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第2部 第一章 お転婆令嬢、海賊になる!
2-1-12.海軍とベネディクタ
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第十二話
海軍とベネディクタ
白い船は、考えていた。
海軍の仕事?
「それは、人さらいでしょうよ」と!
***
「詳しく聞かせてちょうだい。海軍に父親がさらわれたってことを」と、私は怒鳴るように言い放った。
そんなことは、聞いたことはなかった。
学園では、国の海を守る軍隊程度の話程度しか知らない。
軍隊の花形は、騎兵だ!
陸軍だ!
その中でも、馬に跨る騎兵は、騎士の直径とみなされ、馬を養うだけの経済力のある家がらでないといけない。
自然と貴族に限られる。※1
ところがである。
海軍とは、漁船に大砲を積んで戦に出る。
そんなイメージが拭えない。
なので、貴族が志願することも少ない。
もちろん、スペインの様に国が戦闘艦を用意している国は強いのだが。
「はい、私の父は酒場で飲んでいたところ、ある男性に声をかけられ、『おごりだ』ということで、深酒をしたようです。そして、気が付くと、海軍の施設に運ばれていたようで……」
「私の父は、商船の船乗りでしたが、海軍に停船させられ、船乗りの半分を海軍がさらっていきました。父はそのさらわれた半分なのです」
これはマジか?
海軍とは、人さらいを職業としているのか?
そこで、イリーゼが付け足した。
「海軍では、志願兵は三割程度だよ」
「はへ?」
「いや、三割しか志願しないのさ」
「あとの七割はさらうと?」と、言うとアインス商会の面々は、皆、頷いていた。
この世の闇を覗いてしまったな。
「慢性的な人手不足なんですよ」と、商会の社員が説明してくれた。
「不衛生で重労働、いつ死ぬかわからない。
そんなところに、志願するとは、かなりヤバい奴ですからね」
「あははは」と、私は力無く笑うしか無かった。
「私たちを連れて行ってください。父に会えるかもしれませんから」
まあ、私に出来ることならなんなりと。
それに、彼女たちは、既に航海の経験があるのだから、頼もしいクルーになってくれることだろう。
あと、このドーバーでは、一つ予想外のことが起きた。
従姉妹のベネディクタが、押し掛けて来たのだ。
「帰れ!」
「嫌よ! ミーナちゃんだけ船乗りするなんて、許せないわ」
「許さなくても帰れ!」
「い、や、よ、!」
「そもそも叔父様には言ったの?」
「それはミーナちゃんでしょう。ケープハルト伯父様に、何も言わず飛び出して。私はお父様には言ったわ。ミーナちゃんを連れて帰るってッ!」
えっ?
ケープハルトとは、我が父である。
今は、大学で研究をし、教鞭をとっている。
若い頃、ある学園の講師に招かれた際、母と出会ったようだ。
伯爵の息子で大学の研究者が、学園で教えるとなると、若い娘さん達には人気だったそうだ。
さて、従姉妹なのだが、海軍の人さらいの話を聞いたら、尚更、連れて行くわけにはいかない。
こうなれば、イリーゼ支店長にお願いして、帰ってもらおう!
と、イリーゼに相談するも、「ふっ」と笑っただけで、何も言わなかった。
ハッと気が付いた。
この人も従姉妹に付いて行ったのだった……
さて、ガレオン船の武装が終わったと連絡があったので、ドックに見に行くことにするよ!
ドックでは、あのジャスミンという小娘がいた。
「あっ、また、お前か、ドイツ貴族め」
「こら! お客さんだ!」と、親子喧嘩が華々しい。
「すまないねぇ。うちの娘の口が悪くて」と言う父親の後ろで、何やら、フガフガとジャスミンが言っていた。
「あっ、また、お貴族様が増えている」
「えっ? ワタクシのこと?」と、ベネディクタが答えた。
ジャスミンは、顔を赤くし、何やら言いたいことがあるようだが、言葉にできない。
そんな感じであった。
すると、父親が口を開いた。
「お嬢さん方、すまないねぇ。
実は、こいつは海に出たくて、ずっと、お嬢さん方の話をしていたんですよ。『うらやましい。うらやましい』って」
「と、と、とうさん。そんな話してないって」
はあ?
次回の女海賊団は、鍛冶屋のジャスミンは海に出たい
です。
お前、鍛冶屋だろう!
※1 ここでは、家柄としての「騎士家」と称号としての「騎士」とは別と考えてください。
あくまでも、ここは「勇敢な騎乗する戦士」という意味。
海軍とベネディクタ
白い船は、考えていた。
海軍の仕事?
「それは、人さらいでしょうよ」と!
***
「詳しく聞かせてちょうだい。海軍に父親がさらわれたってことを」と、私は怒鳴るように言い放った。
そんなことは、聞いたことはなかった。
学園では、国の海を守る軍隊程度の話程度しか知らない。
軍隊の花形は、騎兵だ!
陸軍だ!
その中でも、馬に跨る騎兵は、騎士の直径とみなされ、馬を養うだけの経済力のある家がらでないといけない。
自然と貴族に限られる。※1
ところがである。
海軍とは、漁船に大砲を積んで戦に出る。
そんなイメージが拭えない。
なので、貴族が志願することも少ない。
もちろん、スペインの様に国が戦闘艦を用意している国は強いのだが。
「はい、私の父は酒場で飲んでいたところ、ある男性に声をかけられ、『おごりだ』ということで、深酒をしたようです。そして、気が付くと、海軍の施設に運ばれていたようで……」
「私の父は、商船の船乗りでしたが、海軍に停船させられ、船乗りの半分を海軍がさらっていきました。父はそのさらわれた半分なのです」
これはマジか?
海軍とは、人さらいを職業としているのか?
そこで、イリーゼが付け足した。
「海軍では、志願兵は三割程度だよ」
「はへ?」
「いや、三割しか志願しないのさ」
「あとの七割はさらうと?」と、言うとアインス商会の面々は、皆、頷いていた。
この世の闇を覗いてしまったな。
「慢性的な人手不足なんですよ」と、商会の社員が説明してくれた。
「不衛生で重労働、いつ死ぬかわからない。
そんなところに、志願するとは、かなりヤバい奴ですからね」
「あははは」と、私は力無く笑うしか無かった。
「私たちを連れて行ってください。父に会えるかもしれませんから」
まあ、私に出来ることならなんなりと。
それに、彼女たちは、既に航海の経験があるのだから、頼もしいクルーになってくれることだろう。
あと、このドーバーでは、一つ予想外のことが起きた。
従姉妹のベネディクタが、押し掛けて来たのだ。
「帰れ!」
「嫌よ! ミーナちゃんだけ船乗りするなんて、許せないわ」
「許さなくても帰れ!」
「い、や、よ、!」
「そもそも叔父様には言ったの?」
「それはミーナちゃんでしょう。ケープハルト伯父様に、何も言わず飛び出して。私はお父様には言ったわ。ミーナちゃんを連れて帰るってッ!」
えっ?
ケープハルトとは、我が父である。
今は、大学で研究をし、教鞭をとっている。
若い頃、ある学園の講師に招かれた際、母と出会ったようだ。
伯爵の息子で大学の研究者が、学園で教えるとなると、若い娘さん達には人気だったそうだ。
さて、従姉妹なのだが、海軍の人さらいの話を聞いたら、尚更、連れて行くわけにはいかない。
こうなれば、イリーゼ支店長にお願いして、帰ってもらおう!
と、イリーゼに相談するも、「ふっ」と笑っただけで、何も言わなかった。
ハッと気が付いた。
この人も従姉妹に付いて行ったのだった……
さて、ガレオン船の武装が終わったと連絡があったので、ドックに見に行くことにするよ!
ドックでは、あのジャスミンという小娘がいた。
「あっ、また、お前か、ドイツ貴族め」
「こら! お客さんだ!」と、親子喧嘩が華々しい。
「すまないねぇ。うちの娘の口が悪くて」と言う父親の後ろで、何やら、フガフガとジャスミンが言っていた。
「あっ、また、お貴族様が増えている」
「えっ? ワタクシのこと?」と、ベネディクタが答えた。
ジャスミンは、顔を赤くし、何やら言いたいことがあるようだが、言葉にできない。
そんな感じであった。
すると、父親が口を開いた。
「お嬢さん方、すまないねぇ。
実は、こいつは海に出たくて、ずっと、お嬢さん方の話をしていたんですよ。『うらやましい。うらやましい』って」
「と、と、とうさん。そんな話してないって」
はあ?
次回の女海賊団は、鍛冶屋のジャスミンは海に出たい
です。
お前、鍛冶屋だろう!
※1 ここでは、家柄としての「騎士家」と称号としての「騎士」とは別と考えてください。
あくまでも、ここは「勇敢な騎乗する戦士」という意味。
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