悪役令嬢にならないための指南書

ムササビ

文字の大きさ
119 / 141
Lesson.5 物語の終わり

119.謎の地下室

しおりを挟む
地下室は広く、壁の照明器具のほかは家具も何も置かれてなかった。
ヴィオラが地上で預かった日記帳をリナに手渡すと、再び白い光の線が発生し、地下室の床を突き抜け、さらに下を指している。
部屋を見回すと、地上へと続く階段は朽ち果てており、部屋にはその他の出入り口はない。

「リーリウム、あなた顔色が良くなっているわ。」

マリーのチョコレートで日常的な生活を出来るように回復していたとはいえ、顔色はずっと青ざめ、すぐに疲れてしまうのは治らなかった。
しかしこの地下室に到着したとたん、ヴィオラが驚きの声を上げるほど、リーリウムは元気を取り戻していた。
青白かった頬は薄く紅潮し、化粧でも隠し切れなかった目の下のクマも無くなって、目には生気が戻っている。

「お姉様、身体も軽く感じます。
それに、ずっと黒いモヤがかかっていたようだったのに、頭の中がすっきりとしています。」

「ここには、光の魔力が満ちているからね。」

リナは床を調べながら、皆に伝える。
闇の魔力が充満している地上とは違い、リーリウムと相性の良い光の魔力が彼女の不調を癒してくれているのだ。
つまりそれは、闇の魔法使いであるリナにとっては不都合な環境だと言える。

「リナさんは大丈夫なのですか?」

リーリウムが心配そうに尋ねると、リナは小さく頷く。

「全く影響がないわけではないけど、一応対処する術は会得しているからね。
ただ、長時間この環境にいるのは難しい。
早く下に行く道を探そう。」

皆がリナを習って、床に怪しい場所がないか探し始める。
しかし、床板に怪しいところは見つからず、唯一の戦力といえるリナの消耗を考えると、焦燥感だけが募っていった。
ふと思い立ったフレエシアは壁を背にして、反対側の壁に並んだ照明を眺めてみた。
そして、反対側の壁へ行き、同じように向こう側の壁の照明を眺める。
それを2回繰り返すと、何か思いついたように、一つの照明器具に近づいた。
建物の柱に取り付けられた照明だった。

「ねえ、脚立ない?」

リナは黒い穴を出現させると、その中から小さな脚立を取り出した。

「私、便利屋みたいになってない?」

そう悪態をつきながらも、フレエシアが怪しんでいる照明の下に脚立をセットする。
フレエシアは脚立に上ると、照明をくまなく調べる。

「特に何もないな。てことは、あっちか。」

フレエシアは脚立を持つと、反対側の壁にある柱の方へ行く。
そちらの柱には、照明が設置されていない。
フレエシアは、その柱の本来ならば照明があるであろう部分を中心に入念に調べていく。
一見すると何もなさそうだった。
だが、ついに、よく見ると切り込みが入り、木目が合わないところを見つけた。
フレエシアはその部分を引っ張ったり、押したりしてみるが、ビクともしない。

「スライドさせてみてはどうですか?」

脚立の上のフレエシアを心配そうに見上げていたルヴァリが提案してみる。
切り込みは横向きに並行したものが2本入っているので、言われてみればスライドできそうだ。
フレエシアは左側から右へ、切込みに挟まれた箇所をスライドさせるように動かしてみると、ずりずりと動かすことに成功した。
すると、明らかに怪しげなスイッチが姿を現す。

「一カ所に集まりましょう。」

ヴィオラが念のため、全員をフレエシアのいる柱の付近に集める。

「いいわよ、フレエシア。」

フレエシアはヴィオラの合図を待って、そのスイッチを押し込んだ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!

翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。 「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。 そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。 死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。 どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。 その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない! そして死なない!! そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、 何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?! 「殿下!私、死にたくありません!」 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ ※他サイトより転載した作品です。

ねえ、今どんな気持ち?

かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた 彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。 でも、あなたは真実を知らないみたいね ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

私はざまぁされた悪役令嬢。……ってなんだか違う!

杵島 灯
恋愛
王子様から「お前と婚約破棄する!」と言われちゃいました。 彼の隣には幼馴染がちゃっかりおさまっています。 さあ、私どうしよう?  とにかく処刑を避けるためにとっさの行動に出たら、なんか変なことになっちゃった……。 小説家になろう、カクヨムにも投稿中。

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

処理中です...