『ブラックボックス』

うどん

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〜最終章〜

162.『整理』

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刑務所にいるトドロキとの面会で組織の名前を入手したみつれとリン。

2人は一度事務所に戻り、手に入れた情報をしおんとカエデに共有する。


しお「『BB』…それが組織の名前……」


リン「そう。トドロキはそう言った。一応調べてみてくれる?」


しお「分かりました。」


しおんはキーボードを打ち込んでいく。


みつ「とりあえず今日はそれで切り上げた。続きはまた明日だ。」


カエ「なんでそこで切り上げたんですか?もっと聞けば……」


みつ「そこでそのまま続ければ嘘が混ざるかも知れない。混乱を招かない為にもひとつひとつ確認しながら聞いていくつもりだ。」


カエ「・・・なるほど……」


リン「・・・そういえばしおん君、科捜研から新しい情報が出たよ。成分に入っていたクスリのひとつが特殊な方法でしか手に入らないやつらしくてね。そこから辿れるかも。」


リンは捜査報告書をしおんに渡した。


しお「ありがとうございます。後で拝見します。」


リン「うん。お願いね。……じゃあ私は署に戻るよ。」

リンは荷物をまとめる。


カエ「もう行かれるんですか?少し休んで行かれては?」


リン「ありがと、カエデちゃん。ゆっくりしていきたいけどもう行かなきゃ。ごめんね。」


リンは事務所のドアに手をかける。


リン「じゃあ、みんなまた明日ね。」


リンは3人に手を振って事務所を出た。


みつ「・・・しおん、悪いが調べておいてくれるか。私はスイの家を掃除しに行きたい。あれから行けてないからな。」


しお「いいよ。気をつけてね。」


しおんはずっとモニターを見つめながら言った。


カエ「あの…みつれさん、私も手伝わせてください。」


みつ「あぁ、助かる。行こう。」


みつれとカエデは事務所を出て、旧トンネルの隠れ家にむかった。


カエ「ここが……旧トンネルの隠れ家ですか…」


みつ「あぁ、お前は初めてだったな。…ここはスイの家だが私の家でもある。」

みつれは隠れ家の扉を開け、中に入っていく。


カエ「すごい……トンネルにこんな部屋があるなんて……」


カエデは驚いていた。

みつ「みんな最初は驚くよな。……じゃあ掃除しよう。カエデ、風呂場を頼めるか?」


カエ「は、はい!」


2人は手分けして掃除を始める。


カエデは風呂場に入った。

カエ「本当にすごい……普通の家みたい……」

トンネルの中に普通の家みたいな空間があることにずっと驚いていた。


カエデは風呂場の掃除を始める。
自分の家の風呂場以外の風呂場を掃除することに新鮮さを感じながら、カエデはだんだん楽しくなってきた。


カエ「ふぅ……これで綺麗になったかな。」

カエデは綺麗になった風呂場を満足そうに見渡す。


カエ「みつれさんにみてもらお。」

カエデは風呂場を出てみつれを探した。


カエ「あれ?何処だろう?」


廊下を歩いているとみつれの声が聞こえた。


カエ「(あっ!ここにいた。…でも誰かと喋ってる?電話かなぁ…)」


カエデはそっとみつれがいる部屋を覗く。


みつ「あぁ。分かってるよ。もう少しなんだ……」

カエデが覗くかぎり、中にはみつれしか居ない。けどスマホは手に持ってない。

カエデは自分のスマホを見る。

カエ「(ほとんど電波入ってない……え!?みつれさん、誰と話してるの!?)」


みつ「ん?あぁ、そうだよ。カエデっていうんだ。まだ子どもだけど優秀だよ。私も頼りにしてる。………フフッ、そう?フフフッ。」


みつれは笑っていた。
楽しそうに誰かと話している。

カエ「(あんなやわらかく話すみつれさん初めて見た…)」


みつ「あぁ、今風呂場を掃除してもらってる。ずっとそのままだったからな。……また一緒に入りたいな……。」


するとみつれがカエデに気がついて振り返った。


みつ「カエデ?終わったのか?」


何事も無かったようにカエデに話しかけるみつれ。


カエ「あ、はい。終わりました。」


カエデはみつれの耳元を確認するが電話してるわけでもない。インカムもつけていない。
カエデは部屋を見渡すがやっぱり誰もいない。


みつ「どうした?」


みつれは首を傾げた。


カエ「あの……さっき誰と話してたんですか?」



みつ「あぁ、スイだよ。」


みつれは普通に返答した。


カエ「え!?でもその人って亡くなったんじゃ……」


みつれは優しい表情をしてカエデに話した。


みつ「スイはこの世にいない。けど、ここにくるとスイの声が聞こえるんだ。私も最初は自分の頭がおかしくなったのかと思ったよ。」


みつれは微笑んだ。

みつ「けど聞こえるはずのない声がなんか暖かくて心地いいんだ…。幻聴なんだろうがな……」


カエ「・・・素敵だと思います。好きだったんですね。その人のこと。」


みつ「あぁ、愛している。」


みつれは少し顔を赤く染めた。


カエデはニコッと笑う。

カエ「あと何処掃除したらいいですか?」


みつ「そうだなぁ……じゃあキッチンを頼む。」


2人で手分けして掃除したおかげで早いうちに片付いた。

みつれの部屋で休憩する2人。


みつ「カエデ、ありがとう。おかげで早く終わった。」


カエ「綺麗になってよかったです!汗だくになっちゃったけど。」

カエデはパタパタと手であおぐ。


みつ「シャワーでも浴びるか?」


カエ「いいんですか?」


みつ「フッ、あぁ。頑張ってくれたからな。」


みつれは微笑んだ。


カエ「じゃあ、一緒に入りましょう。この前みたいに。」


カエデはみつれとの風呂が気に入ったようだった。


みつ「あぁ。一緒に入るか。」


カエ「やった!」

みつれとカエデは風呂場にむかってお互いの汗を流した。。。

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