悪役令嬢にならないための指南書

ムササビ

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Lesson.4 ヒロイン封じと学園改革

37.友だちとのランチタイム2

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「この髪飾りは素敵だから、そのまま使わせてもらうわね。」

唯一のおしゃれと言えるのが、マリーの緑色の瞳と同じ小さなエメラルドが散りばめられた銀細工の髪飾りだった。

「はい。お父様から誕生日にいただいたもので、宝物なんです。」

「そう。マリー様のお父様は、とっても素敵な方なのね。」

プリムラはマリーの細くてさらさらとした髪の毛を丁寧にブラシで梳かし、どのようヘアスタイルにしようか思案している。

「マリー様の髪の毛は、ジョン様と同じきれいなハシバミ色ね。」

「ジョンお兄様を知っているのですか?」

「ジョン様はアイリ嬢と一緒にいるでしょ? だから……。」

マリーは、はっと気づいて、自分のすぐ後ろにいるプリムラのいる方へ振り向いた。

「プリムラ様、兄がご迷惑をおかけしてしまって、申し訳ありません……。」

「マリー様が悪いわけじゃないから、謝らないで。
もっと言うなら、ジョン様も悪くはないのよ?
昨日もアイリ嬢を止めてくださっていたし……。」

プリムラはマリーに前を向かせて、髪をハーフアップにすると、髪飾りで止めた。

顔にかかっていた長い前髪がなくなり、マリーの涼やかな顔と形のいいおでこが露になる。

「ジョンお兄様は、アイリが絡むとおかしくなってしまうのです。
私はあの子が嫌いです……。」

マリーの髪の毛を両サイドで丁寧に編みこんでいるプリムラは、静かにマリーの話を聞いている。

「幼馴染のアイリは、小さな頃は気弱な少女でした。
いつも母親の後ろに隠れていて……。
その頃はどちらかというと私と仲が良かったのです。

あの子が変わったのは、アイリの母親がいなくなってからでした。
兄二人にばかりくっついていって、私のことは無視をするようになりました。
それどころか、親や兄たちがいない場所では私をバカにして、ひどい言葉を投げかけるようになっていって……。

上のお兄様とお父様とお母様は私の異変に気が付いてアイリを家に招かなくなったのですが、
ジョンお兄様は平民の学院へ進学して、そこでアイリと会うようになってしまったのです。」

「そうだったの……。」

「アイリは今でも時々私のところへこっそりやってきて、嫌がらせをするのです。
この間は、お父様からいただいたこの髪飾りを『地味なマリーには似合わないから、もらってあげる』と言い出して、奪い取ろうとするので必死に守りました。」

そう言うと、マリーは右手でそっと頭のバレッタに触れる。

「マリー様はちっとも地味じゃないわ。
ほら、髪飾りもお父様があなたを思って選んだものだから、とってもよく似合っていますもの。」

マリーに手鏡を持たせて、プリムラはやさしく声をかけた。
マリーのさらさらとした髪の毛は、プリムラによって美しく編み込まれていた。

「わたし、こんなにしてもらって……。」

マリーが泣き出しそうなくらい感激している。

「アイリ嬢が何を言おうと、マリー様はとっても素敵だわ。
彼女が何を言っても、気にしてはダメよ。
このわたくしがマリー様がかわいらしいと思うのですから、それが絶対なのよ。」

プリムラが悪戯っぽく笑ってそういうと、マリーにもやっと笑顔が戻った。

「さあ、もうあまり時間もないですし、ランチの続きにしましょう?」

二人は料理長特製のサンドイッチやフルーツケーキに舌鼓をうつ。

「本当は、もっといろいろなお化粧やヘアアレンジを試したかったのだけど、今持っている道具ではこれが限界!
今度、おうちに遊びにいらして?
ドレスやアクセサリーもいろいろ着てみてほしいの。」

「うふふ、楽しみにしています。
その時は、特製のチョコレートお持ちしますね。」

二人だけの和やかなランチタイムが過ぎて行った。
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