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Lesson.5 物語の終わり
120.地下室の下
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カチッと音を立ててスイッチが押されると、どこかの仕掛けが動いている音が部屋中に鳴り響く。
そしてさらに大きな音を立てて床が動いたと思うと、地下室の真ん中に下へと続く大きな階段が出現した。
階段の下を覗き込むと、丁寧にも左右両方の壁の照明がきちんと灯されており、階下の様子もおぼろげだが見えている。
リナを先頭に、ゆっくりと階段を下りていく。
階段を半分ほど降りたあたりから、ふんわりとバラの香りが漂ってきた。
そして、チョロチョロと水の流れる音がし、バラだけではない、日光をよく浴びた草花の香りもして、まるで庭園へ抜けるテラスの中を歩いているような気分になってくる。
そして実際に、長い階段を下りた先には、庭園を思わせるような空間が広がっていた。
太陽のように眩い光を放つ照明、そして、自然の中にいるような錯覚を覚える微かな風。
さらに壁まで生い茂る植物と、そこから湧いているように染み出す水。
しかし実際には屋内であり、まさに人工的に作られた自然といった様子だった。
「あそこに誰かいるようですわ。」
ルドヴィクの後ろに隠れながら、プリムラが言う。
プリムラの視線の先には、大きなベッドのようなものがあり、今まさにその上に寝ていた人物がゆっくりと起き上がっているところだった。
「行ってみましょう。」
ヴィオラがそう言うと、全員でゆっくりとその人物の方へ歩き出した。
向うもこちらに気づいている。
その人物が白いドレスを着た女性だと分かったところで、急にリサが駆け出した。
「ユニカ!」
「リナ! あなたなのね?」
リナは思わずベッドの上のユニカに抱きつく。
「急に消えたりするから、心配したじゃない! どうやって脱獄したの?」
ユニカと呼ばれた女性は、優しい面差しでリナに話しかけている。
「私のことはいいよ。
ユニカ、なぜ若返っているの?
私と会ったときはもうお婆さんだったじゃない。」
リナが問う。
ベッドの上に座るその人は気の強そうな吊り目に、豊富なブロンドの髪をきれいに巻いていた。
真っ赤な紅をさしたような妖艶な唇を持ち、なめらかな肌の若い女性で、お婆さんとは対極にいるような姿だ。
「私もよく分からないのよ。
どんどん年を取って、身体が言うことをきかなくなってきて……。
マリアが毎日やって来て、元気になる呪文を唱えてくれていたの。
そうすると、身体の痛みも徐々に消えて行って、肌にもハリが戻ってきて……。
アレクサンデルも喜んでくれていたわ。
それで……それからどうしたのだったかしら?
とにかく気が付いたら、この姿でここにいたの。
もしかすると公爵家の誰かが見つけてくれるかもしれないと思って、日記を書いて助けを求めたのよ。」
そしてさらに大きな音を立てて床が動いたと思うと、地下室の真ん中に下へと続く大きな階段が出現した。
階段の下を覗き込むと、丁寧にも左右両方の壁の照明がきちんと灯されており、階下の様子もおぼろげだが見えている。
リナを先頭に、ゆっくりと階段を下りていく。
階段を半分ほど降りたあたりから、ふんわりとバラの香りが漂ってきた。
そして、チョロチョロと水の流れる音がし、バラだけではない、日光をよく浴びた草花の香りもして、まるで庭園へ抜けるテラスの中を歩いているような気分になってくる。
そして実際に、長い階段を下りた先には、庭園を思わせるような空間が広がっていた。
太陽のように眩い光を放つ照明、そして、自然の中にいるような錯覚を覚える微かな風。
さらに壁まで生い茂る植物と、そこから湧いているように染み出す水。
しかし実際には屋内であり、まさに人工的に作られた自然といった様子だった。
「あそこに誰かいるようですわ。」
ルドヴィクの後ろに隠れながら、プリムラが言う。
プリムラの視線の先には、大きなベッドのようなものがあり、今まさにその上に寝ていた人物がゆっくりと起き上がっているところだった。
「行ってみましょう。」
ヴィオラがそう言うと、全員でゆっくりとその人物の方へ歩き出した。
向うもこちらに気づいている。
その人物が白いドレスを着た女性だと分かったところで、急にリサが駆け出した。
「ユニカ!」
「リナ! あなたなのね?」
リナは思わずベッドの上のユニカに抱きつく。
「急に消えたりするから、心配したじゃない! どうやって脱獄したの?」
ユニカと呼ばれた女性は、優しい面差しでリナに話しかけている。
「私のことはいいよ。
ユニカ、なぜ若返っているの?
私と会ったときはもうお婆さんだったじゃない。」
リナが問う。
ベッドの上に座るその人は気の強そうな吊り目に、豊富なブロンドの髪をきれいに巻いていた。
真っ赤な紅をさしたような妖艶な唇を持ち、なめらかな肌の若い女性で、お婆さんとは対極にいるような姿だ。
「私もよく分からないのよ。
どんどん年を取って、身体が言うことをきかなくなってきて……。
マリアが毎日やって来て、元気になる呪文を唱えてくれていたの。
そうすると、身体の痛みも徐々に消えて行って、肌にもハリが戻ってきて……。
アレクサンデルも喜んでくれていたわ。
それで……それからどうしたのだったかしら?
とにかく気が付いたら、この姿でここにいたの。
もしかすると公爵家の誰かが見つけてくれるかもしれないと思って、日記を書いて助けを求めたのよ。」
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