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「ちーちゃん……ぼく、色々とゴメンね」
「何がだ?」
「いや、今まで……その、素直になれなくて……傷付けてた、よね」
「あ……」
それは、先週のデートのときの話だろうか?
俺を直接傷付けたのはすずというより、朝比奈先輩なんだけどな。
「いいんだ別に。こうやってすずと両想いになれたし」
そう思うと、失言をしてくれた朝比奈先輩にも感謝だな。
寮の方角にそっと拝んでおこう。
「ちっとも良くないよ、のんちゃんにも心配かけちゃったし!」
「あ、ああ。のんさんは俺たちのことをかなり心配して胸を痛めていたな……今すぐRhineで報告しておこう」
俺はすぐにスマホを出し、アプリを起動しようとした。
が、すずに止められた。
「い、今すぐ!? 待ってよ、ぼくが帰ってちゃんと話すから!!」
「いや、すずは照れ屋だから事の顛末がうまく話せないだろう?」
「それ、ちーちゃんが言う!?」
「俺はもう吹っ切れたから……すずがいないときも相談もしてたし」
「なにそれ知らない! ずるいよ!!」
「と言われても……すずとのことだし……」
すずはやっぱりいつもの余裕は感じられなくて、本人に自覚はないがテンパっているのが丸わかりだ。
他人のことはよく見ていて、恋愛相談だって煽りだってなんだって得意なすずが、俺のこととなるとこうもポンコツになってしまうなんて、可愛い以外の何があるだろうか……。
ああ、今すぐのんさんにノロけたい。
帰ったらRhine電話しよう。
それで、今は……
「すず……もう一回キスしたい」
「えっ?」
ずいっと顔を近づけてそう言ったら、すずはまた顔を真っ赤にして俺から逃げるように身体を離した。
しっかりと手を繋いでいるから、逃げるのは不可能だが。
「ちょ、ちょっともう勘弁して……心臓もたないよ。ちーちゃんはぼくを殺す気なの?」
「俺は今日すずの可愛さに少なくとも三回は死んでるから大丈夫だ」
「死んでないでしょ~!! ンッ……」
おしゃべりな口を黙らせるように、すずの顎を持ち上げて唇を押しつけた。
数秒後に顔を離して、至近距離で可愛く睨み返されたあと、さらにもう一回。
それを何度も繰り返した。
「ん、ンンッ、んぅ……ちょ、もう……さすがに通報されちゃうよ……っ」
「すずが可愛くて止められないんだ」
「もうダメだってば!!ちーちゃんちょっと馬鹿になってない!?」
「恋をすると人は愚かになる……」
「屁理屈を言わないの!」
そう言ってすずは俺の唇にそっとひとさしゆびを当てた。
本当に可愛いな……。
唇に当てられた指を離し、その手を優しく握りしめて俺はすずをしっかりと胸の中に抱きしめた。
ああ、離れがたい。
「ち、ちーちゃぁん……もう」
「ずっとすずを抱きしめたかったんだ。なんだか夢みたいだ」
「……ちーちゃんって、意外と強引だよね」
ぶつぶつ言いながらも、すずは俺の好きにさせてくれた。
「でも今度は普段の格好のすずを抱きしめたい。女装も似合ってるけど」
「……人がいないところでなら、いいよ」
頬を赤く染めて悪戯っぽく笑うすずを、俺はもう一度強く抱きしめた。
きっと今夜から、俺はあの夢を見なくなるだろう。
夢はもう、現実になったのだから。
「何がだ?」
「いや、今まで……その、素直になれなくて……傷付けてた、よね」
「あ……」
それは、先週のデートのときの話だろうか?
俺を直接傷付けたのはすずというより、朝比奈先輩なんだけどな。
「いいんだ別に。こうやってすずと両想いになれたし」
そう思うと、失言をしてくれた朝比奈先輩にも感謝だな。
寮の方角にそっと拝んでおこう。
「ちっとも良くないよ、のんちゃんにも心配かけちゃったし!」
「あ、ああ。のんさんは俺たちのことをかなり心配して胸を痛めていたな……今すぐRhineで報告しておこう」
俺はすぐにスマホを出し、アプリを起動しようとした。
が、すずに止められた。
「い、今すぐ!? 待ってよ、ぼくが帰ってちゃんと話すから!!」
「いや、すずは照れ屋だから事の顛末がうまく話せないだろう?」
「それ、ちーちゃんが言う!?」
「俺はもう吹っ切れたから……すずがいないときも相談もしてたし」
「なにそれ知らない! ずるいよ!!」
「と言われても……すずとのことだし……」
すずはやっぱりいつもの余裕は感じられなくて、本人に自覚はないがテンパっているのが丸わかりだ。
他人のことはよく見ていて、恋愛相談だって煽りだってなんだって得意なすずが、俺のこととなるとこうもポンコツになってしまうなんて、可愛い以外の何があるだろうか……。
ああ、今すぐのんさんにノロけたい。
帰ったらRhine電話しよう。
それで、今は……
「すず……もう一回キスしたい」
「えっ?」
ずいっと顔を近づけてそう言ったら、すずはまた顔を真っ赤にして俺から逃げるように身体を離した。
しっかりと手を繋いでいるから、逃げるのは不可能だが。
「ちょ、ちょっともう勘弁して……心臓もたないよ。ちーちゃんはぼくを殺す気なの?」
「俺は今日すずの可愛さに少なくとも三回は死んでるから大丈夫だ」
「死んでないでしょ~!! ンッ……」
おしゃべりな口を黙らせるように、すずの顎を持ち上げて唇を押しつけた。
数秒後に顔を離して、至近距離で可愛く睨み返されたあと、さらにもう一回。
それを何度も繰り返した。
「ん、ンンッ、んぅ……ちょ、もう……さすがに通報されちゃうよ……っ」
「すずが可愛くて止められないんだ」
「もうダメだってば!!ちーちゃんちょっと馬鹿になってない!?」
「恋をすると人は愚かになる……」
「屁理屈を言わないの!」
そう言ってすずは俺の唇にそっとひとさしゆびを当てた。
本当に可愛いな……。
唇に当てられた指を離し、その手を優しく握りしめて俺はすずをしっかりと胸の中に抱きしめた。
ああ、離れがたい。
「ち、ちーちゃぁん……もう」
「ずっとすずを抱きしめたかったんだ。なんだか夢みたいだ」
「……ちーちゃんって、意外と強引だよね」
ぶつぶつ言いながらも、すずは俺の好きにさせてくれた。
「でも今度は普段の格好のすずを抱きしめたい。女装も似合ってるけど」
「……人がいないところでなら、いいよ」
頬を赤く染めて悪戯っぽく笑うすずを、俺はもう一度強く抱きしめた。
きっと今夜から、俺はあの夢を見なくなるだろう。
夢はもう、現実になったのだから。
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