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第三章:王都学園編~初年度後期~
第43話:祭りの後? 後の祭り?
総合成果発表会も終わり、表彰式は微妙な盛り上がりだった。
あっ、うちの家族は大盛り上がりだよ!
なんせ、一年のワンツーを私とクリントが飾ったわけだし。
こればかりはトーナメントのめぐり合わせとしか言いようがないけど、高度な取引とかなかったよね?
なんか、前半で私たちを当てるとみたいな……
「成果を確認するためのトーナメントだからな。総合的に上位のものたちは離したうえで、序盤は力の近い物同士をぶつけただけだ」
とは、ブライト先生のお話。
だったら序盤で私と当たって、剣を交えるまでもなく降参した子たちは?
「授業態度が悪いわけじゃないが、一生懸命ではないうえに実力も見合った程度の者たちだし、最初に当たった生徒は体調不良だったのだから問題ない」
「えっと……」
「本来なら、模擬戦など人に見せられるようなレベルではないということだ。だから、お前は彼らにとっても降参しても問題ない相手なのだから、向こうも渡りに船だろう」
「あー……でも、もしかしたら、家族に良いところを見せたかったり」
「そういう子は、お前の相手に組み込んでないから安心しろ」
ちょっと、よく分からない部分もあるが、概ね理解できた。
くじ引きや、誰かが適当に決めたわけじゃないということは分かった。
納得はできないけどね。
そして、二年生の表彰台のトップには誰もいない。
うん、トップだった生徒は、さきほど医務室というか保健室に運ばれて逝ったからね。
言葉が物騒? いいんだよ! これこそまさに、逝ってよしって気持ちで打ち据えたからね。
流石この国の第一王子様。
文句なしで、圧倒的実力差を見せつけての優勝!
からの、婚約者に秒で気絶させられての退場……話題性は抜群だね。
「お前なぁ……」
だから、代わりに私が二年生の表彰式で、トップの場所に立ったらブライト先生にジトっとした目で見られてしまった。
「えっ? 二年生のトップを倒したのですから、ここは私の場所ですよね?」
「そういうもんでも無いのだがな」
ブライト先生はこう言ってるけど、他の先輩方も笑顔で譲ってくれたし。
それから、下校までの時間は家族と過ごしたり、校内で出会った同級生とおしゃべりしたりして過ごした。
カーラから、今年のフリータイムはほぼ全員が参加できたらしい。
なんでも、前期の成果発表の後に生徒の実家から、全員が踊れないならフリータイムなど無くしてしまえ! と強い抗議があったとか。
とはいえ、そこは身分至上主義派閥よりの先生。
普通の生徒の練習時間を削って、身分至上主義派閥の子たちを徹底的に鍛えようとしていたらしい。
しかし抗議した貴族の家もそれを見越して、家で鍛え上げていたとか。
寮通いの子たちは、それぞれの家に招待したりしながら。
カーラも積極的にそういった子を招いて、練習相手にしていたらしい。
彼女が男性パートをやるために。
うん、令嬢が家に男の子を招くのは、あれだもんね。
だから、女の子ばかり呼んでたみたいだけど。
まさか、男性パートを練習していたとは……
ちなみに……男性パートをマスターしてきたのはカーラだけじゃなかったらしい。
なんなら、身分至上主義派閥にもいたとか……うーん、大丈夫かなこの国?
***
「さてと……随分と、面白いことになっているみたいですね」
そんな楽しい思い出のあとだというのに、王城の一室で開かれたお茶会は底冷えするような冷たい女性の言葉で始まった。
うん、お母様。
「リーナ……聞いてちょうだい?」
「ええ、それは当然でしょう? 詳しく聞くために、ここに来たのですから。国王ご夫妻の子供の教育方針について」
「子供の教育に関しては、レオハートもなかなかおかしいだろうに」
「リチャード陛下? 何か、おっしゃいましたか?」
「な……なんでも、ありません」
私は、なぜここに居るのだろうか?
そして、なぜ肝心のダリウスがここに居ないのだろうか?
ダリウスは私たちがここに来て少ししてから、王城に戻ってきた。
かなり、遅い時間までおねんねしていたんだろう。
そして、追い出されたらしい……保険医に。
本当に王族として情けない。
私がいることを知って、ウキウキでこっちに向かおうとしていたとか……いやいや、私に瞬殺されたのに、なんでこういった面でのメンタルはポジティブお化けなんだ。
もう少しこう……言っても、仕方がないことだけどさ。
ただ、ここには来ることなく、おじいさまに連れられて訓練場に行ったみたいだけどね。
うん、引きずられて……
そんなわけで、かなり面倒だけど……ダリウス抜きでの、王族とのお茶会だね。
保護者会とか、三者面談みたいな雰囲気になってるけど。
それなら、ミレニア王妃とダリウスと、お母様の三人でやってほしかったよ。
「人前で、か弱い女性を木剣で打ち据えたうえで、婚約を突き付けようとするとか……どこの蛮族ですか!」
確かにお母様の言ってることは、正しい。
簡単にいえば、ダリウスのやったことはそういうことだから。
前提条件が違うという点を考慮しなければ。
うん、大前提となる私がか弱い女性という部分が違う。
しかし、口は挟まない。
ここで口を挟むと、流れ弾が飛んでくるから。
「か弱い?」
あっ!
「リチャード……親子で私の忍耐力を試すつもりなら、やめてくださいませんか? こと、娘のためなら私は国を敵に回すことに、躊躇はしませんよ?」
……いや、お母様? それは、少し愛が重いです。
これも、言葉に出来ないけど。
私が、怒られるから。
お母様が国王陛下を呼び捨てにしたことで、周囲の使用人たちが固まってしまった。
しかし、その表情はお母様が不敬を働いたことに対するものではなく、お母様に対する畏怖のように感じたのは気のせいだろうか?
「そもそもフィジカルで優位に立てる男性である殿下が、娘を守るためではなく娘を剣で打ち据えるために厳しい訓練を受けてきたかのように聞こえたのですが。この国では、それが普通なのですね?」
「えっと……」
「力で勝る男性が女性に対して腕力で無理矢理に婚姻を迫るようなことを、声高に宣言されるとか……こともあろうに、倒すとまで宣言して……」
「本当に教育が行き届いておらず、申し訳ないとしか……」
「教育ねぇ……」
怖いよー……怖いよー……
ミレニア王妃殿下まで、空気になろうとしているし。
使用人の人達も、壁に張り付いて空気になろうとしてるし。
「私はダリウス殿下の、本質を見たような気がしますが」
「あの子は、本当は聡明で心優しい子なのですよ」
「へぇ……そんな子が、年下の女の子に剣を向けるのですか?」
「年下の女の子ではなく、格上の強者に挑んだのです」
あっ、ミレニア王妃が勇気を振り絞って、お母様に反論したけど……なんだろう、私までモヤっとするような物言いだ。
そんなことを言ったら、火に油を注ぐだけだと思うんだけど。
てか、お母様つおい……王族相手に、一切引かないとか。
そういえば、お母様の実家に関してはあまり詳しく知らないけど……王族に連なる家だったりするのかな?
いや、おじいさまやおばあさまにも会ったことは何度もあるけど、どちらかというと少し地味目な感じだったし。
あれは家格が低いんじゃなくて、やんごとなきご身分でそれを隠しつつのお忍びだったとか?
「そんな情けない言い訳を、よくもまあ大きな声で言えたものね。ミレニア? 私は、あなたのことをもっと賢い方だと評価していたのですが?」
「えっと……」
「あなたがどう言い繕ったところで、現実問題エルザはダリウス殿下の一つ年下の女の子でしかないというのに。あなたまでそんな調子なら、この婚約……一度白紙に戻すしかないようですね」
「リーナ、ちょっと待ってちょうだい! いくらなんでも、それは「ふふふ、あなたたちは私の娘をなんだと思ってるの? あなたたちの言い訳は、どれもとても女性に対する扱いではないというのに、そんなことも分からないのかしら? 女性として扱われない家に、嫁に出しても幸せになれるはずないでしょう」」
うーん、辛辣。
でも、確かに……あまり、女性扱いはされないかもしれない。
下手したら、戦闘とかあった場合、最前線に立たせられたりとかもありえそうだし。
「しかし、この婚約は「あら? 私たちにはそこまで、この婚約は重要ではないのですよ? レオハートだけでも、スペアステージア抑えられると思いますし、そうなった時に、第二のスペアステージアにレオハートがならないようにという、あなたたち王族の保身のためでしかない婚約でしょう? だったら、もっとエルザを大事にしてくださるべきではないのでは?」」
「……」
あっ、お母様の言葉に、国王陛下も王妃殿下も黙ってしまった。
なんとか言わないと、本当に婚約が白紙に戻されかねないと思うんだけど?
お母様がこうなってしまったら、やると言ったことは必ずやるし。
お父様がそれで何度、涙を流したことか。
うん、コレクションのワインを全て、部下に配られたり。
三ヶ月ほど農民に混じって、畑仕事をさせられたり。
一ヶ月ほど、食事のときは壁に一人用の机を引っ付けて、壁を見ながら食事をさせられたり。
お父様の名誉のために詳しい内容は言わないけれど、全てお父様のやらかしに対する仕置きだ。
「義父様と、私のお父様にも相談しないと……」
「本当に申し訳なかった。だから、もう一度だけチャンスをくれないか? いや、いただけないか?」
あっ、お母様が本気だと理解した、国王陛下が折れた。
陛下が頭を下げて、お母様に懇願している。
そして、流石は王城の使用人。
陛下が頭を下げる瞬間、全員が壁の方に回れ右して耳を塞いで、見なかったこと聞かなかったことにしてる。
でも、そういった行動は、お母様を刺激することにならないといいけど。
「ふうん……随分と、教育が行き届いているのですね。王家としては公式に、この国の王太子が私の娘を公の場で侮辱したことに対して謝罪する気はないと……」
あっ……やっぱり、地雷だった。
周囲の使用人たちの行動を見たお母様が、感情の消えた表情と凄く冷めた目で国王陛下を見据えて呟くように漏らしたのを見て、終わったと理解した。
「そうですか……そうですか……」
怖い……怖い……怖い……こんなに、キレてるお母様は、初めてだよ。
「エルザ……帰りますよ」
「えっ? あっ、はい」
「帝国に」
「えっ?」
お母様が、何を言っているのか理解できなかった。
あっ、うちの家族は大盛り上がりだよ!
なんせ、一年のワンツーを私とクリントが飾ったわけだし。
こればかりはトーナメントのめぐり合わせとしか言いようがないけど、高度な取引とかなかったよね?
なんか、前半で私たちを当てるとみたいな……
「成果を確認するためのトーナメントだからな。総合的に上位のものたちは離したうえで、序盤は力の近い物同士をぶつけただけだ」
とは、ブライト先生のお話。
だったら序盤で私と当たって、剣を交えるまでもなく降参した子たちは?
「授業態度が悪いわけじゃないが、一生懸命ではないうえに実力も見合った程度の者たちだし、最初に当たった生徒は体調不良だったのだから問題ない」
「えっと……」
「本来なら、模擬戦など人に見せられるようなレベルではないということだ。だから、お前は彼らにとっても降参しても問題ない相手なのだから、向こうも渡りに船だろう」
「あー……でも、もしかしたら、家族に良いところを見せたかったり」
「そういう子は、お前の相手に組み込んでないから安心しろ」
ちょっと、よく分からない部分もあるが、概ね理解できた。
くじ引きや、誰かが適当に決めたわけじゃないということは分かった。
納得はできないけどね。
そして、二年生の表彰台のトップには誰もいない。
うん、トップだった生徒は、さきほど医務室というか保健室に運ばれて逝ったからね。
言葉が物騒? いいんだよ! これこそまさに、逝ってよしって気持ちで打ち据えたからね。
流石この国の第一王子様。
文句なしで、圧倒的実力差を見せつけての優勝!
からの、婚約者に秒で気絶させられての退場……話題性は抜群だね。
「お前なぁ……」
だから、代わりに私が二年生の表彰式で、トップの場所に立ったらブライト先生にジトっとした目で見られてしまった。
「えっ? 二年生のトップを倒したのですから、ここは私の場所ですよね?」
「そういうもんでも無いのだがな」
ブライト先生はこう言ってるけど、他の先輩方も笑顔で譲ってくれたし。
それから、下校までの時間は家族と過ごしたり、校内で出会った同級生とおしゃべりしたりして過ごした。
カーラから、今年のフリータイムはほぼ全員が参加できたらしい。
なんでも、前期の成果発表の後に生徒の実家から、全員が踊れないならフリータイムなど無くしてしまえ! と強い抗議があったとか。
とはいえ、そこは身分至上主義派閥よりの先生。
普通の生徒の練習時間を削って、身分至上主義派閥の子たちを徹底的に鍛えようとしていたらしい。
しかし抗議した貴族の家もそれを見越して、家で鍛え上げていたとか。
寮通いの子たちは、それぞれの家に招待したりしながら。
カーラも積極的にそういった子を招いて、練習相手にしていたらしい。
彼女が男性パートをやるために。
うん、令嬢が家に男の子を招くのは、あれだもんね。
だから、女の子ばかり呼んでたみたいだけど。
まさか、男性パートを練習していたとは……
ちなみに……男性パートをマスターしてきたのはカーラだけじゃなかったらしい。
なんなら、身分至上主義派閥にもいたとか……うーん、大丈夫かなこの国?
***
「さてと……随分と、面白いことになっているみたいですね」
そんな楽しい思い出のあとだというのに、王城の一室で開かれたお茶会は底冷えするような冷たい女性の言葉で始まった。
うん、お母様。
「リーナ……聞いてちょうだい?」
「ええ、それは当然でしょう? 詳しく聞くために、ここに来たのですから。国王ご夫妻の子供の教育方針について」
「子供の教育に関しては、レオハートもなかなかおかしいだろうに」
「リチャード陛下? 何か、おっしゃいましたか?」
「な……なんでも、ありません」
私は、なぜここに居るのだろうか?
そして、なぜ肝心のダリウスがここに居ないのだろうか?
ダリウスは私たちがここに来て少ししてから、王城に戻ってきた。
かなり、遅い時間までおねんねしていたんだろう。
そして、追い出されたらしい……保険医に。
本当に王族として情けない。
私がいることを知って、ウキウキでこっちに向かおうとしていたとか……いやいや、私に瞬殺されたのに、なんでこういった面でのメンタルはポジティブお化けなんだ。
もう少しこう……言っても、仕方がないことだけどさ。
ただ、ここには来ることなく、おじいさまに連れられて訓練場に行ったみたいだけどね。
うん、引きずられて……
そんなわけで、かなり面倒だけど……ダリウス抜きでの、王族とのお茶会だね。
保護者会とか、三者面談みたいな雰囲気になってるけど。
それなら、ミレニア王妃とダリウスと、お母様の三人でやってほしかったよ。
「人前で、か弱い女性を木剣で打ち据えたうえで、婚約を突き付けようとするとか……どこの蛮族ですか!」
確かにお母様の言ってることは、正しい。
簡単にいえば、ダリウスのやったことはそういうことだから。
前提条件が違うという点を考慮しなければ。
うん、大前提となる私がか弱い女性という部分が違う。
しかし、口は挟まない。
ここで口を挟むと、流れ弾が飛んでくるから。
「か弱い?」
あっ!
「リチャード……親子で私の忍耐力を試すつもりなら、やめてくださいませんか? こと、娘のためなら私は国を敵に回すことに、躊躇はしませんよ?」
……いや、お母様? それは、少し愛が重いです。
これも、言葉に出来ないけど。
私が、怒られるから。
お母様が国王陛下を呼び捨てにしたことで、周囲の使用人たちが固まってしまった。
しかし、その表情はお母様が不敬を働いたことに対するものではなく、お母様に対する畏怖のように感じたのは気のせいだろうか?
「そもそもフィジカルで優位に立てる男性である殿下が、娘を守るためではなく娘を剣で打ち据えるために厳しい訓練を受けてきたかのように聞こえたのですが。この国では、それが普通なのですね?」
「えっと……」
「力で勝る男性が女性に対して腕力で無理矢理に婚姻を迫るようなことを、声高に宣言されるとか……こともあろうに、倒すとまで宣言して……」
「本当に教育が行き届いておらず、申し訳ないとしか……」
「教育ねぇ……」
怖いよー……怖いよー……
ミレニア王妃殿下まで、空気になろうとしているし。
使用人の人達も、壁に張り付いて空気になろうとしてるし。
「私はダリウス殿下の、本質を見たような気がしますが」
「あの子は、本当は聡明で心優しい子なのですよ」
「へぇ……そんな子が、年下の女の子に剣を向けるのですか?」
「年下の女の子ではなく、格上の強者に挑んだのです」
あっ、ミレニア王妃が勇気を振り絞って、お母様に反論したけど……なんだろう、私までモヤっとするような物言いだ。
そんなことを言ったら、火に油を注ぐだけだと思うんだけど。
てか、お母様つおい……王族相手に、一切引かないとか。
そういえば、お母様の実家に関してはあまり詳しく知らないけど……王族に連なる家だったりするのかな?
いや、おじいさまやおばあさまにも会ったことは何度もあるけど、どちらかというと少し地味目な感じだったし。
あれは家格が低いんじゃなくて、やんごとなきご身分でそれを隠しつつのお忍びだったとか?
「そんな情けない言い訳を、よくもまあ大きな声で言えたものね。ミレニア? 私は、あなたのことをもっと賢い方だと評価していたのですが?」
「えっと……」
「あなたがどう言い繕ったところで、現実問題エルザはダリウス殿下の一つ年下の女の子でしかないというのに。あなたまでそんな調子なら、この婚約……一度白紙に戻すしかないようですね」
「リーナ、ちょっと待ってちょうだい! いくらなんでも、それは「ふふふ、あなたたちは私の娘をなんだと思ってるの? あなたたちの言い訳は、どれもとても女性に対する扱いではないというのに、そんなことも分からないのかしら? 女性として扱われない家に、嫁に出しても幸せになれるはずないでしょう」」
うーん、辛辣。
でも、確かに……あまり、女性扱いはされないかもしれない。
下手したら、戦闘とかあった場合、最前線に立たせられたりとかもありえそうだし。
「しかし、この婚約は「あら? 私たちにはそこまで、この婚約は重要ではないのですよ? レオハートだけでも、スペアステージア抑えられると思いますし、そうなった時に、第二のスペアステージアにレオハートがならないようにという、あなたたち王族の保身のためでしかない婚約でしょう? だったら、もっとエルザを大事にしてくださるべきではないのでは?」」
「……」
あっ、お母様の言葉に、国王陛下も王妃殿下も黙ってしまった。
なんとか言わないと、本当に婚約が白紙に戻されかねないと思うんだけど?
お母様がこうなってしまったら、やると言ったことは必ずやるし。
お父様がそれで何度、涙を流したことか。
うん、コレクションのワインを全て、部下に配られたり。
三ヶ月ほど農民に混じって、畑仕事をさせられたり。
一ヶ月ほど、食事のときは壁に一人用の机を引っ付けて、壁を見ながら食事をさせられたり。
お父様の名誉のために詳しい内容は言わないけれど、全てお父様のやらかしに対する仕置きだ。
「義父様と、私のお父様にも相談しないと……」
「本当に申し訳なかった。だから、もう一度だけチャンスをくれないか? いや、いただけないか?」
あっ、お母様が本気だと理解した、国王陛下が折れた。
陛下が頭を下げて、お母様に懇願している。
そして、流石は王城の使用人。
陛下が頭を下げる瞬間、全員が壁の方に回れ右して耳を塞いで、見なかったこと聞かなかったことにしてる。
でも、そういった行動は、お母様を刺激することにならないといいけど。
「ふうん……随分と、教育が行き届いているのですね。王家としては公式に、この国の王太子が私の娘を公の場で侮辱したことに対して謝罪する気はないと……」
あっ……やっぱり、地雷だった。
周囲の使用人たちの行動を見たお母様が、感情の消えた表情と凄く冷めた目で国王陛下を見据えて呟くように漏らしたのを見て、終わったと理解した。
「そうですか……そうですか……」
怖い……怖い……怖い……こんなに、キレてるお母様は、初めてだよ。
「エルザ……帰りますよ」
「えっ? あっ、はい」
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「えっ?」
お母様が、何を言っているのか理解できなかった。
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