悪役令嬢にならないための指南書

ムササビ

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Lesson.5 物語の終わり

125.隠れていた真実

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少女は赤い小花柄の頭巾をかぶり、動きやすそうな赤いワンピースの上に頭巾と同じ柄のエプロンを着けていた。
頭巾の裾からは、綺麗に編まれた淡いピンクの髪が垂れている。
まるでおつかいから帰ってきた子どものような恰好が、今いる小部屋の雰囲気とはかけ離れていて、しばらくリーリウムたちはその光景を眺めることしかできなかった。

「他人の日記を勝手に見るのは、感心しませんね?」

少女はそう言うと、呆然としているリーリウムの手から小さな日記帳を取り上げ、肩から下げていた大きなショルダーバッグへとしまいこんだ。
ぷりぷりと怒っている見た目とは違い、諭すような丁寧な言葉でリーリウムを窘める様子もまた、違和感がある。

「お前は誰だ?」

突然現れた少女に警戒しながらも、リナが話しかける。

「あらぁ、リナさんではないですか?
ついに見つかってしまいましたか。」

少女はリナのことを知っている様子で、懐かしそうに目を細めてにっこりと微笑んで見せた。

「そのタルい話し方……。」

「タルいだなんて、失礼ですね。あなたがそう私を設定したのでしょう?」

少女はリナの反応をおもしろがっているようで、ニコニコと笑みを絶やさない。
リナはしばらく動きが止まったのち、大きなため息をついた。

「マリアか……。転生したの?
道理で見つからないはずだ……。」

リナの言葉に、リーリウムたちは驚きを隠せない。
ユニカに続いて、マリアもまだ存在していたのだ。
しかも、少女の姿にカタチを変えて。

「だいぶ前からあなたが私を探していたのは気づいていました。
その頃はマリアのままだったんですけどね。」

マリアはそう言うと、リーリウムを見て微笑みかけた。
目が合った瞬間、その瞳の奥に引き込まれそうな気がして、リーリウムは恐怖を覚える。
ヴィオラとフレエシアが、リーリウムを守るようにとっさに二人の間へと割り込んだ。

「その子が生まれたとき、私の光の魔力が無くなってしまったのですよ。
まあ、その前から徐々に力は衰えてはいたのですけどね。」

「どうしてマリアの力が衰える? 設定では永遠の若さと力を手に入れているはずでしょ?」

マリアはしばらく虚空を見つめる。

「愛する人に力を分け与えたからですよ。」

「アレクサンデルと力を分かち合ったのなら、二人ともが永遠を手に入れるはずだよ?」

実際には、アレクサンデルは年老いて亡くなっている。
残っているのは、ずっと眠っていたユニカと目の前にいる少女の姿をしたマリアだけだ。

「アレクサンデル様ではありませんよ? そんな小説の内容はユニカ様が壊してしまったではないですか? 私の愛する人は隣の部屋で眠りについています。」

マリアはそう言うと、隣の部屋へと続く扉を見つめてうっとりとしていた。
リーリウムたちはその部屋にいる人物が誰なのかを知っている。
その場にいた全員に動揺が走った。

「ユニカを、愛しているの?」

リナが恐る恐る尋ねると、マリアは顔を赤らめて小さく頷いた。
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