【完結】ヴィルヘルミーナの白い海賊船 ―自由と冒険を愛する貴方へ― (海賊令嬢シリーズ1&2)

SHOTARO

文字の大きさ
50 / 58
第2部 第ニ章 黄金郷を求めて

2-2-37.宵の明星

しおりを挟む
第三十七話
宵の明星

 その頃、長崎では、南蛮料理の店“アナとヘマ子”は、屋台から店舗となり、繁盛していた。
 南蛮三味線が珍しいらしく、アンのギター演奏も人気のようだ。

 仕事が終わるとアナとヘマは、女同士で子作りをするのだけれど、なかなか、妊娠しないらしい……
「私がアナの子供を産むわ」
「いえ、私がヘマの子供を産んでみせるわ」

 頑張れ!
 きっと、君たちの願いは報われる
と、白いガレオン船は思っていた。


***


 在家信者が修行出来る施設では、朝に念仏を唱え、夕方には題目を唱える。
 あとは、坐禅に写経を行う。
 昼は、僧侶の説法を聞く。

 食事は一日二食。
 しかも、かなり質素だ。
 これは、覚悟していた。食べたいだけ食べれる修行などは無いだろう。

 それでも、このジパング全体に言えることだが、高脂肪で高タンパク質な食事は無い。

 おかけで、少し痩せたかもしれない。
 特に上半身は筋肉も落ちただろうか?

 その一方で、下半身はたくましくなった。
 山を歩くだけでも鍛えられる。
 そう、この施設は山の中なんだな。

 この山からは、先日の琵琶湖も京の都も見える。
 
 これが、出家者を苦しめるらしい。
 私達は、いずれここを降りるが、出家者はそんな訳には行かず、生涯ここで修行をする。
 誘惑に負ける者もいるそうだ。


 さて、時間は流れ、淡水真珠の競りの時期となった。
 バーナーには、「買えるだけ買っておいて」と連絡しておいた。

 競りの時期が終わり、そろそろ、長崎へ帰らなくてはならなくなった頃、施設ではイベントがあるようだ。

 暖かくなったので、夜通し琵琶湖で坐禅を組むというものだった。
 しかも、小舟の上で!

 何故、小舟の上なのか?
 おそらく、治安の問題か?

 そして、私もアガーテも、このイベントに参加した。
 静寂の中、時折、鳥の鳴き声が聞こえる。
 そのような中で、只管打坐する。

「ひとつ、ふたつ、みっつ……」と、心の中で100まで数える。
 そして、また、ひとつ目に戻る。
 それを、何十と繰り返しただろうか?

 “宵の明星”が輝く頃、辺りは、闇に包まれていた。

 湖岸に佇んでいた白鷺が、翼を広げ、水しぶきをあげ、大きく飛び立った時、私の中に、光り輝く“宵の明星”が飛び込んできた。

 私は、強く胸を打たれ、思わず息を大きく吐いた。

「今、何が?」

 西の空を見上げると、“宵の明星”は、依然と空に輝いている。

 しかし、今、何か、分かったような気がする。確かに分かったような気がするのだ。

 今、何故、白鷺が飛び立ち、何故、宵の明星が空から私の元に降りて来たのか?

 何故、ここに私が来たのか。
 何故、村上海賊が敵の子供を養子にしたのか。
 あぁ、すべてが、分かったような気がする。

 その事を反芻していたら、夜が明けてきた。

 そして、対岸を見ると、南蛮三味線を持った不審な女が!
 いや、ギターを持ったアンが、何かを演奏していた。

「お頭、おめでとうございます。お迎えに上がりましたわ」
「あぁ、アン。ご苦労さん」

 なんで、アンは私が、ここで大悟することが、分かったのだ?
 まあ、これが本当に大悟か、どうかは分からんけど。

 まあ、よかよか。


 次回の女海賊団は、帰路に着くことにします。
 久しぶりにバーナーに会います。 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中

桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。 やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。 「助けなんていらないわよ?」 は? しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。 「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。 彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました

大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜

美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?

【完結】番としか子供が産まれない世界で

さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。 何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。 そんなニーナが番に出会うまで 4話完結 出会えたところで話は終わってます。

処理中です...