サトリ

マスター

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第1章

2.白い一日

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 雪が降っている。今年は例年に比べて降雪量が多いらしい。雪はあまり好きではない。雨もだ。かといって晴れも好きではない。曇りが一番マシかな。

 そんな事を考えていた。

 湿気があると、癖っ毛のハネが酷くなる。だから今日はハネが酷くて嫌なのに、目の前の状況は最悪だった。

 本来なら電車に揺られている時間のはずだった。それなのに、揺れているのは目の前に置かれた白いコーヒカップから立ち上る白い湯気だった。

 この寒空の下、カフェのテラスに座っている事が不思議だった。屋根はついているが、雪が振り込んで周りの席は薄っすらと白くなっている箇所がある。

 向かいの席には、肌の白い少女が座っている。被っているフードから見える髪もまた白かった。

 十歳程の歳に見えるその少女は、コーヒーを一口飲んだ。

「うわぁ…苦い。そこの砂糖取って」

 少女は顔をしかめて言った。

「だから、ミルクかココアじゃなくていいの?って聞いたのに…」

 呆れながら角砂糖がギッシリ詰まったビンを手渡した。

「ありがとう」

 少女はビンを受け取ると、砂糖をカップへと入れ始めた。

 一つ、二つ三つ四つ、五つ六つ。スプーンでかき混ぜて一口飲みまだ足りなかったのか、更に二つ入れる。そして、再びかき混ぜると飲んだ。

 角砂糖の大きさからして一つ三グラムだとして、かける八で二十四グラム。甘くないのだろうかと飲む様子をじっと見ていた。だいたい、そんなに溶けきるだろうかと気になった。

「ここのコーヒーはそんなに悪くないわ。少し苦いけどね」

 少女は得意げな顔で言うと、ショートケーキを頬張った。

 そんな少女の様子を眺めながら、十分程前の出来事を思い出していた。



 今日は先生達の用事の関係で学校が昼過ぎに終わった。いつも通りに駅までの道を友人と歩く予定だった。しかし、今日は用事が出来たとかで友人は先に帰ったので一人だった。

 普段は通らない道を歩こうと不意に思った。毎日毎日同じ景色というのもやはり飽きが来るから偶に通る道を変えることにしている。

 道のパターンは四種類程ある。

 普段使う歩きやすくて短いコース。

 時間がギリギリの時に使う最短コース。これは相当ヤバイ時にしか使わない。

 人通りも店も多い商店街コース。買い物したい時とかはこれを使う。

 一つ隣の駅に行くコース。少し遠くなるから暇な時以外は使わない。

 隣の駅か商店街で迷った結果、暇ではあるがそんなに時間もかけたくないので商店街コースにした。

 普通に帰れば良かったとこの後、後悔する事になるが後の祭りである。

 商店街だからカフェやレストラン、靴屋に服屋、美容室、コンビニ、色んな店が建ち並んでいる。

 ふと目をやった本屋に目が止まり、歩く速さを少し緩めた。いや、正確には本屋の前に置かれている真っ赤な郵便ポストのそばに佇んでいる少女にだった。そこは屋根の下で雪は積もっていなかった。

 少女はポストと同じ真っ赤なポンチョを着ていてフードを被っていた。フードと俯いている所為で、顔はよく見えない。迷子だろうかと思った。

 通りを歩く人達は誰も気にかけていない。自分も通り過ぎようとした。その時、少女が顔を上げた。明らかに目が合ってしまった。色白で可愛い顔をしていた。フードから覗いている髪も真っ白だった。ポンチョが赤い所為で白さが一層際立っていると思った。

 すぐに嫌な予感がして、歩く速度を上げた。少女の前を通り過ぎる。後ろから、小さな足音が聞こえる気がする。もういっそ、走ろうかと思った時だった。

「ねぇ!目が合ったのにムシしないでよ」

 少女に背中に垂れていたマフラーの端を掴まれた。身長差が大きい所為で思いっきりマフラーを引っ張られ、首が絞まった。

「う…」

 嫌な予感が当たってしまったと、後ろを振り返った。

「道に迷ってる女の子をムシするなんて、う…」

 少女は涙目になっていて、大きな目から今にも涙が溢れそうになっている。

「えぇ!ちょ、ちょっと待って。こんな所で泣かないでよ」

 ただでさえ、小さな子供は苦手なのに泣かれてはどうしようもない。

「泣いてないもん」

 少女はそう言い張ったが、既に半泣き状態だった。

「迷子なの?」

 そう、尋ねると少女は更に泣きそうになる。

「待って、なんで泣くの!」

「だって、今、自分が迷子だと思うとなんか…う…うぅ…」

 どうしたらいいか分からなかった。取り敢えず「泣かないで」と言って慰めるしかなかった。

「じゃ、じゃあさ、警察行こうよ。そしたらお母さん見つかるよ」

「イヤだ」

「え…。何で?お母さん見つけたくないの?」

 イヤだと言われるとは思っていなかったので、驚いてしまった。

「ケイサツには行けない」

「え…」

 若干、含みのある言い方に引っかかりを覚えた。

「ねぇ、お腹空いた」

「…やっぱり、警察に…」

「お腹が空いたー」

 少女の声が段々、大きくなって周りからの視線が気になり始めたので、少女を連れて取り敢えずこの場を離れる事にした。
 腹が減ったと、とにかく煩いのでどこか軽食が取れる所を探していた。

「あ、ここに入ってみたい!」

 少女はピョンピョン跳ねながら、とあるカフェを指差した。
 そこはテラスのある有名なチェーン店のカフェだった。この真冬にテラスに座っている人など一人もいないが…。
 少女はグイグイと手を引っ張ってお店の方へと引っ張っていった。

「わ、分かったから。引っ張らないで」

 「いらっしゃいませ」と店員が営業スマイルで言ってくる。何名かを聞かれ、カウンターとテーブルどちらにするか聞かれた時だった。

「外がいい!」

 少女が言った。

 「外は寒いと思いますよ」と店員が苦笑しながら少女に言うが、「外がいい」と少女は言い張った。

 少女は既にテラスへ出るドアの方へと向かっている。店員が「本当にいいのか」という目で見てくる。苦笑しながら少女の後を追った。

 テラスに出ると椅子が濡れているのでどうしようかと考えていると、店員が椅子をタオルで拭きに来てくれた。

「ねぇ、ケーキが食べたい。食べていい?」

 椅子に座るとメニューも見ずに少女が聞いてきた。

「…じゃあ、このケーキセットにしたら?飲み物も付いてるし」

 メニューを指しながら少女に言った。

「じゃあ、それにする!」

 何がそんなに楽しいのか、少女はニコニコしている。

「飲み物は何にする?ホットミルクとかココアは?」

「コーヒーは?コーヒーはないの?」

 少女が楽しそうに聞いてくる。

「あるけど、ココアとかの方がいいんじゃないかな」

 他の物を勧めたが、少女は頑としてコーヒーから譲らなかった。結局、ケーキセットをホットコーヒーで頼んで、自分もホットコーヒーを頼んだ。

 そうして、今に至る。

「ねぇ、こんな所で寒くない?」

「ぜんぜん」

 駄目元で聞いてみたが、やはり暖かい店内でコーヒーを飲む事は叶いそうにない。

「そういえば、君の名前は何て言うの?」

 名前すら聞いていない事に今更気づいた。

「え…名前?名前はね、ましろっていうの。変わった名前でしょ~。しろって書くんだよ」

 ケーキのクリームを口元につけながら少女は、そう答えた。

「苗字は?何ていうの?」

「へ…?みょうじ?…わかんない。なんか、難しくて忘れちゃった」

「…普通忘れないと思うんだけどなぁ」

 少女の口元の方を指差しながら言うと、クリームに気づいたのかティッシュで口を拭いた。

「あなたは何ていうの?」

 相手の名前すらを訊いたのだから、当然こちらも名乗らなければならない。

「佐久間」

「ちがうちがう、下の名前だよ」

「…かなめ。佐久間要」

「へー。どういう字を書くの?」

 いつの間にかケーキを平らげた少女が訊く。

「必要の要の字だよ」

「ふーん」

 要の字はどれくらいで習ったっけと思いながら、少女が理解できているのか気になった。

「ねぇ!かなめ。私、ゲームセンターに行ってみたい!」

 甘そうなコーヒーを飲み干して、少女は言った。
 いきなり下の名前を呼び捨てにされたのにも驚いたが、少女は全く親を探す気がないんじゃないかと思った。

「ねぇ、ゲームセンター」

 少女の自己主張が激しいのでとりあえず、会計を済ませて店を出た。

「ねぇ、ゲームセンター行ってみたい。おねがい」

 店を出てからもマフラーをグイグイ引っ張ってねだられた。

「でも、親を探さなくていいの?」

「いいの!おねがい」

 この後も少し粘ったが根負けして連れて行く事になった。

 それにしても、どうしてここまで警察に行きたがらないのかが分からない。「ケイサツに行くんだったら大声で誘拐犯って叫んでやる」とまで言われてしまった。

 手を繋いで鼻歌を歌いながら楽しそうに歩く少女を見ながら、やっぱり小さい子は苦手だと思った。

「わぁー。すごーい!」

 ゲームセンターに着くと少女は目をキラキラさせてはしゃいでいる。

「何がいいかな…あ!あれなんだろう」

 そう言って手を引っ張っていく。

「え、ちょ…待っ」

 少女は次から次へと興味が移って、どんどん動いた。途中で暖房のせいで暑いと言って、マフラーとポンチョを持たされた。

 フードを真っ白な髪があらわになっていた。肩下まであるその白髪は少女がはしゃぐと一緒にフワフワ揺れていた。頭のてっぺんにある一本のアホ毛も一緒に揺れていて、なんだか笑いそうになった。

「ねぇ…君、ゲームセンター来たことないの?」

 あまりのはしゃぎように途中でそう訊いた。

 着ている物は良いし、なんだか世間知らずだし、どっかの金持ちの娘だろうかと思った。そうなると、やはり警察にさっさと行きたいところだ。

「うん。初めて!すごく楽しい」

 凄く楽しそうに言うのでなんだか気が抜けてしまった。

 少女は真っ白い大きなぬいぐるみのUFOキャッチャーの前でピタリと止まった。クマのぬいぐるみを凝視してそこから動かない。

「…それ欲しいの?」

 答えは分かっているが、訊いてみた。

「欲しい!どうやったらいいの?」

 考えたらゲームセンターに来たことがないのだから、UFOキャッチャーも初めて見るのかもしれない。

「…ちょっと待ってて」

 そう言って小銭に両替しに行った。戻ってくると相変わらず少女はぬいぐるみを凝視していた。

「そんなにぬいぐるみが好きなの?」

「うん。好き」

 ぬいぐるみを見たまま答えた。

「ちょっと、どいて」

 お金を入れて、アームを動かし始める。それを見た少女は趣旨を理解したのか「おー!」と歓声をあげて目を輝かせている。

 UFOキャッチャーは少しはできる方だが、何せ大きさが大きさなだけに一度目は少しだけ動いて終わってしまった。少女が凄く残念そうな顔をしている。

 再度お金を投入して、アームを動かし始めた。

「かなめ!ガンバって!!」

 少女が周りをウロチョロする。それが目の端にチラチラ写る。

「…ちょっと大人しくしてて。集中できない」

 流石に鬱陶しくて少女に言った。

「あ、ごめんなさい」

 それから何回か挑戦したが、その間少女は大人しくしていた。何度か声をあげそうになっては必死に堪えていた。別に声を出すなとは言ってないのだけれど。

 八度目でようやくぬいぐるみが出口に半分くらい出た。少女が今にも叫びそうである。
 もう一度やって、ぬいぐるみは出口に吸い込まれていった。
 ぬいぐるみを取り出し口から出して、少女に渡した。

「やったー!ありがとう。かなめ、大好き」

 そう言って、少女はぬいぐるみごと抱きついてきた。

 正直言って少し照れくさかった。
 このくらいの年の子供というのは思った事をそのまま口にするから困る。

 暫く遊び回ってゲームセンター内にあるベンチに二人で座って休んでいると、少女がぬいぐるみを抱き締めたまま少し船を漕いでいた。
 時計を見ると十五時半を回っていた。
 ふと思ったのだが、この子の親は自分の子供を探していないのだろうか?

「…そろそろ出よっか」

 少女に言うと、頷いて眠そうな目で立ち上がった。
 預かっていたポンチョを渡すと、代わりにぬいぐるみを持たされた。マフラーまで巻くと少女は言った。

「ねむい…おんぶしてほしいなぁ」

「は…?」

 今にも寝そうな目をしているのだから、言われても仕方のない言葉なのだが、なんというか、どこまでも図々しいというか、逆に開き直れそうだった。

 少女を背負ってゲームセンターを出たのだが、ぬいぐるみが邪魔でしょうがない。少女が持っているのだが、首に回した手で持っているので顔の直ぐそばにぬいぐるみがある。それになんだか、恥ずかしかった。クラスの人と会わなくて良かったと思った。

 少女には途中でポンチョについていたフードを被ってもらった。真っ白な髪が目立って人目を集めるのだ。正直、居心地が悪かったのだ。

 眠いと言うからおんぶしているのに、少女は寧ろさっきより元気になってずっと変な事を話していた。
 気づくと広場に出ていた。警察まで後、数分という所だ。少女はおんぶされているのが嬉しくて、何処に向かっているかを全く気にしていなかった。

「…ねぇ、さっきの話って結局-」

「あ!ど、どうしよう。かなめ、ヤバイよ~」

 ここに出るまでの間話していた事の確認をしようとしたら、少女がいきなり慌て始めた。おぶわれたままで必死に隠れようとする。終いにはぬいぐるみを盾にしようとするので、前が見えなくなった。

「--!ちょ、ちょっと!前が見えないよ」

 少女を背負っているので、両手が話せなくてあたふたしていると前方から声がした。

「-ましろ

 大人の女性の声だった。

「…シュラ」

 少女が小さな声で呟いた。さっきまで少女がしていた話に出てきた名前だった。
 ぬいぐるみが徐々に下がっていき、声の主が見えた。
 少女より更に色の薄い銀色の髪の長身の綺麗な女性が、無表情で立っていた。腰まである長い髪が風に揺れていた。

 --気づいたら陽が暮れていた。

「じゃあ、ありがとうございました」

 声のした方を向くと、少女が「シュラ」と呼んだ女性の顔があった。会った時と同様、無表情な顔をしていた。女性は椅子から立ち上がると一度頭を下げて「では」と言って歩き始めた。

「…俺はいつの間に座ったんだ?」

 いまいち思い出せない。いつ座ったのか女性と何を話したのか。何か迷惑をかけたとか、お世話になりましたとか、そういう事を話していた気もする。それよりも陽が暮れている。広場に着いた時はまだ四時前だったはず。

 少女は何処に行ったのかと思ってふと、女性が歩いて行く方向を見るとベンチに少女がぬいぐるみを持って座っていた。

 そういえば、女性と会った直後に背中から下ろしたのを思い出した。

 何やら女性が少女に言っていて、少女は怒っているよだった。しかし、女性も怒っている様に見えた。女性が歩き始めると、トボトボと少女が後ろをついて行く。

 ボーッと女性と少女を見ていると、女性が少女の方を向き何かを言った様に見えた。すると、少女がこちらを向いた。手をブンブンと振っている。しかし、女性に小突かれると、また女性の後ろを歩いて行った。

 帰ろうと思い立ち上がろうとした時、手に封筒を握っている事に気づいた。そういえば、さっきの女性から迷惑をかけたとお金を受け取らされたのだ。封筒の中身を見て驚いた。こんなに貰って良いのだろうかと思ったが、女性も少女ももう姿が見えなかった。

 広場の時計を見ると、六時近くになっている。全く、いったい、いつこんなに時間が経ったのだろうか。

 色んな疑問を抱えながら駅へと歩き始めた。
 雪が止んでいた。いつ止んだのだろうか。


 十数分後、電車に揺られながら、広場に着くまでの間に少女としていた話を思い出していた。
 少女は唐突に「シュラ」という人物について話し始めたのだ。


「…シュラ?それはどんな字を書くんだい?」

「シュラはシュラだよ」

「…で、その人はどんな人?」

「キレイだよー、かみが銀色なんだよ。後ね、かみが長くて、身長高くて…あ、そういえば、かなめも背高い-」

「銀髪?その人、外国人?」

 少女の言葉を遮って言った。

「えーっとね。あれ…こことどっかのく、ク…クーター?」

「クォーター?」

「そう!それ。で、かみは長くて…ねぇ!かなめは身長どれくらいあるの?」

「…百八十ちょっとくらい、かな」

「へぇー。高いね。シュラも高いんだよ。でも、かなめの方が大きそう」

「もう、外見は充分解ったから。その人は君の保護者なの?」

 名前で呼んでいるからには親ではないだろうと思った。

「うーん…どうだろう?でも、もう十年以上いっしょにいるよ」

「十年!?それって、産まれてからずっとじゃ…っていうかやっぱり母親?」

「だ~か~ら。ちがうって、ましろは二十才なの!かなめより年上なの!」

「…信じられない」

 ゲームセンターを出てからずっと、自分は二十歳だと言い張るがとても信じられなかった。

「じゃあ、シュラにきいたらいいよ。シュラもずっと変わってないから」

「…?変わってないって、何が?」

「見た目。白がシュラに会ってからずっといっしょ。何一つ変わらないの!」

「…ふーん」

「あ、かなめ。信じてないでしょ!」

 車窓から見えるすっかり暗くなり、明かりの灯った街並みを眺めながら思い返していた。
 最後に内容と声の調子が矛盾している自慢気な少女の声が蘇る。


「--シュラはね殺し屋なんだよ。ホントなんだから」

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