『ブラックボックス』

うどん

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〜最終章〜

182.『覚悟』

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ついに便利屋『カモミール』の前に姿をあらわした『BB』大幹部 リカ。


あの日公園で出会った女性がまさか組織の大幹部 リカだったことを最悪な再会と同時に知ってしまうカエデ。

リカに銃を向けられたカエデとよつばの前に、みつれが助けにはいる。


そこでみつれはリカと激しい銃撃戦を繰り広げる。



その一方、リンはシロサキとハナを相手にしていた。


リンはハナを救うため、シロサキと決着をつけるために最後の戦いにのぞむ。



シロ「おい、随分舐められたもんだなぁ!お前1人で勝てると思ってるのかよ!?」


1対2……

リンにとっては不利でしかないこの状況。

だがこの状況をつくったのはリン本人だった。


リンは静かに笑う。


リン「・・・これでいいんだよ。」


シロ「あ?」


リン「・・・もしかしたらみっちゃんはもう気づいてたかも知れないけど、私はお前を逮捕したいんじゃない。………殺したいの。」


リンは警棒を取り出した。



みつれは気づいていた。
リンがシロサキを殺したいことに。


だが刑事である以上、しおんやカエデにその姿を見せたくなかった。
もちろん、みつれにも。

けど、みつれはそのリンの気持ちを察し、リンを1人にした。


リン「ほんと優しいよね………みっちゃんは………」


リンはふっと微笑み、警棒を振る。


リン「これで、私の好きなように出来るッ!」


シロ「ぷッ、アハハハハ!!」


高らかに笑うシロサキ。


シロ「殺れるもんならやってみろ。」


シロサキとハナはリンに襲い掛かる。


ハナとシロサキは素手だが、ハナの戦闘スキルは高い。

正直、ハナだけでも厳しい相手だ。


リンはまず、一気に攻撃されないようにハナとシロサキを離すことにした。


リンは2人の攻撃を交わし、コンテナの裏に走り出す。


シロ「追え!ハナ!!」


シロサキはハナに命令を出し、リンの後を追わせる。


いくつか並んでいるコンテナとコンテナのあいだを走るリン。


それを追うハナ。


リンはいとも簡単に2人を引き離した。


リン「((やっぱりシロサキは追ってこない…))」


片目が見えないシロサキにとって障害物が多い中走るのは難しい。
よって、シロサキはハナに後を追わせるとリンは予想していた。


リン「((この辺でいいか……))」


しばらく走った後、リンは立ち止まってハナの方に振り返った。



ハナ「もう逃げられませんよ。」


ハナはリンに殺意の目を向ける。


ハナ「あなたを殺す。そうすればシロサキ様は喜んでくれる。」


リン「ハナちゃん………」

直接ハナに「殺す」と言われ、悲しさとハナに対しての申し訳なさがリンの心に浮き出る。


ハナはリンに攻撃をはじめた。


交わして受けて、反撃……いや、リンは反撃しなかった。
ひたすら攻撃を受け交わしていく。

だが受け交わしながらも徐々に押されていくリン。


リンは追い込まれていった。
その時だった。


ガチャッ!っと音が鳴る。


リン「ごめんね……ハナちゃん。」



リンはハナの右手首に手錠をつけた。

そしてもう片方をコンテナのドアの棒部分に手錠をつけた。


ハナ「ッ!?」


身動きが取れなくなったハナは焦りはじめた。



リン「私はハナちゃんとは戦えない。ごめんね。」



ハナ「クソっ!!外せ!!」


リン「・・・ハナちゃんにも、私が人を殺すとこ……見せたくないの。」


リンは回し蹴りをし、ハナの左手を蹴りあげてもう1つの手錠をつけた。

そしてすかさずもう片方を棒部分につけた。



リン「しばらく待ってて。……本当にごめんね……ハナちゃん……」



リンの表情は暗く、悲しみが出ていた。
リンはハナに背を向けて歩き始める。


ハナ「だ……だめだ!!待てぇ!!!」



叫ぶハナ。
しかしリンにはもう聞こえていない。


先ほどの表情とは打って変わって冷たく、
リンの中にはシロサキを殺すことでいっぱいだった。



リン「決着をつける……シロサキぃ……」




来た道を戻って行くとシロサキの姿が無かった。
あたりを見渡すがシロサキの姿は無い。



少しずつ進み始めるリン。

するとコンテナの影からシロサキが襲い掛かってきた。


背後をとられ首を絞められるリン。


シロ「油断したなクソ刑事ぃ!!……ッ!?」


その時、シロサキはリンの目を見てゾッとした。


不意打ちで背後をとられてるハズなのに、リンの目は酷く冷たい目をしていた。


リンは背後のシロサキに投げ技をかけるように体勢を前にし、その勢いでシロサキを前方に投げ飛ばした。


シロ「ぐっ……」


シロサキはなんとか体勢を戻すが、リンは間髪入れずに警棒を振りかざした。

シロサキは少し後ずさったおかげで、警棒はシロサキの額を掠めた。


間合いをとろうと更に後ずさろうとするシロサキ。
だがリンはそれを許さなかった。


リンは距離を詰めて再び警棒を振りかざし、シロサキの頬に当てた。

怯んだシロサキは何度も警棒での殴打を浴びる。


何度も。何度も。


シロサキが倒れてもそれは続いた。



リン「はぁ……はぁ……はぁ………」


息があがるリン。


うつ伏せで倒れているシロサキを仰向けに転がす。


シロ「ぐっ………」



リン「起きろ。……こんなので終わらせない…。」


リンはシロサキの腹を踏みつける。


シロ「ぐぅ!…………ふっ……ふふふ………」


怪しく笑うシロサキ。


リン「なに笑ってる!?あまり私をナメるな!!」


リンは足を離し、再び警棒を振りかざす。
さらに蹴りをいれる。


殴打の中、シロサキはボソッと言った。



シロ「お前こそあまり私をナメるなよ……私を誰だと思ってる……」


その瞬間、リンの右足首から血がふきだす。


リン「ッ!?」


よろめくリン。
知らぬ間に右太ももからも血が出る。

バランスを崩し倒れるリン。

その時、リンは気がついた。
シロサキの手にはナイフが握られていた。

そのナイフはリンが隠し持っていた物だった。



リン「い、いつのまに………」


シロサキはゆっくり立ち上がる。


シロ「私は盗みと爆弾造りの天才だぞ。忘れたのか?」


ふらつきながらゆっくりリンの元ににじり寄る。


リン「くっ!!……あ、足が………」


リンの右足に力が入らず立ち上がれなかった。


シロ「お前の右足のアキレス腱を切ってやった。逃げることは出来ねぇよ。」


シロサキはリンにナイフを振りかざし、リンは警棒でなんとか受けとめる。




シロ「散々やってくれたけど、こっからは私のターンだ。お前が潰した左目の借りを返させてもらう。」


アキレス腱を切断され動けなくなったリン。
いったいどうなるのか………

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