108 / 148
【 第十章 】 あなたが導いてくれたから
⑦ この男が来たからには
しおりを挟む
アリアンロッドは、ルーンに自分が予言師だと打ち明けたことを思い出した。
「うん、予言師の私が自信を持って勧める。……本当は私だって、別に予言師になりたかったわけじゃないの」
「なら、何になりたかったんですか?」
「……奥さん」
ルーンはその言葉を受け、顔が静止した。
「でも最近いろいろあって、少し感得したんだ。人にはそれぞれ神から与えられた役割があるんだって。そして、そのお役目の大きさに関わらず、神が造ったこの世界を生かし続けるためには、この世に生まれたすべての人の力が必要なの。だからそれが何であっても、まず自分にできることを……ってね」
「あなたは本当にふしぎな力のある人なんですね。素性を隠してこんな国の外れの領地に、何をしに来たんですか?」
「素性?」
「だって、あなたはどう見てもそこらの一般人ではないです。隠しているのでしょうけど、仕草に高貴な雰囲気が漂いますし……」
「そ、そうかなぁ~~」
アリアンロッドが照れ照れする。
ルーンは少し前から好奇心ゆえに、彼女のことをもっと知りたく思っていたが、やはり自分からあれこれ聞くのは憚られた。
「アリーさん、もしよかったら教えてください。あなたのことや、国の……」
「……っ!?」
あと小半時でふもとに着くというこの頃、前方から足音がズンズンと近付いていた。
「あっ……」
気付いたのが遅かった。
「ん? 何かいるぞ?」
「けものか?」
言葉を交わすそれが、男3人と判明し、ふたりは山賊の仲間だと悟った。
男たちはふたりの体格で女か子どもだと気付き、おそらく山の上から逃げ出してきたやつだと話しだした。
3人の大男とやり合う術はなく、ルーンがどこか逃げ道は……と考え出した時、アリアンロッドは声を張り上げた。
「確かに私は上のほうから逃げ出してきた女だけど」
ルーンは急な彼女の発言に、腰を抜かしそうになる。
「私は大人しく捕まるから! こっちの子は男子だから逃がして」
「アリーさん!?」
男たちはまたごそごそ話しだす。
無茶を言うアリアンロッドをルーンは止めたいが、想定外の出来事に弱いのは年齢ゆえの経験不足か、混乱して言葉が出てこなかった。
「大丈夫。私はここで死なないから。その、襲われたら……すごく困るけど」
アリアンロッドはひそひそとルーンに耳打ちした。
彼女は絶対に、アンヴァルが助けに来てくれると信じている。
「あなたは逃げて。そしてお願い、ヴァルを私のところに連れてきて」
男たちは女が抵抗しないならそれで、といった様子であり、うち一人がアリアンロッドをその場で担ぎ上げた。
「さっさと行こうぜ」
「おうよ」
「ま、待て……!」
上手に向かいだす輩たちの背に、か細くも力強い声がかかる。
男たちが振り向くと、ひょろっとした男子が、辺りに落ちていた長い主枝を両手で握り、構えている。
「彼女を離せ!!」
力の限り叫ぶルーンに、山の男に担がれるアリアンロッドはひやりとなった。「歯向かわず逃げて」と叫んでみたが、体勢のせいで大きな声が出せない。
ひとりの男がアリアンロッドを担ぐ者に、先に行けと指示し、彼女はそのまま連れていかれてしまった。
ルーンは日々の訓練通り、木の棒を槍に見立てて突き出した。しかし敵はふたりいる。いくら振ってもひょいと避けられ、繰り出された拳に横腹を殴打され、
「うっ……」
あっさり押さえ付けられてしまった。棒も取り上げられたが死に物狂いで反抗すると、固く地面に押し付けられる。そこから殴られ蹴られ、たちまち傷だらけになった。
それでも彼は諦めなかった。幾度蹴られようとも奮起し、「彼女を返せ」と叫び続けた。
しばらくすると声も出なくなった。そろそろ行くかと、彼の細い身体に乗っかった男が立ち上がる。その時、
「ぼ、僕、も……」
ルーンは息も絶え絶えに言葉を吐きながら、男の足を掴んだ。
「僕も、連れてけ……」
男はそれを非常に鬱陶しく思い、死なせても構わないといった勢いで殴り潰そうとした。
「っ……。!?」
ルーンが目を見開き、落ちてくる拳を目に留めたその時、疾風のような影が飛び込んできたのだった。
さらに、次の瞬間、大きな輩の図体が飛び、地に倒れ──
「うわぁっ」
仲間が吹き飛ばされ、驚いた山男はたじろぐ。
「……アン、ヴァル、さん……?」
「よく声を上げ続けたな。根性は認めてやる」
遠くに聞こえるルーンの叫び声を頼りに、アンヴァルはこの場に辿り着いた。残った山男が斧を振りかざしたが、アンヴァルはいちばんの得物、剣を携えているので、まったく敵ではなかった。
◇
アンヴァルはまずルーンに、手持ちの水筒から水を飲ませた。
「こいつらの意識は辛うじて残しておいたが、案内させたほうがいいか?」
足を蹴り続けられたことで、ルーンは立つのも厳しい状態だ。アンヴァルは彼を背負っていくことにした。
「深手を負った奴らに案内させても、遅くなるので、途中までは僕が案内します。でもその先は道を知らないので……。またこんな奴らに遭遇すれば聞き出せるかも……」
「そこまではどれほどだ?」
「あなたの足なら1時間です。ううん、僕を負ぶってたらもっとかかってしまうか……」
「とりあえずそこまで行ってみるか」
山をずいぶん上り、もうすぐふたりが捕えられていた中継地点に着くという頃だった。松明を掲げてウロウロする人影が見える。
「あっ!」
「おおっ!?」
口車にあっさり乗せられた、例の見張り男だった。
「おい、このやろう! なんで逃げてるんだ!」
「見張りがいなくなれば普通逃げますよね」
アンヴァルが背負っているルーンに振り返り、ルーンは頷いた。アンヴァルはいったん彼を降ろし、即座に見張り男をひっとらえた。
「とりあえず首領のところに連れていけ。さらわれた女はそこに行くんだろ?」
「ひゃっ、ひゃい……」
アンヴァルの凄みに、見張り男はこれっぽっちも抵抗できず。これ以上殴られたくなければ案内せざるを得ないのが現実だ。男は後ろ手に捕えられ観念したか、案外素直で、仲間の情報をそれなりに話してくれた。本当に祟りがあるのだろうか、ここは男しか生まれてこない地域らしい。山のふもとで女をさらっては男たちみなで共有し種を存続する、いわゆる婚姻形式は非常に前時代的だ。
「さっきの女もぐへへへ……今頃さっそく頭にぐはあっ」
「早く連れてけ」
見張り男はアンヴァルに蹴り飛ばされながら、死ぬ気で走る羽目になった。
◇
見張り男に連れて行かれた先は、山林間の岩窟の砦だった。
そこでは10人以上が寄り合い地べたに座り、久しぶりに女が手に入ったゆえか、上機嫌で酒を飲み交わしている。
「今度のはすんげえ上玉だなぁオイ!」
「うへへへ俺たちの嫁ぇぇえ」
「だが頭がいのいちだからなぁ」
その上座に頭領がいた。それがリーダーであると周りの男たちの態度で察することができる。
ルーンを背中から降ろしたアンヴァルは即、岩陰から飛び出し、いかにも山の男といった風貌の厳つい頭領を前にして、勇んで呼びかけた。
「今夜連れてきた女を返せ」
「……なんだぁ貴様」
酒宴が始まったところで腰を折られ、不愉快になった男はせせら笑う。しかしすぐに笑い止め、アンヴァルに「まぁ飲め」と酒を出した。アンヴァルは飲めないのでもちろん断るのだが。
多勢に無勢の不利な立場において、怯む様子のないアンヴァルを見て、頭領はなお、酒の肴に会話でも楽しもうと告げる。ともかく乗り込んできたふたりを大勢の力で屈服させるつもりは、“今は”ない、と言いたいようだ。
「返してやらぬこともない。遊びをしようではないか」
「遊び?」
「うん、予言師の私が自信を持って勧める。……本当は私だって、別に予言師になりたかったわけじゃないの」
「なら、何になりたかったんですか?」
「……奥さん」
ルーンはその言葉を受け、顔が静止した。
「でも最近いろいろあって、少し感得したんだ。人にはそれぞれ神から与えられた役割があるんだって。そして、そのお役目の大きさに関わらず、神が造ったこの世界を生かし続けるためには、この世に生まれたすべての人の力が必要なの。だからそれが何であっても、まず自分にできることを……ってね」
「あなたは本当にふしぎな力のある人なんですね。素性を隠してこんな国の外れの領地に、何をしに来たんですか?」
「素性?」
「だって、あなたはどう見てもそこらの一般人ではないです。隠しているのでしょうけど、仕草に高貴な雰囲気が漂いますし……」
「そ、そうかなぁ~~」
アリアンロッドが照れ照れする。
ルーンは少し前から好奇心ゆえに、彼女のことをもっと知りたく思っていたが、やはり自分からあれこれ聞くのは憚られた。
「アリーさん、もしよかったら教えてください。あなたのことや、国の……」
「……っ!?」
あと小半時でふもとに着くというこの頃、前方から足音がズンズンと近付いていた。
「あっ……」
気付いたのが遅かった。
「ん? 何かいるぞ?」
「けものか?」
言葉を交わすそれが、男3人と判明し、ふたりは山賊の仲間だと悟った。
男たちはふたりの体格で女か子どもだと気付き、おそらく山の上から逃げ出してきたやつだと話しだした。
3人の大男とやり合う術はなく、ルーンがどこか逃げ道は……と考え出した時、アリアンロッドは声を張り上げた。
「確かに私は上のほうから逃げ出してきた女だけど」
ルーンは急な彼女の発言に、腰を抜かしそうになる。
「私は大人しく捕まるから! こっちの子は男子だから逃がして」
「アリーさん!?」
男たちはまたごそごそ話しだす。
無茶を言うアリアンロッドをルーンは止めたいが、想定外の出来事に弱いのは年齢ゆえの経験不足か、混乱して言葉が出てこなかった。
「大丈夫。私はここで死なないから。その、襲われたら……すごく困るけど」
アリアンロッドはひそひそとルーンに耳打ちした。
彼女は絶対に、アンヴァルが助けに来てくれると信じている。
「あなたは逃げて。そしてお願い、ヴァルを私のところに連れてきて」
男たちは女が抵抗しないならそれで、といった様子であり、うち一人がアリアンロッドをその場で担ぎ上げた。
「さっさと行こうぜ」
「おうよ」
「ま、待て……!」
上手に向かいだす輩たちの背に、か細くも力強い声がかかる。
男たちが振り向くと、ひょろっとした男子が、辺りに落ちていた長い主枝を両手で握り、構えている。
「彼女を離せ!!」
力の限り叫ぶルーンに、山の男に担がれるアリアンロッドはひやりとなった。「歯向かわず逃げて」と叫んでみたが、体勢のせいで大きな声が出せない。
ひとりの男がアリアンロッドを担ぐ者に、先に行けと指示し、彼女はそのまま連れていかれてしまった。
ルーンは日々の訓練通り、木の棒を槍に見立てて突き出した。しかし敵はふたりいる。いくら振ってもひょいと避けられ、繰り出された拳に横腹を殴打され、
「うっ……」
あっさり押さえ付けられてしまった。棒も取り上げられたが死に物狂いで反抗すると、固く地面に押し付けられる。そこから殴られ蹴られ、たちまち傷だらけになった。
それでも彼は諦めなかった。幾度蹴られようとも奮起し、「彼女を返せ」と叫び続けた。
しばらくすると声も出なくなった。そろそろ行くかと、彼の細い身体に乗っかった男が立ち上がる。その時、
「ぼ、僕、も……」
ルーンは息も絶え絶えに言葉を吐きながら、男の足を掴んだ。
「僕も、連れてけ……」
男はそれを非常に鬱陶しく思い、死なせても構わないといった勢いで殴り潰そうとした。
「っ……。!?」
ルーンが目を見開き、落ちてくる拳を目に留めたその時、疾風のような影が飛び込んできたのだった。
さらに、次の瞬間、大きな輩の図体が飛び、地に倒れ──
「うわぁっ」
仲間が吹き飛ばされ、驚いた山男はたじろぐ。
「……アン、ヴァル、さん……?」
「よく声を上げ続けたな。根性は認めてやる」
遠くに聞こえるルーンの叫び声を頼りに、アンヴァルはこの場に辿り着いた。残った山男が斧を振りかざしたが、アンヴァルはいちばんの得物、剣を携えているので、まったく敵ではなかった。
◇
アンヴァルはまずルーンに、手持ちの水筒から水を飲ませた。
「こいつらの意識は辛うじて残しておいたが、案内させたほうがいいか?」
足を蹴り続けられたことで、ルーンは立つのも厳しい状態だ。アンヴァルは彼を背負っていくことにした。
「深手を負った奴らに案内させても、遅くなるので、途中までは僕が案内します。でもその先は道を知らないので……。またこんな奴らに遭遇すれば聞き出せるかも……」
「そこまではどれほどだ?」
「あなたの足なら1時間です。ううん、僕を負ぶってたらもっとかかってしまうか……」
「とりあえずそこまで行ってみるか」
山をずいぶん上り、もうすぐふたりが捕えられていた中継地点に着くという頃だった。松明を掲げてウロウロする人影が見える。
「あっ!」
「おおっ!?」
口車にあっさり乗せられた、例の見張り男だった。
「おい、このやろう! なんで逃げてるんだ!」
「見張りがいなくなれば普通逃げますよね」
アンヴァルが背負っているルーンに振り返り、ルーンは頷いた。アンヴァルはいったん彼を降ろし、即座に見張り男をひっとらえた。
「とりあえず首領のところに連れていけ。さらわれた女はそこに行くんだろ?」
「ひゃっ、ひゃい……」
アンヴァルの凄みに、見張り男はこれっぽっちも抵抗できず。これ以上殴られたくなければ案内せざるを得ないのが現実だ。男は後ろ手に捕えられ観念したか、案外素直で、仲間の情報をそれなりに話してくれた。本当に祟りがあるのだろうか、ここは男しか生まれてこない地域らしい。山のふもとで女をさらっては男たちみなで共有し種を存続する、いわゆる婚姻形式は非常に前時代的だ。
「さっきの女もぐへへへ……今頃さっそく頭にぐはあっ」
「早く連れてけ」
見張り男はアンヴァルに蹴り飛ばされながら、死ぬ気で走る羽目になった。
◇
見張り男に連れて行かれた先は、山林間の岩窟の砦だった。
そこでは10人以上が寄り合い地べたに座り、久しぶりに女が手に入ったゆえか、上機嫌で酒を飲み交わしている。
「今度のはすんげえ上玉だなぁオイ!」
「うへへへ俺たちの嫁ぇぇえ」
「だが頭がいのいちだからなぁ」
その上座に頭領がいた。それがリーダーであると周りの男たちの態度で察することができる。
ルーンを背中から降ろしたアンヴァルは即、岩陰から飛び出し、いかにも山の男といった風貌の厳つい頭領を前にして、勇んで呼びかけた。
「今夜連れてきた女を返せ」
「……なんだぁ貴様」
酒宴が始まったところで腰を折られ、不愉快になった男はせせら笑う。しかしすぐに笑い止め、アンヴァルに「まぁ飲め」と酒を出した。アンヴァルは飲めないのでもちろん断るのだが。
多勢に無勢の不利な立場において、怯む様子のないアンヴァルを見て、頭領はなお、酒の肴に会話でも楽しもうと告げる。ともかく乗り込んできたふたりを大勢の力で屈服させるつもりは、“今は”ない、と言いたいようだ。
「返してやらぬこともない。遊びをしようではないか」
「遊び?」
0
あなたにおすすめの小説
冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全16話+後日談5話⭐︎
王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。
……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。
追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。
無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」
騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
忘れ去られた婚約者
かべうち右近
恋愛
『僕はレベッカしか選ばない』
甘い声音でそう話したはずの王太子サイラスは、レベッカを忘れてしまった。
レベッカは、王太子サイラスと付き合っていることを、ある事情により隠していた。舞踏会で関係を公表し、婚約者に指名される予定だったのに、舞踊会の夜にサイラスは薬を盛られて倒れ、記憶喪失になってしまう。
恋人が誰なのかわからないのをいいことに、偽の恋人が次々と名乗りをあげ王太子の婚約者の座を狙ってくる。おかげで不信に陥ったサイラスに、レベッカは自分が恋人だと名乗り出せなくなってしまった。
サイラスの記憶喪失を解消するため、薬師兼魔女であるレベッカは恋人であることを隠しながら、事件調査を協力することになった。そうして記憶が戻らないまま二人の距離は再び近づいていく。だが、そんなおりにサイラスの偽の恋人を名乗りでた令嬢たちが、次々と襲われる事件も起き始めて……!?
※他のサイトにも掲載しています。
毎日更新です。
死亡予定の脇役令嬢に転生したら、断罪前に裏ルートで皇帝陛下に溺愛されました!?
六角
恋愛
「え、私が…断罪?処刑?――冗談じゃないわよっ!」
前世の記憶が蘇った瞬間、私、公爵令嬢スカーレットは理解した。
ここが乙女ゲームの世界で、自分がヒロインをいじめる典型的な悪役令嬢であり、婚約者のアルフォンス王太子に断罪される未来しかないことを!
その元凶であるアルフォンス王太子と聖女セレスティアは、今日も今日とて私の目の前で愛の劇場を繰り広げている。
「まあアルフォンス様! スカーレット様も本当は心優しい方のはずですわ。わたくしたちの真実の愛の力で彼女を正しい道に導いて差し上げましょう…!」
「ああセレスティア!君はなんて清らかなんだ!よし、我々の愛でスカーレットを更生させよう!」
(…………はぁ。茶番は他所でやってくれる?)
自分たちの恋路に酔いしれ、私を「救済すべき悪」と見なすめでたい頭の二人組。
あなたたちの自己満足のために私の首が飛んでたまるものですか!
絶望の淵でゲームの知識を総動員して見つけ出した唯一の活路。
それは血も涙もない「漆黒の皇帝」と万人に恐れられる若き皇帝ゼノン陛下に接触するという、あまりに危険な【裏ルート】だった。
「命惜しさにこの私に魂でも売りに来たか。愚かで滑稽で…そして実に唆る女だ、スカーレット」
氷の視線に射抜かれ覚悟を決めたその時。
冷酷非情なはずの皇帝陛下はなぜか私の悪あがきを心底面白そうに眺め、その美しい唇を歪めた。
「良いだろう。お前を私の『籠の中の真紅の鳥』として、この手ずから愛でてやろう」
その日から私の運命は激変!
「他の男にその瞳を向けるな。お前のすべては私のものだ」
皇帝陛下からの凄まじい独占欲と息もできないほどの甘い溺愛に、スカーレットの心臓は鳴りっぱなし!?
その頃、王宮では――。
「今頃スカーレットも一人寂しく己の罪を反省しているだろう」
「ええアルフォンス様。わたくしたちが彼女を温かく迎え入れてあげましょうね」
などと最高にズレた会話が繰り広げられていることを、彼らはまだ知らない。
悪役(笑)たちが壮大な勘違いをしている間に、最強の庇護者(皇帝陛下)からの溺愛ルート、確定です!
【完結】後宮の片隅にいた王女を拾いましたが、才女すぎて妃にしたくなりました
藤原遊
恋愛
【溺愛・成長・政略・糖度高め】
※ヒーロー目線で進んでいきます。
王位継承権を放棄し、外交を司る第六王子ユーリ・サファイア・アレスト。
ある日、後宮の片隅でひっそりと暮らす少女――カティア・アゲート・アレストに出会う。
不遇の生まれながらも聡明で健気な少女を、ユーリは自らの正妃候補として引き取る決断を下す。
才能を開花させ成長していくカティア。
そして、次第に彼女を「妹」としてではなく「たった一人の妃」として深く愛していくユーリ。
立場も政略も超えた二人の絆が、やがて王宮の静かな波紋を生んでいく──。
「私はもう一人ではありませんわ、ユーリ」
「これからも、私の隣には君がいる」
甘く静かな後宮成長溺愛物語、ここに開幕。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる