『ブラックボックス』

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〜第1章〜

㉜『〜リン奪還編〜最悪の再会』

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隣のビルに飛び移った2人はリンと合流するため、ビルの出口を目指した。

みつ「リンはどの方向に行ったんだ?」

しお「北に進んで走っていった。まだそんな遠くへは行けてないはず。」

みつ「なら急いだ方がいいな。けど顔は見られてないからといって走ってビルを出るのは目立ち過ぎる。なるべく歩いて出よう。」
しお「おっけー」

2人が乗ってきたバイクは少し離れた路地裏に置いている。
2人はビルを出てバイクを置いている場所に向かう。

しお「そういえば、別の部屋からリンさんの警察手帳を拾ったよ。服はハサミかなんかで着られてて駄目だったけど。」

みつ「上出来だ。合流したらリンに渡してやってくれ。」

しお「そうするよ。けど奴らの情報はなにも見つからなかった。」

みつ「とりあえずは救出出来たんだ。今回はそれで充分だ。」

2人は小声で話しながら路地裏に入る。

しお「そうだね。リンさんにはレスキュー代として別途請きゅッ!?……」


しおんが突然倒れる。


左腕からは血が出ていた。

みつ「しおん!おい!どうした!?」
みつれは左腕をおさえてるしおんをみる。

みつ「血が出てる。…銃弾!?」


?「久しぶりだねぇ。」


後ろから声がした。

みつれが振り返ると影に隠れて誰かはよく見えないがサイレンサーを装着した銃を持っていた。


みつれはサバイバルナイフを取り出して構えた。

みつ「誰だ!?」

?「おや、忘れたのかい?私だよ。『ポチ』。」


みつ「ッ!?…う、うそだろ……」


影から現れた人物は、3年前にみつれを監禁していた躾役の『スイ』だった。


みつ「あ、アンタ…死んだはずじゃ……」


スイ「ずっと会いたかったよポチ。やっと会えたね。私のポチ♡」

しお「み、みつれさん…誰?…そいつ…」

しおんは痛みに耐えながら左腕をおさえて立ち上がった。
しおんはみつれに質問したが返答が無い。


みつれは呼吸を荒くして震えている。

スイ「また昔みたいに可愛がってあげる♡アンタの何もかも、また私が管理してあげる。」

スイは銃を構えながらにじり寄ってくる。

みつ「はぁ…はぁ…はぁ……」
スイをみて怯えるみつれ。
ナイフを落とし、腰を抜かして失禁した。


スイ「おやおや、粗相はダメだよポチ。出すならちゃんと許可取らないと。昔みたいに言ってごらん?『ポチの排尿の許可をお願いします。』ってね。」

みつ「あぁ…あぁ………」
ガチガチと震え、目には涙をためながらスイから目を離せれないみつれ。
彼女は1歩も動けなかった。

異常なほど怯えるみつれをみるしおん。

しお「((なんだ!?なにがどうなってる!?こんなみつれさんは初めてだ…))」

スイはしおんに銃口を向ける。

スイ「お兄さんには悪いけど、その女を寄越しな。じゃないと撃ち殺す。」


しおんは本能的に命の危険を感じ、
ビルから盗ってきた発煙弾をとっさに投げた。

スイ「ッ!?」


辺り一面煙に包まれる。

しおんは急いでみつれを抱えてバイクに乗せて逃げた。

煙幕の中、スイは微笑む。

スイ「・・・また会おうね。ポチ。」

スイはその場から姿を消した。



しおんの後ろで放心状態のまま震えているみつれ。


しお「((危なかった。奇跡的に逃げれた…))」


しおんはしばらくバイクを走らせた後、
狭い路地にバイクを止まった。

しお「みつれさん。大丈夫?」

みつれからは返事は無く、まだ震えていた。

みつれをバイクから降ろして一度落ち着かせる。

しお「落ち着いて。みつれさん。僕をみて。」
ずっと放心状態のみつれ。
しおんはとにかくみつれを落ち着かせるしかなかった。

するとしおんのスマホの着信が鳴る。
知らない番号からだった。
電話に出るとリンの声がした。

リン「しおん君!今どこ?無事?」

しお「リンさん!無事に逃げれたの?」

リン「私は大丈夫!しおん君とみっちゃんは!?大丈夫!?」

しお「なんとか逃げれたけど…大丈夫じゃあないかな…」
しおんは撃たれた傷が痛んだ。
アドレナリンが出て痛さを忘れていたようだ。

リン「今そっちに行く!どこ!?」

しお「無我夢中で来たから分からない…。『サファイア』って店の看板がみえる……ぐっ…」

リン「わかった!!すぐ行く!待ってて!!」

リンは電話を切った。

しお「…みつれさん…もうすぐリンさんが来るよ。もう大丈夫だから……。」
しおんの意識が遠くなる。
かなりの出血だった。

しお「((くそ…だめだ……まだ……ま………))」

パトカーのサイレンの音が聞こえる。

しお「((リンさん……かな………よかっ……))」
しおんはその場で倒れた。
みつれは震えたまま動けなかった。

数分後にリンと警察官が到着する。
リン「みっちゃん!!しおん君!!」


リンは2人を発見した。
血を流して倒れてるしおんと放心状態で震えているみつれを見て、ただ事では無いと気付いた。


リン「救急車呼んで!!はやく!!」


2人は病院に搬送された。




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