チュートリアルと思ったらチートリアルだった件

へたまろ

文字の大きさ
57 / 99
第3章:ダンジョンリフォームと初めての突撃お宅訪問!

第12話:ハックアンドスラッシュの結果

しおりを挟む
 いよいよ、準備万端。
 ここまで、大変だった。
 何度、情緒不安定で苦戦を強いられたか。
 純粋に地力を上げるために、あえてこのダンジョンを1階層から全ての敵を屠って進んだりもした。
 
 あと、ベルフェゴールを従魔にするくらボコボコにしたった。
 アスモデウスより先に従魔にしたった。
 こいつらと戦うにあたって、こいつから取れる耐性は重要だからね。 
 バシバシ撃って貰ったよ。

 とにかく感情の振れ幅が半端なかったし。

――――――
「お前さ? あんな腐れ女のどこが言いわけ?」
「お前にヘルちゃんの何が分かるんだ、この野郎! あっ、タンマ! いったん、落ち着こう」

 ヘルちゃんの悪口を言われて冷静さを失った結果、カインに簡単にアンデッドにされそうになったり。

 というか、あの手この手で、俺の精神に揺さぶりをかけてきやがった。

 綺麗どころのアンデッドを揃えられた時は、どこからかヘルちゃんがやってきて漏れなく冥界に送っていたけど。
 少しは、お世話係に残してってもええんやで?

 他には鼻が曲がるほど臭い連中を用意してみたり。
 ブラムスも嫌そうな顔してたから、すぐにどっか行ったけど。
 お前ら、何しに来た?

 そんなこんなで、失敗を繰り返してこいつらの手の内はだいぶ分かった。

 というか、簡単にいうと精神同調でブラムスに思考を揺さぶられて、カインの思考誘導でアベルに意識を集中させるという戦法だった。

 カインの影が妙に薄くて、アベルに集中した結果リデュース系の魔法をかなり受けてたらしい。

 耐性が高すぎて、その効果を殆ど感じられなかったのは憐れだったけど。
 でも、完全にレジスト出来る状態に仕上げて来たから。

 さらに言うと、黒騎士のところでもトライアルしまくって光属性も無効をレベル7まで上げたし。
 お陰でレベルも999になった。
 カンストじゃないらしいけど、1000の壁だけ高いらしい。
 なんで?

 あと、セーブストーンで戦いの様子とかセーブポイントに送られてたらしい。
 それを、ファングとヘルちゃんが見てたとか。
 俺のプライバシーが零の件。
 後で、じっくりと問い詰めてやろう。
 そろそろ罅くらい入れられると思うし。

――――――
「ここまで辿り着くとは、中々にやりおる……ゲホッゲホッ」
「ふん、くだらん演技は止めろよ! 今日は話し合いに来てやったんだ」

 もはや、この三文芝居に付き合う必要も無い訳だ。
 ここで、終わらせる気満々だからな。

「ほうっ? 良く気付いたな? 割と長い事練習してきたから、少しは自信があったんだけどな?」
「くだらん。それよりも俺と手を組まないか? ほらっ、手土産も用意してやったぞ?」

 そう言って、セーブポイント一押しのロダン作の魔王の椅子を転送させる。

「ふふっ、偉く立派な椅子だな? 俺を担ぎ上げようというのか?」
「ん?」
「俺の下に付いて、何を望む?」
「あー、勘違いしてるみたいだな?」

 少し嬉しそうに笑みをこぼすブラムスを見て、俺は頬を掻いて溜息を吐く。
 めっちゃ椅子に興味深々なのか。チラチラと見ているのが気になるが。
 そんなにこの椅子良いのか?
 まあ、良いや!

 俺はその椅子を奴が座っている場所の下まで蹴り飛ばす。
 奴が座って居るのは、階段を上がったところにある玉座だ。
 その階段の下に椅子が転がっていく。

「あっ!」
『あーー!』

 ブラムスと、セーブポイントが何やら喚いているが、知らん。

「その椅子を譲ってやるから、そこの趣味の悪い椅子を空けろって言ってんだ。小細工しかできない三下が俺を見下してんじゃねーぞ?」
「くっ……ロダン師の椅子にそんな扱いをするとは」

 はっ?
 先にそっちが来るの?
 めっちゃ、格下認定したのに怒ってる部分が良く分からないけど。
 そういうもんなのかな?
 セーブポイントもちょっと怒ってるぽいし。
 良いじゃん。
 どうせ俺使わないんだから。

「それに、生まれたての小童の分際で、俺によくも偉そうな口を利いたもんだな?」

 普通、そこに引っ掛かると思うんだけどなー。
 つっても、どうせ怒って無いのは分かってるけどね?

「アベル! カイン! お客様がお帰りだ! 地獄にな……とっとと始末しろ!」

 ブラムスが声を荒げると、魔法陣が現れて青白いイケメンが二人現れる。
 出たな、雑魚AとB!

「これはこれは、勇者様と賢者様では無いですか」
「ほう、俺達の事を知ってるのか?」
「ならば、この状況がいかに絶望的かも分かってると思うが?」

 精神同調も、思考誘導も完全にレジストしてるから、ちゃんとカインが居るのが分かる。
 あと知って貰えてて嬉しそうな二人に、ちょっと罪悪感。
 だって、ブラムスに簡単にやられたって事しか知らないし。
 すぐに、退場してもらうしね。

「ハハハ、人間の希望だった二人が、絶望を与える側に回るとか。とんだ皮肉だな? 一人じゃ何もできない雑魚の小間使いが、俺にどう絶望を与えてくれるんだ? 見せてくれないか?」
「貴様、ブラムス様を!」
「遅い!」

 アベルが斬りかかって来たのを左手で簡単に受け止める。
 前は思考誘導で掴んだと思い込まさせられていたため、指を落とされるといった失態をおかしたが今度はガッチリホールドだ!

「なっ! なんで?」
「取りあえず、お前は目障りだ!」

 そのままの状態で、右手にセーブポイント曰くロンギヌスの槍を取り寄せてカインに向かって投げる。
 セーブポイントさん、結構こじらせてるもんな。
 厨房っぽい感じに。
 イントネーションが違う?
 言い間違いじゃないよ、わざとだよ?

「ぐっ! 身体が! 浄化されていく……馬鹿な!」
「カイン!」

 黒かったローブが、白く変色していく。
 どうやら、ローブ自体にも特殊な効果があったんだろうね。
 ちなみに持ってた杖は、毎回奪ってたから結構な数ストックしてる。
 1点物のケリュイオンらしい杖が量産されてて、セーブポイントも微妙な反応だったわ。
 やり直しの、間違った使い方だと言われたけど知らない。
 そういう仕様にしたお前が悪いとしか言いようが無い。

「フフフ、ようやく解放されました……有難うございます名も知らぬ人よ。アベル……先に行って待つ」

 カインさんってば、凄い良い笑顔で召されてったけど……
 もう少し、アベルに対して名残惜しそうにしたりとか、もしくは俺を手伝ったりとかしてもええんやで? 

 最低限でも、俺の名前くらい覚えて行って欲しかった。
 まあ、こいつらからしたら初対面だし……いや俺、他所のダンマス。
 言ってみたら、国賓じゃないか?
 名前、知っとけよ!
 
「まさか、ロンギヌスだとっ!」

 あらあら、焦っちゃって。
 ブラムスのおっちゃんが椅子から立ち上がったのが分かったので、取りあえず一瞬でアベルの前に移動して右手でその頭を掴んで地面に叩きつける。

 しかし、異世界っぽいのにロンギヌスさんの槍が有名なせいで、また俺の中でゲーム説の勢いが増して来てる。

「ぐっ、上の空やつに不意を突かれるとは」

 そして、そのまま後頭部を踏み付ける。
 こないだのお返しだ。
 つっても、こいつには分からないだろうけど。
 ブラムスが来る前に、こいつも浄化しときたいし。

「くそっ、俺は勇者だぞ!」
「アンデッドに従って、アンデッドになったお前が何を言ってるんだ? お前なんか、そこらのグールやゾンビと一緒だろ?」
「ば……馬鹿にするな! 俺は特別だ! 俺は選ばれた男なんだ!」

 足の下で必死に体をばたつかせているが、その程度の力でどうこうなるような鍛え方してません。
 あと、自分で特別とか言っちゃうあたり、かなり痛い子だと思うわ。
 俺? 俺は良いの! 特別だから!

「フフフ、フハハハ! 特別? どう特別なのか教えて貰えないか? 特別な勇者ってのは、そこの雑魚ヴァンパイア如きに簡単に眷族にされて、生まれたてのダンジョンマスターに……完全な魔族ですらない俺に足蹴にされるような奴の事を言うのか?」
『今回は、悪そうなキャラですね?』

 五月蠅い。
 
『いや、悪く言ってるんじゃないですよ? ダンジョンマスターっぽくて、好きですから』

 石ころの好みとか興味ない。
 あと、やっぱりこいつ趣味が悪い。
 そして、こじらせてる。
 
「俺は、俺は人々の希望なんだ。皆の笑顔を守れるのは俺だけなんだ……」
「良い事教えてやるよ! 今の勇者は武王ローレルって奴らしいぜ?」
「はっ?」
「勇者ってのは世界に一人なんだろ?」

 俺の言葉に何か感じるものがあったのか、アベルがガタガタと震え始める。
 
「馬鹿な! 馬鹿な! 馬鹿な! 馬鹿な! 俺は勇者だ! 俺は勇者だ! そんなはずは……」

 おっ、壊れた!
 まあ、今まで散々情緒不安定にさせられたんだ。
 このくらいの仕返しは良いよね?
 駄目かな?

「今の勇者はローレル……じゃあ、お前はいったい誰なんだろうな?」
「うわああああああああ!」

 発狂しちゃった。
 目が完全におかしいし、身体から色々なもんが出てる気がする。

「アベル! 下がれ! こいつは、どうやら小細工が効くような相手じゃないらしい。俺が相手する」
「もう、手遅れだってさ」

 完全に自我を失ったアベルが、自我の崩壊に伴って姿を維持できずに一気に木乃伊のようになっていく。
 完全にただのゾンビに格落ちしたわけだ。
 能力は高くても、思考がゾンビのそれじゃあ戦力にはならないよね?
 取りあえず、壁に思いっきり蹴り飛ばす。
 全身が壁にへばりついているが、再生すら覚束ないらしい。
 仮に再生したとしても、もはやゾンビ並みの動きしか出来ないだろうし。
 ああ、ちょっとすっきり。
 さてと、メインに行きますか。

「さてと、もう一回言うな? そこの椅子を自分で起こして座ったら許してやるわ。ちゃんと話をしてやろう」
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

第2の人生は、『男』が希少種の世界で

赤金武蔵
ファンタジー
 日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。  あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。  ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。  しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

処理中です...