69 / 141
Lesson.4 ヒロイン封じと学園改革
69.ウェスペル家の休日2
しおりを挟む
リーリウムが王宮の前に到着すると、ヘンリクス自らが出迎えてくれた。
「おはよう、リーリウム。
休日も君に会えて嬉しいよ。」
「おはようございます、ヘンリクス様。
わたくしも嬉しいです。」
ほほえみあう二人に、周りの従者たちの心も温まる。
ヘンリクスから差し出された手の上にそっと右手を添え、リーリウムは王宮の中へ入っていく。
バラが満開の庭園へ行くと、青空の下にセットされたスイーツや紅茶が並ぶテーブル、そして、王妃と談笑する王がいた。
王妃とは気さくに話せるようになったリーリウムも、王とはほとんど面識がない。
今日拝謁できるとは思っていなかったリーリウムは、慌てて立ち止まり、膝を曲げて頭を下げ、礼をする。
「今日は家族として会うのだから、そんなにかしこまらなくても良い。
リーリウム、こちらへ座りなさい。」
王はそう言うと、周りに控えていた侍従やメイドたちを静かに下がらせた。
リーリウムは、ヘンリクスにエスコートされて王妃と王の向いの席に座る。
「おはようございます。陛下、王妃様。」
「おはよう、リーリウム。
ヴィーが久しぶりに邸宅に帰って来ているのですって?
王宮にも遊びに来るように伝えておいてね?」
“ヴィー”はリーリウムの母、ヴィスタリア・ウェスペル公爵夫人の愛称だ。
「はい、王妃様。」
「それにしても、今回のことは残念だった。
ヴィオラ嬢はさぞ気落ちしていることだろう…。」
王は、公爵から受け取った手紙でヴィオラとアンドレアスの事情を知った。
王としても、アンドレアスは次期ウェスペル家の当主であり、ヘンリクスの右腕になる人間として目をかけていたのだから、今回のことは青天の霹靂だった。
「陛下、心配いただきありがとうございます。」
“姉はすっきりとしたと言って元気に過ごしている”とは、さすがに言えない。
「ヴィオラ嬢には気持ちが落ち着くまで、ゆっくりと過ごすように伝えてくれ。」
「はい、陛下。」
王は心からヴィオラを心配している様だった。
今まであまり話したことがなかったが、リーリウムは王の優しい心に触れたような気がして、うれしかった。
「それでリーリウム、本題なのだが、これに見覚えはないか?」
王がおもむろに取り出したのは、一冊の古ぼけた本だった。
リーリウムはその本を見て、目を見開いた。
「それは、“ユニカ様の日記帳”!」
あるはずのないものが王の手にあるのを見て、思わず口に出してしまった。
とっさにリーリウムは口に手を当てる。
王が持つ本は、公爵家の秘密の図書館で見つけた、あのユニカ様の日記にそっくりだったのだ。
「うむ、やはり片割れは公爵家にあったか。
これはユニカ様の日記帳ではない。
アレクサンデル王の日記だ。
どうやら二人は、おそろいの日記帳を使用していたらしいな。」
「やっぱり仲良しだったのね。」
王妃がうっとりとした口調で話す。
アレクサンデル王とユニカ様の仲睦まじさは、今でもさまざまなエピソードとともに語り継がれており、王国の女性すべての憧れだった。
「そうだな。二人の間には隠し事などなかったようだ。
この日記には、“ヒロイン”と“悪役令嬢”の存在と“ウェスペル家の呪い”と祝福についても書かれていた。
そちらの日記には、書かれていたか?」
隠しても仕方がないと、リーリウムは腹をくくる。
それに、ずっと気になっていたこともあったので、思い切って王に尋ねてみようと思った。
「おはよう、リーリウム。
休日も君に会えて嬉しいよ。」
「おはようございます、ヘンリクス様。
わたくしも嬉しいです。」
ほほえみあう二人に、周りの従者たちの心も温まる。
ヘンリクスから差し出された手の上にそっと右手を添え、リーリウムは王宮の中へ入っていく。
バラが満開の庭園へ行くと、青空の下にセットされたスイーツや紅茶が並ぶテーブル、そして、王妃と談笑する王がいた。
王妃とは気さくに話せるようになったリーリウムも、王とはほとんど面識がない。
今日拝謁できるとは思っていなかったリーリウムは、慌てて立ち止まり、膝を曲げて頭を下げ、礼をする。
「今日は家族として会うのだから、そんなにかしこまらなくても良い。
リーリウム、こちらへ座りなさい。」
王はそう言うと、周りに控えていた侍従やメイドたちを静かに下がらせた。
リーリウムは、ヘンリクスにエスコートされて王妃と王の向いの席に座る。
「おはようございます。陛下、王妃様。」
「おはよう、リーリウム。
ヴィーが久しぶりに邸宅に帰って来ているのですって?
王宮にも遊びに来るように伝えておいてね?」
“ヴィー”はリーリウムの母、ヴィスタリア・ウェスペル公爵夫人の愛称だ。
「はい、王妃様。」
「それにしても、今回のことは残念だった。
ヴィオラ嬢はさぞ気落ちしていることだろう…。」
王は、公爵から受け取った手紙でヴィオラとアンドレアスの事情を知った。
王としても、アンドレアスは次期ウェスペル家の当主であり、ヘンリクスの右腕になる人間として目をかけていたのだから、今回のことは青天の霹靂だった。
「陛下、心配いただきありがとうございます。」
“姉はすっきりとしたと言って元気に過ごしている”とは、さすがに言えない。
「ヴィオラ嬢には気持ちが落ち着くまで、ゆっくりと過ごすように伝えてくれ。」
「はい、陛下。」
王は心からヴィオラを心配している様だった。
今まであまり話したことがなかったが、リーリウムは王の優しい心に触れたような気がして、うれしかった。
「それでリーリウム、本題なのだが、これに見覚えはないか?」
王がおもむろに取り出したのは、一冊の古ぼけた本だった。
リーリウムはその本を見て、目を見開いた。
「それは、“ユニカ様の日記帳”!」
あるはずのないものが王の手にあるのを見て、思わず口に出してしまった。
とっさにリーリウムは口に手を当てる。
王が持つ本は、公爵家の秘密の図書館で見つけた、あのユニカ様の日記にそっくりだったのだ。
「うむ、やはり片割れは公爵家にあったか。
これはユニカ様の日記帳ではない。
アレクサンデル王の日記だ。
どうやら二人は、おそろいの日記帳を使用していたらしいな。」
「やっぱり仲良しだったのね。」
王妃がうっとりとした口調で話す。
アレクサンデル王とユニカ様の仲睦まじさは、今でもさまざまなエピソードとともに語り継がれており、王国の女性すべての憧れだった。
「そうだな。二人の間には隠し事などなかったようだ。
この日記には、“ヒロイン”と“悪役令嬢”の存在と“ウェスペル家の呪い”と祝福についても書かれていた。
そちらの日記には、書かれていたか?」
隠しても仕方がないと、リーリウムは腹をくくる。
それに、ずっと気になっていたこともあったので、思い切って王に尋ねてみようと思った。
0
あなたにおすすめの小説
メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。
ねえ、今どんな気持ち?
かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた
彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。
でも、あなたは真実を知らないみたいね
ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・
私はざまぁされた悪役令嬢。……ってなんだか違う!
杵島 灯
恋愛
王子様から「お前と婚約破棄する!」と言われちゃいました。
彼の隣には幼馴染がちゃっかりおさまっています。
さあ、私どうしよう?
とにかく処刑を避けるためにとっさの行動に出たら、なんか変なことになっちゃった……。
小説家になろう、カクヨムにも投稿中。
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています
六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。
しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。
「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる