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第2部 第ニ章 黄金郷を求めて
2-2-42.スペインの底力
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第四十二話
スペインの底力
白いガレオン船は、11月の季節風に乗り、マダガスカル島へ向う。
そして、1ヶ月の整備の後、喜望峰を周り、ギニア湾へ補給へと立ち寄る。
この航海も残すところ、僅かだな。
こういう時、人は細かいところに気が付かないものだ。
どの街も黒髪の比率が高いということを。
つまり、スペイン人が多いと言うことを。
そして、迂闊にも、あちこちの街で商売を、私たちはしてしまったのだ。
アジアの高価なものを満載した船だと知られて、それがスペインの情報網に流れているとは思いもしなかった。
ダカールを抜け、ラ・パルマ島を大きく旋回し、スペイン領地から見えないところを抜ければ良かったのだろう。
しかし、このラ・パルマ島を過ぎれば、ヨーロッパ大陸が見える!
つい、スペインの軍港のあるラ・パルマ島から目視できるところを航行してしまった。
一時間程度経過しただろうか?
正面に艦隊が出現した。
ロイヤルマストから、
「キャプテン、『停船と積荷を明け渡すように』と、言っています」
「な、なにッ」
「『停船命令に従わないと沈没させる』と言っています」
沈没?
沈没させると積荷は奪えない。
脅しか?
更に、ロイヤルマストから、
「『四等艦で一等艦の勝負は無理』とも言ってます」
「一等艦だって」とクルーたちから、不安の声が上がりだした。
戦闘艦に等級を付けるのは、実はイギリス式なのだが、スペインがわざわざ等級を言ってくるのは、こちらがイギリス関係者と分かっているのだろう。
ちなみに、一等艦とは、砲門が100門以上ある艦のことだ。
50門あるこの船は四等艦と同門数となる。
「ここで、積荷を渡したら、なんの為の航海だったのだ」
「敵艦発砲ッ」
「敵艦隊数、戦列艦三、うち100門艦壱、うち64門艦弐、フリーゲート艦伍」
「えっ、100門艦だけでもヤバいのに……」
クルーがざわめいている。
こういう時こそ、船長がしっかりしないと!
「ロイヤルマスト! 高速船は?」
「小型船はありません」
「よし、心配するな。いざとなれば逃げ切れる。足の遅いハリネズミばかりだ」と、私は、クルーたちを鼓舞した。
「ジャスミン、先にダブルカノンを使う。一等艦を叩けば、戦意も落ちるはず」
「お頭、了解だ」
「船首、ダブルカノン用意。一等艦との軸線上に入ったら撃つぞ」と、ジャスミンも張り切っている。
「てぇーーーー!」
ドオオーーン!
ところが、そこにフリーゲート艦が割り込んできた。
「なんだと!」と、ジャスミンの声がこだまする。
フリーゲート艦は、戦列艦の盾になる様に遮ったのだ。尻から火を吹いている。
たまたまか?
「てぇーーーー!」
ドオオーーーン!
いや、フリーゲート艦は、明らかに戦列艦の盾になり、狙いを外すように、チョロチョロしているのだ。
このままでは、100門のカノン砲の射程に入ってしまう。
それに64門艦も二隻もいる。
こちらのアドバンテージは、大口径のダブルカノンだ。
そのダブルカノンを封じられると、逃げるしかない。
だが、ここは正面にスペイン本国。
後方には、スペインの軍港のあるラ・パルマ島だ。
「敵艦発砲ッ」
なんとロイヤルマストに直撃!
「直撃だと?」
まず、直撃など有り得ない。
有り得ない事態が起こったということは、運が離れているということか?
そして、ロイヤルマストが折れるということは、高速航行ができないという事だ。
逃げるということも封じられた。
まさか、こんなところで、あと少しのところで。
バーナー、カッコの良いことを言って、インドから出港したが、こんな最後を迎えるとは。
「ふっ、お祖母様のようにはいかないか。いや、お祖母様も危機一髪でバーナーのお祖父さんに救われたのだったな。ふふふ」
「ミーナちゃん、こんな時に『ふふふ』って、何を」
「お頭がおかしくなった?」
私は、真紅の上着の襟を正すと、
「全砲門、全力射撃」と指示した。
とは言うものの、ここで全弾使うと、この先のスペイン海軍最大の軍港、フェロル港を抜けることは不可能になる。
女海賊団、最大の危機をどう切り抜ける。
スペインの底力
白いガレオン船は、11月の季節風に乗り、マダガスカル島へ向う。
そして、1ヶ月の整備の後、喜望峰を周り、ギニア湾へ補給へと立ち寄る。
この航海も残すところ、僅かだな。
こういう時、人は細かいところに気が付かないものだ。
どの街も黒髪の比率が高いということを。
つまり、スペイン人が多いと言うことを。
そして、迂闊にも、あちこちの街で商売を、私たちはしてしまったのだ。
アジアの高価なものを満載した船だと知られて、それがスペインの情報網に流れているとは思いもしなかった。
ダカールを抜け、ラ・パルマ島を大きく旋回し、スペイン領地から見えないところを抜ければ良かったのだろう。
しかし、このラ・パルマ島を過ぎれば、ヨーロッパ大陸が見える!
つい、スペインの軍港のあるラ・パルマ島から目視できるところを航行してしまった。
一時間程度経過しただろうか?
正面に艦隊が出現した。
ロイヤルマストから、
「キャプテン、『停船と積荷を明け渡すように』と、言っています」
「な、なにッ」
「『停船命令に従わないと沈没させる』と言っています」
沈没?
沈没させると積荷は奪えない。
脅しか?
更に、ロイヤルマストから、
「『四等艦で一等艦の勝負は無理』とも言ってます」
「一等艦だって」とクルーたちから、不安の声が上がりだした。
戦闘艦に等級を付けるのは、実はイギリス式なのだが、スペインがわざわざ等級を言ってくるのは、こちらがイギリス関係者と分かっているのだろう。
ちなみに、一等艦とは、砲門が100門以上ある艦のことだ。
50門あるこの船は四等艦と同門数となる。
「ここで、積荷を渡したら、なんの為の航海だったのだ」
「敵艦発砲ッ」
「敵艦隊数、戦列艦三、うち100門艦壱、うち64門艦弐、フリーゲート艦伍」
「えっ、100門艦だけでもヤバいのに……」
クルーがざわめいている。
こういう時こそ、船長がしっかりしないと!
「ロイヤルマスト! 高速船は?」
「小型船はありません」
「よし、心配するな。いざとなれば逃げ切れる。足の遅いハリネズミばかりだ」と、私は、クルーたちを鼓舞した。
「ジャスミン、先にダブルカノンを使う。一等艦を叩けば、戦意も落ちるはず」
「お頭、了解だ」
「船首、ダブルカノン用意。一等艦との軸線上に入ったら撃つぞ」と、ジャスミンも張り切っている。
「てぇーーーー!」
ドオオーーン!
ところが、そこにフリーゲート艦が割り込んできた。
「なんだと!」と、ジャスミンの声がこだまする。
フリーゲート艦は、戦列艦の盾になる様に遮ったのだ。尻から火を吹いている。
たまたまか?
「てぇーーーー!」
ドオオーーーン!
いや、フリーゲート艦は、明らかに戦列艦の盾になり、狙いを外すように、チョロチョロしているのだ。
このままでは、100門のカノン砲の射程に入ってしまう。
それに64門艦も二隻もいる。
こちらのアドバンテージは、大口径のダブルカノンだ。
そのダブルカノンを封じられると、逃げるしかない。
だが、ここは正面にスペイン本国。
後方には、スペインの軍港のあるラ・パルマ島だ。
「敵艦発砲ッ」
なんとロイヤルマストに直撃!
「直撃だと?」
まず、直撃など有り得ない。
有り得ない事態が起こったということは、運が離れているということか?
そして、ロイヤルマストが折れるということは、高速航行ができないという事だ。
逃げるということも封じられた。
まさか、こんなところで、あと少しのところで。
バーナー、カッコの良いことを言って、インドから出港したが、こんな最後を迎えるとは。
「ふっ、お祖母様のようにはいかないか。いや、お祖母様も危機一髪でバーナーのお祖父さんに救われたのだったな。ふふふ」
「ミーナちゃん、こんな時に『ふふふ』って、何を」
「お頭がおかしくなった?」
私は、真紅の上着の襟を正すと、
「全砲門、全力射撃」と指示した。
とは言うものの、ここで全弾使うと、この先のスペイン海軍最大の軍港、フェロル港を抜けることは不可能になる。
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