悪役令嬢にならないための指南書

ムササビ

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Lesson.5 物語の終わり

136.これから3

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「リナさん、このドレスとても着心地が良いです! どうして、この縫製術は後世に残らなかったのかしら……?」

リーリウムは思わず感嘆の声を上げる。
異世界の縫製術を使用したドレスは、いつも着ているドレスとこんなにも違うのかと驚きが隠せない。

「彼女の縫製術は魔道具のミシンを使うんだけど、この彼女が使用していたミシンが精密すぎて量産はできなかったの。オリジナルも彼女の死後すぐに壊れてしまってね……。だけど、今はユニカがいるから、そんなミシンも作れるかもしれないよ」

そう声をかけられ、ユニカは少し悲しそうな顔をする。

「私、実は前世の記憶も少しあいまいなの。皆の役に立てるかは疑問ね……」

「長期間眠っていた影響かもしれません。今はまず、心も体も休ませましょう、ね」

フレエシアがユニカの肩に手を置き、声をかける。そんなフレエシアの思いやりが嬉しくて、ユニカも笑顔をフレエシアへと向けた。

「それじゃあ、とりあえず解散しようか?」

ヘンリクスは身支度を整えたリーリウムを確認すると、その場にいる全員に声をかけた。皆は散り散りに自分たちのなすべきことをするために歩き出す。

ディナルドに先導されて、ヴィオラとフレエシア、プリムラの公爵家の娘たちは、ユニカとリナとマーヤを連れて城門の方へと向かう。そこでは、公爵家の馬車が令嬢たちの帰りを忠実に待っていた。ただ、令嬢たちの変貌ぶりに御者は一瞬それが公爵家の娘たちだと判断できずに戸惑う様子を見せ、それに緊張の糸が切れたようにヴィオラが笑い出し、つられて他の皆もくすくすと笑い出した。

「さあ、我が家へ帰りましょう」

ひとしきり笑ったヴィオラは、馬車一台で乗るには多すぎる人数も気にすることなく全員を馬車へ押し込み、いつの間にか愛馬にまたがっていたディナルドに守られながら公爵邸へと帰っていった。

「さて、いっしょに叱られてくれるかい?」

彼らを見送った後、ヘンリクスは右手を出し、リーリウムに笑顔を向ける。

「はい。喜んで」

リーリウムは茶目っ気たっぷりな笑顔を浮かべて、ヘンリクスの手を取る。
ルドヴィクとルヴァリは二人の甘い世界に苦笑いを浮かべながらも、共に国王の執務室へと向かったのだった。

「ああ! リーリウム!」

執務室のドアを開けた途端、王妃がリーリウムに駆け寄る。

「殿下! 病み上がりの婚約者を連れ出すなんて!」

リーリウムを抱きしめながら、息子を叱り飛ばす王妃。
自分のために叱ってくれている王妃の剣幕に、いっしょに叱られるどころではなくなってしまい、リーリウムはしばらく王妃の腕の中でオロオロとしていた。

「王妃様、ヘンリクス様はわたくしを守ってくれていたのです」

王妃が落ち着きを見せ始めてから、リーリウムは事情を話し始める。
ヘンリクスとルドヴィク、ルヴァリも共に、体験したことをつぶさに国王と王妃に伝えた。
魔法の復活、マリアの陰謀、そして未だに生きていた伝説の王妃ユニカ……。
想像していたよりも奇想天外な内容に、国王も王妃もただただ唖然とするばかりだった。
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