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第3章:ダンジョンリフォームと初めての突撃お宅訪問!

第13話:激突ブラムス

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「クソガキが! 調子に乗りやがって」
「おっ、ようやく感情が表に出て来たか?」

 ブラムスが表情を真っ赤にして、こちらを睨み付けている。
 自慢のおもちゃが壊されて、流石に怒ったのかな?
 筋肉が肥大化していってるけど、変身って奴なのかな?
 パワーが上がって、スピードが落ちそうな感じだけどね。

「俺が、本気を出すのはお前で3人目だ」
「一気に、小物臭が増したな? 逆に言えば、3人としか戦って無いんじゃないのか?」
「ほざけっ!」

 おお、流石に早い!
 一瞬で目の前まで距離を詰められた……けど。

「見た目の割に、軽いな?」
「なっ、くそっ!」

 放たれた突きを片手で受け止めると、軽く押し返す。
 ただの打撃で、俺にダメージが与えられる訳無いだろ。
 あっ、絶対貫通はお断りだけどね。 

「くらえ【ブラッドバイト血咬み】!」
「へえっ、突きに血を纏わせてリーチを伸ばせるのか。便利だな?」

 すぐに突きを放ってきたけど、嫌な予感がしたので腕を掌で弾いて軌道を反らす。
 地面に赤黒い線が伸びて抉れるのが見えた……けど、これ効かない気がする。
 物理っぽいし。

「くそっ、【ブラッドバイト血咬み】!」
「うーん……なんだか、大した事無いな」

 嘘です。
 ここまでになるまでかなり苦戦しました。
 何度も、ブラムスとアベルとカインに苛められました。
 なので、アベルとカインで大分訓練しました。
 でも、ちょっと慎重になり過ぎたかも。
 わざと喰らってみたけど、本当にノーダメージで僕ちゃんもビックリ。
 メインディッシュがこれとか、かなり興ざめなんだけど?
 怒っちゃうよ?

「馬鹿め! 触れたな? 終わりだ!」
「おおう!」

 血が俺の身体を咥えたかと思うと、一気にブラムスのところまで引き寄せられる。
 あっ、嫌な予感これ。

「お前も眷族にしてやろう! さっきの2人よりはよっぽど優秀みたいだしな?」

 やっぱりかーーー!
 おっさんの甘噛みとか求めてないんだけど!
 そう言っておっさんが首に噛み付いてきたけど、残念牙は刺さらないんだよ。
 刺突無効だから。

「なあ? あの二人みたいに、男に血を吸われて尻尾を振る趣味は無いんだけど?」
「なっ! 牙が通らないだと!」

 カーミラたんの時と違って、かなり気持ち悪い。
 取りあえず頭を掴んで一瞬で引き離すと、そのまま地面に叩きつける。
 すぐにブラムスが地面を叩いて、俺から距離を取るが。
 本当に、こいつ本気なのか?

「なあ? いつになったら本気を見せてくれるんだ?」
「なっ、本当に減らず口ばかり叩きやがって! この突きを受けてから言ってみろ!」

 ブラムスの渾身の突きが、俺の胸に突き刺さ……らないんだなこれが。

「いま、何かしたか?」
「な……なんで? 絶対貫通が効かないだと?」

 ふふふ、やった。
 めっちゃビビってる。
 楽しくなってきた。
 こうこなくっちゃ!

「何をした!」
「いや、俺が聞いたんだけどな?」

 とんちかな?
 というか、質問に質問で答えるなと、声を大にして説教してやりたい衝動にかられる。

「そうじゃない、どんな小細工をしたというのだ! 絶対貫通が効果を発揮しないなど……」
「はあ? 何かしたから、効かないんだろ……何をされたのかも分からないのか?」

 楽しそうに種明かしをしてあげる。
 手を自分の顔の高さにまで持ち上げて、ゆっくりと掌の中身を落として見せる。
 要は絶対貫通の効果が付与された付け爪してただけ。
 こいつ自身のスキルでもなんでも無かったわけだ。
 で、突きを放ってきたときにそれを全部剥がして、握っといたんだけど。

「お……俺の爪!」

 効いてる! 効いてる!

「大事なもんなら、ちゃんとしまっとけよ」
 
 地面に落ちた付け爪を踏み付けて、砕くふりをしながらセーブストーンに回収させとく。
 後で、何かの役に立つかもしれないし。

「なあ? 本気……出してくれないか? さっきから、何がしたいんだか良く分かんねーんだけど?」
「あ……、ちっ! 遊び過ぎて調子に乗らせたか!」

 最初に、本気出すって言ってたじゃん?
 本気で相手するの、俺で3人目って言ってたじゃん?

 なに、その今まで遊んでたみたいな言い方。

 ちなみに、俺だけで何十回と本気出すって、言って来てたけどね。
 このおっさん。
 毎回初めてみたいな顔して……まあ、当人からしたら初めてだけど。
 後半は毎回、防がれてビックリしてたくせに。

早くあくしろよ! 待ってんだから」
「良いんだな? その言葉後悔しても知らんからな! くらえ!【ジャッジメントデイ審判の時】!」

 新耐性来い!
 おお、天上から凄い勢いで聖属性の雷が降って来てる。
 2属性混合魔法なのかな?
 でもさ……
 俺の身体、聖属性70%レジストなんだよね?
 しかも、雷属性は吸収できるし。
 これが最強とか、マジ無駄な時間だった。
 正直……さっきから、真新しい耐性もくれないし。
 流石にもうこいつ、殺して良い気がしてきた。
 用無しだし。
 あれ? 目的が変わってる気が。 

「お前を手駒に出来ないのは残念だが、この魔法に耐えられる奴は居ない! 魔族ならなおさらな」
「ふーん……」

 怪我もなんにもしてないから、喰らったところで回復もしないんだけどね。
 仮に3割弱の確立で聖属性が通ったとしても、同時に雷属性で回復されるし。

「もう良いからさ……」

 降り注ぐ金色の雷の中を、何も無いかのように歩きながらブラムスとの距離を縮める。

「本気をさ……」

 ブラムスの目の前で歩みを止めると、腹を蹴り飛ばす。
 魔法発動中だったために、隙だらけで思いっきり喰らってやんの。

「見せてくれないか?」

 さらに近づいて、見下す。

「馬鹿な! あの攻撃に耐えられる存在が居るはずなど!」
「良かったな……ここに居たぞ? 新発見じゃないか」

 ニヤニヤと笑いながら、ブラムスの胸を踏み付ける。

「でも、俺は不死者の頂点! お前に俺を殺す手段など!」
「無いな……でも、永遠に地面に磔にすることくらいなら出来るぞ?」

 そう言って、手にロンギヌスの槍を呼びよせる。

「ロ……ロンギヌス……」
「というか、別に殺さなくてもさ……身体を細切れにしてバラバラに箱に入れてもいいんだけど?」
「ひっ!」

 というか、殺す方法は無いかもしれないけど……聖水の入った瓶に突っ込んで蓋とかしたらどうなるんだろ?

「俺が悪かった……頼む、助けてくれ……」
「まだ、分かって無いみたいだな」
『ですね……』

 正解、身体中が浄化されて煙を放ちながら焼け爛れつつ、再生を繰り返すでした。
 頭を切り離して身体を淹れた瓶の上に置いて、手と足を別々の瓶に入れてみたらすげー苦しんでて逆に笑えなかった。
 これ悲惨だわ。

「申し訳ございません。自分がいかに愚かで矮小な存在か思い知りました。ですので、どうかご慈悲を……」

 すげー根性無しだった。
 たったの20分でギブアップしてきた。
 
「なあ、こいつ本当に強いのか?」
『ええ、かなり……』
「ふっ、どうやら俺が強すぎただけだったか……」
『……それは、流石に痛い発言かと……』

 ……
 知ってた。
 分かった、すぐにブラムスを解放しよう。
 うん、部下になってくれるみたいだし。
 一応、当初の目的は達成できたしね。
 ある意味平和的解決だけど。

 アベルとカインは勿体なかったけどね。
 あ、アベルはまだ居たわ。
 アーアー言いながら、徘徊してたね。
 もう、役に立たないか。
 まあ、良いや。
 ヘルちゃんゲットしたし。
 取りあえず、帰ってゆっくりしたい……
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