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第五章 アイルランドの女海賊と海賊団結成
5-17.来て頂いても困ります 5
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城壁内では。
「おい、どうするよ」
「ローズマリーの花畑は、また、花が育ちつつあるわ」
「また、荒らしに行くか?」
「ああ、そうだな」
***
その頃、ローズマリーの花屋では、イリーゼとヤスミンが花を売っていた。
「今日も繁盛しているわ」
「そうだね。イリーゼ」と、花畑が荒らされたことなど、過去のものになろうとしていた。
しかし、その夜。
先ほどの城壁内の花屋の三人組が、ローズマリーの花畑に近づいていた。
「あの娘、柵を作ったのか」
「厄介な」
「おい、そこの三人組。何をしている」
「自警団!」
「なんで自警団が、ここにいるのだ」
***
翌朝
ローズマリーが花畑に行くと、花が荒らされていた。
というより、出荷前の花が切り取られていた。
それを聞いた私たちは困惑した。
あのご夫人は、市議会の議長である夫に相談してくれたと思っていたからだ。
いや、夫が動かなかったのか?
議員の頼みでも自警団が動かなかったのか?
それとも、自警団が犯人なのか?
「すまない。我々の力不足で」と、ローゼマリーに詫びることにした。
「とんでもありません。柵も作り、議員にも相談していただいて。私一人ではそこまで出来ませんでしたから」
「店主さん。これからは、どうするの?」とエマリーが尋ねた。
「ええ、もうお店は閉めることにします。両親のところに戻ります」と、ローズマリーが言うと、私たちは、暗い気持ちになってしまった。
「でも」
「ん?」
「でも」なんだろうか?
「一度、オランダに行ってみたいのです。世界の花の六割が集まる花の国がオランダなのです」という彼女の顔は明るい。
こちらまで、笑顔になってしまった。
「それなら、うちの船に乗らない?」
「えぇ、皆さんの船にですか?」
「私たちは、アイルランド島へ行くと、その後は、ドーバーからロッテルダムに行くのよ。そのついで良いなら乗って行って頂戴な! ミーナちゃんも良いでしょう?」
「ああ、共に行こう!」なんて、調子の良いこと言ってしまったが、“大丈夫だろうか”と、後で不安になってしまった。
「ええ、本当ですか? お願いします」
「あのヨットも載せることが出来るわ」
***
さて、三人組は自警団に捕まったはずなのだが、何故、花畑が荒らされたのであろうか?
そして、三人組の花屋は、今日も普通に営業している。
さらに、いつもより育った花が売りに出されている。
「店主、今日は配達を頼むよ」
「はい、毎度ありがとうございます。お昼には行きますので」
(いや、昨日は危なかったよ。自警団に見つかるなんて。しかし、いつも日曜日に教会で同じ席の人で良かった)
別の男は。
「今日は、よく売れる。あの女の畑の花だからか?」
(『旧教徒の畑は問題なし』と、自警団からはおとがめなしだった。これは自警団の公認か)
最後の女は。
「……」
しかし、ローズマリーがエディンバラを去ってしまうので、この三人の店がどうなったかは、想像の通り。
***
「ローズマリーさん! 船の上では水は貴重なのですよ。そんなに植木鉢を持ち込まれては困ります」
「そういわれても、あのまま放置も出来ないので、畑のお花を植木鉢に詰め込んだのよ。イリーゼさん」
そう、エマリーがヨットも積めるといったものだから……
「私は、花屋の店主です。皆さんの人生を花で飾り、豊かにするのが使命です。ですから、私から花を取ると、生きる意味がないのです」
この彼女との出会いが、私にとって大きな意味を持つことになるのだから、世の中分からない。
「おい、どうするよ」
「ローズマリーの花畑は、また、花が育ちつつあるわ」
「また、荒らしに行くか?」
「ああ、そうだな」
***
その頃、ローズマリーの花屋では、イリーゼとヤスミンが花を売っていた。
「今日も繁盛しているわ」
「そうだね。イリーゼ」と、花畑が荒らされたことなど、過去のものになろうとしていた。
しかし、その夜。
先ほどの城壁内の花屋の三人組が、ローズマリーの花畑に近づいていた。
「あの娘、柵を作ったのか」
「厄介な」
「おい、そこの三人組。何をしている」
「自警団!」
「なんで自警団が、ここにいるのだ」
***
翌朝
ローズマリーが花畑に行くと、花が荒らされていた。
というより、出荷前の花が切り取られていた。
それを聞いた私たちは困惑した。
あのご夫人は、市議会の議長である夫に相談してくれたと思っていたからだ。
いや、夫が動かなかったのか?
議員の頼みでも自警団が動かなかったのか?
それとも、自警団が犯人なのか?
「すまない。我々の力不足で」と、ローゼマリーに詫びることにした。
「とんでもありません。柵も作り、議員にも相談していただいて。私一人ではそこまで出来ませんでしたから」
「店主さん。これからは、どうするの?」とエマリーが尋ねた。
「ええ、もうお店は閉めることにします。両親のところに戻ります」と、ローズマリーが言うと、私たちは、暗い気持ちになってしまった。
「でも」
「ん?」
「でも」なんだろうか?
「一度、オランダに行ってみたいのです。世界の花の六割が集まる花の国がオランダなのです」という彼女の顔は明るい。
こちらまで、笑顔になってしまった。
「それなら、うちの船に乗らない?」
「えぇ、皆さんの船にですか?」
「私たちは、アイルランド島へ行くと、その後は、ドーバーからロッテルダムに行くのよ。そのついで良いなら乗って行って頂戴な! ミーナちゃんも良いでしょう?」
「ああ、共に行こう!」なんて、調子の良いこと言ってしまったが、“大丈夫だろうか”と、後で不安になってしまった。
「ええ、本当ですか? お願いします」
「あのヨットも載せることが出来るわ」
***
さて、三人組は自警団に捕まったはずなのだが、何故、花畑が荒らされたのであろうか?
そして、三人組の花屋は、今日も普通に営業している。
さらに、いつもより育った花が売りに出されている。
「店主、今日は配達を頼むよ」
「はい、毎度ありがとうございます。お昼には行きますので」
(いや、昨日は危なかったよ。自警団に見つかるなんて。しかし、いつも日曜日に教会で同じ席の人で良かった)
別の男は。
「今日は、よく売れる。あの女の畑の花だからか?」
(『旧教徒の畑は問題なし』と、自警団からはおとがめなしだった。これは自警団の公認か)
最後の女は。
「……」
しかし、ローズマリーがエディンバラを去ってしまうので、この三人の店がどうなったかは、想像の通り。
***
「ローズマリーさん! 船の上では水は貴重なのですよ。そんなに植木鉢を持ち込まれては困ります」
「そういわれても、あのまま放置も出来ないので、畑のお花を植木鉢に詰め込んだのよ。イリーゼさん」
そう、エマリーがヨットも積めるといったものだから……
「私は、花屋の店主です。皆さんの人生を花で飾り、豊かにするのが使命です。ですから、私から花を取ると、生きる意味がないのです」
この彼女との出会いが、私にとって大きな意味を持つことになるのだから、世の中分からない。
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