追放聖女アリアンロッドは過去も未来もあきらめない! ~救国の乙女は願いを胸に時の河を超える~

松ノ木るな

文字の大きさ
21 / 148
【 第一章 】 時の河を超える聖女

⑰ ふしぎな旅の幕引き

しおりを挟む
────『上から順に、左から5、7、5、7、番目の鍵穴よ』

 それを聞いて兵は、あるじの面前に戻っていった。鍵を持つ侍女は早速、指示通りの錠前に鍵を差す。
「カチッと音がしました!」
 4つの錠を外して侍女は、扉を開けずに一礼をして下がった。

「始祖神ヴィグリーズの涙とも伝わる宝、不死鳥の指輪か。どれほどの輝きなのだろうな」

 希少な美術品を手中にする、その期待を胸に男は、金庫の扉をその手で開いた。が、

「ん? なんだ。……うぉわぁぁ!?」
 不測の事態が起こったか、妙に情けない声を発した。いくらか後ずさりもしている。
 どうも、“そこにはぽつんと指輪を内包する宝石箱がある”と思い込んでいたのに、思いもよらない物がきっちり詰まっていたようなのだ。

「……?」
 それを持っていた兵も、なんだろう? と抱えている金庫を脇に寄せ、その中身を覗く。が。
「ううぇぁぁ!」

 別に怪しげなものではなく、ただ彼らにとって、思いもしないものであった。
 それは植物の類だったのだから。
 兵は、バッタが顔にぴょーんと飛びついたのに驚いて、金庫を放り投げてしまった。そのせいで、中身がわさぁっと遠慮なく噴き出した。

「また……ヨモギ!?」
 そこから男のくしゃみと嗚咽の再来だ。
「ぶわぁぁっくっしょいぃ!」

(やっぱりこれのせいだったんだ……)
 答え合わせができた。なぜこうなるのかは知る由もない。

「一度ならず……二度までもおぉぉ」
 主は目が痛いのか痒いのか、とにかくこすり続け余計に涙が出る悪循環。
 堪忍袋の緒が切れた彼は、とうとう侍女の持つ鎌を手にしてしまった。すぐさま、がむしゃらにその場で鎌を振り回す。

「ああ……」
 アリアンロッドは振り回されるその鎌に、再び得体のしれない気配を感じた。

 侍女らは恐怖で部屋の隅へと逃げ惑う。イナンナを捕らえていた兵も、彼女を放って逃げてしまった。

「イナンナっ……」
 自力で逃げることのできない彼女にアリアンロッドは慌ててかけ寄り、彼女を引きずって入り口付近へ避難した。

「大丈夫?」
 このまま逃げたいが、誰の協力もなく意識混濁の彼女を抱き上げ走る体力は残っていない。

 アリアンロッドは欄間の方を見上げた。アンヴァルに助けを求めたかった。
 しかし彼は自身の役目を果たすまで、よほどのことがない限り出てこないだろう。実際アンヴァルが矢を放つ直前だった。この騒ぎになったのは。
 矢は一本しかないので男が狂ったように動き回るうちは無理だ。

「やっぱり武器の呪いは本当なんだ……」

 アリアンロッドは実感する。暴力で他者や物事を意のままに操ろうなんて人間の末路は、血を求め彷徨う怪物に取り憑かれるものなのだと。私欲のため人を殺すことに代償のないわけがない。

 どうにかしてこの場を早く切り抜けたいが、アリアンロッドにできることはもうない。

 囮として飛び込んで、特に働きもせずこの結果だ。もしかして金庫は開けないほうが良かったのだろうかと、無力感に苛まれる。

 あとはイナンナを危険にさらさないよう注意を払いつつ、計画通りアンヴァルが矢で男の動きを制するのを待つだけだ。

「今は、耐えるのよ」

 たが、その時。アリアンロッドの背後から、ギィ…と物々しい音が地を這った。

 鎌を一心不乱に振り回す男の暴挙に身震いしながら、鳴りを潜めていたアリアンロッドがおもむろに振り返ると、正面扉から日の光が差し込んできた。

 扉を開けた入室者は逆光で、この一瞬はまだ、その容貌を知覚できない。

「お探しのものが見つかりましたわ、ご主人様」

 そこに現れたのは、位のある女性の衣服を着用した黒髪の女だった。

「……イナンナの他にも女官が?」
(でも、こんな目立つ人、いなかったわよ)

 暴れる男はようやく立ち止まり、薄目でその配下らしき人物を見る。

「う、うーん……?」
 アリアンロッドは“なんだか見覚えのある人……”と目を擦った。

 いま入室したばかりの美しい女官は、足元のおぼつかない彼女の主に歩み寄る。その彼女が、アリアンロッドの横を通り過ぎる瞬間、アリアンロッドに何かを、その流し目で訴えたのだった。

 その不敵な表情に、ん? あれっ?? と、アリアンロッドは違和感に追い立てられた。

 アリアンロッドを守るように、前に立ちつくす彼女。

 彼女は……彼“女”にしては大きい、のだ。

 その、職務のためきっちり結われた黒髪も、滅多にお目にかかれないほどに麗しい、漆黒の────

「あっ、あああ!」

 見覚えのありすぎる、不遜な微笑み。

(何がどうしてどうなったらこうなってるの??)

 そこでその女官は胸元から小箱を取り出した。蓋が開いた途端、放たれるのは奥ゆかしい宝石の煌めき。

 薄目を開けた男は、
「おお……指輪を……ぶぁあああっくしょいっ! ……手に……入れたのだな……でかしたああ!」
と息も絶え絶えに、鎌を手にしたまま、のそりと女官に歩み寄る。

「え、えええ……?」

 あなたにそんな部下はいないでしょう!? あなたの腹心はイナンナでしょう!? そんな都合よく目当ての宝が手に入るわけないのよ、その頭はどこまでおめでたいの! と、この展開に冷静さを失ったアリアンロッドは、その間、膝元のイナンナへ意識が向いていなかった。

 ただしばらく朦朧としていたイナンナが、欄間の向こうから主に向けられている矢に、目を留めた。
 彼女のその行動は反射かもしれない。「好きな人を守らなくては」、その気迫だけで身体を動かしていた。

「あっ、イナンナ!?」

 彼女は両腕と片足だけで身体を持ち上げ、這いだした。アリアンロッドを突きとばすことで勢いにして。
 そして、女官の手にある偽の指輪にかぶりつかんとする主の真横に、力いっぱい飛び込んだのだった。

「……あ……」
「イナンナ!!」

 書斎からの、アンヴァルの射た矢は、迷いなくイナンナの脚を射た。
 真っ青になったアリアンロッドは声を上げながら彼女に駆け寄る。
「イナンナ! しっかりして!!」

 彼女はまだ微かに意識があった。地に伏す彼女をアリアンロッドは抱き上げようとしたところ、
「なんだ貴様らはァ……」
すぐ横の気配に気付いた男が、鎌を振り上げる。

「え……」

 その瞬息の間、女官が男の懐に潜り込み、隠し持っていた短剣で腹をひと思いに刺したのだった。

 アリアンロッドの瞳には、その一連の動きが風雅な水の流れのようにゆっくりと映った。

 男は何が起こったのか不明であっただろう、剣が抜かれた後そのまま倒れ、ついには意識を失った。
 ぬるりと真っ赤な血が海を作る。

「…………」
 アリアンロッドは微動だに出来なかった。
 そんな彼女に、女官が声をかける。

「生け捕りにできなくて悪いな。アリア」
「……ヴァル……」

 怖い、悔しい、様々な気持ちが溢れ出すのに、いずれも言葉にならない。
 女官衣装をまとい、ずいぶん濃い化粧を施したアンヴァルに、脇目も振らずしがみ付きたくなった。

 しかし直ちに己を戒め、自分の元でうめくイナンナに思いを起こす。

「聞けアリア。イナンナは助かるかどうか分からない。もし可能性に賭けるなら、門前の屋舎に医師がいる。兵もまとめて、今すぐ走って連れてくるんだ」

「でも……」
「俺が見てるから。応急処置を施す。さぁ早く。ためらってる時間はない」

 アリアンロッドは頷いた。

「あ、あの。書斎あっちの、ウチのヴァルは……」
「ああ、待ってろ」

 この1年後のアンヴァルは知っている。あの時どんなに扉を押しても無理だった。
 なぜか錠が掛かっていたのだ。それを覚えていたので、懐にしのばせておいた鍵を取り出しながら書斎の扉に向かう。
 試行回数3回でその錠は外れた。

「アリア!!」
「あっ……」

 扉が開くとなったら、中のアンヴァルは全力で扉を突き出し、錠を外したアンヴァルはそれに顔面殴打された。

「~~~~~~!」

 アリアンロッドはアンヴァルの代わりにアンヴァルに謝りたかったが、そんな暇はない。

「ヴァル、医師を呼びに行くわよ!」
「どこへ?」
「下の屋舎!」
「分かった」

 イナンナに、一刻も早く連れてくるから、と心で伝え、そこを発った。



「はぁ……はぁっ……あっ……」
 気持ちは全力疾走していたはずだ。しかしアリアンロッドはもうつくろえないほど、体力の限界だった。

「大丈夫か?」
 そこは玄関を出たところ。あと少し行けば目的の場だ。
「負ぶるか?」

 少し前を走っていたアンヴァルが振り返り、アリアンロッドの手を取った。
 まだ走れる、と彼女は言いたかったが、口先だけではどうしようもない。

「えっと……あなたが、先に……」

 その時だった。

「ひゃっ……」
「どうした?」
「あの……感じ……。ここに来た時の……」
「え? まさか」

────風が、強風が来る!!

 こうしてふたりはまた、急速に時空を飛び越えた。




✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼

全編でいちばん長い第一章を、お読みくださいましてありがとうございました。
この章で暗躍していた1年後のアリアンロッドとアンヴァルの活動は、
“その時間”がやってくる第六章でお送りいたします。

続けてお読みいただけましたら幸いです。:.゚ஐ

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全16話+後日談5話⭐︎ 王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。 ……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。 追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。 無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」 騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!

そのご寵愛、理由が分かりません

秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。 幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに—— 「君との婚約はなかったことに」 卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り! え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー! 領地に帰ってスローライフしよう! そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて—— 「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」 ……は??? お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!? 刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり—— 気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。 でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……? 夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー! 理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。 ※毎朝6時、夕方18時更新! ※他のサイトにも掲載しています。

死亡予定の脇役令嬢に転生したら、断罪前に裏ルートで皇帝陛下に溺愛されました!?

六角
恋愛
「え、私が…断罪?処刑?――冗談じゃないわよっ!」 前世の記憶が蘇った瞬間、私、公爵令嬢スカーレットは理解した。 ここが乙女ゲームの世界で、自分がヒロインをいじめる典型的な悪役令嬢であり、婚約者のアルフォンス王太子に断罪される未来しかないことを! その元凶であるアルフォンス王太子と聖女セレスティアは、今日も今日とて私の目の前で愛の劇場を繰り広げている。 「まあアルフォンス様! スカーレット様も本当は心優しい方のはずですわ。わたくしたちの真実の愛の力で彼女を正しい道に導いて差し上げましょう…!」 「ああセレスティア!君はなんて清らかなんだ!よし、我々の愛でスカーレットを更生させよう!」 (…………はぁ。茶番は他所でやってくれる?) 自分たちの恋路に酔いしれ、私を「救済すべき悪」と見なすめでたい頭の二人組。 あなたたちの自己満足のために私の首が飛んでたまるものですか! 絶望の淵でゲームの知識を総動員して見つけ出した唯一の活路。 それは血も涙もない「漆黒の皇帝」と万人に恐れられる若き皇帝ゼノン陛下に接触するという、あまりに危険な【裏ルート】だった。 「命惜しさにこの私に魂でも売りに来たか。愚かで滑稽で…そして実に唆る女だ、スカーレット」 氷の視線に射抜かれ覚悟を決めたその時。 冷酷非情なはずの皇帝陛下はなぜか私の悪あがきを心底面白そうに眺め、その美しい唇を歪めた。 「良いだろう。お前を私の『籠の中の真紅の鳥』として、この手ずから愛でてやろう」 その日から私の運命は激変! 「他の男にその瞳を向けるな。お前のすべては私のものだ」 皇帝陛下からの凄まじい独占欲と息もできないほどの甘い溺愛に、スカーレットの心臓は鳴りっぱなし!? その頃、王宮では――。 「今頃スカーレットも一人寂しく己の罪を反省しているだろう」 「ええアルフォンス様。わたくしたちが彼女を温かく迎え入れてあげましょうね」 などと最高にズレた会話が繰り広げられていることを、彼らはまだ知らない。 悪役(笑)たちが壮大な勘違いをしている間に、最強の庇護者(皇帝陛下)からの溺愛ルート、確定です!

忘れ去られた婚約者

かべうち右近
恋愛
『僕はレベッカしか選ばない』 甘い声音でそう話したはずの王太子サイラスは、レベッカを忘れてしまった。 レベッカは、王太子サイラスと付き合っていることを、ある事情により隠していた。舞踏会で関係を公表し、婚約者に指名される予定だったのに、舞踊会の夜にサイラスは薬を盛られて倒れ、記憶喪失になってしまう。 恋人が誰なのかわからないのをいいことに、偽の恋人が次々と名乗りをあげ王太子の婚約者の座を狙ってくる。おかげで不信に陥ったサイラスに、レベッカは自分が恋人だと名乗り出せなくなってしまった。 サイラスの記憶喪失を解消するため、薬師兼魔女であるレベッカは恋人であることを隠しながら、事件調査を協力することになった。そうして記憶が戻らないまま二人の距離は再び近づいていく。だが、そんなおりにサイラスの偽の恋人を名乗りでた令嬢たちが、次々と襲われる事件も起き始めて……!? ※他のサイトにも掲載しています。 毎日更新です。

裏切られた令嬢は、30歳も年上の伯爵さまに嫁ぎましたが、白い結婚ですわ。

夏生 羽都
恋愛
王太子の婚約者で公爵令嬢でもあったローゼリアは敵対派閥の策略によって生家が没落してしまい、婚約も破棄されてしまう。家は子爵にまで落とされてしまうが、それは名ばかりの爵位で、実際には平民と変わらない生活を強いられていた。 辛い生活の中で母親のナタリーは体調を崩してしまい、ナタリーの実家がある隣国のエルランドへ行き、一家で亡命をしようと考えるのだが、安全に国を出るには貴族の身分を捨てなければいけない。しかし、ローゼリアを王太子の側妃にしたい国王が爵位を返す事を許さなかった。 側妃にはなりたくないが、自分がいては家族が国を出る事が出来ないと思ったローゼリアは、家族を出国させる為に30歳も年上である伯爵の元へ後妻として一人で嫁ぐ事を自分の意思で決めるのだった。 ※作者独自の世界観によって創作された物語です。細かな設定やストーリー展開等が気になってしまうという方はブラウザバッグをお願い致します。

[完]本好き元地味令嬢〜婚約破棄に浮かれていたら王太子妃になりました〜

桐生桜月姫
恋愛
 シャーロット侯爵令嬢は地味で大人しいが、勉強・魔法がパーフェクトでいつも1番、それが婚約破棄されるまでの彼女の周りからの評価だった。  だが、婚約破棄されて現れた本来の彼女は輝かんばかりの銀髪にアメジストの瞳を持つ超絶美人な行動過激派だった⁉︎  本が大好きな彼女は婚約破棄後に国立図書館の司書になるがそこで待っていたのは幼馴染である王太子からの溺愛⁉︎ 〜これはシャーロットの婚約破棄から始まる波瀾万丈の人生を綴った物語である〜 夕方6時に毎日予約更新です。 1話あたり超短いです。 毎日ちょこちょこ読みたい人向けです。

お飾りの婚約者で結構です! 殿下のことは興味ありませんので、お構いなく!

にのまえ
恋愛
 すでに寵愛する人がいる、殿下の婚約候補決めの舞踏会を開くと、王家の勅命がドーリング公爵家に届くも、姉のミミリアは嫌がった。  公爵家から一人娘という言葉に、舞踏会に参加することになった、ドーリング公爵家の次女・ミーシャ。  家族の中で“役立たず”と蔑まれ、姉の身代わりとして差し出された彼女の唯一の望みは――「舞踏会で、美味しい料理を食べること」。  だが、そんな慎ましい願いとは裏腹に、  舞踏会の夜、思いもよらぬ出来事が起こりミーシャは前世、読んでいた小説の世界だと気付く。

王女様は温かいごはんが食べたい ~冷えた王宮料理を変えたら、オープンキッチンと政略婚約がついてきました~

しおしお
恋愛
異世界の王女リリアーヌは、前世の記憶を持つ転生者。 豪華絢爛な王宮で暮らし始めた彼女だったが、ひとつだけどうしても耐えられないことがあった。 ――食事が、冷めているのだ。 どれほど立派な料理でも、ぬるいスープや冷めた肉ではホッとできない。 「温かいごはんが食べたい」 そのささやかな願いを口にしたことから、王宮ではなぜか大騒動が巻き起こる。 地下厨房からの高速搬送。 専用レーンを爆走するカートメイド。 扉の開閉に命をかけるオープナー。 ついには食堂に火を持ち込むオープンキッチンまで誕生して――!? 温かさは、ホッとさせてくれる。 それは料理だけではなく、人との距離まで少しずつ変えていくものだった。 冷えた王宮に湯気と笑顔を取り戻す、 食と温かさをめぐる宮廷日常コメディ! -

処理中です...