マイダーリン、この世の全ての怖いものから俺を守ってくれ!!!

すずなりたま

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7 友達になろう

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   もし霊が視えると言えば変人扱いをされるか、もしくは……


『ここの空き家、お化け屋敷って近所じゃ有名なんだぜ!   お前霊が見えるんなら、ずーっと霊と仲良く暮らせばいいじゃん!』
『嫌だぁぁ!!   出して、ここから出してよぉぉ!!!』


「……槐君?   どうしたの?」
「はっ……な、なんでもない!   変なものなんて見てないよ。今朝は……急に気分が悪くなって。それだけだよ」
「……そう。じゃあ、俺は部屋に戻るね。ちなみに左隣だから」
「あ、あのさ!」
「うん?」

   礼二郎は、勇気を振り絞って言った。霊のこと──ではないが。

「ま、また部屋にゴキが出たら、柴君頼ってもいい?   俺、本当にあいつダメなんだ……知り合ったばっかりで本当に悪いんだけど、お礼もするから」

   礼二郎が必死な顔で言うと、柴はしばらくキョトンとしていたが、すぐにニコッと笑った。
   その柔らかな笑顔に、礼二郎の心臓はまたドッッ……キュンと跳ねた。

(な、なんで?   俺、男の柴君にドキドキしてるんだ……?)

「お隣さんだし、そんなのお安い御用だよ」
「あ、あの、今日はなんにもないからアレだけど、明日ケーキ買ってくるから」
「そんな気を使わなくていいよ、俺は虫全然平気だし」
「で、でも掃除までしてもらって申し訳ないし……」

   礼二郎はモジモジと人差し指同士をくっつけながらしつこく言った。
 『礼』二郎と名付けられているだけあって、わりと義理堅い性分なのだ。

「じゃあ槐君、俺と友達になってくれる?」
「……うん!」

   それは願ったり叶ったりだった。
   礼二郎も柴と友達になりたいと思っていたが、自分から言うとゴキ退治に利用するために言っているみたいで、なんとなく嫌だったのだ。

「じゃあ柴君、これからよろしく!   知ってるかもだけど俺、経済学部」
「俺は理工学部。建物が違うからあまり学内では会わなそうだね」
「でも食堂は一緒だし、今朝みたいに講義時間がカブッたら一緒に行こうな!」
「いいよ」

   今度は改札で置いて行かれないよう、先に言っておいた。今朝はまだ名前も知らなかったのに、柴に置いていかれた時ひどく悲しいというか、寂しいというか、変な気持ちになったのだ。
   何故かは分からないが……。

「でも槐君、いつもはバス通学じゃなかったっけ?   これからは電車通にするの?」 
「あ、そうだった」
「ていうか電車の方が安いし、大学も駅の方が近いのになんでバス?」
「う、うーん……」

   返事になっていない。
   なんと答えればいいのか、下手なことを言って新しくできた友人を無くしたくない。

「き、気分というか」
「……」
「昨日は寝坊したんだけど……」

   礼二郎は、嘘や誤魔化しが壊滅的に下手だった。池永は適当な性格なので今朝なんとか誤魔化せたが、柴はどうだろう。

「……もしかして、以前痴漢にあったことがあるとか?」
「!?」
「ごめん、それは言いにくいよね」
「い、いや、その……………ウン」

   朝の通勤ラッシュで痴漢にあったことは、実はある。
   けど礼二郎は(この痴漢、隣のお姉さんと俺のケツ間違えてるww   教えてやりたいけど、このまま間違えていればお姉さんは被害に遭わないから、甘んじて受けてやるか)と草を生やし、目的駅に着くまで痴漢の好きにさせていた。

「駅員さんに突き出しても良かったけど、まぁ男が痴漢されたって訴えたところで笑われるだけだしな」

 自虐気味にそう言い、柴にも『だよね(笑)』と言って貰うの待っていた。
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