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〜最終章〜
184.『形勢逆転』
しおりを挟むリカの命令で動き出した『武装親衛隊』。
しおんとユウゼンは武装親衛隊に狙われる。
そこによつばが助けにはいってきた。
よつばと合流したしおん。
2人はユウゼンを捜す。
しお「こっちだ。」
2人はまわりを警戒して進んでいく。
武装親衛隊は5人。
よつばが2人倒した。
敵はまだ3人いる。
しおんとよつばは銃を手に入れた。
勝機は充分ある。
しお「((早く父さんと合流しないと…ッ!!))」
しおんは焦っていた。
二手に分かれる前、ユウゼンがしおんに託した2つのモノ。
1つは組織の機密情報が入ったUSBボールペン。
もう1つはネックレス。
だがまだ何のネックレスかは聞けていない。
しかしこれをしおんに託したということは、ユウゼンは『死』を覚悟しているということに他ならない。
死なせるわけにはいかない。
しおんとよつばは急いでユウゼンを捜す。
すると銃声が聞こえてきた。
銃声は更に激しく鳴り響く。
しお「ッ!?父さん!?……まさかッ!!」
しおんは走り出した。
よつ「おいッ!?待てッ!……ったく、もー!!」
制止を聞かずに走り出したしおんを追いかけるよつば。
すると、銃声の先には親衛隊の姿があった。
しお「ッ!!」
咄嗟に身を隠したしおん。
よつばもその後に続いた。
よつ「・・・相手は2人だな……。ワタシが殺る。」
よつばは銃を取り出した。
しお「いや、僕がやるよ。よつばさんばかりに手を汚させたくない。」
よつ「強がんな。銃、使ったことないだろ?…ワタシはこういう事に慣れてるんだ。引っ込んでな。」
よつばがしおんの前に出る。
よつ「アンタは裏に回って。ワタシが撃ってアイツらがワタシに気を向けている間に親父さんを助け出して。」
しお「・・・わかった。」
しおんは被弾しないように慎重に迂回する。
よつばは銃を構えて一発発砲した。
撃った弾は親衛隊の首を撃ち抜いた。
1人が倒れる。
それに気付いた他の親衛隊は発砲を止めた。
そのスキにしおんはユウゼンの元へ走る。
しお「父さんッ!!」
ユウ「しおん……無事だったか。」
ユウゼンは2発被弾していて出血が酷かった。
しお「撃たれたんだね……とりあえず移動しよう!」
しおんはユウゼンに肩を貸そうとしたがユウゼンはそれを拒んだ。
ユウ「いい……お前だけで行け。俺はもう助からない。」
しお「そんな……」
すると再び銃声が鳴り響いた。
アサルトライフルの射撃音だ。
しお「ッ!?よつばさん!!」
するとすぐに銃声が収まった。
しお「・・・よ、よつば……」
しおんはよろっと立ち上がる。
しお「父さんはここで待ってて!」
しおんはユウゼンにそう言い放ち、走り出した。
すると影から人が出てきた。
よつ「おい、不用心な奴だなぁ。戦場をむやみやたらに走るやつがあるか……馬鹿。」
現れたのはよつばだった。
しお「よつばさん!!」
よつ「ちょ、声がデケェだろ。まだ敵がいるから知れ……ひゃっ!?」
しおんはよつばを抱きしめた。
しお「無事でよかった……本当に……」
よつ「あ、あ、当たり前だろッ!……それに、まだ安心出来ねぇぞ。」
よつばはそっとしおんを離した。
しお「ッ!?父さん!撃たれて血だらけなんだ!」
ユウゼンのことを思い出し、慌てるしおん。
よつ「落ち着けよ、アンタらしくも無い。……とりあえず親父さんのとこに行こう。」
しおんとよつばはユウゼンの元に戻った。
しお「父さんッ!」
ユウ「・・・無事だったみたいだな…。」
ユウゼンは出血が酷く、意識が朦朧としていた。
よつばはユウゼンの状態をみて察する。
よつ「やべぇな……手ぇ貸せ!」
しお「う、うん!」
よつばはユウゼンの傷の手当てを始めた。
ユウ「・・・アンタが闇医者の助手か……」
よつばはゆっくり頷いた。
ユウ「そうか……なんで…俺を助けようとする……」
よつ「あまり喋らないほうがいい。息子さんが悲しむだろ。」
よつばの言葉にユウゼンはこれ以上言及しなかった。
ユウ「ふっ……そういうことか……」
よつばはポケットから錠剤を取りだしてユウゼンに渡した。
よつ「鎮痛剤です。飲んでください。」
ユウ「・・・必要……無い……。」
よつ「いいから飲んでください。……しおんさん。」
よつばはユウゼンに鎮痛剤を飲ませるようにしおんに促す。
しお「わ、わかった!父さん飲んで!」
しおんは半ば無理矢理ユウゼンに薬を飲ませた。
そしてよつばの手当ては終わった。
といっても道具が無いうえにユウゼンは重傷。
応急処置でどうこうなる状態ではなかった。
よつ「今出来ることはここまで……。本当はすぐに病院に……」
ユウ「その必要は無い。」
ユウゼンはふらふらになりながらも立ち上がろうとする。
ユウゼンが倒れないように支えるしおん。
よつ「なにをするか知らねぇが、その身体じゃ何も出来ないですよ。普通の人間なら死んでます。」
ユウ「・・・世話になったな。だがこれでチャラだ。」
よつ「チャラ?どういうこと?」
ユウ「なんだ……闇医者から何も聞いてないのか……。まぁ、別に恩に着せた訳じゃないが…」
そう言った瞬間、よつばの目が変わった。
よつ「ご主人様に何をした!?」
ユウ「・・・闇医者に情報を渡しただけだ。組織の闇医者、エトのな。」
よつばとしおんは驚いた。
ユウゼンはそのまま話を続ける。
ユウ「あの闇医者とエトの関係はわかっていた。…そしてお前達がシロサキの『犬』を治すためクスリのことを探ってることも。」
しお「ちょっと待って!なんで父さんがカオリさんに!?」
ユウ「・・・俺にも彼に恩があったからな。」
2日前・・・
ユウゼンは足のつかないトバシのスマホでカオリに電話を掛けた。
カオ「・・・はい。」
ユウ「闇医者のカオリだな?」
カオ「・・・どちら様でしょうか?」
ユウ「名乗る程の者じゃない。アンタにある情報を伝えるために電話した。」
カオ「ある情報……?」
ユウ「エトの事だ。」
カオ「ッ!?」
ユウ「アンタとエトの間柄は知っている。エトはある場所によく行く。おそらくアンタもよく知ってる公民館だ。2日後に行けば会えるだろう。」
カオ「・・・なるほど。何故私に?」
カオリは続けて言った。
カオ「アナタ、組織の人間ですよね。なにが狙いです?何故私にそれを教える?」
ユウ「アンタに恩があるからだ、先生。」
カオ「恩?……私はテロリストに恩を売ったことは………まさか……」
その時カオリは気が付きかけていたが、最後の言葉で確信に変わった。
ユウ「・・・しおんを頼む。」
そう言ってユウゼンは電話を切った。
ユウゼンは組織の幹部会の日の2日前、カオリにエトの情報を流していた。
ユウゼンの狙いは…?
カオリへの恩とは…?
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