『ブラックボックス』

うどん

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〜第5章〜

160.『拒絶。そして……』

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ハナに取引を持ちかけられたみつれ。


みつれは選択を迫られる。


みつ「・・・わかった。シロサキはリンと落ちたの見ただろ。1階にいるはずだ……」


ハナ「案内しろ。妙な真似したら撃ち殺す。」


いまのみつれは銃も無ければサバイバルナイフも無い。
ハナに撃ち抜かれた腹部からは血が流れている。


みつれはハナの言う通りにするしかなかった。


みつれは歩き始める。

みつ「(くそ……どうすればいい……)」


みつれは2人が落ちた場所まで歩いた。


到着するとリンとシロサキが倒れていた。


みつ「リ……リン………」


ハナ「シロサキ様!!」

ハナは倒れているシロサキをみつけ、しおんを離してシロサキの元に駆け寄ろうとした。


みつれを追い越そうとした瞬間、みつれは最後のチャンスと思い、銃を持つハナの腕を掴んだ。


ハナ「ッ!?」

みつれはハナの手首を捻り、銃を引き離してみつれは銃を蹴り飛ばした。


ハナはすかさずみつれの顔を殴った。


ハナ「邪魔するな!!」

重い一撃を食らうみつれ。
みつれはハナに蹴りを入れるがかわされ、間合いをとる。


みつ「はぁ……はぁ……アンタを連れ戻すには力づくでやるしかない……」

みつれは構える。
ハナはみつれを睨みつけていた。


ハナ「私はシロサキ様から離れない。これは私の意思だ。お前達の元へは戻らない!」


ハナはハッキリとみつれに言い放った。

それはハナの意思による完璧な拒絶だった。


みつ「・・・ッ」


みつれはしおんと同じように感じた。


もう戻ってこない。


みつれのよろめき、意識が遠くなる。

みつ「(く……出血が多すぎる………)」


ガクッと膝をつくみつれ。

ハナはみつれに近づき、囁いた。


ハナ「アンタも『犬』だったんならわかるだろ。アンタがスイを愛するように、私はシロサキ様を愛している。」



みつ「ッ……スイとシロサキを一緒にするな……シロサキはアンタを利用しようとしている…」


ハナ「それでも構わない。シロサキ様のそばにいれるなら。死ぬまで私はシロサキ様のそばにいる。」


みつ「・・・」


ハナの目に嘘はなかった。
ハナは今、自分の意思でシロサキの元にいる。


ハナはみつれの髪を掴み、地面に叩きつけた。


みつ「ぐっ!!………ハナ……さん……」


ハナはシロサキの元へ行き、シロサキを抱きかかえて歩いていく。


みつ「ま……待て…………」


みつれが意識を失う瞬間、最後に見たのはハナの後ろ姿だった。







目が覚めるとみつれは病院にいた。


みつ「うっ………」


しお「目が覚めた?」


横を見るとしおんが座っていた。


みつ「・・・しおん……無事か?リンは…?」


しお「僕はまぁ…なんとか……。リンさんは命に別条はないけど結構重傷だったよ。肩を刺されていたしアバラが何本か折れていたらしい。今は別の病院にいるよ。」


しおんはリンの現状を話した。


みつ「・・・そうか……。ハナさんとシロサキは?」


しおんは首を横に振った。


しお「警察の人に聞いたけど、警察官が駆け付けた時には倒れた僕たちしかいなかったみたいで、2人の姿は無かったんだって。」


みつ「・・・そうか……」


シロサキとハナは姿を消した。
廃校にいた人間はシロサキとハナを除いて全員逮捕、書類送検となった。


しお「みつれさん……ハナさんのことなんだけど……」

しおんはハナのことを話そうとした。



みつ「・・・あぁ。」


しお「・・・ハナさんにハッキリ言われたよ。『私はシロサキ様のそばにいる。もう戻らない。覚えておけ、しおん君。』って……」


しおんは言われた言葉をそのまま口にした。


みつ「・・・私も言われた。『私はシロサキ様から離れない。これは私の意思だ。お前達の元へは戻らない!』……てな。」


その後しばらく沈黙が続いた。

しかし2人とも声にはしないが既にわかっていた。




ハナはもう戻ってこない。



しお「・・・とにかく今は全員動けない。回復が先だね。」


みつ「・・・あぁ。そうだな。」


病室で2人は窓の外をみる。


空には曇天がひろがる。

しばらく晴れそうにない天気はまるでみつれ達と同じようだった。。。

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