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Lesson.1 「悪役令嬢」という存在
8.ヒロインと悪役令嬢
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ヴィオラの部屋で、ユニカの日記を読み続ける公爵家の四姉妹。
衝撃的な内容が続きプリムラ以外の三人は疲労困憊だったが、日記の先が知りたいという好奇心がまだ勝っていた。
リーリウムはヴィオラの許しを得て一人掛けのソファに腰を下ろし、ゆっくりとかみしめるように日記の続きを読み始めた。
『仲良くなるうちに、マリアは私と同じ世界から召喚された聖女だと分かりました。
私が読んでいた小説の中での“異世界”から召喚されたわけではなく、私と同じ現実世界で生きていた女の子だったのです。
ただ、生きていた時代にはズレがあり、マリアの方が二十年ほど昔の世界から召喚されていました。
私が読んでいた小説が書かれるずいぶん以前です。
私やマリア、そして後で書きますが、その他にも異世界の女の子は数十年おきに転生したり召喚されたりしてこの世界へやってきました。
私が出会った女の子たちは、みんなマリアのような“ヒロイン”です。
この世界に放り込まれた“ヒロイン”たちは、思い思いの行動をとりました。
マリアのように優しい子もいましたが、ほとんどが自尊心の高い自分勝手な子ばかりで、元々この世界にいた人々もその子たちの行いに巻き込まれていきます。
そんな彼女たちを観察していて分かったことは、ウェスペル公爵家の令嬢は“悪役令嬢”になりやすいということ。
それは、王家や高位貴族家の令息と婚約関係にあることが多いことが理由で、ヒロインが現れた時にライバルとなってしまうからです。
家が断絶することは回避できましたが、実際に断罪された公爵令嬢たちは修道院に送られたり、
年老いた下位貴族の後妻になったりと不幸な道を歩むことになりました。
しかし、驚くことに彼女たちの多くは断罪されるような悪行を働いていなかったのです!
“ヒロイン”たちの謀略、もしくは何らかの力が働いた“物語補整”によって、無実の公爵令嬢たちは人生の全てを手放すことに…。
そこで、私はこの日記を公爵家に残し、長女には代々“ユニカ”の名を継がせるように指示を出しました。
そして、私の秘密が書かれているこの日記には、“ユニカ”以外が読めないようにするための魔法を施したのです。
あなたが何年後の、何代目の“ユニカ”なのかはわかりません。
でも、もし異世界から“ヒロイン”がやってきたなら、あなたが悪役令嬢にならないためにやるべきことをこの日記から学んでください。
言わばこの日記は“悪役令嬢にならないための指南書”です。
王太子と婚約中で知識やマナーも完璧、さらに誰もが羨む美しさもあるなら“悪役令嬢”になる恐れがあります。
この日記があなたの役に立ち、破滅を防いでくれることを願います。』
そこまで読み終わると、一斉にリーリウムに視線が集まった。
リーリウムは先日、まさに王太子との婚約を発表したばかりだった。
昨日の誕生日パーティーにはもちろん王太子ヘンリクスも駆けつけており、リーリウムとの仲睦まじい様子は、貴族たちにとって今最もホットな話題となっている。
「完全に当てはまりますわね。」
ヴィオラが言うと、フレエシアも畳みかける。
「賢さ、マナー、そして美貌。完全に当てはまるね。」
2人の姉に指摘されたリーリウムは、困惑しながらも答える。
「私がそんなに完璧な令嬢だとお姉さま方に思われているのは光栄ですが、プリムラも当てはまりませんこと?」
「私はまだルドヴィク殿下とは婚約まではしていないし、知識やマナーもリーリウムお姉さまの足元にも及ばないわ。」
するどい分析をするプリムラにぐうの音も出ないリーリウム。
「だけど、プリムラも注意をしておくに越したことはないと思うよ。
将来的にはルドヴィク殿下と婚約するだろうし、王太子妃教育がはじまれば自ずとマナーや知識も身につくしね。
しかし、ユニカ様の日記によると“ヒロイン”の方が悪役っぽいね。
“悪役令嬢”はむしろ被害者で……。」
フレエシアは“ヒロイン”や“悪役令嬢”についてまだ理解できていない。
それでも、2人の妹たちの行く末が心配になり、リーリウムの肩を撫でながら不安そうに話した。
「私は伯爵家のアンドレアス様と婚約中ですし、フレエシアもその点は心配ないでしょうから、
ひとまずリーリウムとプリムラの2人が“悪役令嬢”候補ということで、ユニカ様の日記を分析していくということでいかがかしら?」
三人はヴィオラの声にうなずく。
「“悪役令嬢”がどのようなご令嬢で、どのような運命なのかもわかりませんもの。
各々考えをまとめる時間も必要だと思うわ。
今日はお開きにして、また明日の夕食後に日記を読み進めていきましょう。
あまり夜更かしが過ぎると美しさの大敵と言いますしね。」
ヴィオラが柔和にほほ笑むと、妹たちの顔からも緊張が解かれた。
そして、四姉妹の秘密の話合いは次の日に繰り越されることとなった。
衝撃的な内容が続きプリムラ以外の三人は疲労困憊だったが、日記の先が知りたいという好奇心がまだ勝っていた。
リーリウムはヴィオラの許しを得て一人掛けのソファに腰を下ろし、ゆっくりとかみしめるように日記の続きを読み始めた。
『仲良くなるうちに、マリアは私と同じ世界から召喚された聖女だと分かりました。
私が読んでいた小説の中での“異世界”から召喚されたわけではなく、私と同じ現実世界で生きていた女の子だったのです。
ただ、生きていた時代にはズレがあり、マリアの方が二十年ほど昔の世界から召喚されていました。
私が読んでいた小説が書かれるずいぶん以前です。
私やマリア、そして後で書きますが、その他にも異世界の女の子は数十年おきに転生したり召喚されたりしてこの世界へやってきました。
私が出会った女の子たちは、みんなマリアのような“ヒロイン”です。
この世界に放り込まれた“ヒロイン”たちは、思い思いの行動をとりました。
マリアのように優しい子もいましたが、ほとんどが自尊心の高い自分勝手な子ばかりで、元々この世界にいた人々もその子たちの行いに巻き込まれていきます。
そんな彼女たちを観察していて分かったことは、ウェスペル公爵家の令嬢は“悪役令嬢”になりやすいということ。
それは、王家や高位貴族家の令息と婚約関係にあることが多いことが理由で、ヒロインが現れた時にライバルとなってしまうからです。
家が断絶することは回避できましたが、実際に断罪された公爵令嬢たちは修道院に送られたり、
年老いた下位貴族の後妻になったりと不幸な道を歩むことになりました。
しかし、驚くことに彼女たちの多くは断罪されるような悪行を働いていなかったのです!
“ヒロイン”たちの謀略、もしくは何らかの力が働いた“物語補整”によって、無実の公爵令嬢たちは人生の全てを手放すことに…。
そこで、私はこの日記を公爵家に残し、長女には代々“ユニカ”の名を継がせるように指示を出しました。
そして、私の秘密が書かれているこの日記には、“ユニカ”以外が読めないようにするための魔法を施したのです。
あなたが何年後の、何代目の“ユニカ”なのかはわかりません。
でも、もし異世界から“ヒロイン”がやってきたなら、あなたが悪役令嬢にならないためにやるべきことをこの日記から学んでください。
言わばこの日記は“悪役令嬢にならないための指南書”です。
王太子と婚約中で知識やマナーも完璧、さらに誰もが羨む美しさもあるなら“悪役令嬢”になる恐れがあります。
この日記があなたの役に立ち、破滅を防いでくれることを願います。』
そこまで読み終わると、一斉にリーリウムに視線が集まった。
リーリウムは先日、まさに王太子との婚約を発表したばかりだった。
昨日の誕生日パーティーにはもちろん王太子ヘンリクスも駆けつけており、リーリウムとの仲睦まじい様子は、貴族たちにとって今最もホットな話題となっている。
「完全に当てはまりますわね。」
ヴィオラが言うと、フレエシアも畳みかける。
「賢さ、マナー、そして美貌。完全に当てはまるね。」
2人の姉に指摘されたリーリウムは、困惑しながらも答える。
「私がそんなに完璧な令嬢だとお姉さま方に思われているのは光栄ですが、プリムラも当てはまりませんこと?」
「私はまだルドヴィク殿下とは婚約まではしていないし、知識やマナーもリーリウムお姉さまの足元にも及ばないわ。」
するどい分析をするプリムラにぐうの音も出ないリーリウム。
「だけど、プリムラも注意をしておくに越したことはないと思うよ。
将来的にはルドヴィク殿下と婚約するだろうし、王太子妃教育がはじまれば自ずとマナーや知識も身につくしね。
しかし、ユニカ様の日記によると“ヒロイン”の方が悪役っぽいね。
“悪役令嬢”はむしろ被害者で……。」
フレエシアは“ヒロイン”や“悪役令嬢”についてまだ理解できていない。
それでも、2人の妹たちの行く末が心配になり、リーリウムの肩を撫でながら不安そうに話した。
「私は伯爵家のアンドレアス様と婚約中ですし、フレエシアもその点は心配ないでしょうから、
ひとまずリーリウムとプリムラの2人が“悪役令嬢”候補ということで、ユニカ様の日記を分析していくということでいかがかしら?」
三人はヴィオラの声にうなずく。
「“悪役令嬢”がどのようなご令嬢で、どのような運命なのかもわかりませんもの。
各々考えをまとめる時間も必要だと思うわ。
今日はお開きにして、また明日の夕食後に日記を読み進めていきましょう。
あまり夜更かしが過ぎると美しさの大敵と言いますしね。」
ヴィオラが柔和にほほ笑むと、妹たちの顔からも緊張が解かれた。
そして、四姉妹の秘密の話合いは次の日に繰り越されることとなった。
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