【完結】ヴィルヘルミーナの白い海賊船 ―自由と冒険を愛する貴方へ― (海賊令嬢シリーズ1&2)

SHOTARO

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第2部 第ニ章 黄金郷を求めて

2-2-31.ジパングの薔薇色の真珠

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第三十一話
ジパングの薔薇色の真珠


 長崎の港に着いた。
 ここが、ワークワーク島。別名、ジパング?

 我々が着いた時は、これから夕暮れ時という時間帯であった。

 日が沈む。

 何と驚いたことに、この島では、太陽が真っ赤なのだ。

 おかしいわ!
 こんな太陽は、ヨーロッパにも、インドにも無い。

 ちなみに、ヨーロッパの太陽は、オレンジだ。※1

「驚いたかい?」
「えぇ、バーナー、これはどういうことなの? 太陽が赤いわ」
「よくはわからないけど、この国では、太陽は真っ赤に燃え尽きて沈んでいく。そういう国なんだ」

 太陽が真っ赤に燃え尽きて沈んでいく……

 私の真紅とは、また違う色だけど、素晴らしいと思う。


 しかし、見てしまったのだ。
 マルコポーロの失態を……

 ある農夫婦が働いているのが、海岸から見える。
 肥やしなるものを畑に巻いている。
 これが、この赤い夕日に照らされると、肥やしが黄金にみえるのだなぁ。。。
 これ以上は、やめておこうと思う。

 しかし、マルコポーロの言ったことで気になることがある。

“赤い真珠”のことだ。

 この国では、真珠が豊富で、赤色と白色があるとのことだ。

 白い真珠が赤くなるのか、元々、赤いものなのか、知りたい。
 もし、白い真珠が、赤く薔薇色に染まるなら、是非、見てみたいものだな。


 さて、私は、以前、長崎に、来たことのあるバーナーと共に手続きを終えた。
 さすが、二度目なので慣れているようだ。
 助かる。


 今日は、地元の商人やオランダ商人と会食になる。
 というのは、バーナーが以前来た際は、戦争をしていたとのことで、それ以降、この国はどうなっているのかを知りたかった。

「それは、大坂の陣の時に、来られたのですね」と、言ったのは地元の商人の安田という男だ。
 何故か、この国の男は、皆、ハゲ頭なのだ。笑う!

 商売の街、大坂が新たな幕府の直轄地となったようだ。
 また、幕府は江戸に要塞都市を作っているらしい。
 マリーエンブルクみたいなものだろうか?

「こちらのヴィルヘルミーナ嬢は、ジパングの黄金伝説を見てみたいとのことで、遥々、阿蘭陀国の隣国から船旅をされて来られたのです。何か良い所がありましたら、ご教示して頂きたいと思いまして」と、バーナーの通訳がそう言ったらしい。

 通訳!

 いや、武装通訳?
 単なる傭兵か?

 実は、このジパングのサムライとかいう騎兵は、アジア全域に傭兵活動をしている。
 無論、インドにもいる。

 しかも、やたらと強い!
 あの刀とかいう刃物は、クレイジーなほど、斬れる。
 驚いたことに、鉛ぐらいなら斬れるのだ。
 そして、刀は輸出しているようだ。
 つまり、買う奴がいるのだ。
 これは、後で買っておこう。


 また、騎兵とあって、弓の扱いも素晴らしい。
 彼らをヨーロッパに連れ帰れないだろうか?
 自領の警備に当たらせたい。

「金閣寺は、如何でしょう。京の都にありますので、他にも見て回れます」
「あと、中尊寺金色堂も素晴らしいと思いますよ」

「では、まず、その金閣寺とやらに行ってみたいと思います」
 ということで、まずは京の都へ行くことにした。

 ここからの行程も、この商人達に聞いてみると、直進なら、瀬戸内海ルートだそうだ。

 狭く浅いので、また、ガレオン船では航行不能だ。
 小型船で行くか?

「ただ、村上殿の水域を通過しますので、昔でしたら、それなりの関役が必要でしたが」
「関役? それは何ですの?」
「まあ、通行料金みたいなもので、それを支払うと、他の海賊からも守ってくれます」

 これは、ヨーロッパの巡礼者を保護する騎士団と同じようなものだな。
 まあ、騎士団が略奪者の場合もよくある事だけど。


「なるほど、で、今は?」
「今は、豊臣殿の“海賊停止令”により、はい……」※2
「はいッ」と返答するとも、ニヤリと笑ってしまった。
 お上の命令に「はい、はい」とは聞いてはいられないからね。
「で、城を燃やされ、今では海運に従事しておられます」
「えっ……」、あぁ、やっちまったのかい。

「ですので、村上殿の船で移動すれば、買い出した分、カネさえ払えば、船を出してもらえます。自分の船で行くより安全かつ効果的かと」
 この効果的というのは、ヨーロッパ船が街に入ってくると、敵対行為と思われるということも含まれているようだ。
 ネーデルラントでの失敗は、二度と犯したくない。

「では、村上殿へご連絡をお願いします」
 ということで、瀬戸内海を通り、大坂から京の都へ行くことにした。

 そこで、問題なのは、村上海運の船に乗り換えるので、ガレオン船の見張りを残す必要があるのだ。

 さて、誰にするか?


 次回の女海賊団は、能島村上海賊を表敬訪問します。



※1 2017年10月、イギリスで夕日が赤かなり、大騒ぎになった。塵などが原因とされたが? そうなの?


※2 海賊停止令 1588年豊臣秀吉により発せられた。
 そして、村上海賊団は「停止令を無視している」と豊臣秀吉から避難され、直談判に行くも、秀吉の言う海賊行為は、略奪だけでなく、関役も含まれていた。
 関役は積荷の一割と結構な高額であった。

 海賊業を生業としていた村上海賊団は、これを無視したため、最大拠点の能島城を焼き討ちに合う。
 その後は、海運、水先案内人を生業として、毛利家の船出役を行う。
 船出役は海軍や水軍。
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