『ブラックボックス』

うどん

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〜第4章〜

109.『夢』

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ハナは車の中でしおんの帰りを待っていた。


ハナ「しおん君…なにしてんねんやろ…あっ…出てきた。」


ハナは店を出るしおんに気がついた。
ハナは車を降りて迎えに行こうとしたが、しおんの横によつばがいることに気がついた。


ハナ「おやぁ……もしかして……」

ハナは少し様子を見ることにした。



しお「ありがとう、よつばさん。ここで大丈夫だよ。」


よつ「・・・」


よつばは黙っていた。


しお「よつばさん?」


よつ「アンタ…また危ないことしようとしてるだろ。」

よつばはしおんの手をぎゅっと握った。

しお「ごめんねよつばさん…。けどようやく父さんを見つけたんだ。決着をつけなきゃ…。」

よつ「・・・死ぬんじゃねぇぞ…絶対に...…」

しお「・・・約束する。そしてまた会おう。」

よつばはしおんの手を離した。

しおんはハナの車に乗り込んだ。


しお「お待たせしました、ハナさん。」

ハナ「もうええんか?あの子、しおん君の…」

しお「出してください。」

ハナ「え?う、うん…」

ハナは車を走らせた。


よつ「((・・・しおん………))」

よつばは店の中に戻って行った。



ハナはしおんを連れて病院へ戻る。

しおんはずっと店の方向を見ていた。

しお「ハナさん、この事はみつれさんとリンさんには内緒にしてください。」


ハナ「・・・わかった。絶対言わんわ。」


しお「・・・さっきの女性が僕の大切な人です。」

ハナ「ほなあの子がよつばちゃん……可愛らしい子やん。」

しお「はい……とても素敵な人です。まさかこんな早く再会することになるなんて…」

しおんは俯いていた。

ハナ「・・・この件が終わったらまた会いに行ったらええやん。な?」

しお「・・・はい。」

そうしてるうちに病院に到着した。

ハナはしおんを病室まで戻した。

ハナ「しおん君、ウチいったん署に戻ってまた来るわ。なんかいるもんある?」

しお「大丈夫ですよ。ありがとうございます。」

ハナ「ほんま?んなまた後でな。」

ハナは病室を後にして署にむかった。



しおんはカオリから受け取った薬を見つめる。

しお「・・・まだ飲むのはよそう…」

準備は整った。
夕方まで時間はある。


しおんは少し休んだ。。。







しおんは夢を見ていた。


小さい頃の記憶。

父親と母親と3人で遊園地に行った時の記憶だった。

家族3人で笑い合いながらコーヒーカップに乗った記憶。

家族3人で食べた遊園地のハンバーガー。

『頬っぺについてるぞ。』と優しく拭き取ってくれた父親。


父親に肩ぐるまをしてもらって観れたショー。

母親はニコニコしている。

そんな楽しい幸せなひと時。

しかし、父親はしおんと母親を置いて何処かへ歩いていく。

辺りは一面炎に包まれる。
父親は炎の中を歩いていく。

追いかけようにも追いつかない。

しお「待ってよ父さん!!!」

いくら叫んでも父親には届かなかった。



ユウ「しおん。サヨナラだ。」



しおんは目が覚めた。

しお「・・・夢………」


カエ「大丈夫ですか?」

病室にはカエデとハナが居た。

しお「カエデちゃん?…ハナさんも……」

ハナ「えらいうなされてたで?大丈夫か?」

2人は心配してしおんを見ていた。


しお「・・・大丈夫です。ごめんねカエデちゃん。」

カエ「ならよかったです。お水どうぞ。」

カエデはしおんに水を渡した。

しお「ありがとう。けどなんでカエデちゃんがここに?」

ハナ「署に戻ったらカエデちゃんがおったんや。しおん君と連絡つかへんー言うて。事情説明したら私も行くってきかへんかったんや。せやからウチが連れてきた。」

しお「そうだったんですね。…心配かけてごめんねカエデちゃん。」

カエデは首を横に振った。

カエ「無事でよかったです。私に出来ることはありませんか?」

しお「じゃあ悪いんだけどなにか食べる物買ってきてくれないかな?病院の近くにコンビニがあるから。」

しおんはカエデに財布を渡した。

カエ「わかりました!買ってきます!なにか食べたいモノありますか?」

しお「・・・ハンバーガーかな…」

カエ「わかりました!行ってきます!」

カエデは病室を出た。


ハナ「・・・しおん君、ほんま大丈夫かいな。」

ハナはしおんを心配した。

しお「・・・夢を見たんです。僕が小さい頃、父さんと母さんで遊園地に行った日のことを。」


ハナ「・・・まだ無理に決着つけんでもええんちゃうか?身も心も持たんで?」


しお「大丈夫です。それにこの機会を逃したらもう二度と父さんに会えない気がして…」

ハナ「せやけど………」

しお「今日僕は必ず父さんを止める。止めなきゃいけないんだ…ッ!」

しおんはカオリから受け取った薬を飲んだ。


しおんは時計を見る。

しお「もう時期みつれさんとリンさんが来るね。僕も支度しよう。」

しおんはスっと立ち上がった。

ハナ「しおん君!?まだ無理したらアカンて!」

しお「大丈夫です。痛み止め飲みましたから。」

しおんは着替えた。

ハナは心配そうに見つめるしか出来なかった。


しばらくするとカエデがみつれとリンを連れて戻ってきた。

しお「みつれさん、リンさん。」

リン「下で偶然カエデちゃんと出くわしたよ。…準備出来たみたいだね。」

しお「はい。行きましょう。」

みつ「お前の考えとやらは車で聞く。行こう。」

みつれはカエデに告げる。

みつ「カエデさん。すまないが今から行くところがあるんだ。申し訳ないが家に帰っててくれるか?」

カエ「・・・わかりました。これを皆さんで。」

カエデはコンビニの袋をみつれに渡した。

みつ「ありがとう。カエデさん。」

カエデはしおんに財布を返した。

しお「わざわざごめんね、カエデちゃん。」

カエ「いいえ、大丈夫です。…頑張ってください。」

カエデは病室を出た。


しお「・・・行きましょう。」


4人は車に乗り、ユウゼンの待つ廃ビルへむかった。。。
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