巡る旅の行き着く先は終焉と呼べるのか

ユミグ

文字の大きさ
108 / 247
魔王編

4-14

しおりを挟む

『なんじゃ!』
『海のおはよー、なにしてるの?』
『む?書物を…違うぞ!?茶を飲んでおる!』
『んへへー』

昔も書物を読んでいるのを隠したがる海のは今も健在だ。
私のことを調べてくれてるんだろうなって思う。

『ありがと』
『勘違いするでない!』
『んへへー』
『気色の悪い笑みをやめ!』
『魔国って美味しい物たくさんあるんだよー?』
『そうか』
『でも海のの緑茶に敵うお茶はないね!』
『ふんっ!当然じゃ!』
『いつパジャマパーティーする?』
『ぬ?』
『久しぶりに風のの惚気も聞きたいなーって』
『っ~!そんな事はせん!』
『ええー?風のが頭を撫でてくれる時実は』
『やめえええ!』
『ふふ、はあい!』
『なんじゃ?……そうじゃ……ぬ?』

どうやら風のと話しているらしい。

『風のが聞きたい事があると言うておる』
『なあに?』
『そっちに行くと』
『え!?ちょっと待ってね』

デズモンド様に許可もらわなきゃ。

「デズ、っっ、ち、近いですね…」

横を向いたら顔があったよ、怖いよ。

「どうした」
「あ、風のが会いに来るって言ってます、問題ないですか?」
「精霊の行き来に制限はない」
「分かりました」

『海の?』
『なんじゃ』
『あ、聞こえてるんだね』
『聞こえておる』
『いつでもいいよって伝えておいて』
『ふんっ!』

あ、切れちゃった。

「ヒナノ~」
「うあっ!?」

後ろから声がして驚く。
どうしてみんな今から行くよーくらい言えないかな!?

「ごめんね~?驚かしちゃった」
「平気だよ、久しぶり」
「久しぶり~デズモンドちょっと借りるよ~」
「どこへ行く」
「内緒話」
「危ないから着いていく」
「僕がいるから大丈夫だよ~」
「…」

弱いもんねぇ…

「デズモンド様海のの洋服のデザインについて聞きたいと思うんです、そういうの風のは知られたくないから…いいですか?」
「…」
「じゃぁ連れて行くよ~」
「わっ!」

あ、また赤い目になってる。
そう思った時には空の上だった。

「教えてないのあったっけ?」
「それが分かんないの~」
「ん?」
「海のがね、“耳はないか”“今度こそ…それなら安心じゃ”とか言うの分かる~?」
「ああ」

ウルフ耳と尻尾か。
どうやら風のはそこまで記憶を見れてないみたい。

「うーん、教えてあげられるけど」
「問題?」
「いまいち作り方が分からないの、絵を描いて伝えるでもいい?」
「ありがとうヒナノ!」
「んふふー、可愛い海のが見れるといいね」
「うんっ!」

ウルフ耳と尻尾を描くけどやっぱり構造が分からないなぁ…

「人間に聞いてみて?」
「それならデズモンドに聞こうよ!」
「え?でも、デズモンド様は忙しっ」
「デズモンド~」

早っ!
目まぐるしく変わる景色に追いつく日は来るのでしょうか…

「これ作れる?」
「獣?」
「あ、それは耳に着ける装飾と腰に着ける装飾なんです」
「…」
「あんまりリアリティがあると可愛くないから作り物って分かるくらいな出来上がりになれば」
「出来る~?」
「…数日待て」
「また来るね~?2人ともありがと~」
「ええ?」

風のが居なくなるのはいつもの事だけど…

「デズモンド様が作るんですか?」
「これくらいなら作れるだろう」
「凄いですね…とっても器用」
「…」

そういえばブレスレットも作ってくれたんだった。
石がコロコロ着いてる可愛いデザインはデズモンド様が考えたんだろうか。

可愛い物が好きなのかな?
にしても部屋は相変わらずボロボロなんだけど…

そんな事よりお仕事増やしちゃった。

「お仕事増やしちゃってごめんなさい…」
「構わない」
「手伝える事があったらなんでも言って下さいね?」
「…」

ちょっとだけデズモンド様を見てたけど出来る事なんてないのか話す事はないらしいので私も今度こそ本を読む。

そういえば難しい魔法書みたいだけど、随分と仕組みが違う。
こういうのが“正しい”からナインとエイスは気持ち悪いと思ったのかな。
陣も種類が豊富だから覚えていても損はないかも。

読み進めていたら夜ご飯の時間になったみたいなんだけどしばらく気付かなかった。

「いつまで魔王様をお待たせする」
「え?」

本から目を離したら目の前はお昼に来た場所だった。

「え?いつから?」
「早く食え、魔王様はお忙しい」
「え?あ、うん?え?あ、ごめんなさい!」
「…」
「いただきます!」
「いただきます…」

とりあえず食べ始めるけどせめて一言言って欲しい。

「あの、私魔法が分からなくて…だから移動したら伝えてもらえると助かります」
「…」
「もちろん気付く時もありますよ!でもでも読むのに夢中になってて…ごめんなさい」

言い訳がましくなっちゃった。

「分かった」
「ありがとうございます!」

良かった…

「なんで気付かないんだ」
「なんで気付けるの?」
「なにも分からないのか」
「多分ナインが思う以上に気付いてないかも?」
「…」

そんなどうしようもないなみたいな目で見ないで!
せめて座ってる場所から落としてくれれば気付くよ!ご丁寧に椅子から椅子へと移動されても気付けないよ!?

「あとで迎えに行く」
「どこか行くんですか?」
「風の依頼」
「役に立てますか?」
「…」
「頑張りますね!」
「…」

どうやら私でも出来る事があるらしい。

「今日もご飯が美味しいですね!」
「…」
「これもぷちぷちしてて美味し…げほっ」
「どうした」

多分毒だと思います!
思いますっていうか毒だろうね!
なかなかに毒だと判別するのが難しいらしくちょくちょくこうなる。
致死タイプじゃないのをいつも祈るばかりだね!

「ヒナノ」
「触るな」
「失礼致しました」
「げほっ!げほっ!」

デズモンド様が背中を触ったら楽になった。
早業だ、凄い力だね。

「…」
「けほっ…ありがとうございます!助かりました!」
「…」
「凄いですね!デズモンド様は凄いです!」
「…」
「ごめんなさい、続き食べま、うおっ!?」

抱き上げられたのは始めてな気がします。

「食べないと死ぬか?」

え?今度からなるべく食べるなって言われてる?

「え、と」
「1食抜いても問題ないか?」
「はい大丈夫で……へ?」

部屋のベッドに1人放置された。

「ええ?」

ポツンと座る私はなんだか今日たくさん転移されてる気がするなぁ。

「大丈夫か?」
「エイス」
「どこか痛むか?」
「ナインありがと、もう大丈夫だよデズモンド様は器用だね」
「なんであれくらいで死にそうになるんだ」
「問題ない量だったぞ」
「どうしよう…少しでも毒は毒って分かってもらうにはなんて言えばいいのかなぁ」
「「…」」

その後筋トレして本を読んで待ってたけどいつの間にかソファで寝ちゃってたらしい。

声をかけられるまで気付かなかった。

「なにしてる」
「………ん?」
「眠くないのか」

眠いから寝てたと思うんです。
なんて心で思いながら現状を思い出す。

「ん、ごめんなさい、寝ちゃいました」
「謝る事じゃない」
「だって後で迎えに行くって…ふあ、言ってたから」
「…」
「んえ?」
「付け替えろ」

目の前に浮いてるのはブレスレット。
今着けてる物とは少しデザインが変わってて尚且つ石が多く付いていた。

「機能の変更ですか?」
「毒は弾くようになっている」
「あ…」

あれからずっと作っててくれたのかな。

「面倒ばっかりかけてごめんなさい」
「構わない」
「はい、ありがとうございます」

ブレスレットを変えようとするけど眠い頭でうまく外せない。
カチャカチャと何度か動かしていたらデズモンド様が付け替えてくれた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

捨てた騎士と拾った魔術師

吉野屋
恋愛
 貴族の庶子であるミリアムは、前世持ちである。冷遇されていたが政略でおっさん貴族の後妻落ちになる事を懸念して逃げ出した。実家では隠していたが、魔力にギフトと生活能力はあるので、王都に行き暮らす。優しくて美しい夫も出来て幸せな生活をしていたが、夫の兄の死で伯爵家を継いだ夫に捨てられてしまう。その後、王都に来る前に出会った男(その時は鳥だった)に再会して国を左右する陰謀に巻き込まれていく。

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

第一王女アンナは恋人に捨てられて

岡暁舟
恋愛
第一王女アンナは自分を救ってくれたロビンソンに恋をしたが、ロビンソンの幼馴染であるメリーにロビンソンを奪われてしまった。アンナのその後を描いてみます。「愛しているのは王女でなくて幼馴染」のサイドストーリーです。

捨てられた聖女、自棄になって誘拐されてみたら、なぜか皇太子に溺愛されています

h.h
恋愛
「偽物の聖女であるお前に用はない!」婚約者である王子は、隣に新しい聖女だという女を侍らせてリゼットを睨みつけた。呆然として何も言えず、着の身着のまま放り出されたリゼットは、その夜、謎の男に誘拐される。 自棄なって自ら誘拐犯の青年についていくことを決めたリゼットだったが。連れて行かれたのは、隣国の帝国だった。 しかもなぜか誘拐犯はやけに慕われていて、そのまま皇帝の元へ連れて行かれ━━? 「おかえりなさいませ、皇太子殿下」 「は? 皇太子? 誰が?」 「俺と婚約してほしいんだが」 「はい?」 なぜか皇太子に溺愛されることなったリゼットの運命は……。

どちらの王妃でも問題ありません【完】

mako
恋愛
かつて、広大なオリビア大陸にはオリビア帝国が大小合わせて100余りある国々を治めていた。そこにはもちろん勇敢な皇帝が君臨し今も尚伝説として、語り継がれている。 そんな中、巨大化し過ぎた帝国は 王族の中で分別が起こり東西の王国として独立を果たす事になり、東西の争いは長く続いていた。 争いは両国にメリットもなく、次第に勢力の差もあり東国の勝利として呆気なく幕を下ろす事となった。 両国の友好的解決として、東国は西国から王妃を迎え入れる事を、条件として両国合意の元、大陸の二大勢力として存在している。 しかし王妃として迎えるとは、事実上の人質であり、お飾りの王妃として嫁ぐ事となる。 長い年月を経てその取り決めは続いてはいるが、1年の白い結婚のあと、国に戻りかつての婚約者と結婚する王女もいた。 兎にも角にも西国から嫁いだ者が東国の王妃として幸せな人生を過ごした記録は無い。

【完結】明日も、生きることにします

楽歩
恋愛
神に選ばれた“光耀の癒聖”リディアナは、神殿で静かに祈りを捧げる日々を送っていた。 だがある日、突然「巡礼の旅に出よ」と告げられ、誰の助けもなく神殿を追われるように旅立つことに――。 「世間知らずの聖女様」と嘲笑された少女は、外の世界で人々と触れ合い、自らの祈りと癒しの力を見つめ直していく。 やがてその“純粋さ”が、神の真の意志を明らかにし、神殿に残された聖女たちの運命さえも揺るがすこととなる。

処理中です...