『ブラックボックス』

うどん

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〜第5章〜

152.『カエデの意志』

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みつれとカエデはバイクに乗って街を走る。


カエ「あの…みつれさん、どこに行くんですか?」


みつ「着けばわかる。」


バイクを走らせて1時間。
2人は旅館に到着した。


カエ「ここは…旅館ですか?」


みつ「そうだ。私が旅した時に1番良かった旅館だ。日帰りで部屋付きの風呂で貸切で入れるんだ。」


みつれとカエデは旅館に入っていった。

みつれは受付を済ませ、部屋に通される。


カエ「うわぁぁ…凄い……」

その部屋は和テイストの部屋で畳のいい香りがした。


みつ「こういう旅館は初めてか?」

子どもらしく興奮しているカエデを見てみつれは微笑んだ。


カエ「はい!初めてです!」


みつ「ここは私のお気に入りでしおんにも教えていない場所だ。」


カエ「え?なんでしおんさんに教えてないんですか?」


カエデは首を傾げながらみつれに訊ねた。


みつ「私は構わないんだがアイツ一緒に風呂とか嫌がるんだよ。」


カエ「あぁ…まぁそうですよね。」


当然のこと過ぎてカエデは苦笑いをした。


カエ「けど、なんで私に?」


みつ「まぁお詫びみたいなもんだ。」


カエ「お詫び?」


カエデは首を傾げる。


みつ「さっきはキツく言ってすまなかった。反省するよ。」


みつれはカエデに謝った。


カエ「そんな…謝らないでください。私こそごめんなさい。」


カエデもみつれに謝った。

思わず笑う2人。


みつ「フッ、というわけでくつろいでくれ。私は風呂に入る。」


カエ「わ、私も一緒に入ってもいいですか?」


みつ「もちろんだ。一緒に入ろう。」

2人は部屋にある露天風呂に移動した。


カエ「うわぁぁぁぁ」

初めての露天風呂に感激するカエデ。

みつれは服を脱ぎ始める。
カエデはみつれの裸体に目を奪われていた。


カエ「((みつれさん……スタイルいいなぁ…かっこいい……。あっ、下の毛生えてないんだ……私と一緒だ………。))」


みつ「どうした?ボーッとして。」


みつれが首を傾げてカエデを見つめる。


カエ「ふぇ!?な、なんでもないです…」


2人は身体を流して、風呂に浸かった。


カエ「はぁぁ……気持ちいい……」


嬉しそうにしてるカエデをみて微笑むみつれ。


みつ「カエデ。さっき『みんなを守るチカラが欲しい』って言っていたな。どうしてなんだ?」


みつれがカエデに訊ねた。
みつれに映っていたカエデの目には強い意志を感じていた。
その理由が気になったみつれ。


カエ「・・・私は…いつも周りの人に助けてもらってきました。お父さんやお母さん、学校の先生や友だち。もちろんみつれさんにも、しおんさんにも、リンさんにも、ハナさんにも、みんなに助けてもらってきました。あの事件以来、私もみつれさん達みたいに周りの人を守ったり助けたりしたいんです。」


カエデは自分の思いを語った。


みつ「・・・そうか。」


カエ「あの事件の後、ケイ君と別れたんです。」


みつ「そうなのか?なんでなんだ?」


カエ「言われたんです。『カエデちゃんを守ってあげなきゃいけない僕がこんな目にあって、もしかしたらまたこういうことがあるかも知れない。心配させたくないし巻き込みたくないから。』って。……私、なんかわからないけどカチンときちゃって……。まるで私が何も出来ないと思われてるみたいで……けど実際何も出来ない私にイラついて……。その後2人で話し合って別れました。」


カエデは湯面に映る自分の顔をみていた。


カエ「私はみんなを守れるチカラが欲しいんです。だからみつれさんとしおんさんに『カモミール』に入れてもらえるように頼んだんです。」


みつ「・・・そうだったのか。お前の気持ちも分かる。私はちょうどカエデの歳くらいに家族を失ってな、身寄りの無い私を周りの人達が助けてくれたよ。だから強くなろうと軍人の道にいった。まぁ復讐の為でもあるけどな。私もカエデと同じ、チカラが欲しかったんだよ。」


みつれはカエデの手を握った。

みつ「チカラといっても色々ある。しおんのようなハッキング技術だったり、リンの警察のチカラだったり、私の戦闘技術だったり色々ある。その色々ある中でカエデ自身が身につけたいチカラを探したらいい。」


カエ「ありがとうございます。頑張ります。」


みつれはカエデに微笑んで、ゆっくりと露天風呂で身体を休めた。。。

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