一時間ヒーロー!!

市川 雄一郎

文字の大きさ
2 / 12
第一章・ヒーローに憧れていた男

(2)選ばれし戦士と世界を救う旅人

しおりを挟む
 誰か分からない人に『選ばれし戦士』だと言われても意味が分からないのは当然である。するとその男性は虎丞にこう語ったのである。


 「お前はもしかしてこの世界の者ではないのか?」


 「はい…………そうなんです。」


 「ならばお前は『選ばれし戦士』だな。」


 「はあ……」


 もはや意味が理解できない。というよりそもそもこの世界は一体どこなのかすら分からない……虎丞の頭は思考回路はこんがらがって来たのである。そして虎丞はある質問をしたのだ。


 「すみません……あなたのお名前は……?」


 「私か?私は[ラット・ボガード]という。この世界でとても有名な剣士だ。」


 「はあ……で、あなたはなぜ僕のところに……?」


 「いや……たまたま見かけただけだが……それよりもお前は何か武器や防具は持っていないのか?」


 ラットはそう言うが異世界から来たばかりの虎丞にそんなものがあるはずない。それどころかこの世界のことすら理解していないのに武器もくそも無いような気がするが……


 「いや……ありません。というより今来たばかりで武器とかを持っている時点でおかしいと思います。」


 「そ……そうか……確かにそうだな……初めてきたばかりで武器とかがあればおかしいわな。」


 さすがにラットも理解してくれたようだが、さてこれからどうするのか?


 「これから僕はどうすればよろしいでしょうか?いや……本当にどうすれば……早く仕事場に戻りたいんですけど……」


 「仕事場?私に帰り方を聞かれても困る!!」


 ラットは虎丞をキビシく突き放した。元の世界に戻る方法はどうやら誰も知らないみたいだ。


 「………………」


 「………………」


 「あの……本当に僕は『選ばれし戦士』なんでしょうか?」


 「…………ああ、何となくそう思う。」


 「(何となくかよ!!)」


 しかしこのまま立ち止まっても仕方がないのでラットの指示を仰ぎ、この世界を調べてみようと虎丞は考えたのである。


 「ラットさん……僕は何をしたら良いかなあ?」


 「とりあえずこの辺に村があるからそこへ行きなさい。必ずそこで重要な情報を集めることが出来るから……」


 「ありがとうございます。無事に帰れるようにします。」


 そう言うと虎丞は北東に村らしきものを見つけたのでそこへと向かうことにしたのである。虎丞の後ろ姿を見ていたラットはこう呟いたのである。


 「あいつ……あの雰囲気はまさに『選ばれし戦士』だ!!私の目は節穴ではなかったのだ……!!」


 村に向かって走る虎丞であったが久しぶりに走ったのですぐに息は上がったのであった。そして村に到着すると村民の一人が虎丞の元にやって来たのである。ちなみに村は日本の山間部の村のような感じの建物であった。


 「はじめまして、旅の方でしょうか?」


 「はい、旅をしている者です。ちょっとこの辺の地理を知らないのでここを見つけてやって来まして……」


 「それなら村の奥の屋敷へと行ってくださいませ。そこで村の村長にお会いしてくださいませ。」


 「村長に?」


 虎丞は言われるがままに奥の屋敷へと向かったのである。すると屋敷の玄関に初老の男性がいたのだ。ただ髭は生えておらず、近所のおじさんのようなイメージであった。


 「君が旅人かね?私は村長の[リーブ・トライザクロン]と言う。じつは君……いや、あなたに渡したいものがありまして……」


 いきなりやって来た旅人に渡したいものと言われても虎丞は戸惑うだけであった。そして奥に行った村長が剣を持ってきたのである。


 「先日、占い師のおばあさんから『もしが来たら渡すべき』だと言われました。この剣を持っていれば必ず旅の役に立つでしょう。彼女いわく『この世界は今、秩序が乱れつつある。だからもうじき現れる旅人に剣を渡せばその旅人が世界を救ってくれる』とのことだ。だから私はあなたに未来を託したいのだ。」


 「???」


 「お役に立てていただけると幸いです。」


 「ありがとうございます……」


 すると村長の家に怪しい男がやって来たのである。


 「フハハハ……俺はからの命令で村を滅ぼしに来たものだ。さあ、村長よ……まずは貴様の命から頂く!!覚悟しろ!!!」


 展開が無茶苦茶過ぎて平凡な人生ばかりを歩んだ虎丞にはついていけない状況であった。すると男は虎丞の剣を見て言う。


 「お前……もしかして凄腕の剣士か?ならば俺と戦おうか?」


 「いえ……僕はただの旅人なんで凄腕でもなんでもないです……!!だから勘弁して~!!」


 「ふざけるな!!でお前は“剣士”なんだよ!!」


 「(あ~!!俺、終わった……)」


 突然謎の剣士に闘いを挑まれて人生の終わりを覚悟した虎丞であった。




 第2話・終わり
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

処理中です...