの果汁水を置いてから、
「そうだ、パウパウ、お昼ご飯は食べたのかい?」
「あ。忘れてた」
アギーさんと雑木林で白玉団子を食べたっきりだ。
遊ぶのに夢中で、食事をしていないパウパウの前に平パンの乗った皿を置く。
「野菜と牛肉の細切りと豆のペーストが入っているよ。こっちはハムとチーズと野菜」
「ありがと。いただきます」
嬉しそうに平パンにかぶりつくのを微笑ましく見ていたグーリシェダが、何かに気づいたようにパウパウに声をかけた。
「ふむ……水田か。丁度よい、パウ坊、リヨスアルヴァ国へ行こかの?」
「リヨス…?」
「あぁ、確かに丁度いいか。実はねパウパウ……」
薬師ギルドに、千夜茸がどうしても必要だとリヨスアルヴァ国の貴族から依頼があったのだそうだ。
しかし、幻中の幻と言われる素材だから、さすがのギルドでも在庫がない。
第一、収穫したら一日で熔けてしまうキノコなのだ。
時間停止機能のある魔法袋などという国宝級の魔道具がなければ保管しておくことも出来ない代物だ。
そこで薬師ギルドは一縷の望みをかけて、グーリシェダの所へ問い合わせをした。
「その幻中の幻なはずのキノコが、ばぁちゃんの収納空間の中には大量に入っているからね~」
「お主らが全部、わしに押し付けたからじゃぞ!」
今日二人は、その話をするために帝都の薬師ギルドへ打ち合わせに行って、留守だったのだ。
「もちろん、私たちが好きに売っても構わないのだけど……」
「大変に貴重な材料ゆえ、薬師ギルドから卸した方が、のちのち面倒がないのでな」
「ふぅん……」
パウパウには、よく分からないが
「オトナノジジョー?」
パウパウの呟きにグーリシェダが笑った。
「ホホホ…そうじゃの、大人の事情だ」
「とても珍しくて、どこで取れるのか今まで誰も知らなかったからねぇ」
「……マムさんのこと、内緒?」
「そうじゃ、ギガントハキリ達が安心して暮らすために、どこで取れるのかは、わしらだけの内緒じゃ」
モグモグと平パンを咀嚼しながら、パウパウは頷いた。
友達の家が、キノコ目当ての誰かに壊されるのはイヤだ。
「まぁ、それでね。薬師ギルドからの依頼の形で、ばぁちゃんがリヨスアルヴァ国に行くんだけれど、一緒に行こうって話さ」
「そしてのぅパウ坊。そこは水田で米を栽培している国なのじゃ!」
グーリシェダが、どうだっ!と得意気に顎をあげてパウパウを見る。
「タガメ!行く‼」
グーリシェダの言葉に、目を輝かせたパウパウは秒で承諾をした。
さぁ、憧れのタガメだ!
脱衣所でパウパウに言った言葉が、自分では感情的になりそうだったウルジェドの精一杯だった。
だから、グーリシェダから諭してもらおうかと思ったのだ。
(私は何かに…こんなに気をもむ質では無かったのに……)
また、何かをヤラカされたら、本当に胃の腑が壊滅しそうな気がする。
ウルジェドは溜息を吐いた。
「なんと、あの崖を、魔蟻に乗って降りたと!はぁ……なんでまた」
「あのね、カナチョ…んと、カナヘビ?を見つけたかったの」
「うむ、それは聞いていたが、崖降りは危ないじゃろう?」
「……でもね、グー姉様、ぼく、行けると思ったの」
雑貨屋2階のソファーに座り、グーリシェダはパウパウの話を聞く。
我が子を育てた時と同じように隣に座って、今日の出来事を話す子供の顔を見ながらだ。
「パウ坊や、一族の子供でも、崖降り遊びをするのは、”飛翔”や”浮遊”が使えるようになってからじゃ」
(いや、ばぁちゃん言うのは、そこじゃない!)
お茶を出そうとしていたミッちゃんが声を上げようとしたのを、目で制したグーリシェダが続ける。
「それは、何故か分かるかの?」
「……落ちたら、あぶないから?」
「そうじゃな、それに崖降りは、何人かで行うのだよ。怪我を直せる魔法を使える者を必ず入れての」
若葉のような色の眼を見つめながら言うグーリシェダは、答えを待つように黙った。
「……ぼく、ムボーだった」
しょん…となったパウパウが項垂れた。
「ふむ。お呪いが効いたようだし、色々と加護も有るがな、過信してはいかん」
「……はい」
頷いたパウパウを見てグーリシェダは微笑んだ。
ちなみにハイエルフの言う”崖降り”は、騎獣の技術を競うレースで、参加者の殆どは、もしも滑落したときのために、飛ぶことが出来る天馬系の馬を使う。
補助のための大人が見守るなかで行われる、度胸試しの要素が大きい。
当然、見物の大人達のあいだでは賭けが行われる、ちょっとしたハイエルフたちのイベントである。
余談だが、この崖降りで昔、マールジェドは白天馬に横乗りで参加して、優勝と話題を搔っ攫ったことがある。
そして、死ぬかと言う程にグーリシェダと父のカウラジェドから説教をされた。
ふざけて、第二準礼装を着ていたからだ。
「今日はワシらも一緒に居られなかったので、寂しい思いをさせて悪かったなパウ坊」
「ううん、ぼく、心配させた?」
「そうじゃな。話を聞いて驚いたし、心配もした。それにな、パウ坊が無茶をしたらウルジェドが泣いてしまうからな」
「え?」
ガシャリと音を立てて茶器が置かれた。
パウパウが顔を向けると、ミッちゃんが慌ててお茶を拭いている。
「ミッちゃん、泣いちゃう?」
「な、泣かないよ。大丈夫」
ミッちゃんはパウパウに顔を合わせないようにしながら、すっかり奇麗になっているテーブルを拭いている。
「まぁ、こやつは子供の時に崖降りで失敗しおって、頭をカチ割ったからの」
まるで悪者のようにクックックと喉声でグーリシェダが笑った。
「ワシが探さねば死んでおったわ。結局、完治するのに4か月ほど、かかったのぅ」
「ばぁちゃん!」
言われたくない事らしく、珍しくミッちゃんが声を荒げた。
顔が赤い。
ウルジェドはパウパウくらいの大きさの時、まだ”飛翔”も”浮遊”も使えないのに、崖降りをしようとした事があるのだ。
そして、滑落ではなく落馬をした。
乗りこなせなかったのだ。
(あんな、格好の悪いこと誰が言うかっ!)
絶対にパウパウに知られたくない話なのだ。
「頭カチ……ミッちゃん、だいじょぶだったの?」
「ず、随分と昔のことだよ。ぜんぜん大丈夫だからね」
「まぁ、だから、こやつは崖降りの危なさを知っておる。ゆえに、なおさらパウ坊を心配したのだよ」
「……うん。心配させて、ごめんね。ミッちゃん」
「やってみたい事があるときは、話をしてくれたら嬉しいかな」
ミッちゃんはパウパウの頭を撫でながら、パウパウの隣に腰かけた。
「うん」
パウパウは、その手を両手で捕まえて笑いながら
「あのね、ミッちゃん。ぼく、タガメが見たいの」
「タガメ?なんだい、それは」
グーリシェダも首を傾げたので、パウパウはナイナイ袋から虫の図鑑を取り出して、タガメの所を開いた。
【レトケルス】のページだ。
「ぼくの記憶?の中のね、タガメってのとコレが同じなの。あと、ドロムスはカナヘビと同じだと思う」
「これかい?……どんな所に生息しているのかな」
ハイエルフ二人はパウパウを挟んで、虫の図鑑を覗き込む。
「水田?……奇麗な水の池や沼などか……なんだかマールジェドが喜びそうじゃな」
「カーカルデに似ているなぁ」
「カーカルデ?」
「ダンジョンの水辺に出る魔物だよ、擬態して浅いところの水草の陰に潜んでいてね、牙のような前足で獲物を捕まえて針を刺して体液を吸うんだ」
大きさは、これくらいとミッちゃんは両腕を広げた。
それは、怖い。
そんなタガメは嫌だとパウパウは思った。
「捕まったらチューチュー吸われて、ぼく、カッサカサになっちゃう」
パウパウは隣のグーリシェダの腕にすがりついた。
「ホホ…ダンジョンの魔物だから、地上には居ないゆえ大丈夫じゃ」
大きさはともかく、ミッちゃんが話してくれた魔物の行動は、パウパウの記憶にあるタガメとそっくりだった。
「それ、タガメとおんなじ」
「パウパウの前世の知識にある、虫と魔物が同じなのか。あと、この図鑑の【レトケルス】も同じなのかな?不思議なことも有るものだね」
ミッちゃんは話こんでいて、すっかり冷めてしまった薬草茶の代わりを、収納空間から出し直してグーリシェダと自分の前に置いた。
パウパウの前にはライリの果汁水を置いてから、
「そうだ、パウパウ、お昼ご飯は食べたのかい?」
「あ。忘れてた」
アギーさんと雑木林で白玉団子を食べたっきりだ。
遊ぶのに夢中で、食事をしていないパウパウの前に平パンの乗った皿を置く。
「野菜と牛肉の細切りと豆のペーストが入っているよ。こっちはハムとチーズと野菜」
「ありがと。いただきます」
嬉しそうに平パンにかぶりつくのを微笑ましく見ていたグーリシェダが、何かに気づいたようにパウパウに声をかけた。
「ふむ……水田か。丁度よい、パウ坊、リヨスアルヴァ国へ行こかの?」
「リヨス…?」
「あぁ、確かに丁度いいか。実はねパウパウ……」
薬師ギルドに、千夜茸がどうしても必要だとリヨスアルヴァ国の貴族から依頼があったのだそうだ。
しかし、幻中の幻と言われる素材だから、さすがのギルドでも在庫がない。
第一、収穫したら一日で熔けてしまうキノコなのだ。
時間停止機能のある魔法袋などという国宝級の魔道具がなければ保管しておくことも出来ない代物だ。
そこで薬師ギルドは一縷の望みをかけて、グーリシェダの所へ問い合わせをした。
「その幻中の幻なはずのキノコが、ばぁちゃんの収納空間の中には大量に入っているからね~」
「お主らが全部、わしに押し付けたからじゃぞ!」
今日二人は、その話をするために帝都の薬師ギルドへ打ち合わせに行って、留守だったのだ。
「もちろん、私たちが好きに売っても構わないのだけど……」
「大変に貴重な材料ゆえ、薬師ギルドから卸した方が、のちのち面倒がないのでな」
「ふぅん……」
パウパウには、よく分からないが
「オトナノジジョー?」
パウパウの呟きにグーリシェダが笑った。
「ホホホ…そうじゃの、大人の事情だ」
「とても珍しくて、どこで取れるのか今まで誰も知らなかったからねぇ」
「……マムさんのこと、内緒?」
「そうじゃ、ギガントハキリ達が安心して暮らすために、どこで取れるのかは、わしらだけの内緒じゃ」
モグモグと平パンを咀嚼しながら、パウパウは頷いた。
友達の家が、キノコ目当ての誰かに壊されるのはイヤだ。
「まぁ、それでね。薬師ギルドからの依頼の形で、ばぁちゃんがリヨスアルヴァ国に行くんだけれど、一緒に行こうって話さ」
「そしてのぅパウ坊。そこは水田で米を栽培している国なのじゃ!」
グーリシェダが、どうだっ!と得意気に顎をあげてパウパウを見る。
「タガメ!行く‼」
グーリシェダの言葉に、目を輝かせたパウパウは秒で承諾をした。
さぁ、憧れのタガメだ!
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