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Lesson.1 「悪役令嬢」という存在
5.日記帳の持ち主
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「…まったく意味がわかりませんわ。」
ヴィオラがそう言うと同時に日記を閉じようとするのを、リーリウムは右手をそっと滑り込ませて阻止する。
「お姉さま、私も読んでみてもよろしいでしょうか?」
いつもは大人しい妹が好奇心を抑えられない様子を見て、ヴィオラは少し微笑むと、ページを開いた状態でリーリウムに手渡した。
「“ユニカの名を持つ子”が開いたページを他の人間が見ても大丈夫なのでしょうか……。」
ふいにフレエシアがつぶやくが、すでにリーリウムは日記を読み始めていた。
「大丈夫のようですわね。ちょっと音読してみてくれるかしら?」
『この日記は、私の末裔である女の子に向けて書いたものです。
私の名前はユニカ。
はじまりの“ユニカ”です。
今まであったこと、これから起こること、それからあなたへの忠告をこの日記に残します。』
「私が読んだのと内容も変わらないようなので、ページがめくれないだけで“ユニカ”以外も読むことはできるようですわね。」
リーリウムが読み上げた内容を確認すると、ヴィオラが落ち着いた様子で話した。
しかし、フレエシアとリーリウムは驚きを隠せない表情のまま固まってしまった。
(はじまりの“ユニカ”…。ユニカ様の日記ということ?)
“ユニカ”という名前が代々公爵家の長女に受け継がれているのは、500年ほど前にいた公爵令嬢が始まりだった。
公爵家だけでなく、国中の人間が今でも「ユニカ様」と呼び、尊敬の念を抱く人物だ。
ユニカ様は当時の王太子に嫁ぎ、王太子妃、そして王妃としてさまざまな功績を遺していた。
その一番有名なものが、魔道具の開発だ。
魔法使いとしても優秀だったユニカ様は、モノと魔法石を組み合わせて様々な魔道具を生み出した。
さらには腐敗していた教会の立て直しや身分制度の見直しなど、画期的な政策も多数実行してきた、今の国を作り上げた伝説的な女性なのだ。
公爵家に生まれた令嬢たちは、誰しもがユニカ様を尊敬し、憧れていた。
同様に、その名を継ぐ長女を妹たちは何よりも優先すべき存在として教えられてきたのだ。
そんな初代ユニカ様の日記なのだから、心臓が痛くなるほどの驚きだった。
一見落ち着いているように見えるヴィオラも、いかなる時もポーカーフェイスでいることを教え込まれたため顔に出さなかっただけで、内心ではかなり驚いていたし、実は妹たちにこの日記を読ませても良いものか迷いもあった。
「ユニカ様の日記か…。まぁ、もともと公爵家の令嬢だったわけだし、残っていてもおかしくはないよね…。」
落ち着きを取り戻したフレエシアは、自分に言い聞かせるようにつぶやく。
「続きは?」
フレエシアはリーリウムに日記の続きを読むよう促す。
それを受けてリーリウムは日記に視線を落とす。
『私は元々別の世界に生きていました。
その世界で事故によって死に、目が覚めると“公爵令嬢”になっていたのです。
そのことはずっと忘れていたのですが、13歳の誕生日に足を踏み外して階段から落ちて頭を打った際にすべてを思い出したのです。』
絶句である。
あの尊敬してやまないユニカ様が訳の分からないことを日記に残しているのだから。
3人とももはやどう反応すべきなのか分からず、部屋には時が止まったように沈黙だけが流れていた。
ヴィオラがそう言うと同時に日記を閉じようとするのを、リーリウムは右手をそっと滑り込ませて阻止する。
「お姉さま、私も読んでみてもよろしいでしょうか?」
いつもは大人しい妹が好奇心を抑えられない様子を見て、ヴィオラは少し微笑むと、ページを開いた状態でリーリウムに手渡した。
「“ユニカの名を持つ子”が開いたページを他の人間が見ても大丈夫なのでしょうか……。」
ふいにフレエシアがつぶやくが、すでにリーリウムは日記を読み始めていた。
「大丈夫のようですわね。ちょっと音読してみてくれるかしら?」
『この日記は、私の末裔である女の子に向けて書いたものです。
私の名前はユニカ。
はじまりの“ユニカ”です。
今まであったこと、これから起こること、それからあなたへの忠告をこの日記に残します。』
「私が読んだのと内容も変わらないようなので、ページがめくれないだけで“ユニカ”以外も読むことはできるようですわね。」
リーリウムが読み上げた内容を確認すると、ヴィオラが落ち着いた様子で話した。
しかし、フレエシアとリーリウムは驚きを隠せない表情のまま固まってしまった。
(はじまりの“ユニカ”…。ユニカ様の日記ということ?)
“ユニカ”という名前が代々公爵家の長女に受け継がれているのは、500年ほど前にいた公爵令嬢が始まりだった。
公爵家だけでなく、国中の人間が今でも「ユニカ様」と呼び、尊敬の念を抱く人物だ。
ユニカ様は当時の王太子に嫁ぎ、王太子妃、そして王妃としてさまざまな功績を遺していた。
その一番有名なものが、魔道具の開発だ。
魔法使いとしても優秀だったユニカ様は、モノと魔法石を組み合わせて様々な魔道具を生み出した。
さらには腐敗していた教会の立て直しや身分制度の見直しなど、画期的な政策も多数実行してきた、今の国を作り上げた伝説的な女性なのだ。
公爵家に生まれた令嬢たちは、誰しもがユニカ様を尊敬し、憧れていた。
同様に、その名を継ぐ長女を妹たちは何よりも優先すべき存在として教えられてきたのだ。
そんな初代ユニカ様の日記なのだから、心臓が痛くなるほどの驚きだった。
一見落ち着いているように見えるヴィオラも、いかなる時もポーカーフェイスでいることを教え込まれたため顔に出さなかっただけで、内心ではかなり驚いていたし、実は妹たちにこの日記を読ませても良いものか迷いもあった。
「ユニカ様の日記か…。まぁ、もともと公爵家の令嬢だったわけだし、残っていてもおかしくはないよね…。」
落ち着きを取り戻したフレエシアは、自分に言い聞かせるようにつぶやく。
「続きは?」
フレエシアはリーリウムに日記の続きを読むよう促す。
それを受けてリーリウムは日記に視線を落とす。
『私は元々別の世界に生きていました。
その世界で事故によって死に、目が覚めると“公爵令嬢”になっていたのです。
そのことはずっと忘れていたのですが、13歳の誕生日に足を踏み外して階段から落ちて頭を打った際にすべてを思い出したのです。』
絶句である。
あの尊敬してやまないユニカ様が訳の分からないことを日記に残しているのだから。
3人とももはやどう反応すべきなのか分からず、部屋には時が止まったように沈黙だけが流れていた。
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