聞こえてますか!?聖主様!(格好良すぎて聖主以外目に入りません)

ユミグ

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「ご希望はございますか?聖女様」

ふあ………

うん?なんで椅子に座ってるんだっけ?

………

そうだった、召喚されたんでしたね。私。

私の背後に居る男の子と鏡越しで目が合う。

「「…」」

手が止まってるけど、どうやら髪型を整えてもらっているみたい。

どんな髪型に………

あ。

解いちゃった。

昨日居た側仕えの子達ではない。

ふわふわと触り心地が良さそうな髪質に似合った金に近い茶色、瞳も同じ色合いで可愛いって感じのお顔。

甘ったるい顔の系統がこの国では多い?というより、王の趣味なのかな?
似たような抱かせて君ばかりだ。

そしてこの子はふわふわ君と命名しよう。

寝起きがすこぶる悪い…というか、起こされても中々起きない私をその細腕で起き上がらせて椅子まで持って来たのかな?

お疲れ様です。

「ご希望はございますか?聖女様」

希望?特にないかなぁ?この国で流行ってる髪型でもなんでもいいですよ。

ふわふわ君から目線を外して鏡台の上を見てみる。

宝石が付いている髪留め、しかも大量に。

魔石はあるみたいだけど、鉱石は潤沢なのか?それとも聖女に相応しい装いを。という意味なのか。

淀みが蔓延しているこの国では鉱石を取り引きとして使い、生活を補っているのかもしれないな。

ゴクッゴクッ…

淀みで不味くなるはずの果実水も美味しいし、そういうやり方をしてる国なんだろう。

「この後されたい事のご希望はございますか?」

にっこりと笑ってご丁寧に聞いてくれるふわふわ君。

髪型ではなく、これからについて聞いていたのか。

「………地図が欲しい、それと戦力を知りたい」
「か、かしこまりました。戦力というのは魔物討伐時の戦力でしょうか?」

何処が淀みを発生しているのかは理解しているけれど、説明が出来ない。
地図を見て照らし合わせなければ教えられない。
そして私もこの国の領土を知らなければならないから地図が欲しい。

戦力が弱いというのも神から聞いて知ってはいるけれど、どれ程の弱さなのか分からないから…まずは訓練している人達を見に行くか?

「魔物討伐は兵士のみ?」
「さようでございます、騎士団の者達と神官達が討伐に出向きます。」

それなら鍛える人達はここだけでいいか。

1度私が手合わせしてみるのが一番いいかな?
こんな淀みで耐えられないのは弱いせいだ。
底上げをして、これから先の世もこの国の人達だけで生きていけるようにしなきゃいけないのも私の役目。

手合わせと、淀みがある箇所を伝えて…

私はなにをしようかな。
寝る?ああ…でも、また起こされるのか。
あっ!探検!そうじゃん!探検したいね!本も読みたいし!神殿内の探検してみたいよね!クリスタルぴかぴかー!とか彫像どーん!とかあるかな?あるよね?
こんなに宝石を散りばめた髪飾りがあるんだから、内装とかゴテゴテだよ!きっと!

せっかくだから、この世界楽しみたいなー!って思ってたから、なんの知識もいれてきてないんだよねー。
どんな魔法使うのか気になるし、私を預かってる場所は王宮ではなく神殿らしい。

神殿ってなにするのかな?「せ、聖女様……?」汚職だー腐敗してるぞーなんて事はないよね?面倒だからやめて欲しいな?

よし!そうと決まれば…

「探検」
「はいっ!?」
「?神殿内の探検がしたい」
「かしこまりました。戦力についてはいかがなさいますか」

そうだった聞かれてた、手合わせをお願いするのと、地図を…あ、地図はもう伝えたか。

「騎士と手合わせ」
「は………か、かしこまりました。」

視線をふわふわ君に戻すとまた手が止まってる…髪型なにもしないのかな?ストレートでもいいですよ?

「改めて申し上げます、光栄にも聖女様の側仕えに選ばれましたクーパーと申します。神官として働いておりますが、聖主様のお側で身の回りのお世話もしておりましたので何なりとお申し付け下さい。」

改めて申し上げますと言ったふわふわ君は、クーパーという名前以外にないみたい。
そういう国なんだろう、長ったらしい名前は覚えるのが大変だから楽でいい。

あれ?聖主様の世話をしていたと言った?聖主ってなんだ?
神殿内の偉い人かな?王みたいな?
王が召喚したのに神殿預かりになったのは、聖主の権力がある為。とか?

面倒になる前に挨拶しておきたいな。
いや、お茶でもしてみよう。

私は浄化がしたいだけ。

そこにまつりごとやらを入れ込まれると面倒になる。

住むところは快適でありたいからね。

「聖主とお茶したい」
「ビクッ!!」

ん?なんでそんな顔してるの?怖い人なの?
苦い顔?してる?

まるで隠し事がバレた子供みたいな表情だ。

「言伝があれば承ります」
「挨拶がしたい」

うわぁ…凄い目が泳いでる。
ここまでいくと“泳いでる”って表現ぴったりって感じ。

あれ?人だと思ってたけど、見えないなにかのお世話してたとかそういう系?
信じてくれるか不安みたいな?崇める存在だけど、見えてはいないモノを崇め世話をしてたとか?

「聖主様の予定を聞いて参ります」

あ、人だった。

でもね?ふわふわ君改めクーパー。
そんなに慌てなくてもどうしても我慢出来ない程に会いたい訳でも、今すぐどんな人物か確かめたい訳でもないんだよ?

忙しないね、クーパーは。

そういう子は好きだけど。

あ、まだ髪の毛梳いてくれるの?気持ちいいけど、クーパーの交代で梳かなくても大丈夫だよ?いつから櫛を通しているか分からないけどね?充分だからね?

……………

この髪飾り使う?

それとも見せてくれただけかな?
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