マイダーリン、この世の全ての怖いものから俺を守ってくれ!!!

すずなりたま

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36 事件です

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 突然、今までご機嫌だった虎鉄が急に礼二郎に甘えるのをやめ、険しい顔をして低く唸りだした。

「えっ、何? どうしたんだこてっちゃん」

ウゥ~……

「……虎鉄?」

 虎鉄は礼二郎から距離を置くと、何故かお隣――柴の部屋とは逆方向に向かって、激しく吠え始めたのだ。

ワンワン!! ワンワン!!

「な、何で? 何で急にこてっちゃん、怒りだしたんだ!?」

 まさか飼い主を自分に取られたからじゃあるまいな、と礼二郎は思った。しかしそれなら壁に向かって吠えている理由が分からない。

「……礼二郎、」
「え、何?」
「今朝、隣の部屋の人とベランダで会って会話したって言ってたよね?」
「うん。……あ、いや、話したっていうか一方的に俺がしゃべっただけで、向こうは何も返してくれなかったけど……」
「なるほど……」

 柴はふむ、と顎に手を当てて考えるポーズをしたあと、ゆっくりと言った。

「礼二郎、驚かないで聞いてくれる?」
「な、なんでしょう……?」
「虎鉄は死臭を嗅ぎあてるんだ。――隣人は、おそらく死んでいる」
「はっ?」

(なんですと??)

「多分、今朝はもう既に亡くなっていたはず。だから返事をしなかったんだよ」
「………!?!?」

 礼二郎は、驚きすぎて声も出ない。悲鳴こそ出なかったが、代わりにガタガタと全身が震えだした。

(し、し、したいっ?   したいって……死体って……死体ってぇぇぇ!!!!)

「う、うそだぁ……!   嘘って言って……」

   怖くて泣きながら言う礼二郎に柴は困った顔をしたが、無情にもハッキリと答えた。

「嘘じゃないよ」
「嘘じゃないのぉ!?   ヒィィ……!!   し、死体って、あ、ありえな……うぇぇん」

   柴は号泣しテンパりまくる礼二郎の両肩にそっと手を置いて、優しく話しかけた。

「礼二郎、よく聞いて。――俺はこのマンションの不動産屋とはちょっとした知り合いなんだ。彼に遺体の第一発見者になってもらう。理由は適当に考えて貰おう、そういうの得意そうだし」
「で、で、でも……っ」

 警察を騙してもいいのだろうか。でも二人は実際に死体を見たわけではない。どうして隣に死体があると分かったのか聞かれても、答えられない。
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