聖女を探して~異世界人の伊勢参り~

ムササビ

文字の大きさ
12 / 12

11.出発日決定!

しおりを挟む
「もしかすると、マリコさんは東海道から西へ向かって、京都へ向かっているのかもしれない。
マリコさんが誘拐された当時、住んでいた街です。」

お父さんは近畿圏全域が書かれた地図のページを開き、伊勢神宮がある三重県の左上、京都を指さした。

「なるほど……。
では、マリコはイセジングウへ行くのではなく、このキョウトという場所へ向かっているのだな。
うんうん、このキョウトという土地も特別に聖力が満ちているな。
この国の人々はやはりなかなかに信心深い。」

ヤジールは聖力マニアか何かなのか、妙にうれしそうにしている。
キタロスを見ると、そんなヤジールを見て満足気にしていた。
こっちはヤジールマニアなのだろうか……。

「では、さっそく出発しよう!」

ヤジールがいきなり立ち上がる。

「いえ、もう今日は休みましょう。
時間もだいぶ遅いので。
それに、マリコさんを探しに行くなら僕たちも一緒に行きます。
幸い明日終業式で、春休みに入るんだし。
明後日出発ということで。
ね?」

お父さんが私の顔を見るので、思わずうなずく。
春休みの部活には行けなさそうだ。
先輩たちが怖いなぁ……。
だけど、お母さんが見つかるかもしれないのだから、それを最優先にするのは当然だ。

「明後日までなど待てぬ。」

ヤジールがごねている。
すると、お父さんはヤジールの方に向き直り、きりっとした表情をした。

「僕はまだあなたたちを完全に信用できていない。
マリコさんを見つけ次第、もしかするとまた異世界に連れて行ってしまうかもしれない。
それに、そもそも今まで話していた内容だって、嘘っぱちかもしれない。
だけど、一縷の望みを持ってあなたたちの話を聞いたんだから、僕の言うようにしてもらいます。
僕たちからマリコさんを奪ったという罪悪感が嘘でないなら、それくらいできますよね?」

今まで物腰が柔らかかったお父さんが、キツめの口調で話しをしたら、ヤジールもキタロスもそれ以上何も言えなかった。
お父さんは柔和に見えて実は頑固者だから、こうなってしまうと誰も逆らえないのだ。

「だけどお父さん、早くお母さんを保護してあげないと……。
危険な目に合っているかもしれないし、お金も持っていないでしょ?
大丈夫なのかな?」

国道を女の人がふらふらと歩いているなんて、変な人に目を付けられたらどんな目に合うかも分からない。

「おそらくそれは大丈夫だろう。
マリコがこの道を選んだのは、聖力が満ちているからだ。
聖力のある場所での聖女はある意味無敵なのだ。」

「無敵?」

「危険に合わないように姿を隠して行動することもできるし、危害が加えられても敵を撃退する術も持っている。
それに、マリコは賢い。
考えなしに行動する人間ではない。
彼女であれば、無事目的地まで到着するだろう。」

「そう……」

私が胸をなでおろしていると、ヤジールもひと言付け加える。

「うん。そもそも、マリコ様なら歩かずに空を飛んでいるだろう。」

「え」

私のお母さん、空まで飛べるようになっているの?
ちょっと別の意味で心配になってくる……。
お父さんをちらりと見ると、やはり呆然とした表情をしている。
だけど、どんなお母さんだって私のお母さんなんだ。
ほとんど記憶にないお母さん。
早く会いたいな! 
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです

白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。 ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。 「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」 ある日、アリシアは見てしまう。 夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを! 「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」 「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」 夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。 自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。 ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。 ※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身

にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。  姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

拾われ子のスイ

蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】 記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。 幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。 老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。 ――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。 スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。 出会いと別れを繰り返し、生命を懸けて鬩ぎ合い、幾度も涙を流す旅路の中で自分の在り方を探す。 清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。 これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。 ※基本週2回(木・日)更新。 ※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。 ※カクヨム様にて先行公開中(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載) ※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。 ※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ

翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL 十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。 高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。 そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。 要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。 曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。 その額なんと、50億円。 あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。 だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。 だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。

処理中です...