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告白
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古賀はこの高校へ赴任してきてから、この容姿端麗な所為で生徒達から告白をされる事は珍しくなく、何時も軽くあしらってきた。同性だからとか年下だからという以前に生徒に···しかも未成年に手を出せば自分の首が飛ぶ。それくらい分かれよ、と古賀は自分に好きだと言い寄って来る彼らに冷えた感情しか生まれなかった。
そんな中、告白してくるわけでも近づいてくるわけでもなく、一定の距離を保ちながら自分を見つめてくる一人の生徒に気づいた。
はじめは見ているだけの奥手な生徒だから放っておけばいいと気にも留めていなかったが、次第に彼の見つめる瞳の光の強さに惹かれていった。
彼が3年になり、自分に教えて欲しいと訪ねてくるようになって初めて自分が彼に好意を持っている事に自覚した。だが、教師という立場が彼を自分から遠ざけなければいけないと古賀に警告する。
「先生···俺は本気だ···。本気で先生が好きだ···」
京也の古賀の肩を掴む指に力が入る。
「やめろ···」
顔を背けたまま呟く古賀の言葉はこれ以上踏み込むなと制するもので、京也の気持ちに対する拒絶は口にしなかった。
「嫌いなら···殴って止めろよ···」
囁きながら京也は躰を屈め、顔を背けている古賀の唇に口づけた。
閉じたままの唇に自身の唇が触れるが、古賀は逃げなかった。
「口···開けて···」
促すように下唇を舌で舐める。
だが、古賀は頑なに唇を閉したまま微かに首を横に振った。
「何でだよ···嫌いだって逃げねぇくせに···」
古賀は肩を押さえつけている腕に触れると、そっと離させた。
「感情だけで流されるわけにはいかねぇんだよ。お前は···他人の人生を背負う覚悟があるのか?」
古賀は顔を上げ真っ直ぐ京也を見つめた。
「これが学校に知られればどうなるか知ってるか?俺はクビだ。未成年を誘惑した教師として···もうこの仕事は出来ねぇだろうな。お前も好奇な目に曝される」
「俺は周りにどう思われても構わねぇよ!責任くらい···とれる」
「自分の力だけで生活できないガキがか?お前は誰のお蔭で学校に通えてるんだ?」
「それは···」
古賀は京也から離れ、ドアに向かって歩いていく。そしてガラッと音を立ててドアが開けられた。
「わかったら帰れ。もう準備室へは来るな」
静かに告げられる言葉は何時もの冷たい声色に戻っていた。
反論出来ない自分がまだまだ子供だと思い知らされる。京也は拳を作り、掌に爪が食い込む程きつく握りしめた。
「だったら···」
京也は古賀に歩み寄り胸ぐらを掴みかかる。
「だったら自分で責任がとれるようになったらいいんだな。社会に出て自立したら···先生を迎えに行くよ」
「···その頃には思い出になってるさ···」
「なってねぇよ!ずっと先生を想ってる」
「俺は待ってなんかいない···そんな出来もしない約束に縛られるのは···御免だ···」
古賀は視線を逸した。
「···それでも俺は迎えに行く。必ず···」
強い眼差しで古賀に告げると、京也は手を離し準備室から出ていった。
ドアを閉めた古賀はそのまま背をドアに凭せかけた。
「···待ってなんかいねぇよ···」
小さく呟く。
──── 期待なんかしない
そんな中、告白してくるわけでも近づいてくるわけでもなく、一定の距離を保ちながら自分を見つめてくる一人の生徒に気づいた。
はじめは見ているだけの奥手な生徒だから放っておけばいいと気にも留めていなかったが、次第に彼の見つめる瞳の光の強さに惹かれていった。
彼が3年になり、自分に教えて欲しいと訪ねてくるようになって初めて自分が彼に好意を持っている事に自覚した。だが、教師という立場が彼を自分から遠ざけなければいけないと古賀に警告する。
「先生···俺は本気だ···。本気で先生が好きだ···」
京也の古賀の肩を掴む指に力が入る。
「やめろ···」
顔を背けたまま呟く古賀の言葉はこれ以上踏み込むなと制するもので、京也の気持ちに対する拒絶は口にしなかった。
「嫌いなら···殴って止めろよ···」
囁きながら京也は躰を屈め、顔を背けている古賀の唇に口づけた。
閉じたままの唇に自身の唇が触れるが、古賀は逃げなかった。
「口···開けて···」
促すように下唇を舌で舐める。
だが、古賀は頑なに唇を閉したまま微かに首を横に振った。
「何でだよ···嫌いだって逃げねぇくせに···」
古賀は肩を押さえつけている腕に触れると、そっと離させた。
「感情だけで流されるわけにはいかねぇんだよ。お前は···他人の人生を背負う覚悟があるのか?」
古賀は顔を上げ真っ直ぐ京也を見つめた。
「これが学校に知られればどうなるか知ってるか?俺はクビだ。未成年を誘惑した教師として···もうこの仕事は出来ねぇだろうな。お前も好奇な目に曝される」
「俺は周りにどう思われても構わねぇよ!責任くらい···とれる」
「自分の力だけで生活できないガキがか?お前は誰のお蔭で学校に通えてるんだ?」
「それは···」
古賀は京也から離れ、ドアに向かって歩いていく。そしてガラッと音を立ててドアが開けられた。
「わかったら帰れ。もう準備室へは来るな」
静かに告げられる言葉は何時もの冷たい声色に戻っていた。
反論出来ない自分がまだまだ子供だと思い知らされる。京也は拳を作り、掌に爪が食い込む程きつく握りしめた。
「だったら···」
京也は古賀に歩み寄り胸ぐらを掴みかかる。
「だったら自分で責任がとれるようになったらいいんだな。社会に出て自立したら···先生を迎えに行くよ」
「···その頃には思い出になってるさ···」
「なってねぇよ!ずっと先生を想ってる」
「俺は待ってなんかいない···そんな出来もしない約束に縛られるのは···御免だ···」
古賀は視線を逸した。
「···それでも俺は迎えに行く。必ず···」
強い眼差しで古賀に告げると、京也は手を離し準備室から出ていった。
ドアを閉めた古賀はそのまま背をドアに凭せかけた。
「···待ってなんかいねぇよ···」
小さく呟く。
──── 期待なんかしない
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