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20 名前呼び
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「じゃあ、俺はこっちだから。講義室まで送っていかなくて本当に大丈夫?」
「うん、色々ありがとう。俺のせいで柴君まで2限サボらせてごめんな」
「槐君のせいじゃないよ」
「いや、どう考えても俺のせいだよ……」
礼二郎が気分が悪くなって途中下車しなければ、普通に間に合ったのだ。でも礼二郎は柴と立場が逆だったとしても、自分も付き合ってサボるだろうなとは思った。
「いや本当に俺のせいだってば。槐君が霊の声が聞こえるようになったのは、多分俺と関わったせいだからね」
「え?」
柴の聞き捨てならなさすぎる言葉に反応しかけた、そのとき。
「よぉっ礼二郎ーっ! お前珍しく講義サボってたな!」
「い、池永っ!?」
友人の池永が現れて、後ろからガバァと礼二郎に突撃してきた。
「おや? 見ない顔だ。どーも、経済学部で礼二郎のダチの池永でーす!」
池永は人見知りしないので、流れるように柴に自己紹介をした。
「……理工学部の柴です。良かった、彼ちょっと具合が悪いみたいだから講義室まで一緒に行ってあげてください」
「えっ、そうなのか? 了解了解、大丈夫か? 礼二郎」
「もう平気だってば……。じゃあ柴君、俺バイトが終わったらすぐに帰ってご飯作るから待っててくれる?」
「分かった。……礼二郎君、何かあったらいつでも連絡して」
「? うん」
(今、名前……?)
ちらりと上目遣いで柴を見ると、確信犯のように微笑まれた。
柴は理工学部のある棟へと歩いて行った。
柴の姿が見えなくなってから、池永が言った。
「……メガネと前髪で最初は分かんなかったけど、アイツかなりイケメンだったな~……長身だしオシャレだしめっちゃモテそう。類友ってやつ? 礼二郎、いつの間に仲良くなったんだよ」
「お隣さんなんだ。昨夜ゴキ……うっ……を退治してもらったのがきっかけで、仲良くなったばかりだよ」
「え? は? ゴキブリ?? 何お前、自分で殺せないほど苦手なの?ww」
池永は半笑いで礼二郎に聞いた。思いっきり馬鹿にしている顔だ。
「うるさいな、俺にとっては目に入れたくないほどおぞましい存在なんだよ! それに殺虫剤が切れてて死ぬほどピンチだったんだ。だけど柴君が俺の悲鳴を聞いて助けに来てくれて……いやもうほんと、心の底から感謝したよ。柴君は俺の命の恩人だ」
「いやいや、たしかにGはキモいけどそこまでは……ちえりちゃんだって一人暮らしだから見つけた時は自分で殺るっつうのに、お前ってやつは」
「それで友達になったんだ」
「へ~」
仲良くなった理由は他にも色々あるが、言う必要はないので黙っておくことにした。
(あ……)
そういえばすっかり忘れていたが、先ほどキスまでしてしまった仲だ。
礼二郎は思わずそっと自分の唇に触れた。実はファーストキスだった。(女の子とキスしようとしてもことごとく霊に邪魔されたため)
(まああれはキスっていうか、柴くんにとっては人工呼吸みたいなものか?)
自分にとっては特別というか……初めてのキスだが、柴にとっては単なる人助けというか、応急処置のようなものに過ぎないのだろう。今まで人助けのために何度も同じことをしてきたのかもしれない。
礼二郎は自分もその内の一人にすぎないのだと思うと、少し複雑だった。何故こんな気持ちになるのもよく分からない。
(柴君の唇、すごく柔らかかったな……)
直接口づけられて、柴の霊力を吹き込まれた瞬間。
なんだかとても、気持ち良かった。
「うん、色々ありがとう。俺のせいで柴君まで2限サボらせてごめんな」
「槐君のせいじゃないよ」
「いや、どう考えても俺のせいだよ……」
礼二郎が気分が悪くなって途中下車しなければ、普通に間に合ったのだ。でも礼二郎は柴と立場が逆だったとしても、自分も付き合ってサボるだろうなとは思った。
「いや本当に俺のせいだってば。槐君が霊の声が聞こえるようになったのは、多分俺と関わったせいだからね」
「え?」
柴の聞き捨てならなさすぎる言葉に反応しかけた、そのとき。
「よぉっ礼二郎ーっ! お前珍しく講義サボってたな!」
「い、池永っ!?」
友人の池永が現れて、後ろからガバァと礼二郎に突撃してきた。
「おや? 見ない顔だ。どーも、経済学部で礼二郎のダチの池永でーす!」
池永は人見知りしないので、流れるように柴に自己紹介をした。
「……理工学部の柴です。良かった、彼ちょっと具合が悪いみたいだから講義室まで一緒に行ってあげてください」
「えっ、そうなのか? 了解了解、大丈夫か? 礼二郎」
「もう平気だってば……。じゃあ柴君、俺バイトが終わったらすぐに帰ってご飯作るから待っててくれる?」
「分かった。……礼二郎君、何かあったらいつでも連絡して」
「? うん」
(今、名前……?)
ちらりと上目遣いで柴を見ると、確信犯のように微笑まれた。
柴は理工学部のある棟へと歩いて行った。
柴の姿が見えなくなってから、池永が言った。
「……メガネと前髪で最初は分かんなかったけど、アイツかなりイケメンだったな~……長身だしオシャレだしめっちゃモテそう。類友ってやつ? 礼二郎、いつの間に仲良くなったんだよ」
「お隣さんなんだ。昨夜ゴキ……うっ……を退治してもらったのがきっかけで、仲良くなったばかりだよ」
「え? は? ゴキブリ?? 何お前、自分で殺せないほど苦手なの?ww」
池永は半笑いで礼二郎に聞いた。思いっきり馬鹿にしている顔だ。
「うるさいな、俺にとっては目に入れたくないほどおぞましい存在なんだよ! それに殺虫剤が切れてて死ぬほどピンチだったんだ。だけど柴君が俺の悲鳴を聞いて助けに来てくれて……いやもうほんと、心の底から感謝したよ。柴君は俺の命の恩人だ」
「いやいや、たしかにGはキモいけどそこまでは……ちえりちゃんだって一人暮らしだから見つけた時は自分で殺るっつうのに、お前ってやつは」
「それで友達になったんだ」
「へ~」
仲良くなった理由は他にも色々あるが、言う必要はないので黙っておくことにした。
(あ……)
そういえばすっかり忘れていたが、先ほどキスまでしてしまった仲だ。
礼二郎は思わずそっと自分の唇に触れた。実はファーストキスだった。(女の子とキスしようとしてもことごとく霊に邪魔されたため)
(まああれはキスっていうか、柴くんにとっては人工呼吸みたいなものか?)
自分にとっては特別というか……初めてのキスだが、柴にとっては単なる人助けというか、応急処置のようなものに過ぎないのだろう。今まで人助けのために何度も同じことをしてきたのかもしれない。
礼二郎は自分もその内の一人にすぎないのだと思うと、少し複雑だった。何故こんな気持ちになるのもよく分からない。
(柴君の唇、すごく柔らかかったな……)
直接口づけられて、柴の霊力を吹き込まれた瞬間。
なんだかとても、気持ち良かった。
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