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Lesson.4 ヒロイン封じと学園改革
46.王太子への報告1
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リーリウムは姉たちに別れを告げ、王宮へと急いだ。
学園へ通い始めたとはいえ、王太子妃教育がなくなるわけではない。
それに今日は、ヘンリクスへ教授たちからの聞き取り調査の報告をしなくてはならないし、国王への謁見も求める必要があるかもしれない。
いつも以上のピリリとした緊張感の中で、リーリウムは馬車に揺られていた。
王宮に付くと、すぐにマーテル夫人の元へ。
遅刻寸前だったので、気が焦ってしまう。
「マーテル夫人、遅くなり申し訳ありません!」
「いえいえ、大丈夫ですよ。時間ぴったりです。
それにしても、制服姿もおかわいらしいですわ。
ねえ、王妃様。」
「ええ、本当に、リーリウムは何を着てもかわいらしいわ。」
今日に限って、部屋には王妃もいた。
着替える時間がなく、学校から直接来たので制服姿のままだったリーリウムは、恥ずかしさのあまり顔を上げられない。
「ほらほら、顔を上げて。
そこでくるりと回ってよく姿を見せてちょうだい。」
王妃に言われるがまま、リーリウムはくるりと回ってみせる。
「かわいらしいだけでなく、リーリウムの賢さも強調されて……。
制服もいいわね。」
制服姿で遅刻寸前の時刻に到着してしまった恥ずかしさよりも、褒められすぎた気恥ずかしさが勝ってくる。
「さあさあ、それくらいにしてくださいませね。王妃様。
リーリウム様はこちらにドレスを用意していますので、お着替えください。」
マーテル夫人が言うと、ドレス一式と衝立を持った侍女たちが部屋に入ってきた。
「ありがとうございます。」
「うふふ、いいものを見せてもらったわ。
それでは、わたくしは行くわね。」
本当にリーリウムの制服姿を観賞しに来ていただけだったようで、王妃はご機嫌な様子で部屋を退出していった。
愛情深い王妃のおかげで、幾分か緊張がとけてくる。
ドレスに着替え終えると、いつもどおりの王太子教育が始まった。
マーテル夫人もさきほどまでの優しい物腰から一転して、厳しい教師の顔をする。
学校での気の抜けた授業とは違う様子に、リーリウムはやりがいをひしひしと感じていた。
王太子妃教育を終えたリーリウムは、ヘンリクスの待つ応接室に案内される。
「やあ、リーリウム、おつかれさま。」
ヘンリクスは侍女へお茶を持ってくるように指示をすると、リーリウムを労った。
「それで、学校の方はどうだった?」
リーリウムは、授業内容の惨状や研究棟での聞き取り調査の内容をヘンリクスへ伝える。
自分の想像よりも悲惨な状態だと知ったヘンリクスは、何事か思案し始めた。
「やはり、学園長の選出方法がそもそもの原因のような気がする。
陛下との話し合いのスケジュールを立てておこう。
僕たちは、その話し合いまで、学園で前学園長派の教授たちと今後のことについて話し合おう。」
「はい。そのようにいたしましょう。
それから、現在教授ではなくても、優れた研究員には講師として教壇に立っていただきたいのです。
たとえば、今日お会いしたマシュー・ローレンス男爵子息はまだお若いですが、新たな発見もされている優れた歴史学者です。」
「なるほど、私はまだそのローレンス殿とは面識がないのだが、どんな男だった?」
ヘンリクスもマシューが“白銀の君”と呼ばれ、女性たちにとても人気が高いことくらいは知っていた。
「そうですね……。
少し、人との距離感が近すぎるように感じましたが、悪い人ではありませんでした。
学園をどうにかしたいという気持ちも強いようでしたし、
学園長を選挙で決めていることに問題があると指摘したのも、彼ですわ。」
「そうか。意外と人間味のある人物なのだな。」
“距離感が近い”という言葉が気にならないでもなかったが、当のリーリウムが気にしてなさそうだったので、安堵するヘンリクス。
同じ銀髪でもはつらつとしたブルーグレーの輝きを放つヘンリクスとは違い、マシューの銀髪は白銀のような繊細な美しさで、その白い肌と幻想的な瞳も相まって、妖精なのではないかと本気で疑っている令嬢もいるくらいだ。
しかし、実際に彼と会ったリーリウムの印象では、きちんと芯の通った人物のようだった。
(噂話でその人の人となりを決めつけるなんて、私らしくなかったな……。)
リーリウムが絡むと、些細なことでも動揺してしまう。
常に冷静な判断を下せるようにならねばと、ヘンリクスは自省していた。
学園へ通い始めたとはいえ、王太子妃教育がなくなるわけではない。
それに今日は、ヘンリクスへ教授たちからの聞き取り調査の報告をしなくてはならないし、国王への謁見も求める必要があるかもしれない。
いつも以上のピリリとした緊張感の中で、リーリウムは馬車に揺られていた。
王宮に付くと、すぐにマーテル夫人の元へ。
遅刻寸前だったので、気が焦ってしまう。
「マーテル夫人、遅くなり申し訳ありません!」
「いえいえ、大丈夫ですよ。時間ぴったりです。
それにしても、制服姿もおかわいらしいですわ。
ねえ、王妃様。」
「ええ、本当に、リーリウムは何を着てもかわいらしいわ。」
今日に限って、部屋には王妃もいた。
着替える時間がなく、学校から直接来たので制服姿のままだったリーリウムは、恥ずかしさのあまり顔を上げられない。
「ほらほら、顔を上げて。
そこでくるりと回ってよく姿を見せてちょうだい。」
王妃に言われるがまま、リーリウムはくるりと回ってみせる。
「かわいらしいだけでなく、リーリウムの賢さも強調されて……。
制服もいいわね。」
制服姿で遅刻寸前の時刻に到着してしまった恥ずかしさよりも、褒められすぎた気恥ずかしさが勝ってくる。
「さあさあ、それくらいにしてくださいませね。王妃様。
リーリウム様はこちらにドレスを用意していますので、お着替えください。」
マーテル夫人が言うと、ドレス一式と衝立を持った侍女たちが部屋に入ってきた。
「ありがとうございます。」
「うふふ、いいものを見せてもらったわ。
それでは、わたくしは行くわね。」
本当にリーリウムの制服姿を観賞しに来ていただけだったようで、王妃はご機嫌な様子で部屋を退出していった。
愛情深い王妃のおかげで、幾分か緊張がとけてくる。
ドレスに着替え終えると、いつもどおりの王太子教育が始まった。
マーテル夫人もさきほどまでの優しい物腰から一転して、厳しい教師の顔をする。
学校での気の抜けた授業とは違う様子に、リーリウムはやりがいをひしひしと感じていた。
王太子妃教育を終えたリーリウムは、ヘンリクスの待つ応接室に案内される。
「やあ、リーリウム、おつかれさま。」
ヘンリクスは侍女へお茶を持ってくるように指示をすると、リーリウムを労った。
「それで、学校の方はどうだった?」
リーリウムは、授業内容の惨状や研究棟での聞き取り調査の内容をヘンリクスへ伝える。
自分の想像よりも悲惨な状態だと知ったヘンリクスは、何事か思案し始めた。
「やはり、学園長の選出方法がそもそもの原因のような気がする。
陛下との話し合いのスケジュールを立てておこう。
僕たちは、その話し合いまで、学園で前学園長派の教授たちと今後のことについて話し合おう。」
「はい。そのようにいたしましょう。
それから、現在教授ではなくても、優れた研究員には講師として教壇に立っていただきたいのです。
たとえば、今日お会いしたマシュー・ローレンス男爵子息はまだお若いですが、新たな発見もされている優れた歴史学者です。」
「なるほど、私はまだそのローレンス殿とは面識がないのだが、どんな男だった?」
ヘンリクスもマシューが“白銀の君”と呼ばれ、女性たちにとても人気が高いことくらいは知っていた。
「そうですね……。
少し、人との距離感が近すぎるように感じましたが、悪い人ではありませんでした。
学園をどうにかしたいという気持ちも強いようでしたし、
学園長を選挙で決めていることに問題があると指摘したのも、彼ですわ。」
「そうか。意外と人間味のある人物なのだな。」
“距離感が近い”という言葉が気にならないでもなかったが、当のリーリウムが気にしてなさそうだったので、安堵するヘンリクス。
同じ銀髪でもはつらつとしたブルーグレーの輝きを放つヘンリクスとは違い、マシューの銀髪は白銀のような繊細な美しさで、その白い肌と幻想的な瞳も相まって、妖精なのではないかと本気で疑っている令嬢もいるくらいだ。
しかし、実際に彼と会ったリーリウムの印象では、きちんと芯の通った人物のようだった。
(噂話でその人の人となりを決めつけるなんて、私らしくなかったな……。)
リーリウムが絡むと、些細なことでも動揺してしまう。
常に冷静な判断を下せるようにならねばと、ヘンリクスは自省していた。
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