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④ そのさらに上ゆくタネあかし
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あんなことがあってから3日たち、私は今日も食堂にて、コクの深い煮込み料理をひとり静かに食している。
「おお、アネモネ様が“熟成肉の丸煮込み・魚介の酢漬けを添えて”を召し上がっていらっしゃる!」
「私たちもそれを頼もう!」
ええ、これは本日限定メニューだから、あなたたちも存分に味わうといいわ。
食事を済ませ席を立ち上がろうとしたとき、食堂の地面を這う一筋のいかずちが。
周囲は何事かと刮目した。そこに浮かぶ時空の割れた隙間から、放り出されるように転がってきたのは。
「アドニス様!?」
「4年のミルア・ロネスも一緒だ!」
「ふたりとも伸びているぞ! 怪我もひどい状態だ!」
試験から帰ってきたわね。瀕死で。
試験中、受験者のHPが危険帯に入ると学院に強制送還されるようになっている。もちろんミッションは失敗に終わり、今回は特に、卒業を賭けた試験なので……。
「ん……。あら、ここは……」
「お早いお帰りね。それで? 結果はどうでした?」
「……アネモネ様……」
地面に這いつくばる彼女、ミルアは立ちはだかる私を見上げ、気まずさを顔に浮かばせた。
「あんな意気揚々と戦地に赴いて、まさかコテンパンに伸されて帰ってきたんじゃないわよね」
「どうしてこうなったの……あなたのあり余るMPと強力なスキルを盗んだはずなのに……」
「先輩としてあなたにはちゃんと考えさせたいけれど、お昼の休憩時間も有限なので早速回答してあげるわ。っとその前に、隣で転がってるコレも気付けして」
視線で観衆に依頼したが、さすがに6年の級長に対し無礼な振る舞いを、とのことで物怖じしているようだ。
「大丈夫よ、この人もうHP底をついていて動けやしないし、頭も働かないだろうから」
先輩らしくにっこり言ってみた。
「アネモネ様! 私めにやらせてください!」
「いや、俺が!」
「俺も! 俺も!」
みんなで冷水ぶっかけちゃって。下級生の彼らに任せ私は椅子に腰掛けた。
「ぶはっ……。はぁーはぁー……はっ!」
「やだぁ冷たいぃ」
「なんでアネモネがここに……ん!? ここは学食!?」
「さてと。答えは簡単よ。あなたは最初から私のスキルを盗めていなかったの」
「ええ!? どうしてっ…。私の奪取は多くの物を盗めない…だから3ヶ月かけて少しずつやった……。多くは盗めないけど盗賊の基礎スキルだもの、戦士相手でも魔術師相手でも失敗することはないのに……」
「ふふ。そうね、戦士や魔術師相手ならね。そこがあなたのビッカビカに塗りたくった爪の甘いところよ」
私は立ち上がり、彼女がやったのを真似るように、今着ている女戦士の武装を解いた。
「おおっ! アネモネ様のその装束は!」
「まるで妖精のようにユニセックスな魅力が! これは、きっとあれだっ……」
今日あたり帰ってくると見立てて、下に着込んでおいたの。
「盗賊職最高位レア職、トリックスター!!」
「隠者を極め更にスキルを磨いた、幻の職と言われる……」
これを目にしたふたりの顔が青くなった。
「まさか……あなたは剣士と魔術師のハーフでしょ……。盗賊のスキルを取得できる余地はない」
「あなたも盗賊の端くれなら情報はすべて盗みなさい。あなたが偉そうに自身の盗賊の血筋を明かしていた時、笑いを堪えるのに苦労したわ。だって私にはその最上級ジョブの血が流れているのだもの」
解説しながら前進し、再び彼らの頭の先に立った。
「私ね、盗賊クオーターなのよ。雷魔の母が魔と賊のミックスなの」
「クオーター!? ……そんなのアリなのぉ……」
まぁ4分の1の血の能力なんて、たいていの者には発現しないけど。そこは血の強さと修行量ね。
「そうか、分かったぞ……お前、“あのスキル”を取得してるんだろ」
「あら、アドニス。一応頭まわるのね」
そこで気付いた周囲が感嘆の声を上げる。
「まさか……幻のスキル“幸運の7”!?」
「なんとアネモネ様はラッキーセブンを所持しているのか!」
ふふっ。知る人ぞ知る、最強トリッキースキルよ。
「おお、アネモネ様が“熟成肉の丸煮込み・魚介の酢漬けを添えて”を召し上がっていらっしゃる!」
「私たちもそれを頼もう!」
ええ、これは本日限定メニューだから、あなたたちも存分に味わうといいわ。
食事を済ませ席を立ち上がろうとしたとき、食堂の地面を這う一筋のいかずちが。
周囲は何事かと刮目した。そこに浮かぶ時空の割れた隙間から、放り出されるように転がってきたのは。
「アドニス様!?」
「4年のミルア・ロネスも一緒だ!」
「ふたりとも伸びているぞ! 怪我もひどい状態だ!」
試験から帰ってきたわね。瀕死で。
試験中、受験者のHPが危険帯に入ると学院に強制送還されるようになっている。もちろんミッションは失敗に終わり、今回は特に、卒業を賭けた試験なので……。
「ん……。あら、ここは……」
「お早いお帰りね。それで? 結果はどうでした?」
「……アネモネ様……」
地面に這いつくばる彼女、ミルアは立ちはだかる私を見上げ、気まずさを顔に浮かばせた。
「あんな意気揚々と戦地に赴いて、まさかコテンパンに伸されて帰ってきたんじゃないわよね」
「どうしてこうなったの……あなたのあり余るMPと強力なスキルを盗んだはずなのに……」
「先輩としてあなたにはちゃんと考えさせたいけれど、お昼の休憩時間も有限なので早速回答してあげるわ。っとその前に、隣で転がってるコレも気付けして」
視線で観衆に依頼したが、さすがに6年の級長に対し無礼な振る舞いを、とのことで物怖じしているようだ。
「大丈夫よ、この人もうHP底をついていて動けやしないし、頭も働かないだろうから」
先輩らしくにっこり言ってみた。
「アネモネ様! 私めにやらせてください!」
「いや、俺が!」
「俺も! 俺も!」
みんなで冷水ぶっかけちゃって。下級生の彼らに任せ私は椅子に腰掛けた。
「ぶはっ……。はぁーはぁー……はっ!」
「やだぁ冷たいぃ」
「なんでアネモネがここに……ん!? ここは学食!?」
「さてと。答えは簡単よ。あなたは最初から私のスキルを盗めていなかったの」
「ええ!? どうしてっ…。私の奪取は多くの物を盗めない…だから3ヶ月かけて少しずつやった……。多くは盗めないけど盗賊の基礎スキルだもの、戦士相手でも魔術師相手でも失敗することはないのに……」
「ふふ。そうね、戦士や魔術師相手ならね。そこがあなたのビッカビカに塗りたくった爪の甘いところよ」
私は立ち上がり、彼女がやったのを真似るように、今着ている女戦士の武装を解いた。
「おおっ! アネモネ様のその装束は!」
「まるで妖精のようにユニセックスな魅力が! これは、きっとあれだっ……」
今日あたり帰ってくると見立てて、下に着込んでおいたの。
「盗賊職最高位レア職、トリックスター!!」
「隠者を極め更にスキルを磨いた、幻の職と言われる……」
これを目にしたふたりの顔が青くなった。
「まさか……あなたは剣士と魔術師のハーフでしょ……。盗賊のスキルを取得できる余地はない」
「あなたも盗賊の端くれなら情報はすべて盗みなさい。あなたが偉そうに自身の盗賊の血筋を明かしていた時、笑いを堪えるのに苦労したわ。だって私にはその最上級ジョブの血が流れているのだもの」
解説しながら前進し、再び彼らの頭の先に立った。
「私ね、盗賊クオーターなのよ。雷魔の母が魔と賊のミックスなの」
「クオーター!? ……そんなのアリなのぉ……」
まぁ4分の1の血の能力なんて、たいていの者には発現しないけど。そこは血の強さと修行量ね。
「そうか、分かったぞ……お前、“あのスキル”を取得してるんだろ」
「あら、アドニス。一応頭まわるのね」
そこで気付いた周囲が感嘆の声を上げる。
「まさか……幻のスキル“幸運の7”!?」
「なんとアネモネ様はラッキーセブンを所持しているのか!」
ふふっ。知る人ぞ知る、最強トリッキースキルよ。
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