『ブラックボックス』

うどん

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〜最終章〜

163.『ケジメ』

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隠れ家の掃除を終え、シャワーを浴び終えたみつれとカエデは事務所に戻った。


事務所に戻るとしおんが居なかった。


カエ「あれ?しおんさん出かけてるんですかね?」


みつ「そうみたいだな。電話してみよう。」


みつれはスマホを取り出し、しおんに電話を掛ける。


みつ「・・・通話中?どこ行ったんだ…」




その頃、しおんはある人に電話を掛けていた。


しお「・・・という訳なんですが、チカラを貸していただけませんか?カオリさん。」


電話の相手は闇医者のカオリだった。


カオ「分かりました。しおんさんの頼みを断るわけにはいかない。御協力しますよ。」


しお「ありがとうございます。助かります。」


カオ「今日は別件で仕事があるので、そちらには明日お伺いしますよ。」


しお「全然大丈夫です。よろしくお願いします。」


しおんは電話を切った。

しおんはそこでみつれから着信があったことに気づく。


しお「あ、みつれさんから着信きてる。」


しおんはみつれに電話を掛けた。


しお「・・・もしもし、みつれさん?」


みつ「しおん、お前今何処にいる?」


しお「ちょっと気分転換に散歩してる。もう帰るよ。みつれさん達はもう帰ってきてるの?」



みつ「そうか。私たちは今帰ってきたところだ。」


しお「おっけー。じゃあ戻るよ。」


しおんは電話を切った。



みつ「・・・アイツが散歩なんか珍しいな…」


みつれはしおんの机に科捜研の捜査報告書が広げられているのに気付く。


カエデと一緒に捜査報告書に目を通すがよくはわからなかった。

カエ「聞いたことない成分がいっぱいあってよく分からないです……」


みつ「私もだ。まるで呪文みたいだな」


しばらくするとしおんが事務所に戻ってきた。


しお「ただいまぁ。」


カエ「おかえりなさい、しおんさん。」


みつ「おかえり。お前が散歩なんか珍しいな。」


しお「ちょっと気分転換だよ。その捜査報告書みてたら頭の中ちんぷんかんぷんになっちゃって……呪文のように見えたよ。」


みつれとカエデはフフフッと笑いだした。


しお「え?なになに?なんで笑ってんの?」


カエ「フフフッ…さっきみつれさんも同じこと言ってたんでつい……フフフッ。」


しおんは首を傾げた。


みつ「まぁ捜査報告書の件はいい。組織についてはなにかわかったか?」


しお「いや……全くヒットしなかったよ。それらしいものも無かった。」


みつ「そうか……。まぁそうだろうな。」


するとカエデが指摘する。

カエ「そのトドロキって人の話がうそなんじゃあ……」


みつ「無い話では無い。ヤツが適当に言った可能性はもちろんある。」


カエ「じゃあ、それは一度置いておいて、クスリから調べましょう。これは確実なモノだし。」


しお「それはもう頼んだよ。」


みつ「ん?誰にだ?リンか?」


しお「カオリさんだよ。あの人なら成分とかも分かるかもしれない。」


しおんは捜査報告書を持った。


カエ「カオリさん…て?」


しお「カエデちゃんは会ったことないね。まぁ普通の人間なら当然か。」


みつ「ヤクザ専門の闇医者だ。けど大丈夫。怖い人じゃない。」


カエデには全く縁の無かった『ヤクザ』という言葉に怯えないように安心させるみつれ。


カエ「そ、そのカオリさんならその捜査報告書が分かるってことですか?」


しお「多分ね。昔はちゃんとした医者だったから分かるとは思う。」


しおんは捜査報告書をぱらぱらと捲り、テーブルに置いた。


しお「明日事務所に来てくれることになったよ。なにか進展があればいいけどね。」


みつ「そうだな。」





翌日の朝。


みつれは着信で目が覚めた。


みつ「ん……リンか……まだ4時だぞ……」


みつれはリンからの電話に出る。


みつ「もしもし……どうした……」


リン「みっちゃん!朝早くにごめん!」

リンは少し動揺しているような声だった。


みつ「どうした?……なにかあったのか?」


リン「トドロキが……死んだ。」


みつ「ッ!?なんだと!!?」


ガバッと起き上がるみつれ。


リン「私もさっき電話で報告を受けたんだけど……」


みつ「・・・今からそっちに行く。」


リン「うん。待ってるね。」


みつれは電話を切り、急いで支度した。。。



みつれはしおんの部屋のドアを開ける。


しお「んぁ?みつれさん…?」

しおんは寝ぼけていた。


みつ「しおん、リンのところに行ってくる!」


しお「ふぇ……こんな時間に……?」


みつ「起きたら連絡くれ。それまで寝てていいから。」


しお「んー……気をつけてぬぇ……」


しおんはまた眠った。


みつれは急いでリンの家にむかう。


みつ「(いったいどうなってる!?)」


みつれはバイクのスロットルを握り急いだ。。。



リンのマンションに到着したみつれはリンに電話を掛け、家にあがる。



リン「みっちゃん、早かったね。」


みつ「説明してくれリン。何があったんだ!?」


リン「とりあえず座って。」


リンはみつれを座らせ、コーヒーを出した。


リン「電話で話した通り、トドロキが死んだ。シーツで首を吊っていたらしい。」


みつ「あ……ありえない…ッ!」

みつれは動揺する。

リン「うん。私もトドロキが自殺するなんてありえないと思う。」


みつれもリンもトドロキが自殺するとは考えていなかった。


リン「司法解剖はまだだけど、私は多分他殺だと思う。」


みつ「・・・組織が始末したってことか。」


リン「多分……。『ドッグオーディション』を台無しにしたケジメ……じゃないかな……」


みつ「そういえばあの夜、シロサキに責められていたな……。シロサキはトドロキに銃を向けていたしな。多分その線が濃厚だろう。」


リン「とりあえず、私と一緒に来て。直接確かめよう。」


みつ「あぁ、わかった。……コーヒー、いただくよ。」


みつれは出されたコーヒーに口をつけた。


リン「まだ朝ごはん食べてないよね?つくるよ。一緒に食べよ。」


みつ「フッ、あぁ。いただくよ。」


2人は朝食を食べてから刑務所に行くことにした。。。

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