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プロローグ
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タイムカードを切り、足早に職場を後にする。
ここから駅までゆっくり歩いて約10分、走れば5分に短縮できる。
電車は約5分おきには来るから、それに乗って約15分後に下車。
駅から保育園まで5分。
電車がすぐに来るとしても、25分はかかってしまう。
「早く行かなくちゃ……」
ヒカルが保育園で待っている。
すでに17時半を少し過ぎてしまい、18時までのお迎えにはギリギリだ。
履き潰されたパンプスのヒールをカッカッと鳴らしながら、駅までの道のりを全速力で走る。
中学から大学まで陸上部に所属していた。
万年補欠だったが、体力と脚力には自信があるのだ。
しかし、最近は疲労が取れず、以前ほどのスピードで走ることが出来ない。
私は、ふと思いついて、先日見つけた近道を使おうと思いつく。
かなり狭い路地裏を通るのだが、駅までほぼ直線で到着するルートだ。
大通りからカクンと曲がり、狭い路地を全速力で駆け抜ける。
もう少しで駅のすぐそばに出られるというところで、周囲が光に包まれた。
眩い光の中で、目も開けられない。
(早く駅へ行かなくちゃいけないのに! 電車が来てしまう!)
私の頭の中で、電車と保育園、そしてヒカルのことがグルグルとまわる。
「大丈夫ですか?」
男の人の声がすぐ目の前から聞こえる。
恐る恐る目を開けてみると、いつの間にかあの光は消えていた。
目の前には、昔の映画俳優のような外国人のイケメンが立っている。
「だ、大丈夫です。」
いつの間にか座り込んでしまっていたらしく、イケメンから差し出された手を取り、立ち上がる。
「ありがとうございます。
すみません、私、急いでいるので!」
そう言って、彼の横を通り過ぎようとしたとき、はっと気づいた。
周りを白い装束を着た男性たちに囲まれていることを。
そして明らかにその場所が、私が駆け抜けていた路地ではない、違うどこかだということを。
思考が追い付かない。
ここはどこだろう?
この人たちは誰?
「あの……」
目の前のイケメンに事情を聞こうと話しかける。
「お名前をお聞かせ願えますか、聖女様?」
私が話すよりも先に、イケメンからそう告げられる。
聖女様?
私は聖女様ではない。
ただのアラサーのおばさんだ。
いや、まだ辛うじて20代なのだから、おばさんって言うわけでもないけど、少なくとも聖女様ではない。
だって、私は母親なんだから。
ヒカルを迎えに行かなくちゃいけないんだから。
ここから駅までゆっくり歩いて約10分、走れば5分に短縮できる。
電車は約5分おきには来るから、それに乗って約15分後に下車。
駅から保育園まで5分。
電車がすぐに来るとしても、25分はかかってしまう。
「早く行かなくちゃ……」
ヒカルが保育園で待っている。
すでに17時半を少し過ぎてしまい、18時までのお迎えにはギリギリだ。
履き潰されたパンプスのヒールをカッカッと鳴らしながら、駅までの道のりを全速力で走る。
中学から大学まで陸上部に所属していた。
万年補欠だったが、体力と脚力には自信があるのだ。
しかし、最近は疲労が取れず、以前ほどのスピードで走ることが出来ない。
私は、ふと思いついて、先日見つけた近道を使おうと思いつく。
かなり狭い路地裏を通るのだが、駅までほぼ直線で到着するルートだ。
大通りからカクンと曲がり、狭い路地を全速力で駆け抜ける。
もう少しで駅のすぐそばに出られるというところで、周囲が光に包まれた。
眩い光の中で、目も開けられない。
(早く駅へ行かなくちゃいけないのに! 電車が来てしまう!)
私の頭の中で、電車と保育園、そしてヒカルのことがグルグルとまわる。
「大丈夫ですか?」
男の人の声がすぐ目の前から聞こえる。
恐る恐る目を開けてみると、いつの間にかあの光は消えていた。
目の前には、昔の映画俳優のような外国人のイケメンが立っている。
「だ、大丈夫です。」
いつの間にか座り込んでしまっていたらしく、イケメンから差し出された手を取り、立ち上がる。
「ありがとうございます。
すみません、私、急いでいるので!」
そう言って、彼の横を通り過ぎようとしたとき、はっと気づいた。
周りを白い装束を着た男性たちに囲まれていることを。
そして明らかにその場所が、私が駆け抜けていた路地ではない、違うどこかだということを。
思考が追い付かない。
ここはどこだろう?
この人たちは誰?
「あの……」
目の前のイケメンに事情を聞こうと話しかける。
「お名前をお聞かせ願えますか、聖女様?」
私が話すよりも先に、イケメンからそう告げられる。
聖女様?
私は聖女様ではない。
ただのアラサーのおばさんだ。
いや、まだ辛うじて20代なのだから、おばさんって言うわけでもないけど、少なくとも聖女様ではない。
だって、私は母親なんだから。
ヒカルを迎えに行かなくちゃいけないんだから。
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