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Lesson.3 学園生活の始まりが、悪役令嬢の始まり
15.二人の使命
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プリムラの「学園に入学したい発言」から数日後、
リーリウムはいつも通り王宮で王太子妃教育を受け、午後からは王妃とヘンリクスとともにお茶の時間を楽しむため、王妃宮へと赴いた。
三人でのお茶会はまるで家族のような和やかさで、全員がリラックスできる居心地の良い時間だった。
「ルドヴィク殿下が弟君と共に『エレンシア貴族学園』へ留学してくるそうよ。」
王妃は好物のベリーのマカロンを手に取りながら、リーリウムに話かけた。
「はい。プリムラに聞きました。
あの子、ルドヴィク殿下といっしょに学園生活を送りたいそうで、父に入学許可をとりつけていましたわ。」
クスクスと笑いながらリーリウムが答える。
「まあ、ではちょうど良かった!
リーリウムも一年間だけ学園へ通ってはどう?」
王妃から突如予想もしていなかった提案をされたリーリウムは、笑顔から一転して戸惑いを隠せなかった。
(確かに王太子妃教育で至らない点もあるわ。
学園で学びなおせということかしら……?)
王妃の言葉の意味を真面目に思案するリーリウムの隣で、ヘンリクスは母親へ非難の声を上げる。
「母上、リーリウムが誤解をしています。
いつもお言葉が足りないのですよ。」
「ああ! ごめんなさい、リーリウム。
そういう意味ではないのよ。
あなたは十分に優秀ですもの!」
大慌てで王妃は自分の言葉を補足していく。
「実は、友好国の王太子であるルドヴィク殿下が留学されるのであれば、
こちらも王太子であるヘンリクスを学園に在籍させて、二人の絆を深めてはどうかという意見が出たの。
元々、ルドヴィク殿下とヘンリクスは良いお友だちだけど、
外交上も仲良しをアピールしておいた方が両国のためにも、他の諸外国への印象づけにも良いということね。
だから、ルドヴィク殿下と婚約されるであろうプリムラ嬢が学園へ入学するのであれば、
ヘンリクスの婚約者であるリーリウムも一緒に入学した方が良いかと思ったの。」
自分は学園へ行かなければいけないほど、至らない点があるのかと
実はショックを受けていたリーリウムは、ほっと胸をなでおろした。
「そういうことでしたら……。
ヘンリクス様さえよろしければ、父に話してみます。」
ちらりとヘンリクスの顔を見ると、ニコニコとした笑顔で見つめ返された。
「もちろん、僕は大歓迎だよ!
学園でずっとリーリウムといられるなんて、素敵だからね。」
「うふふ、ヘンリクス様ったら、プリムラと同じことをおっしゃっていますわ。」
そういいながら、リーリウムも初めて通う学園生活に胸が躍っていた。
「とっても仲良しさんで、本当にかわいらしいわ。」
二人が見つめ合う様子を優しい眼差しで見ながら、マカロンを味わいつつ、つい王妃は心の声を出していた。
はっと我に返り、恥ずかしそうにうつむくリーリウム。
「母上、リーリウムとの甘い時間が終わってしまったではないですか。
声に出さないでくださいよ。」
王妃はいたずらっぽく「うふふ」と笑い、リーリウムに紅茶のおかわりを勧める。
「実はね、二人には学園生活を謳歌しながらでいいのだけれど、やってほしいことがあるの。」
王妃が合図を送ると、王宮の侍女長が部屋に入ってきた。
「あなたから事情を話してくれる?」
王妃が促すと、侍女長は少し戸惑いながらも「殿下、リーリウム嬢、失礼いたします」と前置きをして、
良く通る声で話し始めた。
「学園を卒業した貴族令嬢たちが、毎年数人侍女として王宮へ参ります。
しかし、ここ数年は王宮で働ける基準を満たしている令嬢が大変少ないのです。
わたくし自身も卒業生なのですが、学園では侍女の基礎基本はもちろん、トラブルへの対応力など、必要な知識と技術が学べるはずなのです。
しかし、それらが身についている令嬢がほとんどいないという惨状で。
王族に仕える侍女ですので、実力のない子を採用するわけにもいかず、年々採用者が減るばかりです。
結婚退職も多い職場ですので、現在、深刻な人材不足に陥っております。」
侍女長はそこまで話すと、すすっと後ろへ下がり、一礼すると部屋から出て行った。
「と、いうことなの。
実は、同じ現象が他の部署でも起こっていて、騎士団ですら人材不足になっているのよ。」
王妃は侍女長の話に補足し、王宮全体を揺るがす一大事をヘンリクスとリーリウムに伝えた。
「そこでヘンリクスには、学園でどのような教育をしているのか、
なぜ人材が育っていないのか原因を見つけ出して、
改善案を出してほしいというのが陛下の考えなの。
陛下もずいぶん頭を悩ませているのだけど、なかなかそこまで手が回らないそうなのよ。
もし、リーリウムも共に学園へ通うのであれば、二人で取り組んでほしいわ。
賢いリーリウムが一緒なら、ヘンリクスも心強いものね。」
ヘンリクスとリーリウムは、お互いに目を合わせうなずき合うと、二つ返事でこの依頼を引き受けた。
「がんばろうね。」
ヘンリクスはリーリウムの手を握ると、きりりとした表情でそう声をかけた。
「はい!」
リーリウムは真剣なまなざしでヘンリクスを見つめ返す。
王太子とその婚約者として初めていっしょに向き合う仕事。
二人は共に力を合わせながら、将来の王宮のためにも絶対に解決をしなくてはいけないと心に誓いあった。
リーリウムはいつも通り王宮で王太子妃教育を受け、午後からは王妃とヘンリクスとともにお茶の時間を楽しむため、王妃宮へと赴いた。
三人でのお茶会はまるで家族のような和やかさで、全員がリラックスできる居心地の良い時間だった。
「ルドヴィク殿下が弟君と共に『エレンシア貴族学園』へ留学してくるそうよ。」
王妃は好物のベリーのマカロンを手に取りながら、リーリウムに話かけた。
「はい。プリムラに聞きました。
あの子、ルドヴィク殿下といっしょに学園生活を送りたいそうで、父に入学許可をとりつけていましたわ。」
クスクスと笑いながらリーリウムが答える。
「まあ、ではちょうど良かった!
リーリウムも一年間だけ学園へ通ってはどう?」
王妃から突如予想もしていなかった提案をされたリーリウムは、笑顔から一転して戸惑いを隠せなかった。
(確かに王太子妃教育で至らない点もあるわ。
学園で学びなおせということかしら……?)
王妃の言葉の意味を真面目に思案するリーリウムの隣で、ヘンリクスは母親へ非難の声を上げる。
「母上、リーリウムが誤解をしています。
いつもお言葉が足りないのですよ。」
「ああ! ごめんなさい、リーリウム。
そういう意味ではないのよ。
あなたは十分に優秀ですもの!」
大慌てで王妃は自分の言葉を補足していく。
「実は、友好国の王太子であるルドヴィク殿下が留学されるのであれば、
こちらも王太子であるヘンリクスを学園に在籍させて、二人の絆を深めてはどうかという意見が出たの。
元々、ルドヴィク殿下とヘンリクスは良いお友だちだけど、
外交上も仲良しをアピールしておいた方が両国のためにも、他の諸外国への印象づけにも良いということね。
だから、ルドヴィク殿下と婚約されるであろうプリムラ嬢が学園へ入学するのであれば、
ヘンリクスの婚約者であるリーリウムも一緒に入学した方が良いかと思ったの。」
自分は学園へ行かなければいけないほど、至らない点があるのかと
実はショックを受けていたリーリウムは、ほっと胸をなでおろした。
「そういうことでしたら……。
ヘンリクス様さえよろしければ、父に話してみます。」
ちらりとヘンリクスの顔を見ると、ニコニコとした笑顔で見つめ返された。
「もちろん、僕は大歓迎だよ!
学園でずっとリーリウムといられるなんて、素敵だからね。」
「うふふ、ヘンリクス様ったら、プリムラと同じことをおっしゃっていますわ。」
そういいながら、リーリウムも初めて通う学園生活に胸が躍っていた。
「とっても仲良しさんで、本当にかわいらしいわ。」
二人が見つめ合う様子を優しい眼差しで見ながら、マカロンを味わいつつ、つい王妃は心の声を出していた。
はっと我に返り、恥ずかしそうにうつむくリーリウム。
「母上、リーリウムとの甘い時間が終わってしまったではないですか。
声に出さないでくださいよ。」
王妃はいたずらっぽく「うふふ」と笑い、リーリウムに紅茶のおかわりを勧める。
「実はね、二人には学園生活を謳歌しながらでいいのだけれど、やってほしいことがあるの。」
王妃が合図を送ると、王宮の侍女長が部屋に入ってきた。
「あなたから事情を話してくれる?」
王妃が促すと、侍女長は少し戸惑いながらも「殿下、リーリウム嬢、失礼いたします」と前置きをして、
良く通る声で話し始めた。
「学園を卒業した貴族令嬢たちが、毎年数人侍女として王宮へ参ります。
しかし、ここ数年は王宮で働ける基準を満たしている令嬢が大変少ないのです。
わたくし自身も卒業生なのですが、学園では侍女の基礎基本はもちろん、トラブルへの対応力など、必要な知識と技術が学べるはずなのです。
しかし、それらが身についている令嬢がほとんどいないという惨状で。
王族に仕える侍女ですので、実力のない子を採用するわけにもいかず、年々採用者が減るばかりです。
結婚退職も多い職場ですので、現在、深刻な人材不足に陥っております。」
侍女長はそこまで話すと、すすっと後ろへ下がり、一礼すると部屋から出て行った。
「と、いうことなの。
実は、同じ現象が他の部署でも起こっていて、騎士団ですら人材不足になっているのよ。」
王妃は侍女長の話に補足し、王宮全体を揺るがす一大事をヘンリクスとリーリウムに伝えた。
「そこでヘンリクスには、学園でどのような教育をしているのか、
なぜ人材が育っていないのか原因を見つけ出して、
改善案を出してほしいというのが陛下の考えなの。
陛下もずいぶん頭を悩ませているのだけど、なかなかそこまで手が回らないそうなのよ。
もし、リーリウムも共に学園へ通うのであれば、二人で取り組んでほしいわ。
賢いリーリウムが一緒なら、ヘンリクスも心強いものね。」
ヘンリクスとリーリウムは、お互いに目を合わせうなずき合うと、二つ返事でこの依頼を引き受けた。
「がんばろうね。」
ヘンリクスはリーリウムの手を握ると、きりりとした表情でそう声をかけた。
「はい!」
リーリウムは真剣なまなざしでヘンリクスを見つめ返す。
王太子とその婚約者として初めていっしょに向き合う仕事。
二人は共に力を合わせながら、将来の王宮のためにも絶対に解決をしなくてはいけないと心に誓いあった。
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