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「は……!?……はぁ!!?!?」
突然のとんでもねぇ提案に、流石の青年も言葉にならず動揺が全身に出ている。
「おい、一からちゃんと説明しやがれ!」
カルロは「お前は言葉が足んねーんだよ!」と咎めるようにナタの背をバシバシ叩く。それに鬱陶しそうに顔を歪めながら
「だって心臓をどうにかしないと無理そうだし……」
と口を開いた。
「この『呪い』は発症し5日経つと、持つ魔力を全て使って暴走し、死ぬまで辺りを破壊し尽くすもの。」
「なんだって!?」
ナタの説明にカルロがギョッと目を向いた。青年もあまりの事に目を見開き言葉を失う。
「そうなったらこの街どころか俺たちのいるスラムですら吹き飛び更地になるだろーね。」
首都も半分は消し飛びそう、なんて淡々と説明するナタの視線が呪いに苦しむ少年へと向けられる。
「だから、それだけは何とか阻止しないといけない。」
だってそうしないと被検体(候補)と書いて住人と読む生き物が死んで減ってしまうから!
そうだよな。お前はそういうやつだよな。
「な、なぁ、殺さずに何とかならないのか!?呪いでも呪毒みたいによぉ……」
カルロの言葉にナタはゆるりと首を振る。既にナタの中で効果のありそうなポーションは全て試した。
「そもそも、デバフの呪毒とは根本が違うからねぇ。」
と、淡々とした声色で言葉を告げるナタに、青年は唇を噛む。
彼からすれば最後の希望だったのだ。
突如現れたスラムの救世主。しかもその正体が神の御子であるナタ・ディアーナであったなどもう運命としか思えなかった。
だから、きっと弟はこれで救われると、そう思ったのに。
プツリと切れた唇から血が伝う。自身の無力さに悔しさが込み上げ、俯いた青年に
「……というか、ちゃんと蘇生はするよ?」
「えっ???」
これまた淡々とした声色の、ナタの言葉が飛び込んできた。
「心臓止まれば宿主が死んだとして呪いの効果も切れる。呪いが消えた所でこれで蘇生すれば問題ないと思うんだけど。」
そう事も無にそう言って1つの小瓶をアイテムボックスから手に出したナタに、「あ、あの、ま、まさかそれって……」と、青年の声が震える。
「うん、エクサリー。」
「錬金術における伝説の不老不死の霊薬ッッッ!!」
青年は白目を向いてぶっ倒れたくなった。
兄だから耐えられたが弟だったら耐えられなかった。
ちなみにカルロは静かに気絶した。
「うーん?不老の効果なんてないと思うけど……これ、ただの蘇生薬だし。それに1分以内に飲まなきゃ効果ないよ?」
なんてナタは軽く言うがそれはあくまでゲームの話。
現実のステラートの世界ではエクサリーなんて伝説の伝説。錬金術師達が一度は錬成を夢見る、神話にしか登場しない幻の霊薬。
それが普通のポーションと同じノリで登場したのだ。
青年は気絶しても許される。兄の意地で気絶しないが。
「……ナタ・ディアーナ様。」
「何?」
不意に膝をついて頭を垂れた青年に、ナタは眉を寄せる。
「どうか、弟を。ソムヌスをお助け下さい。」
更に深く垂れたその頭に、
「うん、いいよ。」
ナタはアイテムボックスから取り出したナイフを、少年の心臓に深く突き刺した。
途端に溢れ出す黒い靄。苦しみ暴れるかのように、荒れ狂った暴風が部屋を荒らし、そして力尽きるようにして霧散した。
すぐさま引き抜いたナイフの傷に、エクサリーが落とされる。
ジュワジュワと何かが焼けるような音を立てながら傷が塞がり、そしてソムヌス、と呼ばれた少年の止まっていた呼吸が再開された。
それは先程のような呻きの混じった苦しそうな呼吸ではなく、夢でも見ているかのような酷く穏やかで落ち着いた呼吸だった。
「……助かった、のですか……?」
「一応?ま、暫くは要観察かな。」
なんて事ないように答えるナタと対照的に、青年はすっかり抜けた腰でベシャリと床に座り込む。
非現実的な出来事に、頭が追いついてこないのだ。
ただ、1つ言えることは
「良かった……!あぁ、本当に良かったぁ……!!」
弟の命が救われた、ただそれだけが紛れもない事実なのだ、と。
顔を覆い、安堵から嗚咽を漏らす青年をちらりと横目で見たナタは、すぐさま少年へと視線を戻す。
ひとまずは助かったと思う。
しかし、まだこれでは完全に解決したとは言えないのだ。
「呪いをかけた者を見つけ出さないと……心臓にかけたとなれば余程近くに居れる者のはず……そもそも狙いはなんだ……?」
正直錬金術以外のことで首を突っ込む気はないが、解呪しても何度も何度も呪いをかけられれば結局のところイタチごっこだ。
もしくは複数人に呪いをかけられたら、時限爆弾をあちこちに仕掛けられるのと同じこと。
それはつまりナタのハッピー実験アンド治験生活が脅かされるということだ!
(……うーん、なんとかしないと……未来の被検体が殺されてしまう……)
やろうとしていることは、テロの阻止という立派な行為なのに、理由が不謹慎すぎる。倫理観が来い。
「……ま、乗りかかった船だし、(実験ライフのために)何とかするか。」
そう言ってローブを翻したナタ。
そんなナタをようやく涙の止まった青年がぼうっと見つめる。
それはどこか熱に浮かされたような視線だった。
見た目は茶色の地味なアバターパーツのままだが、それでもどこか神々しく見える。
(……ああ、これが神という存在なのか……)
いっけね。新たな信仰心が芽生えちまったな。
突然のとんでもねぇ提案に、流石の青年も言葉にならず動揺が全身に出ている。
「おい、一からちゃんと説明しやがれ!」
カルロは「お前は言葉が足んねーんだよ!」と咎めるようにナタの背をバシバシ叩く。それに鬱陶しそうに顔を歪めながら
「だって心臓をどうにかしないと無理そうだし……」
と口を開いた。
「この『呪い』は発症し5日経つと、持つ魔力を全て使って暴走し、死ぬまで辺りを破壊し尽くすもの。」
「なんだって!?」
ナタの説明にカルロがギョッと目を向いた。青年もあまりの事に目を見開き言葉を失う。
「そうなったらこの街どころか俺たちのいるスラムですら吹き飛び更地になるだろーね。」
首都も半分は消し飛びそう、なんて淡々と説明するナタの視線が呪いに苦しむ少年へと向けられる。
「だから、それだけは何とか阻止しないといけない。」
だってそうしないと被検体(候補)と書いて住人と読む生き物が死んで減ってしまうから!
そうだよな。お前はそういうやつだよな。
「な、なぁ、殺さずに何とかならないのか!?呪いでも呪毒みたいによぉ……」
カルロの言葉にナタはゆるりと首を振る。既にナタの中で効果のありそうなポーションは全て試した。
「そもそも、デバフの呪毒とは根本が違うからねぇ。」
と、淡々とした声色で言葉を告げるナタに、青年は唇を噛む。
彼からすれば最後の希望だったのだ。
突如現れたスラムの救世主。しかもその正体が神の御子であるナタ・ディアーナであったなどもう運命としか思えなかった。
だから、きっと弟はこれで救われると、そう思ったのに。
プツリと切れた唇から血が伝う。自身の無力さに悔しさが込み上げ、俯いた青年に
「……というか、ちゃんと蘇生はするよ?」
「えっ???」
これまた淡々とした声色の、ナタの言葉が飛び込んできた。
「心臓止まれば宿主が死んだとして呪いの効果も切れる。呪いが消えた所でこれで蘇生すれば問題ないと思うんだけど。」
そう事も無にそう言って1つの小瓶をアイテムボックスから手に出したナタに、「あ、あの、ま、まさかそれって……」と、青年の声が震える。
「うん、エクサリー。」
「錬金術における伝説の不老不死の霊薬ッッッ!!」
青年は白目を向いてぶっ倒れたくなった。
兄だから耐えられたが弟だったら耐えられなかった。
ちなみにカルロは静かに気絶した。
「うーん?不老の効果なんてないと思うけど……これ、ただの蘇生薬だし。それに1分以内に飲まなきゃ効果ないよ?」
なんてナタは軽く言うがそれはあくまでゲームの話。
現実のステラートの世界ではエクサリーなんて伝説の伝説。錬金術師達が一度は錬成を夢見る、神話にしか登場しない幻の霊薬。
それが普通のポーションと同じノリで登場したのだ。
青年は気絶しても許される。兄の意地で気絶しないが。
「……ナタ・ディアーナ様。」
「何?」
不意に膝をついて頭を垂れた青年に、ナタは眉を寄せる。
「どうか、弟を。ソムヌスをお助け下さい。」
更に深く垂れたその頭に、
「うん、いいよ。」
ナタはアイテムボックスから取り出したナイフを、少年の心臓に深く突き刺した。
途端に溢れ出す黒い靄。苦しみ暴れるかのように、荒れ狂った暴風が部屋を荒らし、そして力尽きるようにして霧散した。
すぐさま引き抜いたナイフの傷に、エクサリーが落とされる。
ジュワジュワと何かが焼けるような音を立てながら傷が塞がり、そしてソムヌス、と呼ばれた少年の止まっていた呼吸が再開された。
それは先程のような呻きの混じった苦しそうな呼吸ではなく、夢でも見ているかのような酷く穏やかで落ち着いた呼吸だった。
「……助かった、のですか……?」
「一応?ま、暫くは要観察かな。」
なんて事ないように答えるナタと対照的に、青年はすっかり抜けた腰でベシャリと床に座り込む。
非現実的な出来事に、頭が追いついてこないのだ。
ただ、1つ言えることは
「良かった……!あぁ、本当に良かったぁ……!!」
弟の命が救われた、ただそれだけが紛れもない事実なのだ、と。
顔を覆い、安堵から嗚咽を漏らす青年をちらりと横目で見たナタは、すぐさま少年へと視線を戻す。
ひとまずは助かったと思う。
しかし、まだこれでは完全に解決したとは言えないのだ。
「呪いをかけた者を見つけ出さないと……心臓にかけたとなれば余程近くに居れる者のはず……そもそも狙いはなんだ……?」
正直錬金術以外のことで首を突っ込む気はないが、解呪しても何度も何度も呪いをかけられれば結局のところイタチごっこだ。
もしくは複数人に呪いをかけられたら、時限爆弾をあちこちに仕掛けられるのと同じこと。
それはつまりナタのハッピー実験アンド治験生活が脅かされるということだ!
(……うーん、なんとかしないと……未来の被検体が殺されてしまう……)
やろうとしていることは、テロの阻止という立派な行為なのに、理由が不謹慎すぎる。倫理観が来い。
「……ま、乗りかかった船だし、(実験ライフのために)何とかするか。」
そう言ってローブを翻したナタ。
そんなナタをようやく涙の止まった青年がぼうっと見つめる。
それはどこか熱に浮かされたような視線だった。
見た目は茶色の地味なアバターパーツのままだが、それでもどこか神々しく見える。
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いっけね。新たな信仰心が芽生えちまったな。
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