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② えっ、デキなさすぎない??
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「あくまで私のメインは剣豪の専用スキルを発動することで繰りだす剣技。サブスキルの雷で本職のあなたが負けるというのなら、それはあなたが恥じるべきことだわ」
「ぐっ」
ちなみに彼が級長、私が副長。私はクラス運営においても、いつも彼を立ててきた。見物中の周りの者らからすればこれは、魔法クラス最高学年級長と副長のケンカなのである。
「私がアドニス様をこの聖なる力で精一杯お助けします! きっと合格しますわ! 私たちで力を合わせれば」
「ミルア……そうだな。大丈夫だ、力を合わせれば」
可愛いな~~やっぱカノジョにするなら聖魔だよなぁ~とか言ってそうなアホヅラ。
その子、3ヶ月前私に泣きついて来たんですよ。ここらで私の脳内思い出ビジョンを食堂前方の幕に投影したいわ。
さかのぼること3ヶ月前、校内図書館にて。
「先パァイ! 課題提出が迫ってるんですぅ」
「……あなた誰?」
「魔法クラス4年に所属してまぁす! ミルア・ロネスと申しますっ。私、回復魔法だけは得意ですので、ご同伴いただけないでしょうかぁ?」
今思えば面識のない学年2個上の、しかも副長である私に直で来れる根性は並大抵のモノではなかった。
「ヒールが得意なだけじゃ、4年を修了することは難しいのではないかしら……」
まぁ私が助力することで、彼女に“気付き”が芽生えればね。後輩を導くのも先輩の役目でしょう。
私は近場の森ダンジョンに彼女を連れていった。
「現れたわね! 先生が配置した練習用ボスモンスター!」
「私っ、後ろから先輩にヒールかけまくりますからっ! 心置きなくどうぞっ!」
「それじゃあなたの特訓にならな……ああっ向かってきたわ! 仕方ないわねっ、さくっといくわよ!! てやぁああ!」
「きゃぁ先輩かっこいぃ♡」
巨大モンスターが洞窟内で倒れ泡を吹く。練習用モンスターだが凝った作りだ。
「はい、提出用のドロップアイテム」
「ありがとうございますぅ! もぉもぉアネモネ先輩がハーレム作るなら入りたいですぅ!」
そして2ヶ月半前のある日。
「先パァイ! あたしぃ、追試受けなきゃいけなくってぇ……」
「追試はどこで?」
「カンブリア平原ですぅ。モンスター退治60匹なのですぅ……」
「夕方までに終わらせましょう」
カァーカァー……? カラスが鳴いてるわね。
「せんぱぁい……もうカラスが鳴いてますよぉ」
見りゃ分かるわ。
「はい、提出用モンスターのしっぽ60個……って、岩に座って何してるの?」
「ネイルが剝がれちゃって♪」
「……はい、60個」
「80個ですってばぁ~~。話聞いててくださいよぉ」
60匹って言ったよ?
「……あなた何してるの?」
「ネイル塗ってます、見て分かりませんか?」
「いや、追試でコレ80個集めなきゃいけないんでしょ?」
「ヒールでモンスター倒せるわけないじゃないですかぁ! 先生ってば横暴すぎますぅ」
いやあなたどうやって4年まで上がったの?
2ヶ月前。
「せぇん輩ぃ。座学の宿題、困ってしまってぇ。ところで先輩は国の上層と戦力値魔力値の相関関係についてどういったご意見をお持ちです?」
「そうね。より強い戦力魔力を保持し、その力で人民を支配するのは資本主義、実力主義の世界でおかしいことだと思わないわ。ただ現状の世襲制には異を唱えざるを得ないわね。上位権力を持つ一族に生まれただけのボンクラなんて云々……であるからして……私が思うに……──というわけなの。まぁ私の改善案は理想論でしかないことも分かっているわ。でも一歩ずつ打開してゆかないとね」
「はいっ。そうですよね!」
「で、宿題がどうしたの?」
「あ、もういいです~~ではではぁ~~」
1ヶ月前。
「先輩ぃぃ~~! 今日はちょっとやる気を出して課題を先取りしちゃいまぁす! カルディア砦に行きましょ~?」
「私、卒業制作の締め切り間際で忙しいのだけど……」
「気分転換ですよぉ~~」
**
「とりゃぁ!」
ミルアは魔導士の基礎スキル“エナジーボルト”で、今までなら倒せなかったモンスターを倒した。
「……あなた前より魔力増したわね」
「えへへっ。頑張りましたぁ。2ヶ月に及ぶ先輩のご指導のおかげですぅ」
「なら、もう心配いらないわね。あなたも特定のパートナーとこういうのは行った方が、将来のためよ」
「特定のパートナーですか?」
「ええ、あなたもいいところのお嬢様だと思うけど、婚約者はいないの?」
「あたしぃ、そういうのまだいいと思ってるんですぅ。もっと自分の修行に専念したくてぇ……」
「う、うん、ご実家の方で急かされていなければ、あなたの自由だけれど」
「それにぃ、男の子のコトばーっかり考えてるのって~、私のクラスにもいるんですけどぉ、ちょっと……みっともないですよねぇ!?」
?? 男のことばかりって、そんなつもりで言ったのではないけど……そう聞こえてしまったのかしら?
「んー……なら、女性のパートナーでもいいんじゃない? 戦友として長く一緒にいられるような」
「女のコはやっぱり女のコ同士ですよねぇ~。考えておきまぁす!」
「ぐっ」
ちなみに彼が級長、私が副長。私はクラス運営においても、いつも彼を立ててきた。見物中の周りの者らからすればこれは、魔法クラス最高学年級長と副長のケンカなのである。
「私がアドニス様をこの聖なる力で精一杯お助けします! きっと合格しますわ! 私たちで力を合わせれば」
「ミルア……そうだな。大丈夫だ、力を合わせれば」
可愛いな~~やっぱカノジョにするなら聖魔だよなぁ~とか言ってそうなアホヅラ。
その子、3ヶ月前私に泣きついて来たんですよ。ここらで私の脳内思い出ビジョンを食堂前方の幕に投影したいわ。
さかのぼること3ヶ月前、校内図書館にて。
「先パァイ! 課題提出が迫ってるんですぅ」
「……あなた誰?」
「魔法クラス4年に所属してまぁす! ミルア・ロネスと申しますっ。私、回復魔法だけは得意ですので、ご同伴いただけないでしょうかぁ?」
今思えば面識のない学年2個上の、しかも副長である私に直で来れる根性は並大抵のモノではなかった。
「ヒールが得意なだけじゃ、4年を修了することは難しいのではないかしら……」
まぁ私が助力することで、彼女に“気付き”が芽生えればね。後輩を導くのも先輩の役目でしょう。
私は近場の森ダンジョンに彼女を連れていった。
「現れたわね! 先生が配置した練習用ボスモンスター!」
「私っ、後ろから先輩にヒールかけまくりますからっ! 心置きなくどうぞっ!」
「それじゃあなたの特訓にならな……ああっ向かってきたわ! 仕方ないわねっ、さくっといくわよ!! てやぁああ!」
「きゃぁ先輩かっこいぃ♡」
巨大モンスターが洞窟内で倒れ泡を吹く。練習用モンスターだが凝った作りだ。
「はい、提出用のドロップアイテム」
「ありがとうございますぅ! もぉもぉアネモネ先輩がハーレム作るなら入りたいですぅ!」
そして2ヶ月半前のある日。
「先パァイ! あたしぃ、追試受けなきゃいけなくってぇ……」
「追試はどこで?」
「カンブリア平原ですぅ。モンスター退治60匹なのですぅ……」
「夕方までに終わらせましょう」
カァーカァー……? カラスが鳴いてるわね。
「せんぱぁい……もうカラスが鳴いてますよぉ」
見りゃ分かるわ。
「はい、提出用モンスターのしっぽ60個……って、岩に座って何してるの?」
「ネイルが剝がれちゃって♪」
「……はい、60個」
「80個ですってばぁ~~。話聞いててくださいよぉ」
60匹って言ったよ?
「……あなた何してるの?」
「ネイル塗ってます、見て分かりませんか?」
「いや、追試でコレ80個集めなきゃいけないんでしょ?」
「ヒールでモンスター倒せるわけないじゃないですかぁ! 先生ってば横暴すぎますぅ」
いやあなたどうやって4年まで上がったの?
2ヶ月前。
「せぇん輩ぃ。座学の宿題、困ってしまってぇ。ところで先輩は国の上層と戦力値魔力値の相関関係についてどういったご意見をお持ちです?」
「そうね。より強い戦力魔力を保持し、その力で人民を支配するのは資本主義、実力主義の世界でおかしいことだと思わないわ。ただ現状の世襲制には異を唱えざるを得ないわね。上位権力を持つ一族に生まれただけのボンクラなんて云々……であるからして……私が思うに……──というわけなの。まぁ私の改善案は理想論でしかないことも分かっているわ。でも一歩ずつ打開してゆかないとね」
「はいっ。そうですよね!」
「で、宿題がどうしたの?」
「あ、もういいです~~ではではぁ~~」
1ヶ月前。
「先輩ぃぃ~~! 今日はちょっとやる気を出して課題を先取りしちゃいまぁす! カルディア砦に行きましょ~?」
「私、卒業制作の締め切り間際で忙しいのだけど……」
「気分転換ですよぉ~~」
**
「とりゃぁ!」
ミルアは魔導士の基礎スキル“エナジーボルト”で、今までなら倒せなかったモンスターを倒した。
「……あなた前より魔力増したわね」
「えへへっ。頑張りましたぁ。2ヶ月に及ぶ先輩のご指導のおかげですぅ」
「なら、もう心配いらないわね。あなたも特定のパートナーとこういうのは行った方が、将来のためよ」
「特定のパートナーですか?」
「ええ、あなたもいいところのお嬢様だと思うけど、婚約者はいないの?」
「あたしぃ、そういうのまだいいと思ってるんですぅ。もっと自分の修行に専念したくてぇ……」
「う、うん、ご実家の方で急かされていなければ、あなたの自由だけれど」
「それにぃ、男の子のコトばーっかり考えてるのって~、私のクラスにもいるんですけどぉ、ちょっと……みっともないですよねぇ!?」
?? 男のことばかりって、そんなつもりで言ったのではないけど……そう聞こえてしまったのかしら?
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