隠居老人に自重は必要ない

風紀医院長

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冒険の国

指導官

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 シュート君に会ったあと、リンさんソーニャさんと合流した。ソーニャさんは奇声を発しながら失神した。

 数十分後、シュート君が借りている部屋でソーニャさんが目覚める。あのまま食堂で話していたらボロが出るかもしれないからだ。
「えーそれでは、今日から仲間に入れてもらうドラメリアです。よろしくね」
「え?本当…に?」
 リンさんが凄い不信感MAXな顔で見る。
「いや本当本当。シュート君に誘われたから」
 今度はシュート君の方を見つめる。シュート君は少し気まずそうに目を逸らしている。
「なにか言ったらどうなのよ」
「えっと…あの…誘っちゃいました」
 そう言った瞬間、シュート君の顔は後ろの方に消えていた。リンさん顔面をぶん殴ったようだ。
「なんて人を連れてきてんのよ!!ドラメリアさんがいたら私達なんていないのと同然でしょ!!」
 シュート君の服を握りながらリンさんが振りまくる。
「あ、その点は大丈夫ですよ。私は基本手を出さないようにするので」
「え?」
「あれですよ。指導とかをメインにしますので。もしもの時に助けるぐらいですよ」
 シュート君が「ええ」と言いたげな顔で見てくる。
「いや、まあ、本当に仲間として行きたいけど…多分思い通りにいかないかも」
「と言うと?」
「…昔の友人がギルドで働いていてね。それも上の方の。何かと顔を出せとか会いに来いとか言ってきて…会ってないから、なにかしかけてるかも…」
「それってドラメリアさんが悪いんじゃ」
 私は何も言わずに目をそらす。
「いやぁ、会った瞬間「婚約しないか?」とか「いい子がいるんだけだなぁ」とか言ってくるから…」
「ちなみに結婚などは!!」
 ソーニャさんが食い気味に話しかけてくる。
「えっと、今の所はないかな」
「ゼァ!!」
 謎の声と共にガッツポーズをするソーニャさん。打ち所悪かったのか?
「ま、まあ、そういうことだから。ギルドに行ってからのお楽しみかな?」

 えっと、面倒事になりました。経緯を説明しようと思う。
 まず、ギルドに向かいます。シュート君達は馴染みの受付嬢さんに呼ばれたようで裏に回った。
 私はそ冒険者として登録しようと受付に行ったら案の定、旧友が罠をしかけてました。
『何処ほっつき歩いてたんだい!!一切顔も出さずに!!』
 旧友の立体映像が私を問い詰める。
 冒険者登録は、血を魔道具の水晶に垂らして個人を特定してから登録が可能。そう、私のデータをしっかりと保存されていたようで、私が登録する際にこの映像が出るように仕掛けられていた。
 旧友は前見た時よりもシワが増えており、恐らく前会った時よりも結構後に撮影されたやつだな。
『今、シワが増えたって思ってるんだろ』
 バレテーラ。
『あんたがずっとずっとずっとずっと!!会いに来なかったからこうなってるんだよ!!恐らく私は死んでるよ』
 あぁ、流石にか。森人族とは言え600年は無理か。
『死んでから会いに来たあんたへの腹いせはこれで十分だよ!!』
 そう言って映像は途切れ、魔道具から冒険者登録カードが発行された。
 カードには私の名前とランクが書かれていた。ランクはEXと書かれていた。
 …私の記憶にはEXと言うランクは存在しないと記録しているのだけど。
「あの、すいません」
 未だに呆然としている受付嬢さんに声をかける。
「あ!!すみません。えっと、こちらカードです。ランクは…EX?少々お待ちください」
 受付嬢さんはカードを一瞥したら2度見をした。その後カードを見ながら本を見る。どうやらマニュアルのような物らしい。
「えっと、EXランクの冒険者での登録は…え?」
 どうやら該当した欄を見つけたようで、読んでいたら唐突に声が漏れていた。
「大変お待たせしました。こちらカードになります」
 受付嬢さんは真顔でカードを渡す。
「えっと、EXランク冒険者様の説明をしてもよろしいでしょうか?」
 真面目な顔で言う。
「はい」
「EXランクの冒険者様はランクが上昇することはございません」
「え?」
「これには理由があり、どうやらEXは最上級のランクとなっています。そして依頼はEX専用のみ受けて良いということになっています」
 あいつ!!…職権濫用にも程があるだろ。
「ただし、冒険者育成はいつでもおこなって良いとなっています」
 なるほどな。私が戻ってきた時は面白いやつを見つけた時と踏んでいたようだな。正解だよ。
 とりあえず、ここは大人しく言うこと聞くか。
「かしこまりました。そういうことでしたら大丈夫です」
「理解して頂きありがとうございます。ちなみに現在はEXランクの依頼は情報にございませんので、情報が来次第連絡を入れたいと思います」
「ありがとうございます。私のマフォンの連絡先は書いておきましょうか?」
「あ、私のマフォンと繋げて頂いても大丈夫でしょうか?こちらで登録しておきますので」
「……?はい、それでよろしいのであれば」
 私は受付嬢の方に連絡先を繋げる。
「改めまして、私はここ冒険者ギルド副マスターメイルと申します。メイル・ラメールです。今後ともよろしくお願いします」
 あら、副ギルマスだったのか。なら登録も合ってるか?
「これはご丁寧にありがとうございます。私はドラメリアと申します。これからお世話になります」
「はい、こちらこそ」
 挨拶が済んだ時にシュートくん達が帰ってきた。
「ドラメリアさんお待たせしました!!」
 シュートくんがリンさん達を引き連れて帰ってきた。
「いや、今登録が済んだところだから大丈夫だよ」
「あれ?メイルさん。私の代わりに受付してくれたのですか?」
 紫髪の受付嬢さんが不思議そうに見ている。

 ちなみに冒険者ギルドの受付は4つあり、それぞれ担当であろう人の名前が立てかけてある。それだったら、この紫髪の人はウェンリさんか。
 私が登録する際に、何故か後ろにいた冒険者達が別の受付に向かったのはメイルさんがいたから?あ、もしかしてあの圧ってそう言う。

「ええ、少し気になるお方がいてね。このドラメリアさんなのだけど、本当に凄い方だったわ」
 目の前で言われると少し気恥しいな。
「ちょっとした訳ありなだけですよ」
「ん?なんですか?もしかして、どこかの国で活動されてたXランクとかですか?」
「それで落ち着いていたらよかったんですけどね」
 メイルさんがニッコリとこちらを見る。
 思わず苦笑いをして頬をかく。
「まあ、シュート君たちには迷惑がかからないから大丈夫だね」
「迷惑なんて、誘ったのは俺なので別に大丈夫ですよ」

 その後は特にこれといったことは起こらず、シュート君たちを指導するためにゴブリン討伐の依頼を受けた。本来シュート君たちでは受けれないが、私が監修する条件の下許された。

「さて、まずはシュート君たちの実力を見てもいいかな?」
 ゴブリンが居る森に到着してシュート君たちに言う。
「はい!!よろしくお願いします」
 やる気は良い。リンさんは冷静でもう周りを警戒していた。ソーニャさんは私の方をチラチラと見て興奮している。
 こんな様子だったから心配していたのだが…杞憂で終わった。
 シュート君達は思った以上に強い。
 まず、リンさんが敵を感知する。そしてシュートくんが大剣を動かせれる隙間を見つけてそこを陣取る。
 ソーニャさんは魔法の準備を整えていたが、先程の興奮はどこへやら。全てそつなくこなしていく。恐らく同時に3つの魔法をストックしている。
 リンさんは木の上に移動してタイミングを図る。そして一矢放つ。
 見事に出てきたゴブリンの集団の盾持ちの眉間を撃ち抜いた。そしてゴブリンが混乱する前に、シュートくんが集団に近づき大剣で薙ぎ払った。最初の3体は胴を真っ二つにされた。残りの3匹は横に吹っ飛ばされる。倒れた所にソーニャさんの魔法がゴブリン達を撃ち抜く。
 正直呆然としたよね。チームワークがいい所の話じゃない。これなら直ぐに上にあがれる。
「どうでした!!」
 シュートくんが、討伐証明用の右耳を腰にぶら下げながら聞く。
「いや、正直驚いたよ。シュートくんはしっかりと大剣の動きを理解しているね。森で大剣は、扱いにくい代表のような武器なのに…」
 シュートくんは嬉しそうに笑う。
「リンさんは感知してからの動きが早くて良かったよ。そして綺麗に眉間を1発…かつ盾持ちの」
「…ありがとうございます」
 褒められ慣れてないのか、少し赤面する。
「ソーニャさんはストックが綺麗でよかったよ。そして、発動が早くてシュートくんが薙ぎ払ったやつを綺麗に撃ち抜けてたね」
「……」
 ソーニャさんは照れると思ってたが、どうやらストックについて驚いている。まあ、感知しないと分からないからな。
「うん、正直動きに関しては何も言うことがないね。森での討伐は慣れてる?」
「えっと、故郷での生計が狩りメインだったので」
 なるほど生まれた時からハンターか。
「私は、両親が魔法に精通しておりましてぇ。その結果昔から魔法に触れてたのでぇ」
 英才教育ってモノか。
「あとはそうだな。この動きに合わせれる人がそうそういるかだね」
 3人とも疑問符を浮かべている。
「このまま進んでいくと、ある程度順調に事を進めることはできると思うんだ。でも、必ず壁に当たって停滞する時がある。その時対処しようとしたら新しい人材を入れるか、限界突破を無理やり行うか。この二択のうち1つを選ばないといけない」
 ゴブリンが後ろから飛びかかって来たけど無視して斬る。
「限界突破は正直厳しいかな。ここには、才能と努力を今まで以上に発揮しないと上には行けない。まあ、いつかはしないといけないけどね。で、手っ取り早いのが仲間を増やす。でも、今のままだと他の人が入ったらこの連携が崩れそうなんだよね」
「それだったら無理に入れなくてもいいのでは?」
 リンさんが至極真っ当なことを言った。
「無理に入れなくてもいいよ。でも、もし何かあって別の人達と行動する時に普段通りに動けず終わることがあるからね。んんん…あれだな。他の人がいても完璧に動けるようにする訓練が必要だね」
 空から鳥型のモンスターが突っ込んできたが、無視して焼く。香ばしい鶏肉が完成した。
「よし、それじゃゴーレムを使うか」
 シュートくんとリンさんが「え?」と言いたげにこちらを見る。ソーニャさんはすごい笑顔でヨダレが垂れてる。
「シュートくんには前衛1体、後衛2体ね。リンさんとソーニャさんは前衛2体と後衛1体。ちなみに強さは冒険者だったらAランクぐらいかな」
「え!?さすがにAランクは…」
 シュートくんは少し慌てる。
「君達にはそれほどの素質がある。素質がないなら一緒にパーティーを組もうとは思わないよ」
 私はそう言って[始まりの星]から、細長い岩が人型にくっついたような無骨なゴーレムを呼び出す。
「こいつらの名前は特にきめてない。だから好きに呼んでね」
「えっと、前衛?」
 シュートくんが心配そうに見る。
「その点は安心して、このゴーレムは自己進化型だから。一緒に行動した人の思いを汲み取って進化していくよ。例えば盾持ちを思い浮かべたら、腕を縦に変化させたり全身が硬くなったり様々な進化をするんだ」
「それってもしかしてこの前新しく発見したヲモイメタルを使用してるんですか!?」
 ソーニャさんが興奮気味に言う。
「よく知ってるね?そう、このゴーレムの核と体は全てヲモイライトを使ってるんだ」
「えっと、ヲモイライト?」
「そう。手に取っている者の意図を汲み取り、自由に形が変化する金属なんだ。この金属のインゴットを持って剣を思い浮かべると剣に変化する。槍だったら槍、モーニングスターだったらモーニングスターに。まあ、その想いが強くないと強度には期待しない方がいい。そして使用者が、その思い浮かべた武器にピッタリだと感じたらその形を保ちレベルアップが行われる。ま、簡単に言えば変幻自在の意識を持った金属だと思って」
 ソーニャさんはすごく興奮して頷いているが、他の2人はよく分からなかったようで疑問符が頭に浮かんでいる。
「まあまあ、説明はこのくらいでとりあえずそのゴーレム達を信用してみて。そしたら驚く結果になるから。ちなみにゴーレム達にも意思が存在するからね。本当の生き物だと思って接してね。さあここで、突然だけど今からとあるゲームをします」
「え?」
「今から夕暮れまでこの森でハントをしてもらいます。動物でも魔物でもなんでも。1番多く獲物を仕留めた人には、とあるプレゼントがあるからね。それじゃ、私は見守るね」
 私はそう言って姿を眩ませる。ずっと私がいたら緊張感が薄れるだろうという考えの元だ。
「え?ちょっとドラメリアさん!?」
 シュートくんは焦っているようだ。
「あ、これはお試し的な物だから気軽にね」
 声だけかけておく。
「唐突すぎません!!」
 シュートくんがなにか叫んでるけど笑って過ごすしかないね。


 ~説明~
 ゴーレムとは?
 ゴーレムとは魔力を栄養として動くことが出来る人形である。野生のもいれば、人工的に作成されたのもいる。見た目は十人十色で、同じような見た目だが少しだけ形が違うなどがある。
 ゴーレムには心臓となる核が存在しており、その核の性能によりゴーレムの性能も変わってくる。核の性能は素材によっても変わるが、内包されている魔法陣によっても変わる。鍛造の際にヒビや傷が入ったら、ゴーレムの性能に支障をきたす。
 もしゴーレムを作成するのであれば錬金術、鍛治、魔法の知識を持っていなければ作成は不可能に近い。

 ゴーレムの作り方
①核の素となる鉱石を決める(魔石でも可)

②鉱石を好きな形に鍛造する(決まった形は存在しない)

③完成した核にゴーレム用の魔法陣を刻む(少しでもズレたら修正は不可)

④核に錬金術により保存力を強化する

⑤核を入れる所を作成したゴーレムの体にはめ込む(体は核を入れる所さえ作れば自由)

⑥魔力を込め、流れ始めたら完成


 ゴーレムにあった素材ランキング(TOP3)

1位:ミスリル(シンプルイズベスト。魔力が通しやすく(魔力伝導率)頑丈。困ったらミスリルに頼るべし)

2位:ミスリライト(ミスリルと高度30kmに浮かぶ島で採れるバルーンライトとの合金。ミスリルの魔力伝導率を維持したまま、バルーンライトの軽さをプラス。ただし、少し柔らかくなるため防御面には不安が残る。運送用ゴーレムなら最適解)

3位:オリハルコン(頑丈特化の鉱石。作成するには相当な手間がかかるため、そこも考慮すれば3位以下に収まる。魔力伝導率は著しく低いが、シンプルに大きさを求めたら圧倒的な破壊力を産む)
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