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第2部 第一章 お転婆令嬢、海賊になる!
2-1-6.アインス商会とゲロ令嬢
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第六話
アインス商会とゲロ令嬢
アインス商会の支店長とその部下たちが、警備隊事務所へ入って来た頃、私、ヴィルヘルミーナは冷や汗が流れ落ちていた。
「では、逮捕させてもらおう」と、警備隊員が言うと、女の大きな声が聞こえた。
「お待ちなさい」と。
私は顔を上げ、声の主を見て驚いたのだ。
「イリーゼさん。何故、ここに?」
「それはミーナの方だよ。逮捕だなんて、どういう事だい?」
「これは支店長さん、商談の時間には、まだ早いのでは?」
「いや、私の知り合いが、ここにいると聞いてね。うちのミーナが、どうしたと言うの? 隊長さん?」
「なんと、支店長さんのお知り合いでしたか! お嬢様もお人が悪い。お嬢様が『あの白い船は私のものだ』と言うものですから」
「ええ、間違いないですわ。あの船は彼女の船ですよ。
私たちアインス商会が、彼女に売却した船ですからね」
「「「えっ?」」」と、警備隊員から声が漏れた。
「1580年にアインス商会が、ヴィルヘルミーナ嬢に販売したのです。
当時、15歳の私も、従姉妹のエマリーの後を、ついて行ったのを覚えていますよ」
「はぁ……」
警備隊から嘆息が漏れるのも、ごもっともで、45年前に、この18歳の娘に売却など出来やしない。
しかし、大店の支店長が、そう言っているのだ。
しかも、この後、大きな取引が待っているのにである!
隊長としては、イリーゼの機嫌を損ねたくはない。
「ミーナ!」
「あっ、はい」
「この後、隊長さんと商談があって、それが終わったら食事に行きましょう」
「わかりました。イリーゼさん」
「何なら、ミーナも商談に加わるかい? ふふふ」と言うイリーゼは、警備隊長の顔を見た。
「えぇ、お嬢様の取り調べは、これにて……」
「問題は?」
「問題なしかと!」
「では、これで終わりですね」
「あっ、イリーゼさん。友人の様子を見てきます。船酔いで医務室におりますので」と言うと、私はイリーゼが手を振っている中、メイド二人と共に礼をして退室し、クリスティアーネの様子を見に行くことにした。
さて、医務室に行く途中、医師か保健師らしき職員が逃げていくのを見た。
なんだ?
医務室に行き、理解した。
クリスティアーネの容態がよろしくなく、魚がいない陸地であるのに、魚に餌やりをしているようだ。
「お水ぅ、お水をちょうだいぃ」
「クリスちぃ?」
「ミーナちゃん。お水を」
「はい、はい! しかし、こんなに酔うのに、よく川に誘ったわね」
「いつもは、こんな筈ではないのに」
そして、この医務室は、酸味の聞いた悪臭で、ムンムンとしていた。
換気をしよう!
さて、「ゲロ令嬢」と言ったのは、誰だろうか?
友人の悪口は許さないが、今の私は、賛同してしまった。
それは、クリスティアーネの弱点を掴んだような、いや、かわいいところを見たような気分だったからだ。
「げろれいじょう。うふ♡」
次回の女海賊団は、亡命者です。
アインス商会とゲロ令嬢
アインス商会の支店長とその部下たちが、警備隊事務所へ入って来た頃、私、ヴィルヘルミーナは冷や汗が流れ落ちていた。
「では、逮捕させてもらおう」と、警備隊員が言うと、女の大きな声が聞こえた。
「お待ちなさい」と。
私は顔を上げ、声の主を見て驚いたのだ。
「イリーゼさん。何故、ここに?」
「それはミーナの方だよ。逮捕だなんて、どういう事だい?」
「これは支店長さん、商談の時間には、まだ早いのでは?」
「いや、私の知り合いが、ここにいると聞いてね。うちのミーナが、どうしたと言うの? 隊長さん?」
「なんと、支店長さんのお知り合いでしたか! お嬢様もお人が悪い。お嬢様が『あの白い船は私のものだ』と言うものですから」
「ええ、間違いないですわ。あの船は彼女の船ですよ。
私たちアインス商会が、彼女に売却した船ですからね」
「「「えっ?」」」と、警備隊員から声が漏れた。
「1580年にアインス商会が、ヴィルヘルミーナ嬢に販売したのです。
当時、15歳の私も、従姉妹のエマリーの後を、ついて行ったのを覚えていますよ」
「はぁ……」
警備隊から嘆息が漏れるのも、ごもっともで、45年前に、この18歳の娘に売却など出来やしない。
しかし、大店の支店長が、そう言っているのだ。
しかも、この後、大きな取引が待っているのにである!
隊長としては、イリーゼの機嫌を損ねたくはない。
「ミーナ!」
「あっ、はい」
「この後、隊長さんと商談があって、それが終わったら食事に行きましょう」
「わかりました。イリーゼさん」
「何なら、ミーナも商談に加わるかい? ふふふ」と言うイリーゼは、警備隊長の顔を見た。
「えぇ、お嬢様の取り調べは、これにて……」
「問題は?」
「問題なしかと!」
「では、これで終わりですね」
「あっ、イリーゼさん。友人の様子を見てきます。船酔いで医務室におりますので」と言うと、私はイリーゼが手を振っている中、メイド二人と共に礼をして退室し、クリスティアーネの様子を見に行くことにした。
さて、医務室に行く途中、医師か保健師らしき職員が逃げていくのを見た。
なんだ?
医務室に行き、理解した。
クリスティアーネの容態がよろしくなく、魚がいない陸地であるのに、魚に餌やりをしているようだ。
「お水ぅ、お水をちょうだいぃ」
「クリスちぃ?」
「ミーナちゃん。お水を」
「はい、はい! しかし、こんなに酔うのに、よく川に誘ったわね」
「いつもは、こんな筈ではないのに」
そして、この医務室は、酸味の聞いた悪臭で、ムンムンとしていた。
換気をしよう!
さて、「ゲロ令嬢」と言ったのは、誰だろうか?
友人の悪口は許さないが、今の私は、賛同してしまった。
それは、クリスティアーネの弱点を掴んだような、いや、かわいいところを見たような気分だったからだ。
「げろれいじょう。うふ♡」
次回の女海賊団は、亡命者です。
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