【完結】ヴィルヘルミーナの白い海賊船 ―自由と冒険を愛する貴方へ― (海賊令嬢シリーズ1&2)

SHOTARO

文字の大きさ
18 / 58
第2部 第一章 お転婆令嬢、海賊になる!

2-1-5.私が、ヴィルヘルミーナだ!

しおりを挟む
第五話
私が、ヴィルヘルミーナだ!

 白いガレオン船は考えていた。

 そう、私が広いワール川でなく、ネーデルラントライン川へ進んだのは、彼女が、今、ロッテルダムにいるから。
 彼女に、私の想いが伝わっているはずだから。
 彼女が新しいキャプテンを助けてくれるはずだから。

***


 私たちは、警備隊の事務所にて、事情聴取を受けることになった。

 武装船で街中をうろついてしまったのだ。
 ただ事ではない。
 そんなことは、承知の上だ。

 ウソは所詮、ハリボテなのだ。すぐバレる。
 なので、正直に話すと、
「川底からガレオン船が現れて、賊の船を退けた?」
「おい、冗談は止めてくれよ」と、こんな具合だ。
 まあ、そうだろう。

「嘘か真かは、信じるか信じないかと言うことで、皆さんの仕事は別のところにあるのでは無くて?」と、話しを変えることにさせた。
「まあね」

「では、船に旗が無いことは、拾ったからでは……」
 通用しないだろう。
 しかし、良い言い訳が思いつかない。
「遊覧に旗が必要ですの?」

 警備隊員が、ムッとしたようだ。

「ヴィルヘルミーナさん、話を変えよう。船のオーナーは誰かな?」
 これも、答えられない。
 今、拾った船なのだから。


 すると、警備隊が一人、入室してきた。

「隊長! 船名がわかりました」
「そうか。なら、オーナーがわかるなッ!」
「……」
 私は、息を呑んだ。
 アンナとアガーテもだ。
 なお、クリスティアーネは、体調不良で医務室にいる。

「船名は……」
 私は、ゴクリと唾を飲んだ。

「“Der Schlüssel zur Zukunftデァ シュリュッセル ツゥ クフンフト”号です」
「なんと、今、何と言いましたか?」
「だから、“Der Schlüssel zur Zukunft”号と!」

 まさか、あの白いガレオン船は、お祖母様の“Der Schlüssel zur Zukunft”号だと。

「その船のオーナーは?」
「キーナ・コスペルという女性になっていますが、正体はヴィルヘルミーナという南ドイツ人のようです」
「ヴィルヘルミーナ?」
「えっ、まさか?」
「えぇ……」

 えぇーい、ハッタリをかますぞ!

「えぇ、ですから、ワタクシが、そのヴィルヘルミーナですわ」

 警備隊員が、『どういう事だ』と言う感じになってきた。

「隊長! この船は1580年の建造になっております。オーナーも、その時から代わっておりません」
「ほう、45年間もオーナーは同じなのか? ヴィルヘルミーナさん、貴女は、今、おいくつなのですか?」
「じょ、女性の年齢をお聞きになるなど、失礼なお方ですわね」と、言うも、もう嘘がバレてしまったではないか!



 その頃、白いガレオン船が、停泊している突堤では、数人の男女が船を眺めていた。

「支店長、これは“Der Schlüssel zur Zukunft”号では?」
 支店長と呼ばれる女は、
「似ている。確かに似ている。『我らの白い船』に」と答えた。

「一体誰が?」
「わからないわね。警備隊に聞いてみましょう」
「では、支店長。聞いてきます」


 しばらくして、部下と思われる男が帰ってきた。
「支店長、ミーナお嬢さんが来ているようです。警備隊に捕まっているようでして」
「ミーナが、捕まっている? 流石、お転婆令嬢ね」と、女支店長は苦笑した。

「まあ、助けてやりましょう」と言うと、部下の説明を聞きながら、支店長は警備隊の事務所へ歩を進めた。


 次回の女海賊団は、女支店長はだれ? 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中

桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。 やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。 「助けなんていらないわよ?」 は? しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。 「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。 彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜

美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

【完結】番としか子供が産まれない世界で

さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。 何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。 そんなニーナが番に出会うまで 4話完結 出会えたところで話は終わってます。

処理中です...