『よつばのクローバー』

うどん

文字の大きさ
4 / 11

4.『主従契約』

しおりを挟む



羽曇組に囚われたワタシは薄汚れた六畳の部屋で組の専属医師『月下カオリ』と出会った。
ワタシは月下カオリの罠にまんまとかかり、麻酔薬で身体の力が出なくなった。
意識がハッキリしているのに指一本動かせない。

「さて・・・」
月下カオリは自身のカバンから小さなケースを取り出した。
中には注射器が入っていた。

「すみませんね、これも仕事なので。」
月下カオリはニトリル手袋を装着し、注射器を取り出す。
そして注射器に薬液を入れ始めた。

「この薬はチオペンタールを少し調合した薬です。・・・まぁ自白剤ってやつです。ほら、よくドラマとかであるでしょ?」
月下カオリは微笑みながら注射器に入れた薬液の説明を始めた。
けど既にさっきくらった麻酔薬が頭にも回ってきたのか、意識がぼんやりしてきた。
ワタシのその様子を月下カオリは見逃さなかった。

「おや?意識がぼんやりしてきましたか?あなたは薬が効きやすい体質なんですね。・・・じゃあもしかしたらコレは必要無いかもしれませんね。」
月下カオリは取り出した注射器を一度ケースに戻した。
そしてワタシに質問を始めた。

「あなたが持っていた銃、あれを何処・・・」
ワタシは月下カオリの質問をぼんやりしてきて聞き取れなかった。
そしてワタシの意識はゆっくりと暗闇に落ちてしまった。


次に目が覚めた時はワタシは裸にされ、ベッドに拘束されていた。
腕には点滴のようなものが打たれていて、まだ身体の感覚が無い。

「おはようございます。」
横を見るとそこには折り紙で折り鶴を作っている月下カオリがいた。

まだ麻酔が効いているのか、舌が上手くまわらず喋るのもままならない。

「気分はどうですか?吐き気や頭痛はありますか?」
月下カオリはまるで問診のように質問を始めた。いや、医者だから問診は当然か・・・。
しかし不思議な事に、そして奇妙な事に何故だかワタシは無意識に月下カオリの質問に素直に応答していた。
月下カオリはカルテらしきものになにやら書き込んでいた。
その後も幾つかの質問が続いた。
体調を崩したのはいつだとか服用中の薬だとか以外に、異性同性の肉体関係や性交渉等全く関係の無いようなこともワタシはそれを全て正直に素直に答えていた。
そして聞き取れずにいたあの質問がくる。


「・・・なるほど。ではまたもう一度聞きますが、あなたが持っていた銃は何処で誰から手に入れましたか?」
意識を失う寸前の聞き取れなかったあの質問。
羽曇組若頭 渋川ジンがもっとも欲しがっている情報。
その何度もされた問いにワタシはずっと沈黙を貫いてきた。

しかしワタシはその沈黙を自ら破ることになる。

「・・ちゅ・・中国人・・から・・・」
ワタシは嘘偽りなく無意識に喋ってしまっていた。

「・・・中国人・・・ですか。」
月下カオリは少し考え込む身振りをした。

「その人物は男でしたか?」

「ちが・・・う。女だった・・・。」

そう。ワタシが銃を譲り受けた相手は中国人の女だった。

「なるほど。では、銃はヤクザとは関係無いトコロから手に入れた・・・ということで合ってますか?」


「・・・はい。」



そこから先のことは正直あまり覚えていない。
気がつけば時間は経ち、ワタシは裸のまま月下カオリの足元に頭を垂れ、月下カオリのことを『ご主人様』と呼び、そしてご主人様の事を愛するようになっていた。


いったいどんなクスリを使ったんだ?等とそんなことは微塵も脳裏に浮かんでこなかった。

ワタシは月下カオリというご主人様に身も心も捧げ、主従契約をした。


こうしてワタシは羽曇組の監視から解放され、ワタシは月下カオリに飼われることになった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

世界の終わりにキミと

フロイライン
エッセイ・ノンフィクション
毎日を惰性で生きる桐野渚は、高級クラブの黒服を生業としていた。 そんなある日、驚くほどの美女ヒカルが入店してくる。 しかし、ヒカルは影のある女性で、彼女の見た目と内面のギャップに、いつしか桐野は惹かれていくが…

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

エリート警察官の溺愛は甘く切ない

日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。 両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...