悪役令嬢にならないための指南書

ムササビ

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Lesson.4 ヒロイン封じと学園改革

35.プリムラとルドヴィク

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「算術は久しぶりにお勉強したので、とっても新鮮でしたわ!
今日の授業は良い復習の機会になりましたわね。」

休み時間になり、一年生の教室ではプリムラの周りに友人たちが集まっていた。
プリムラのクラスでは算術の授業が終わり、やはりその低レベルな内容に皆が不満を抱いていた。
プリムラはあえて良い感想を言い、友人たちを笑顔にさせる。
そこに、護衛騎士と令嬢たちに守られながらルドヴィクがやってきた。

「俺のプリンセス!」

「ルドヴィク様!」

プリムラはルドヴィクを一目見るなり、駆け寄り抱きついた。
ルドヴィクとプリムラは、いつも人目を気にせずスキンシップをするので、周囲の者は落ち着かない。
ルドヴィクを守っていたリーリウムの学友たちも、さっと二人のそばから離れる。

「みなさん、ルドヴィク様を守って頂いてありがとうございます。
ローラお姉さままで!
本当にありがとうございます。」

プリムラは令嬢の中からローラを見つけると、手を取ってお礼を言う。

「プリムラ様はわたくしにとってもかわいらしい妹です。
妹の大切な人を悪女から守るのは当たり前ですよ。」

いつも愛らしいプリムラに、ローラはメロメロだ。

「なんだ?
令嬢たちは俺たちのためではなく、プリムラのために動いていたのか。」

あっけにとられるルドヴィクに、うふふと悪戯っぽく笑うプリムラ。

「俺は今日公務でもう王宮へ帰らねばならない。明日は共にランチをしような。」

ルドヴィクはプリムラのブロンドをふんわりと手に取り、愛おしそうに口づけをしながら詫びる。

「残念ですが仕方がありませんわ。」

少し口をとがらせて見せるが、プリムラは絶対にわがままを言わない。
ルドヴィクに甘えはするが、公務の邪魔だけは絶対にしないのだ。
むしろ、ルドヴィクが何か手を抜こうものなら、優しく諭したり、時には叱咤激励したりして、やる気を出させる。
二人は見つめ合って両手を握り合い、別れを伝え合った。

「皆、わたしのプリムラをよろしく頼む。」

教室に響き渡る声で、プリムラのクラスメイトたちに愛する人を託し、名残惜しそうにルドヴィクが教室から去っていった。

「相変わらず愛されていらっしゃって、うらやましいですわ。
わたくしの婚約者にも、殿下ほどの情熱があればいいのに……。」

ローラは心底うらやましそうに話す。
ローラの婚約者も、ローラを大切にしている。
しかし、プリムラとルドヴィクの飾らない関係は、おとぎ話の王子様とお姫様のようで、令嬢たちは羨望の眼差しでいつも見ているのだ。

「まあ、ローラお姉さまったら。
その素敵なブローチは、その婚約者さまにいただいたのではありませんの?
その宝石、彼の瞳の色にそっくりね。」

ローラの胸元に輝くブローチは、学校へ通い始める彼女へのプレゼントであり、他の男性に対するけん制でもある。
そんな男心を、ローラもプリムラも理解していた。

「ふふ、今日、彼にお手紙でも書こうかしら。
それでは、わたくしも教室に戻りますわね。」

ローラはそういうと、優雅に教室から出て行った。

上級生たちが嵐のように去っていたあと、一年生の教室は時が止まったようにしんとしていた。
おとぎ話のようなルドヴィクとプリムラ、そして今までは学園に存在していなかった高位貴族の令嬢たち。
目の前で繰り広げられた光景は、12、3歳の少年や少女には刺激が強かったのだ。

「ねえ、マリー様、今日いっしょにランチしませんこと?」

「え、あ、、はい!」

まだ皆が浮足立っている中で、プリムラはくるりと振り返ると、相変わらず教室のすみの席で本を読んでいたマリーの元へ行き、相手が驚いている隙にランチの約束を取り付ける。
そのタイミングで予鈴が鳴った。

「それでは、授業の後でね。」

プリムラはマリーにそう告げると、急ぎ足で自分の机へ戻っていった。
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